海老蔵とV6三宅健が人間のエゴイズム
に迫る! 六本木歌舞伎第三弾『羅生
門』開幕

2019年2月22日(金)、東京・EXシアター六本木にて六本木歌舞伎第三弾『羅生門』が初日を迎えた。第三弾となる今回の演目は、芥川龍之介の代表作のひとつ「羅生門」。演出は第一弾から引き続き三池崇史が担当し、出演は市川海老蔵、そして歌舞伎初出演となる三宅健が共演する。本作のゲネプロ(通し稽古)が初日直前の時間で披露された。

生きるために悪事に手を染める、という人間のエゴイズムを描いた本作で、羅生門の下で死人の髪を抜く老婆、そして渡辺綱、時には市川海老蔵本人として演じる海老蔵は、どの役を演じても圧倒的な圧と華を見せる。そして下人や宇源太を演じる三宅は、初挑戦故に慣れない台詞回しや所作との格闘が伺え、そこから生まれる一人の人間としての感情をも最大限発揮するかのように演じていた。何より初登場から10分近くたった一人で延々台詞を語る点には見どころだろう。
劇場は下手に花道が中通路まで伸び、その先端には階段があるため、時に役者が通路を歩く趣向あり、聞き取りづらい歌舞伎独特の台詞回しを現代語訳で説明する場面あり、毎回恒例となっている市川海老蔵が本人役で突然現れ、下人や宇源太の「中の人」をいじりたおすアドリブコーナーもあり、肩の力を抜いて楽しめる場面もたくさん。その上で本格的な歌舞伎を見せるところはしっかり見せ、見どころとなる場面では三池流のエンタメ心溢れる迫力の演出が施され、歌舞伎を初めて見る観客にはうってつけの作品となっていた。

舞台上で三宅さんが次のお役に着替える場面も!
脇を固める茨木童子役の右團次、坂田野金時役の九團次、滝夜叉姫役の大谷廣松、碓井貞光役の片岡市蔵、祇園屋女将役の市川齊入といったベテラン勢が海老蔵、三宅をしっかり支えている点にもぜひ注目してほしい。この舞台をきっかけに歌舞伎座で日々上演されている様々な歌舞伎の演目にも興味を持ってもらえれば何よりだ。
初日を迎えて、海老蔵、三宅からコメントが届いた。
■市川海老蔵
第三弾となる六本木歌舞伎『羅生門』、本日初日の幕が開きます。
演出には第一弾から続けて三池崇史監督に、そしてこの度は、三宅健さんをお迎えして、ついにこの日を迎えました。
観て頂く皆さまに、『羅生門』の世界観を感じ取って頂けたらと思います。
■三宅健
海老蔵さんをはじめとする、歌舞伎の世界の方々とご一緒させていただき身の引き締まる思いです。皆さんとお芝居をさせていただく中で、時代も空間も飛び越えた真に迫る表現力の凄さを目の当たりにしています。来る日も来る日も修練を積み重ね、歌舞伎俳優という人生を生きて来た人の凄さを今この眼で見届けられることに感動しています。
そんな方々とご一緒させて頂けることに日々感謝と敬意を払い、ひと公演ひと公演を噛み締めながら大切に演じていきたいと思います。そんな厳しい荒波の中で揉まれて、この公演が終わった時には一皮も二皮もむけたタフな漢になれるよう精一杯努めたいと思います。そして、強面な見た目とは裏腹にとっても優しい人柄の三池さん。三池さんの描く独創的な羅生門の世界にこの1ヶ月どっぷりと浸かり私の身も心も捧げたいと思います。
取材・文・撮影=こむらさき

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