「この先、希望しかない」Lenny cod
e fiction ツアーファイナルレポート
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Photography_Yusuke Satou
Text_ Kenta Baba
爆音の世界へ。
そりゃ手拍子ぐらいするでしょうよ、と思うかも知れないが、音色?暖かさ?がスタンディングオベーションのときのそれだった。このときをいかに待ちわびたか、アルバム『Montage』と今回のツアーがいかに心を揺さぶってきたのかがスタート時の空気感で示されていた。
Vo.片桐航が登場し、ステージ上の4人も最高潮の熱気で応える。「Snatch」「KISS」「Enter the Void」と爆音の世界に連れ去るためのライブ人気曲を連投。音圧もグルーヴも3ヶ月前の同ツアーでのパフォーマンスからさらに厚さを増している。なかでも特筆すべきは「Enter the Void」。イントロから大きくフロアが揺れた。この曲の真骨頂を目の当たりにすることができた。
「ただただ、爆音の中にいるのが好きだった」(片桐 航インタビューより)
嵐のように過ぎ去ったはじめの4曲。ここでは言葉はいらなかった。言葉が脳内から消えていた。片桐 航(Vo.)が地元滋賀のライブハウスでステージに立ち始めたときに感じていた爆音の心地よさを追体験しているようだった。
いつでも、逆転できる。
その言葉と同時にはじまったのは、MVが再生回数150万回を突破した代表曲のひとつ「Make my story」。滋賀から上京し、メジャーデビューを果たし、1stアルバムのリリース。そしてツアー。順風満帆のように見えるが、その歩みは決して早い方ではなかった。「Make my story」リリース時のインタビューでは、思うようなライブができない日もあったと語っていた。
「滋賀のマジのど田舎でひとりで曲をつくりはじめて、
そのうちポンコツリーダー(ベースでリーダーのkazu)と出会って、
守山ブルーってスタジオに入って。SEIYUで安売りの弁当買って。
クソ安い弁当を、おいしいなぁって言いながら食べて
いつかでかいことやりたいなーって言い合ってました」
曲前に語られたこのエピソードは、どこか牧歌的でもあるけど、きっとずっと悔しかった時期だ。高校を卒業して、周りは就職していく中、バイトと音楽に打ち込む日々。
なにもかも終わってしまうけれど、なに
もかも忘れたくない。
『Montage』の主役は、自分たちではなく聴いてくれるあなたたちだ、ということを片桐 航はツアー開始時から繰り返し強調していた。後半に入って披露された「影になる」や「世界について」はアルバム収録曲ではなくそれより以前にリリースしたシングルのカップリング曲なのだが、彼らの在り方を存分に示していた。
そう続けてはじまったのは、まだ音源化されていない「Once」。
サビのフレーズ「なにもかも終わるけど、なにもかも忘れたくない」は
ツアーファイナルという”終わり”に際して、これ以上ないほど的確な言葉だった。
さらに「Once」を聴きながら震えたのが、この曲が、今を生きているこの瞬間は二度と戻らないこと、つまり「今」を肯定する歌だったことだ。
なんのための爆音か。
「Showtime!!!!」「Alabama」「Rebellious」「Vale tudo【MAKE MY DAY】」とアップテンポの曲を立て続けに披露し、再びフロアは大揺れ。ここで再び爆音と圧巻のパフォーマンスにより思考が吹き飛ぶのだが、余計なことを考えなくなった分、言葉がぐんぐんと心に染み渡る。
先へ進むほど、風にのっていく。
「ファイナル終わるの寂しいって言ったけど撤回させてください。
いい曲。いっぱいできてます。
いいライブ、決まってます。
やりたいことが、どんどん出てきてます。
名古屋、福岡、大阪
どれもいいライブすぎて超えれんとおもってたけど
超えてきてます。
すごいクサい言い方やけど
この先、希望しかないです。
見ててください。
今年、最強の曲書いたるから。
これから先俺らが
どれだけ先へ行くか
見ててください」
<LIVE TOUR 2018-2019 Montage>2月2日@渋谷クアトロセットリスト
01. Montage (SE)
02. Snatch
03. KISS
04. Enter the Void
05. Make my story
06. Ruby’s day
07. オリオン
08. Key -bring it on, my Destiny-
09. Colors
10. 欲を纏う
11. 影になる
12. オーロラ
13. 世界について
14. Once
15. Showtime!!!!
16. Alabama
17. Rebellious
18. Vale tudo【MAKE MY DAY】
19. Flower
20. Twice
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ミーティア
「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。