ウィーザーの『ウィーザー
(ブルー・アルバム)』は
90年代を代表するL.A産パワーポップ

本作『ウィーザー(ブルー・
アルバム)』について

94年に本作『ウィーザー(ブルー・アルバム)』はリリースされるが、所属していたゲフィンレコードの意向でシングルは出さなかった。リリース当初はさほど売れなかったが、まずシアトルのラジオ局で「アンダン〜ザ・スウェター・ソング」がヘビーローテーションされたのを機にシングルリリースが決定、続いて当時飛ぶ鳥を落とす勢いのスパイク・ジョーンズ(白人のほう)が監督した同曲のミュージッククリップがMTVでオンエアされるとたちまち火がつく。シングル2作目の「バディ・ホリー」もPVをスパイク・ジョーンズが手掛け、これが大ヒットする。結局、MTVのビデオ・ミュージック・アワードで4部門受賞したこともあって、本作はあっと言う間にミリオンセラーとなりデビュー作にして全米チャートで16位という成功を収めた。現在では300万枚以上のセールスを記録しており、オルタナティブロックとしては異例の売り上げとなっている。

この成功は彼らが意図したものなのかどうかは分からないが、少なくともラジオ局、MTV、CMJなどさまざまな連携によって生み出されたものである。本作のシンプルなビートバンドとしてのスタイルは、当時の肥大化したグランジシーンで疲弊した観客に向けた癒やしの存在という位置付けであったのかもしれないが、今聴いても彼らのサウンドは古くなっておらず、プロデュースを担当したカーズのリック・オケイセクの手腕もさることながら、“やはりウィーザーはすごいぞ!”と思わせるスピリットを持っていると思う。

収録曲は全部で10曲。パフォーマーとして華があるわけでも派手なテクニックを見せるわけでもない。しかし、リスナーと同じような等身大の若者の内面を、さわやかな疾走感に乗せて正直に歌う姿に感動するのである。不器用だが誠実さを感じるグループである。

これまで、何度も発売するとアナウンスされながらリリースされなかった彼らの13枚目にあたる『ウィーザー(ブラック・アルバム)』が3月1日にようやくリリースされることになった。アルバムのリリースに合わせてピクシーズとのダブル・ヘッドライナーによるツアーも決まっているので、興味のある人はこれを機にウィーザーを聴いてみてください♪

TEXT:河崎直人

アルバム『Weezer (The Blue Album)』1994年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. マイ・ネーム・イズ・ジョナス/My Name is Jonas
    • 2. ノー・ワン・エルス/No One Else
    • 3. ザ・ワールド・ハズ・ターンド・アンド・レフト・ミー・ヒア/The World Has Turned and Left Me Here
    • 4. バディ・ホリー/Buddy Holly
    • 5. アンダン~ザ・スウェター・ソング/Undone〜The Sweater Song
    • 6. サーフ・ワックス・アメリカ/Surf Wax America
    • 7. セイ・イット・エイント・ソー/Say It Ain't So
    • 8. イン・ザ・ガレージ/In the Garage
    • 9. ホリデイ/Holiday
    • 10. オンリー・イン・ドリームズ/Only in Dreams
『Weezer (The Blue Album)』(’94)/Weezer

OKMusic編集部

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