【この2.5次元がすごい】2.5という枠
を超えて誰もが納得する作品となった
「映画刀剣乱舞」

(c)2019「映画刀剣乱舞」製作委員会 (c)2015-2019 DMM GAMES/Nitroplus 人気の漫画、アニメやゲームが多く舞台化され、多くの有名俳優も輩出している「2.5次元」。作品の世界観を具現化しながらも、新しい可能性に挑み続けている2.5次元ステージの楽しさと魅力を全力で紹介します!
 今やその人気は2.5次元ファンだけにとどまることを知らないという注目の作品が「刀剣乱舞」。歴史上の刀剣が戦士となり歴史を守るために戦うシミュレーションゲーム「刀剣乱舞 -ONLINE-」はすでにアニメ、舞台、ミュージカルと数多くのメディアミックスを行っています。昨年末の紅白歌合戦でも刀剣男士が活躍した様子を見たという人も多いのではないでしょうか。そして、現在公開中なのが「映画刀剣乱舞」です。メインキャストは舞台「刀剣乱舞」と同じということで、早速映画館へ行ってきました。
ファンも初めて「刀剣乱舞」を見る人も、どちらも楽しむことができる「映画刀剣乱舞」の丁寧なこだわり
 舞台と映画の大きな違いは、その作品を目にする人の幅ではないでしょうか。舞台は作品を知っている人が見に行くことが多く、映画は前知識を持っていない人が見ることも多いのでファンにとっては物足りなく感じたり、初めて見る人には話しがつかみにくかったりするというケースもあるような気がします。ところが今回は、じわじわと今まで「刀剣乱舞」を知らなかった人にまでその映画の魅力が広がり、映画は公開1週目の動員数は5位、2週目も6位と好調です。つまり、もともとのファンだけでなく、評判を聞きつけ初めて見る人たちも映画館に足を運んでいるということでしょう。実際に私が映画館を訪れたのは平日の夜でしたが満席で、カップルや男性同士で見に来ている人たちも多くいました。
 映画の冒頭でも舞台と同じく「刀剣男士とは何か?」はしっかりと説明され、ファンにとってはおなじみでもあり、初めて見る人にとっては設定認識ができる導入があったので安心して見ることができました。始まってすぐに感じるのはなんといっても推しの顔のよさ! 単に顔のよさだけでなく、戦っても傷ついても、どんなにアップになっても美しい刀剣男士たち。この美しさが人間とは違う刀剣男士らしさでもあるようでした。舞台で見る姿、そして映像化された舞台を見るのとは違う常に計算された美しさがスクリーンに広がっていました。それは殺陣のシーンも同じです。たとえば、鈴木拡樹さんが演じる三日月宗近は平安時代に生まれた刀だということもあり、青い着物と優雅な身のこなしが特長です。刀や着物がまるで舞うように描かれ、それを逃さない真上や横からのカメラワークからも作品へのこだわりを感じることができました。これは、映画でなければ見ることができなかったでしょう。刀剣男士たちのどこか作り物のような美しさがファンタジーと現実を違和感なくつないでいるよう。織田信長や豊臣秀吉という生きた人間たちは人間臭く、刀剣男士たちは刀剣らしく描くという意図があったのかもしれませんね。
 また、特筆すべきはストーリーの出来。「私たちが知っている歴史の裏側を見せる」というのは時代物ミステリーの王道ですが、「映画刀剣乱舞」ではここがうまく描かれていました。脚本を担当しているのは「仮面ライダー電王」などの特撮シリーズや、「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズなど人気作を数多く手がけている小林靖子さん。彼女自体が時代劇のファンだということもあり、2.5次元のファンだけでなく誰もが楽しめるストーリー展開になっていて、最後に全てが繋がったときに「本当はこんな歴史だったのかもしれない」と思わせてくれました。
「刀剣乱舞」の細かな設定が可能性を広げる
 もちろん、ファンでないとわからない細かなギミックや小ネタもたっぷり。和田雅成さんが演じるへし切長谷部は、真面目で主命を全うしようとする忠誠心を持っているキャラクターにもかかわらず、周りの男士からいじられるような面も持っていて、そこは舞台でも会場を盛り上げるシーンです。そんな微笑ましいシーンを映画の中でも見ることができ、舞台からのファンである私は「そうそう!」と嬉しくなりました。
 「刀剣乱舞」はキャラクターの設定やデザインなど細かく、歴史ファンから見ても納得できる世界観を持っていて、そこが長年愛されている理由のひとつ。丁寧に作り上げられた世界だからこそ、ゲームからアニメ、舞台、ミュージカル、そして映画とどのフィールドにおいても可能性を感じさせてくれるのでしょう。これからの「刀剣乱舞」の展開はもちろん、ほかの作品においても2.5次元の新たな可能性を感じさせてくれる映画ではないでしょうか。
【関連リンク】・「映画刀剣乱舞」作品情報

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