軽やかな走行音を立てて未来へ…サザンオールスターズ「希望の轍」

軽やかな走行音を立てて未来へ…サザンオールスターズ「希望の轍」

軽やかな走行音を立てて未来へ…サザ
ンオールスターズ「希望の轍」

紅白歌合戦での、観客・出演者・テレビを観ている人々全てが一体となったサザンのパフォーマンス。
ファンである人も、そうでもない人も関係なく一つにしてしまったあの世界は感動的でしたね。
一瞬、「歌合戦」の場であることを忘れて、サザン独自のライヴ映像を観ているような錯覚に陥ってしまいました。
過去を肯定して未来に向かって走っていく爽やかな曲
そんな紅白で歌われた「希望の轍」。
この曲が多くの人の心を捉える理由は、「過去を肯定して未来へ向かって走っていく爽やかさ」を持っているからでしょう。
早速、歌詞を見ていきましょう!
愛おしい過去と野薔薇のような人
高らかなピアノの音と規則正しいリズムを刻むドラム、名詞止めが並ぶ歌詞のすべてが合わさって疾走感あふれる楽しいドライブを連想させるような出だし。
まるで、どこまでも続くまっすぐな車道にきれいな二本の轍がついていくのが目に見えるようです。
轍(わだち)とは、車の通ったあとに残る車輪の跡のこと。
「車道」に轍がつくのはありえないようですが、この場合は自分が生きていた人生の足跡を例えているのでしょう。
かつての自分の居場所だった「街の色」も「思い出の日々」も愛おしいもの。
だからこそ、「夢を乗せて」車道を走り、「明日への旅」に行けるのです。
「希望」という名の轍を鮮やかに残しながら。
過去の全てを肯定して明るい未来へと走りだした歌の主人公の潔さが感じられ、爽やかな気持ちになります。
それでも忘れられない恋心があって振り返ることもあります。
そのとき心に浮かぶのは野薔薇のようなひと。
爽やかな主人公にぴったりの、可憐で清楚な野薔薇のような女性に恋心を持っている。
この歌は映画「稲村ジェーン」の挿入歌ですが、楽曲そのものもロードムービーのようですね。
やはり気になるエボシライン=烏帽子(えぼし)ライン?
ここで登場するエボシラインが何なのか?気になりますよね。
ファンの間では諸説あるようですが…。
エボシとは、サザンのボーカリスト桑田佳祐の出身地の茅ヶ崎にあるえぼし岩・正式には姥島(うばじま)のことでしょう。
この島は、茅ヶ崎の海に浮かぶ島というよりも、「海から突き出ている烏帽子(男性用の帽子の一種)の形の岩」に見えます。
つまり、エボシラインとは、エボシ岩のライン(外観)、もしくはエボシ岩を含んだ地平線のことでしょう。
「遠く遠く」という言葉の繰り返しから、疾走感があおられて、エボシラインが見える景色をぐんぐん引き離して、車が走っていくのがわかります。
軽やかな走行音が聞こえるようですね。
「希望の轍」はサザンオールそのもの
デビューから40年もの間、日本の音楽シーンの先頭を切って走ってきたサザンオールスターズ
その轍に熱視線をおくる日本人アーティストはたくさんいます。
まさに、「希望の轍」そのものですね。
またアーティストのみならず、老若男女を問わず多くの人から愛されるサザン。
桑田佳祐の地元、JR東海道線・茅ヶ崎駅のホームの発車メロディは、市民の要望が通り、2014年の10月から「希望の轍」です。
未来に向かって走り続けるサザンオールスターズの「希望の轍」。
その魅力に今いちど触れてみませんか。
TEXT 三田綾子
歌詞の意味を解読!?厳選歌詞コラム3選
■【意味深】サザンのTSUNAMI、歌詞に隠れる5つの愛とドラマ
■【歌詞コラム】パクった曲名だと堂々と言い切ってしまうのが桑田佳祐のいいところ。『勝手にシンドバッド』
■【歌詞コラム】芥川龍之介はスライを聴いたことがあるのか?サザンオールスターズ『マンピーのG★SPOT』

UtaTen

歌詞検索・音楽情報メディアUtaTen

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着