レッチリが最初の頂点を迎えた
『ブラッド・シュガー・
セックス・マジック』
本作『ブラッド・シュガー・
セックス・マジック』について
本作の特徴は柔軟さにあると言えるだろう。彼らが得意とするゴリゴリのファンクナンバーはもちろん、新しい試みとしてアコースティックな切ないバラードがバランスよく配置されていて、ルービンの聴き手への配慮が実に行き届いているのである。フリーのベースプレイは、スラップを多用していた前作に比べて曲の隙間を埋めてしまわないように考えられている。フルシアンテとスミスに関しては、彼ら本来の本能的なプレイが冴え渡っていると思う。特にスミスのシンプルで的確なドラムパフォーマンスはここにきて完成したと言えるだろう。
収録曲は全部で17曲、そのうちカバーは「ゼイアー・レッド・ホット」(ロバート・ジョンソン)のみで捨て曲は1曲もなく、ファンク、ヒップホップ、グランジ、メタル、オルタナティブ、パンクなど、さまざまなロックのスタイルをミックスした彼らの音楽は、誰にも真似できない強靭さを持っている。まさしく90年代のロックシーンをリードする革命的なサウンドを本作で創りあげたといっても過言ではないだろう。90年代ロックを代表する圧倒的な傑作である。
フルシアンテの脱退と復帰
なお、2月に行なわれる今年の第61回グラミー賞受賞式では、ラッパーのポスト・マローンと一緒にステージに立つことが決定している。
TEXT:河崎直人