「少年ジャンク 志磨遼平コラム集 2009-2014」 ※画像は仮の仕様です

「少年ジャンク 志磨遼平コラム集 2009-2014」 ※画像は仮の仕様です

ドレスコーズの志磨遼平、コラム集発
売決定

ドレスコーズのボーカル志磨遼平が「少年ジャンク 志磨遼平コラム集 2009-2014」を3月に上梓する。
本作にはTV Bros.の人気コラム「デッド・イン・ザ・ブックス」4年分に加え、幻の連載「駄文・ユー・ベイビー」や処女作漫画「欲望」、入手困難だったMy Space from.jp「毛皮のマリーズ事件」号(2009年)での貴重なインタビュー、対談も収録。

発売決定にあたり、2014年3月1日号のTV Bros.コラムでは下記のコメントを寄せている。

【書籍の中で死にゆく男。(TV Bros.2014年3月1日号掲載コラムより)】

単行本出ます。
ねえねえ。単行本です。この連載が本になるんです。この至上の喜びをどうやってキミと分かち合えばよいのでしょうか。なんなら私はもう「単行本出ます」以外のすべてのボキャブラリーを失ってもかまわない。そうなると当然、次の新曲のタイトルは「単行本出ます」になってしまうがそれでもかまわない。あとはそれの第何章とかを出し続けるかんじで全然かまわない。タトゥーを入れるなら当然「単行本出ます」と彫るし、いっそのこと名前を「単行本・デ・マス夫」に改名してもいい。ポン・デ・リングみたいでとてもいい。さらに言えばそっちをペンネームにして、ボーカリストとしては「単行本・デ・ラ・ロッチャ」にしてもいい。ドレッドヘアでやたらと政治的な歌を歌いそうでとてもいい。あっ、でも歌の内容は全部「単行本出ます」なんだった。はは。
と、わけのわからないことばかり書き連ねてしまったが、なにしろ生まれて初めての書籍出版である。そりゃ嬉しい。改名するぐらいは大目に見てもらいたい。
いつかなにかのコラムで書いたけれども、幼年期~少年期の僕は現実世界で過ごすのと同じだけの時間をまた虚構の世界、つまり書物と空想の中で過ごした。一日の半分は本の中にいたワケだ。イン・ザ・ブックス、まさにこの連載のタイトルはそんなところから来ている。日の高いうちを学校で級友と過ごし、家に帰ってからはひとり本の中に潜る。乱歩の「少年探偵団」シリーズやロフティングの「ドリトル先生」シリーズの世界が僕の遊び場だった。
つまり、僕の幼少期の思い出は故郷の山河になく、本の中だったりする。昆虫キライだし。カナヅチだし。運動オンチだし。
これはロック音楽にも言えることで、たとえば懐かしい曲を聴いて、当時の友人の顔や恋人との甘い思い出がフラッシュバックする、なんて経験は誰しもがあることと思うが、私の場合はひどくて、実家のタンスの木目がじゃーん! とフラッシュバックしたりして本当にガッカリする。おそらくこれはCDラジカセをタンスの上に置いてあったため、その曲を聴いてる間中、ずっと三角座りでタンスの木目を凝視していたせいかと思われる。
少し話が逸れたが、つまり持ち運び可能なわが愛しのふるさとは、今暮らす東京の部屋の大きな本棚とCDラックの中にすべて移動済みで、なくしたってブッコフ行けば数百円で売っている。ヘタすりゃMP3 やテキストにデータ化することも可能だ。郷愁もへったくれもありゃしない。
そんな無粋なサブカル野郎が、大人になってからの思い出までついに書籍化してしまった。いよいよもって私は紙の中に死ぬ覚悟らしい。連載が始まったのは2010年。それからの4年はきっと私の人生の蜜月だ。どうかあなたのポケットに、本棚に、私の甘い思い出の記録を納めていただけたらと思う。
いつか自分の本を出すなら、タイトルはもう何年も前から決めていた。ここでの連載4年分に加え、過去のインタビューや対談に、漫画まで加えたベスト・オブ・志磨遼平、名付けて「少年ジャンク」。すべての若者はジャンクである。

書籍「少年ジャンク 志磨遼平コラム集
 2009-2014」

2014年3月18日発売
¥1,500(税込)
「少年ジャンク 志磨遼平コラム集 2009-2014」 ※画像は仮の仕様です
志磨遼平

OKMusic編集部

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