【ライブレポート】OLDCODEX流“アー
トロック”が豊洲PITに炸裂。10周年
イヤーへ突入

年をまたいで開催されたOLDCODEXの全国スタンディングツアー<OLDCODEX Tour “GROWTH TO BE ONE” >が1月5日に東京・豊洲PITでファイナルを迎えた。

◆OLDCODEX ライヴ写真

YORKE.の手による巨大なグラフィティアートが圧巻でワクワクさせてくれるステージセットはスピーカーにもペイントが施されている。ファイナルでありながら年始めであるこの日のライブは、2019年に10周年を迎えるOLDCODEXが落ち着くどころか、ますます加速していくことを予感させてくれるテンションマックスの内容だった。

大歓声の中、一発目に放たれたのは最新シングル「Heading to Over」のカップリングに収録されているミドルのヘヴィチューン「another point」。Ta_2とYORKE.が下手と上手に分かれて煽り、YORKE.はキャンパスに“K”のアルファベットを描き、場内に拳が突きあがる中、初期のナンバー「fool K」を今のOLDCODEXらしいよりラウドなアプローチで投下。Ta_2が激烈なシャウトを満員のフロアーにお見舞いする。
「さあ! 東京! 帰ってきたぞ! 正月一発目。なのにファイナルだぞ! オマエらの遊べる覚悟見せてくれ! オマエらの腹の中にたまったもの見せてくれよ! 見せてくれるか!?」──Ta_2

お正月頭が吹き飛ぶような激しいナンバーを次々に投下するOLDCODEX。Ta_2とYORKE.のシャウトも刺激的なスクリーモロック「One Side」ではTa_2が途中で「オマエたちの声を聞かせてくれ!」と叫び“うぉぉぉぉ!”と地響きのような歓声が上がった。続く「Eyes in chase」も激アツなボーカルと演奏で鳴らされたが、オーディエンスの叫ぶ声、歌う声も爆音に負けていないのが凄い。イントロでTa_2が「跳べ! 跳べ!」と煽ったのは初期からのナンバー「Ignite」だ。Ta_2とYORKE.がみんなにマイクを向け、ジャンプして手を挙げる光景が壮観。近年のOLDCODEXはロックフェスの常連になりつつあるが、ライブを見るたびに野太い歓声が増えているのに納得の汗が飛び散るアクトが繰り広げられていく。

Ta_2が「あけおめ!」と挨拶したあとは切り裂くようなギター、強靭なドラムとうねるベース、Ta_2のシャウト、音や光を感じながらYORKE.がキャンバスに向かっていく姿の全てが同期していく「painter」。前半から完全に攻めのセットリストだ。曲が終わるたびに歓声の嵐。

「激ヤバなんだけど、オマエらぶち上がってる!? ここに来るまでにホントにいろんなところでライブやらせてもらって、自分たちの課題も見つかったし、それ以上にオマエたちがくれるエネルギーがどんどんどんどん積み重なっていってファイナルまで辿り着くことができました。初めてOCDのライブを見に来て“曲わかんねーよ”っていうのもあるかもしれないけど、そんなの関係ねーよ。俺たちがどんなふうにノッたら楽しいか、どんなふうに声出して手を挙げてジャンプしたら楽しいか全部教えてやるから! その上で死ぬほど楽しい時間をオマエらと一緒に作っていこうと思ってる。準備はいいですか? 声が小せーよ! 踊って行こうぜ!」──Ta_2

場内から発せられる声は十分すぎるほどの音量なのだが、まだまだもの足りない様子のTa_2。今後のライブのキラーチューンになっていきそうなEDMをOCD流に昇華したダンスロック「Bang」ではTa_2もYORKE.もステージを踊りながら動きまわり、コール&レスポンスで騒ぎまくったあとにプレイされたのは「WALK」のカップリング「Tag On The Strain」。伸びやかなサビのメロディ、静と動が交錯する曲に続き、ライトブルーの照明が美しい「night flight」。ライブならではの躍動感あふれるアプローチで一体感を生み出しつつ、曲が持つ瞬間のキラめき、儚さが混ざりあっていくような色彩で鳴らされた。ヒット曲、代表曲というよりもシングルのカップリングや初期のナンバーなど久しぶりに演奏される曲が多いセットリストからは安定を選ばずに斬り込んでいく姿勢が伝わってくる。

オーディエンスの熱量もあいまって前半からぶっ飛ばしていたせいか、Ta_2はここでイヤモニの中に水が入ったとトラブルを明かすものの、楽しさが勝っているためライブを続行。
「このセット見てもらえばわかるように巨大なアート背負ってライブやらせてもらってます。“自分たちのジャンルって何だろうな?”と思ったんだけど、アートとロックを武器にしてやってるので“アートロック”って呼ばせてもらってます。そんなアートをみんなにもガッツリ感じてほしい」──Ta_2

懐かしい曲とともにと前置きした言葉どおり、中盤は2010年にリリースされたOLDCODEXの1stシングル「〔Blue〕」に収録されている「sad day in the sunlight」でスタート。センターに真っ白なキャンバスが据えられ、YORKE.が筆を走らせていき、やがて、それが虹の絵になり、2ndシングル「flag on the hill」のカップリング「rainbow」へと移行していく。OLDCODEXの歴史にはメンバーの脱退など様々なことがあったが、オルタナティブでエモーショナルであるという点で1本の線で繋がれていることが伝わってくる展開だ。
そして、ドラマティックなイントロダクションで始まる「hidemind」では翳りのある音像の中、Ta_2が座って歌い、YORKE.が立ち並ぶビルのような建造物の上に大きな目を描き出した。まるで“世界は見つめていた”と同期させるかのようにーー。フロアーはまさに“アートロック”なOLDCODEXのステージに息を呑むように聴き入り、ギターのアルペジオで始まる名バラード「美しい背骨」では描かれた絵をアレンジしながら剥がしていくと、そこには骨の美しいフォルムが。郷愁を感じさせる宇宙ステーションのようにも見え、音楽と絵が織りなす不思議な情景の中に漂っている気持ちにさせられた。そして最新シングル収録曲でありながらOLDCODEXがもともと持っている刹那のキラめき、イノセントな世界をみごとに表現した「Clean out」へと。キャンパスに極彩色の鳥が羽根を広げているような絵を完成させ、YORKE.は飛び立つように両手を広げてみせた。

OLDCODEXならではの世界にどっぷり浸った後はツワモノ揃いのメンバー紹介。ドラマーのRyoは「ガッツリ俺たちを支えてくれる屋台骨」と紹介され、ベースの泰造は「気がつくと新しいエフェクターが増えていて新しい実験をしている」と。ギターのSCHONは「ライブをやるたびにアレンジを変えてくる。アイディアが尽きないテクニシャン」と評された。

Ta_2に「新年一発目のMCですよ」とプレッシャーをかけられたYORKE.は「今のTa_2のひとことで全てが飛んだ。頭が真っ白になってる」と沸かせ、ツアーファイナルが控えていたため、年が明けきっていない感じがすると複雑な心境を語り、Ta_2に「お正月とかした? お餅食べた?」と振り、Ta_2も思わず話に乗り、実家に帰って肉を計2キロも食べ、「文字通り2キロぐらい大きくなって帰ってきました」と場内を爆笑させるが、いつのまにか自分の話になっていることに気づき「オマエの話だろ」と再びバトンタッチ。YORKE.の天然トークは2019年も健在ながら「2018年は僕にとってもOLDCODEXにとっても守るものがあるとしたら、そのために保守的になっちゃダメだなということを学んだ1年だった。今年は攻めるぜ!」ときっちり締めてみせた。

そして最後にYORKE.から紹介されたTa_2は地元・愛知で家族や親戚、友人と過ごした酒祭り、肉祭りの日々を振り返り、2人とも興が乗ってきたのか、なぜか食べものトークへと突入。年末の福井での公演の打ち上げのエピソードに始まり、ツアー中に食べたものにハマる傾向があるというTa_2が「関西でお好み焼き食べさせてもらうとお好み焼きブームがやってくるし、北陸のほうで刺身とか食べていると、“これは刺身の時代だ”って」と場内を沸かせるとYORKE.は台湾でこれまで女子の飲み物だと拒否してきたタピオカにハマったエピソードで盛り上げる。「強引に飲まされたら目覚めちゃって。日本に帰ってきてタピオカ屋さんを探して3軒ぐらい行ったの。どこも美味しかった」と年頃の女子のような感想で豊洲PITは笑いの渦。

さっきまで暴れ狂っていた空間がすっかりお正月ムードにシフトしたところで入り口にディスプレイされている全国各地のファンが書いたメッセージボードの話に移行し、Ta_2が再びギアを入れた。

「今年も去年と変わらず。より強い気持ちでここ(ステージ)に立ちたいと思うし、いろんな音源をリリースできたらいいなと思ってます。さあ! あとは遊んでいくだけだろ!?」──Ta_2

そしてライブは狂乱の様相を呈していく後半戦へと突入。ソリッドなギターリフとグルーヴ感たっぷりの「Shelter」からオーディエンスが頭上でハンドクラップ。Ta_2のスクリームも冴え渡る痛快なナンバー「Backed out」で盛り上がり、イントロでTa_2が「声あげてくれ!」と叫んだのはTVアニメ『Free-Eternal Summer-』のテーマ曲に起用されたことでもおなじみの「Dried up Youthful Fame」だ。これも激アツヴァージョン。みんなが歌う声が豊洲PITに響きわたり、熱気が上昇するせいで真冬にも関わらず空調が入るほどだった。一体感をさらに加速させるように投下されたのはOLDCODEXおなじみの参加型パーティチューン「kick out」。「一緒に歌いたいヤツいるか?」とTa_2が呼びかけ、YORKE.が上手、下手でフロアーを見渡し、下におりて、もみくちゃにされつつ、立候補者をピックアップ。計9名の興奮気味のkick outダンサーズが大歓声の中、歌って、踊ってステージを盛り上げた。

ライブを支えてくれるファンに感謝を述べ、Ta_2がメッセージを届けた。熱い想いがあとからあとから溢れ出すようで全部は書ききれないが、それはこのツアーに込めた想いでもあった。

「今回、YORKE.がつけたツアータイトル〈GROWTH TO BE ONE〉は、ワンツアーを通してなにかがひとつになればいいってずっと言ってて。すげえいい言葉だと思った。でも、なかなか、難しいことだと思うの。だって隣に寝てても同じ夢見れないし。だけど、こうやって壇上に上がって彼ら、彼女たちと一緒になってわけわからなくなって飛び跳ねて、叫んでるときだけは俺の勘違いかもしれないけど、ちょっとだけひとつになれてると思ってんだよ。その1の積み重ねだと思ってる」──Ta_2

歓声の中、「Heading to Over」が日本語に訳すと“その先へ”という意味になることに触れた。

「今年もいろんなことあると思うよ。俺ら、ここに来てくれてるヤツら、俺たちのこと知ってくれてるヤツら、誰一人置いていくつもりねーし、誰一人取り残すようなことはしない。でも、俺たちわがままだから、自分たちの思ったポジティブをこれからも無作為に投げていくよ。その壁があっても、その向こうに行きてえなと思って歩きながらもがきながら歩いていく。みんなの夢や理想もそんなふうに超えてくれたらなと思うんだ。みんなで見たことない景色見ようぜ!」──Ta_2

そんな煽りからTVアニメ『Free!-Dive to the Future-』のテーマとなった疾走感たっぷりのナンバー「Heading to Over」が鳴らされ、Ta_2とYORKE.のかけあいもスリリング。抜き差しならない緊張感が爆発するような「The Experience」を投下し、YORKE.は“GROWTH TO BE ”の文字をキャンバスにペイントしていった。ラストは尽きることのない、醒めることのないOLDCODEXの熱情をぶつけるかのような「Growth Arrow」。渦巻く叫びの中、本編が終了した。
アンコールは想定外の展開となった。
すがすがしい表情のTa_2が「アンコールはみなさんからもらえるご褒美だと思っているので曲決めてやるのがヤダなと思ったから、全く決めてません。何やろうか?」と問いかけ、口々に聴きたい曲を叫びまくるオーディエンス。「どうせだったら久しぶりの曲やりたいじゃん?」というTa_2の提案により、この日、選ばれたのはTa_2のボーカルで始まる初期のナンバー「スクリプト」。その歌に速攻で反応して歌い出すフロアーとは、もはや阿吽の呼吸。本編とはうってかわってハッピーな空気が場内を包んだ。

続いて放たれたのはOLDCODEXのライブの定番曲にして代表曲のひとつ「Rage on」。Ta_2とYORKE.がポジションを入れ替わり、かけあって歌い、豊洲PITは大シンガロングに。「あ〜、楽しい。俺たちに残されたのはあと1曲しかないよ」とTa_2が言うと場内はブーイング。最後はいい顔をして帰ってほしいと「smiling」をやることを伝え、今年はアルバムを作ると宣言すると歓喜の声が飛んだ。

2人ともかなりアガっているのか、話が止まらなくなりそうになったところでYORKE.が「続けてきた中、ずーっとついてきてくれているファンの顔を見ていると俺たちも前を向ける。そういう曲になったよね。今年も始まるね。最後は笑って帰ろうぜ」と締めて最後はOLDCODEXとみんなの絆を象徴するパンキッシュでハッピーなナンバー「smiling」を大合唱。両サイドのキャンバスにYORKE.が赤の絵の具で描いた“1”も誇らしげだ。
これでファイナル公演はジ・エンドかと思いきや、盛大な「もう1回」コールが起こり、再びメンバーを紹介し、Ta_2が叫ぶように伝えた。

「今年、俺ら10周年だってよ! 10年前はこんなに人が入らなかったけど、10年たって、こうやってツアーファイナルに集まってるみんながいる。それが俺たちの誇りです! さあ! 歩いていこうぜ!」

最後の曲はOLDCODEXのヒストリーと切っても切り離せないTVアニメ『黒子のバスケ』のテーマ曲に起用された「WALK」。

YORKE.はキャンバスにスマイルマークと青い絵の具で“See you!! Smilling!!”を描き足し、Ta_2は着ていたTシャツを脱いでフロアーに投げ入れた。

10周年を目前にしたライブを見て感じたことはかけがえのない仲間と共に歩いてきた月日の中、OLDCODEXは今なお何も満足はしていないだろうということだった。渇望感はきっと“その先へ”OLDCODEXを連れていくに違いない。

取材・文◎山本弘子
■OLDCODEX、アニメ『ULTRAMAN』主題歌担当決定!

「Sight Over The Battle
Lyrics : YORKE. Music : Ta_2 Arrangement : 小山 寿

アニメ『ULTRAMAN』公式サイト:http://anime.heros-ultraman.com/
公式 Twitter アカウント:@heros_ultraman


■ライブ情報

<OLDCODEX MOBiLE MEMBER’S LIMITED SHOW “hangover” vol.6>
2019年5月17日(金) Open 18:00 / Start 19:00
2019年5月18日(土) Open 16:00 / Start 17:00
会場:【東京】中野サンプラザホール

チケット料金:全席指定¥5,500(税込) ※来場者限定特典付き

MOBiLE MEMBER’Sチケット受付期間
受付期間(抽選)
2019年1月15日(火) 22:00~2019年2月17日(日) 23:59
詳細はこちら→http://oldcodex.mobi

注意事項
※枚数制限:各公演2枚まで(複数公演申込可能)
※3歳以上有料
※お申込みには有料会員登録が必要となります。
 詳しくはOLDCODEX MOBiLE MEMBER’Sをご覧ください。
※今回のライブは会員限定です。ご同伴者の方も会員でないとご入場頂けません。
ご入場前に、全員にモバイル会員の画面を提示して頂きます。
スマートフォンをお忘れの方はいかなる場合でも、ご入場出来ませんのでくれぐれもご注意ください。
また、ご同伴者がいらっしゃる場合は、複数枚数でお申込みください。
※必ず、受付画面にて注意事項をご確認の上お申し込みください。
※受付は先着順ではございませんので、受付期間内にお申し込みください。

お問合せ先:H.I.P. 03-3475-9999


Painter YORKE. ART BOOK「WHY I PAINT 〜なぜボクがえをかくのか〜」シリーズ vol,4 発行決定

好評を博している、YORKE.のART BOOKシリーズ第4弾の発行が決まりました。
“自身のエピソードを音楽に乗せて1枚の絵を描き上げる”をテーマに、Free magazine「okmusic UP’s」にて、2016年1月〜12月に掲載した作品を集約。
OLDCODEX結成前の、YORKE.という人物像が垣間みられるエピソード12篇、そして本人がセレクトした12曲のBGMを添えて、想い出の景色を彩った書き下しのイラストジャケット12作品をまとめた作品集となります。
YORKE.の想いが、ひとりでも多くの方とつながりますように。

※完全受注生産となりますので、必ずお申込みが必要となります。
※受注期間:2019年1月5日(土) 21:00 〜 1月31日(木) 23:59
※ART BOOKの発行•発送は、2019年3月上旬を予定しております。
※仕様:4色36P (20cm×20cm絵本スタイル)
※撮り下ろし写真掲載

URL:http://store.okmusic.jp

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