SYU(from GALNERYUS)

SYU(from GALNERYUS)

【SYU(from GALNERYUS)
インタビュー】
GALNERYUSでは
行かないところまで行く

GALNERYUSを率いるSYUが、2年2カ月振りとなるソロアルバム『VORVADOS』をドロップ。SYUが紡いだ楽曲たちを色彩豊かに歌い上げるのは、自身を含む8人のヴォーカリストたち。そこには我々がまだ知らない音世界が広がる。

2018年は丸々ソロアルバムの制作に費やしたそうですね。

始めたのが1月でしたからね。GALNERYUSのコンセプトアルバムが2作(『UNDER THE FORCE OF COURAGE』『ULTIMATE SACRIFICE』)続いたので少し時間を空けようということで、ソロアルバムを作るならこのタイミングだなと。

2016年にインストのソロアルバム『YOU PLAY HARD』を発表していますが、歌入りのオリジナル楽曲によるアルバムは今回が初。事前に決めていたテーマや方向性などはありましたか?

少し振り幅を広げて、GALNERYUSでは行かないところまで行ってみようと。バリエーション豊かであると同時に統一感が生まれればいいとは思っていたんですが、結果的に思っていたよりも出ましたね。

作曲する上でGALNERYUSとの違いはありましたか?

小野さん(GALNERYUSのヴォーカル)の存在ですね。GALNERYUSの曲を書く時は自然と小野さんの声が聴こえてくるんです。なので、それぞれの歌い手さんの歌声をイメージするのが難しいところはありました。曲のキーを決めることひとつとっても。

サウンド面で変化を付ける試みというのはありましたか?

半音下げのGALNERYUSよりさらに下げた全音下げチューニングで、弦のゲージも1段上げたらヘヴィな音に録れるんじゃないかってことで、それでデモを作っていたんです。ただ、並行してGALNERYUSのライヴやセミナーがあったりしたので、その度に弦を張り替えないとならない。それが面倒になって結局半音下げに戻しました(笑)。曲単位では7弦を弾いたり、ドロップD(ノーマル状態から6弦の音を1音下げたDの音にするチューニング)にしてますけど。

アルバムでは男女8人のヴォーカリストがそれぞれ個性的な歌声で楽曲を彩っていますが、SYUさんの楽曲と女性ヴォーカルという組み合わせはすごく新鮮に思えました。

僕は幼い頃からセリーヌ・ディオンやマライア・キャリーといったディーヴァの歌が大好きで、今回自分の曲を女性に歌ってもらえるのがすごく楽しみだったんです。少し前に元AldiousのRAMIちゃんのソロアルバム(2016年9月発表の『Aspiration』)で曲を書かせてもらったことがあって、男性との感覚の違いがすごく面白くて。そういう体験もあったので、さらに楽しみにしていました。

実質的なオープニング曲「REASON」のFukiさん(Fuki Commune、Unlucky Morpheus)のヴォーカルパフォーマンスは、いきなり衝撃的ですね。

彼女のヴォーカルは本当にすごくて、レコーディング中は爆笑の連続ですよ。あまりにもすごすぎて、もう笑うしかない(笑)。激情的なビブラートが速すぎてギターが追い付かない(笑)。もう1曲の「AndroiDedication」は一転して昭和歌謡的なメロディーになっているので、ワビサビ感を込めて歌ってくれています。

「暁」と「未完成の翼」の2曲を歌っているHARUKAさん(Tears of Tragedy)の声には不思議な魅力がありますね。

澄んだ癒しの声。イライラしている時に彼女の歌声を聴くと不思議と落ち着くことができる。感情をきれいに込めることができて、それが嫌みにならない。あと、音程が本当にいい。レコーディングしてて気付いたのは、彼女の歌声の波形って小野さんに少し似てるんですよね。

メタルコア曲「Chaotic Reality」は、これまでのSYUさんの楽曲の中でも珍しいタイプかと思うのですが。

国内メタル界における“あり得ないデュエット”を狙って作った曲なんです。特に気に入っているのが、BメロでAKANE LIVさん(LIV MOON)の美麗な歌をバックに、DOUGENさん(AFTERZERO、THOUSAND EYES、UNDEAD CORPORATION)がデスヴォイスでシャウトする部分。AKANEさんは以前カバーアルバムを作った時にも参加していただいたことがあって、その時の印象が強く残っていたので、今回どうしてもお願いしたくて。

男性陣も負けてません。タイトルが印象的な「ここで区切れと天使は歌う」は苑さん(摩天楼オペラ)作詞という。

歌詞は僕からの指定は一切なく、苑さんがデモを聴いて感じたままに書いてくれました。愛する人との死別の歌で、読めば読むほどグッと来ますね。この曲は仮タイトルが“SYUアンセム”だったぐらい(笑)、アンセム風のパワーメタルだったんです。だから、歌詞もそうなるかと思っていたらまったく違ってて。苑さんの感性に感謝です。

団長さん(NoGoD)が歌う「Euphoria」はアルバム随一のキャッチーなナンバーですね。

キラキラしたポップな仕上がりになりましたね。団長さんの声もすごく映えているし、歌詞が明瞭に聴こえるヴォーカリゼーションになっているのが気に入っています。

「CACOTOPIA」ではSYUさんが歌っていますが、自身のバンドのSPINALCORD以来じゃないですか?

本当に久しぶりですね。常日頃から小野さんという素晴らしい先生の極意を間近で見させていただいているので、今回はそれらが少しは活かせたかと。以前の自分の歌よりもずっと気に入っています。

「哀傷」はそんな歌の師匠である小野さんが歌うバラードで、GALNERYUSとは異なった顔を見せていますね。

今回は僕が1992年以来愛してきた“ミリオンシンガー”の小野正利としてお願いしたくて。テンポが遅いバラードで泣かせるのって速い曲で泣かせるよりも格段に難しいんです。それでもしっかりと泣かせてくれるあたり、やっぱりすごいなと。ピアノはYUHKIさんなので、側から見たら“GALNERYUSの5分の3おるやん!”となるんですが(笑)、個人的な気持ちの上では違うんです。

2月1日にEX THEATER ROPPONGIで開催されるGALNERYUSの公演では、今回のソロアルバムに参加したシンガーの方々がゲスト参加するそうですね。

ちょうどこのタイミングでアルバムを出せたので、全員ではないんですけど、GALNERYUSをバックに今回の曲を歌っていただこうと思っていて。僕にとってはすごく刺激的ですし、いつもとは違う緊張感がありますね。

取材:金澤隆志

アルバム『VORVADOS』2019年1月23日発売 WARNER MUSIC JAPAN
    • WPCL-12983
    • ¥2,800(税抜)

『GALNERYUS 15th Anniversary ~Radiance~ The Notes Of Our Glory』

2/01(金) 東京・EX THEATER ROPPONGI

SYU プロフィール

シュウ:GALNERYUSのギタリストとして、2003年10月に1stアルバム『The Flag Of Punishment』でメジャーデビュー。バンドが21世紀デビューのJ-METALバンドとして圧倒的センスと技巧で国内外から注目される中、03年にアニメタルに参加するなど、その驚異的なテクニックとエモーショナルなギタープレイで絶大な人気を誇る。19年はGALNERYUSデビュー15周年イヤーとして積極的に活動。その第一弾として同年1月にソロアルバム『VORVADOS』をリリース。GALNERYUS オフィシャルHP

SYU(from GALNERYUS)
アルバム『VORVADOS』

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着