2019年、この4バンドに期待【新春企
画】

機会に乗じて平成の30年を振り返ってみると、音楽を作るにしても表現するにしても、その手段の多様化が感じられる。歌手、シンガーソングライター、アイドルグループ、歌い手やボカロPやYouTuber、世界ではスーパースターDJやビッグなラッパーが大活躍している。そんな中、筆者が改めて関心を持ったのが、日本でいまだ元気な“バンド”という手段だ。2019年の活躍に期待を込めて、4組に注目した。


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RiL
久しぶりにこの手の興奮を味わえて嬉しく思う強烈な2ピースバンド。グランジ〜サイケの特濃エッセンスで構築された楽曲は、一音で景色が一変していく威勢のいいフレーズの連続で頼もしい。すでに多くのロックファンが同じことを感じているようで、東京・町田が地元のShusei(Gt・Vo)、Urara(Dr)からなるRiLは、2018年1月より始動したばかりにもかかわらず、同年3月に<Vans Warped Tour Japan>、7月に<FUJI ROCK FESTIVAL '18>“ROOKIE A GO-GO”に出演している。2018年12月にリリースされた初音源『iii』(関東タワーレコード6店舗、大阪FLAKE RECORDS限定流通)も、当初RiLが出演するライブハウスのみで販売を予定していたが、問い合わせが殺到したことから限定流通に至ったようだ。前述した世界レベルのロックフェスへの出演、さらにShuseiは前ドラムと共に活動していた2ピースロックバンド「ROAR」でアメリカ(2016年)、イギリス、フランス(2017年)でのツアーを実施していることから、決して日本に留まるつもりがないことが伝わる。RiLの野望についてぜひインタビューしたいものだが、なにより問答無用のこの爆音ロックは檻の中に囲えるものではない。このご時世、どこから火が付つくかわからないし、RiLのふたりのイケてるビジュアルもその可能性を後押ししてる。


ravenknee
“レイベンニー”と読む5ピースバンド。2017年12月に活動をスタートさせ、自主制作盤EPやデジタルシングルを発表すると、<SUMMER SONIC 2018>に早々と出演を果たしてしまったほど楽曲の完成度が高い。2018年11月に発表したデビューEP『PHASES』はエレクトロサウンドを軸に据え、高い音楽センスを提示しながら、ビートや歌が非常にエモーショナルに響き聴き手の心を揺さぶってくる。サウンド面からすると音響系の方向にも振れそうだが、あくまでもポップ・ミュージックとして自らの音楽を表現しているように感じられて、そこが個人的には期待を寄せたくなるポイント。東京インディシーンの空気感を十二分に発揮しながら、2019年はさらに広いフィールドへ向かうはずだ。EP『PHASES』の1曲目を飾るナンバー「OCEAN」も新たな名曲に他ならない。このEP『PHASES』のリリースにあわせて、まもなく2019年1月11日には東京・TSUTAYA O-nestで初の自主企画リリースパーティー<ravenknee Release Party in Tokyo -PHASES->が開催される。音源のスケール感をライブでどう表現されるのか気になるところ。今回の記事で気になった方も、ぜひ足を運んでみて欲しいと思う。

■ ズーカラデル



札幌の3ピース・ロックバンド。2017年9月に1stミニアルバム『リブ・フォーエバー』を会場販売し、2018年3月に現体制になったのち同年11月に2ndミニアルバム『夢が醒めたら』をリリースしている。完全に曲そのもののよさから口コミで広がりを見せ、すでに幾人ものバンドマンがレコメンドしている。2018年8月にはスピッツが主催するイベント<新木場サンセット 2018>にも抜擢された。はじめて聴いても妙に落ち着く、もっと言えば昔からよく知っているような懐かしさすら覚えるギターロックだ。だが決してどこにもない、ズーカラデルならではの小気味いいリズム、躍動する低音、メロディアスな歌、そして、この世界に対する平熱ながら不屈の目線が感じられ、意外と骨太なバンドだと捉えている。たとえば、『リブ・フォーエバー』に収録されている「アニー」で彼らはこう歌う。<ねぇ 嬉しくは無いけど/全然 悲しくもないから/ひとりきり 希望に満ちた/明日のことを歌え 何度も>── 大胆に走ることも思い切って止まることもできない日々を歩いていくためのポップなロックだと感じられて、感動を覚えた。楽曲の完成度をさらに高めた『夢が醒めたら』を引っさげたこの年末のワンマンツアー<地獄の入り口 TOUR>も札幌、大阪、東京公演すべて完売を果たした。心から期待。

■ AliA



2018年7月に結成されたばかり。ロックやクラシックなど、それぞれがバラバラのジャンルの音楽活動を続けてきた中で、リーダーのERENの呼び掛けにより集まったという6人組だ。ヴァイオリン、キーボードも擁するメンバー構成は楽曲のスケールに直結し、バンドサウンドが非常にシンフォニックである。ストイックな歌詞を全身全霊で表現するボーカル・AYAMEの歌と相まって、まるで1曲が一大スペクタクルを体験しているよう。その圧倒的なバンド表現は、王道のようでなんだか新鮮だ。巧みなサウンドメイクとロックなエモーションのハイレベルな組み合わせに、未知なまでの可能性を感じさせてくれる。バンドは2018年12月26日(水)にライブの人気曲「limit」のデモ・トラックをリリースし、2019年2月20日に1stミニアルバム『AliVe』のリリースを予定している(サウンド・プロデューサーにUVERworldシシド・カフカなどを手がける平出悟氏を迎えた)。そして、都内を中心にライブ活動を続け着実にファンを獲得してきた彼らは、早くも全国ライブハウスツアー<AliAliVe 2019>を開催することも発表された。このバンドのパフォーマンスをライブハウスという至近距離で味わうというのは、特別な体験になり得るのではないだろうか。

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文◎堺 涼子(BARKS)

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