ウソツキ、久々のワンマンで見せた最
新作『Diamond』の真価とライブバン
ドとしての姿

『Diamond』リリースワンマンツアー 2018.12.13 渋谷CLUB QUATTRO
ウソツキにとって3枚目となるフルアルバム『Diamond』リリースツアーのファイナル公演であり、4月1日以来のワンマンライブが渋谷CLUB QUATTROで開催された。
開演時間になり場内が暗転すると、お馴染みの汽笛を模したギターの音が聴こえてきた……と思ったら、突然派手な打ち込みのSEが流れてメンバーが登場。そして吉田健二(Gt)が鳴らしたのは再び汽笛を模したギターのイントロで、大きな歓声が上がる。やはり「新木場発、銀河鉄道」だ。ファンからの人気が高く、長らく本編の最後やアンコールの最後で演奏されてきたこの曲が、まさかのオープニングナンバーであるという嬉しい驚きから幕を開けた。
ウソツキ 撮影=高田真希子
続く「夏の亡霊」のサビ前では、竹田昌和(Vo/Gt)が「踊ろう、渋谷!」と煽り、観客は思い思いに体を揺らす。藤井浩太(Ba)と林山拓斗(Dr)のリズム隊が鳴らす気持ち良いファンキーなビート=アルバム『Diamond』を象徴するような踊れるビートが、ウソツキのファンに浸透していく様を観ているようだった。そして早くも代表曲「一生分のラブレター」へ。とにかく今夜は出し惜しみをしないようだ。
ウソツキ 撮影=高田真希子
曲が終わるとここで一息。竹田はこのライブに来てくれたことへの感謝を述べた後、「お手を拝借!」と手拍子を促す。タンバリン片手に歌うのは「口内戦争」。赤い照明も映えて、ウソツキのかっこいい側面が見える。そして竹田は「恋はハードモード」ではハンドマイクで歌い、踊り、さらに曲の後半でギターを手にしたと思えば、背面に掲げてそのまま弾き倒すという見事なエンターテイナーっぷり。そして藤井得意の早弾きバカテクベースソロを経て「知ってる」へ。吉田の「Welcome to Diamond Tour Tokyo」というボコーダーボイスから始まった「M.N.E.」では、藤井のスラップベースソロ→林山のドラムソロ→吉田のギターソロと、それぞれのプレーヤーとしてのスキルが光る見せ場の応酬で、会場の熱気は最高潮に。アルバム『Diamond』から続けて披露された「偽善者」では、曲に合わせて飛び跳ねるメンバーと同様に多くの観客が激しく縦に揺れていた。
ウソツキ 撮影=高田真希子
あっという間の前半戦を終え、「ウソツキが今までやって来てなかったことをやっていいですか…」とメンバー全員が自己紹介を始めるというゆるいコーナーの後、「4年前に『金星人に恋をした。』という作品でデビューしました。その中からめちゃくちゃ懐かしい曲を。」という曲紹介で始まったのは「アオの木苺」。最初期の楽曲の中でもストーリーテリングが冴える名曲だが、曲が進むにつれ歌詞の情景が見えてくるような表現力ある演奏と、終始感情を抑えるように、しかし深く気持ちを込めるように淡々と歌うボーカルが素晴らしく、実に感動的であった。
ウソツキ 撮影=高田真希子
そしてこの日のハイライトと言えるであろう「名もなき感情」。バンドが一つの塊となって聴き手にぶつかってくる凄みと、サビの「バーンってなって」という歌詞が呼応したような爆発力を感じた。「時空間旅行代理時計」では、途中演奏を止めて「まわるまわる世界はまわる」の大合唱も起こり、クライマックスへ向けた盛り上がりを見せた。本編のラストは「ラブソングは無力だ」。モータウンビートと手拍子が相まって、新しい定番になり得る楽しさと盛り上がり。この曲でメンバーが楽しそうに満面の笑みで演奏していたのが印象的だった。
ウソツキ 撮影=高田真希子
アンコールでは、恒例のエイプリルフールライブの開催を発表。『USOTSUKA NIGHT HOME』と題した舞台は、渋谷WWW X。2019年はウソツキのデビュー5周年であることを伝えると大きな歓声に包まれた。そんな笑顔とリラックスしたムードで演奏されたのは「パン」、そして「ダル・セニョールの憂鬱」。日常に戻ることへの憂鬱を少し軽くしてくれるようなこの曲で締めくくるなんて素敵じゃないか。演奏を終えると竹田は「今日は本当にありがとう!また必ず会いましょう」と言ってステージをあとにした。
ウソツキ 撮影=高田真希子
振り返るとアルバム『Diamond』を全曲演奏していた。これまでのアルバムツアーで、アルバム全曲をセットリストに加えたのは初めてではないか? それぐらい彼らにとって『Diamond』は自信作であり、数あるライブでの人気曲が聴けなくても、全く物足りなさを感じさせない粒揃いの作品なのだと思う。そしてビルドアップした演奏力や、数々のエンターテインメント性の高いステージパフォーマンスに、今のウソツキが最高のライブバンドであると強く感じた。終演後、会場の熱気と笑顔がそれを物語っていたと思う。

撮影=高田真希子
ウソツキ 撮影=高田真希子

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