実際に依頼はくる?ヒヤッとエピソー
ドは?「伴奏者募集広場」で活動中の
ピアニストに聞く、ぶっちゃけ座談会
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インターネットを介して音楽家と世の中のニーズを直接つなぐサービスが増えてきました。伴奏者と伴奏者を探している人をつなぐマッチングサイト「伴奏者募集広場」もそのひとつ。ピアノ伴奏者は無料で伴奏者広場にプロフィールを登録することができ、伴奏者を探している人はそこから直接問い合わせメールを送ることができる仕組みです。

どんな音楽家が伴奏者募集広場に登録しているのか? 本当に仕事を得ることはできるのか? 伴奏の仕事のどこが魅力? 今回は実際に伴奏者広場を利用している4名の方にお集まりいただき、お話をうかがいました!
■メンバー紹介
まずは今回座談会に参加してくださった皆様のプロフィールを簡単にご紹介します。
吉橋 雅孝
桐朋学園大学ピアノ専攻卒業。個人経営者として演奏やレッスン業に従事。伴奏は、ソロとは違うかたちで音楽の勉強になることや、インターネットを通していろいろな人と音楽を共有できることに魅力を感じ、伴奏者広場に登録。
伊藤 那実
昭和音楽大学ピアノ演奏家コース在学中。現在声楽・器楽問わず積極的に伴奏・アンサンブルの勉強をしている。卒業後の活動について検討する中で、今以上に伴奏の経験を積んでいきたいと考え、伴奏者広場に登録した。
野原 舞花
東京音楽大学ピアノ演奏家コースを経て大学院に進学。弦楽器と声楽の伴奏を専門的に学ぶ。修了後は演奏一本で生活していくべく、事務所や伴奏者広場をはじめとした各種サービスに登録し、活動の幅を広げている。
久保 敏江
大阪音楽大学短期大学部卒業。結婚式・レストランなどでの演奏や、声楽・合唱団の伴奏をおこなってきた。旦那さんの仕事の都合で上京し、活動場所を探して伴奏者広場に登録。主婦・パート・演奏業と3足のわらじで活動中。
伴奏者募集広場で本当に依頼はくる?
−本日はさまざまなバックグラウンドをおもちの皆様にお集まりいただきました。いきなり単刀直入にうかがうのですが、伴奏者募集広場を通して実際に依頼はきているのでしょうか? また、サイトを使ってみていかがですか?
「依頼はいただけています。インターネットを通すといろいろな人と知り合えて、自分にとってもよい経験になっていると思います。静岡など関東近隣の県からの依頼もお受けしたことも。今は楽譜もデータでやりとりできるので、多少距離があっても準備はスムーズに進みます」
「思ったよりもご依頼いただけるなという印象です。今のところ皆さんすごく丁寧に依頼メールをくださっていて、トラブルが起きたことはありません。インターネットを通じて…ということで不安に思う方もいるかもしれませんが、私としては学生の頃から “はじめましての方” を紹介されてご一緒することが多かったので、特に違和感はないですね」
「私はアマチュアの声楽の方からご依頼いただくことが多いです。大学でコレペティの勉強もしているので、伴奏だけでなく発声指導を簡単にやらせていただくことも。学んだことを実践できるので、これからさらに幅を広げていけるのではとわくわくしています」
*コレペティ(コレペティトール):オペラ歌手などにピアノを弾きがら音楽稽古をつける役割で、伴奏者が兼任することも多い
「私の場合、コンクールでのキャリアなど華やかなバックボーンがなかったので正直期待はしていなかったのですが、思っていたよりも依頼をいただけています。東京にくる前は声楽教室やコンクールで伴奏をさせていただいていたので、こちらでもそのスキルが生かせて、喜んでいただけることが嬉しいです」
−依頼はどのような形でくるのですか? やりとりする上でのコツはありますか。
「ほとんどの依頼者の方は、最初に『いつ、どこで、なんの本番があって、どんな伴奏者を探している。この場合おいくらで引き受けてくれますか?』という旨のメールをくださいます。最初からこれくらい詳細だとやりとりしやすいですね。一度だけ、一行のみの依頼をいただいたことがあって、こちらは返信を遠慮しました…」
「こちらは依頼をいただいたら、合わせを何回やって、本番はこのような形で…という条件を最初にメールで決めるようにしています。もちろんその段階で料金も明示して。キャンセル規定なども最初にお伝えしておくことがコツだと思います」
「そうですね。『伴奏者にドタキャンされてしまったんです…!』とお困りの方から連絡をいただくこともしばしばあるので、依頼主にとっても伴奏者にとっても、注意のしどころですね」
伴奏の魅力とやりがい
−演奏家としてさまざまな活動があるなかで、皆さんが「伴奏」に感じている魅力とはなんでしょうか?
「お相手によっていろんな学びがあるところですね。声楽なら女声・男声で全然違いますし、器楽もさまざまで。最近マリンバの伴奏をする機会がありレッスンにも同行したのですが、ピアノも『打楽器』としての性質があるので、レッスンの内容が自分にとってもすごく参考になったんです。マリンバの奏法をピアノに当てはめたらどうなるのかなって考えるのが楽しくて。ソロでは得られない部分かなと思います」
「私が伴奏に惹かれたきっかけは、高校の合唱部の伴奏を依頼されたことでした。合唱は大勢が心を合わせて歌を作っていって、伴奏がそれをリードしていくという点に、ソロとは違う創作性があるなと。求められている感覚というのでしょうか。お互いに空気を読みながら、一緒に作品を作っていくことが楽しいですね」
「何か作品を演奏するときに、この曲はどうなっているかなとみんなで考えて意見を出し合って、一つの方向性を作っていく、その過程が魅力ですね。音楽を通じたコミュニケーションで、新しい発見や、よりよいアウトプットが生まれる。お互いにとってメリットがありますし、達成感にもつながります」
「私、以前ピアノコンチェルトを演奏したことがあるのですが、オーケストラとの合わせは限られているので、別のピアノの方に伴奏してもらって練習をするんです。そのときに、その伴奏者の方の存在がすごく心強く感じて。だから私も、自分が伴奏をするときは演奏者の方に同じ安心感を与えたいと思って取り組んでいます。たとえば練習と本番では、なかなかまったく同じ演奏にはなりません。けれど、そこにしっかり付いていく。相手の呼吸を見て、その日の奏者の調子に合わせていく。そんな工夫が、伴奏の醍醐味かなと感じています」
−まさに音楽はなまものという感じなのですが、今までにヒヤっとした経験などは?
「コンクールなどで、緊張のあまり奏者の暗譜がとんでしまうことがあるのですが、そんなときも当然顔には出さず、しらっとしていなくてはなりません。私の場合、メロディラインをピアノで弾くなどして奏者さんが戻ってこられるようにサポートしています。本当は、内心ばくばくしているんですよ。でも、とにかく奏者さんが安心して任せられる存在でいなくてはならないので、ドーンと構えているのも仕事のひとつということで」
「歌の伴奏でもありますね。たとえば1〜3番まであって、3番だけ最後の音形が違うという曲を演奏したとき。まだ1番を歌っているはずなのに、3番の歌詞が混ざってきてしまって、『これは1番の音形にいくのか3番の音形にいくのかどっちなんだ!?』と焦りました。なまじ歌詞がある分、そういうハプニングが起きがちですね。どちらにせよちゃんと合わせていかなくてはならないので、腕の見せ所です」
「先ほどもちらっと話題に出ましたが、ピンチヒッターとしてご依頼いただくことは少なくないんです。あるとき、2週間後に本番が迫っているというサックス奏者の方から連絡を受け、譜面を見たらすごくリズムが細かくて音符も多くて…。聞けば、すでに10人ほど断られていると。こちらもチャレンジのつもりで意を決して引き受けたのですが、大変でしたね」
−聞いているだけでドキドキしてきました…(笑)。
目指す未来は…
−今後音楽家として活動していくうえで、叶えたいことや目指している方向性をぜひ教えてください。
「今は動画配信や音声配信も盛り上がっていますが、私はやはり音楽の原点は、同じ場にいる奏者とお客さんがその場の変化を共有して、肌で感じて楽しむものだと思っています。なので、今後も生の音楽を楽しんでいただける機会や場を広げていけるよう活動していきたいですね」
「私も、同じ空間を共有することで初めて伝えられることがあると思うので、足を運びたいと思ってもらえるようなコンサートを開催していきたいです。私は現代音楽が好きでたまにSNSに演奏をあげているのですが、意外にも反響が大きいので、そういったコアなところに目を向けたコンサートもぜひ企画したいです」
「お仕事ではクラシックに限らずいろんなジャンルを演奏させていただいていますが、そんな中でもベートーヴェンやブラームスのようなものもしっかり勉強し続けて自分の音楽を磨くことを忘れずにいたいです。また、今後もコンクールや試験における伴奏を続け、頑張っている学生さんたちを少しでも支えていきたいです」
「夫の理解があり応援してくれているということも大きいですが、自分でもしっかり時間のやりくりを工夫すれば、家庭や他の仕事と両立しながらでも音楽は続けていけます。まだまだやりたいことはたくさんあります。教える仕事にも挑戦したいですし、伴奏のお仕事ももっとたくさん依頼をもらえるようアプローチしていこうと思っています」
−ありがとうございました!
音大を卒業したあとどのように音楽活動を続けて、生計を立てていくかというのは多くの方にとって永遠の命題ではないでしょうか。
今回、伴奏者募集広場に登録している皆さんが歩んできた道のりやそれぞれの考え方、目指す未来についてお話を聞き、自ら考え行動することが音楽家として身を立てていく上でいかに大切なことかを再認識することができました。
また、個人的には普段なかなか知ることができない、伴奏者の皆さんのプロ意識を垣間見ることができ、勉強になりました…!
伴奏者募集広場について
伴奏者募集広場はコンクールなどでピアノの伴奏をお願いしたい方の為のサービスです。誰でも無料で利用できます。エリア別検索ができるので、全国の皆さんにご活用いただけます。
プロフィールや料金設定、得意なレパートリーを掲載でき、最近は演奏動画を貼り付けることができる機能も追加されました! 現在、登録者数は200名超えとのこと。気になった方はぜひ登録してみてくださいね。
︎伴奏者募集広場はこちら!
また、本記事でお集まりいただいたメンバーにぜひ伴奏をお願いしたい! という方は下記リンクからぜひお問い合わせください。
︎伴奏者募集広場|吉橋雅孝
︎伴奏者募集広場|伊藤那実
︎伴奏者募集広場|野原舞花
︎伴奏者募集広場|久保敏江
(提供:ドレスルームアミ)
伴奏者募集広場はドレスルームアミが運営しています。

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