【fhána インタビュー】
いくつものストーリーが交錯する場所
シングル表題曲13曲に加え、towana(Vo)作詞の新曲を収録したデビュー5年周年記念のベスト盤『STORIES』。初回限定盤にはライヴ音源とツアー映像もパッケージする新旧のファンが納得の内容となった。メンバーを代表し佐藤純一(Key&Cho)が新曲と5年の想いを語る!
新しいスキルを身に付けた
fhánaを感じてもらえると思う
“STORIES”というタイトルはどこから?
“STORIES”というのは“物語たち”という意味です。fhánaはアニメテーマソングを多く手掛けているので、アニメの物語という意味がありますし、楽曲ひとつひとつも物語です。fhánaとしての5年間の物語と新曲を入れることによって、これからの物語も感じてもらえると思います。さらに言えば、メンバー自身の物語もあるし、聴いてくださるみなさんひとりひとりの物語もある。そういういくつもの物語が、このアルバムや来年に予定しているスペシャルライヴで交錯する。それぞれのストーリーがそこで交わるみたいなイメージです。
そういうタイトルの付け方はfhánaっぽいですね。
そうですね。単純に“SINGLES BEST”とか“MASTERPIECE”とかいろいろ考えましたけど、どれもしっくりこなくて。“STORIES”と思い付いた時、これだ!と。
その表題曲であり、書き下ろしの新曲「STORIES」はどんなふうに?
新曲を作ることは決まっていて、歌詞はtowanaに書いてもらおうと思っていました。アルバムのタイトルが決まって全体像が見えた段階で、曲自体がちょうど書き上がって。その上でtowanaにはアルバムのタイトルが“STORIES”で新曲のタイトルも“STORIES”にするから、そういうつもりで書いてほしいとお願いをして。
シンプルでスケールが大きい曲になりましたね。
シンプルにしようというのは考えていたことです。シングル曲はアニメのタイアップ曲なので、どれも情報量が多くて展開も目まぐるしい高密度な曲だから、それとのコントラストも考えて新曲はシンプルにしようと。だけど、メロディーにせよ、アレンジにせよ、towanaの歌詞にせよ、ぬるい瞬間は一切ない、刀のように研ぎ澄ませた一曲にしたいと思って。実際に本当にいい歌詞を書いてくれたなって。
こういう言葉を使ってほしいとか、指示はなく?
タイトルを告げただけですね。過去と未来が詰まったアルバムで、物語は続いていく感じにしてくださいと。さすがに、すぐ上がってきたわけではなかったですけど、この完成された状態で上がってきました。
Dメロの《目の前の坂道はどこへ続くのだろう》とか泣けました。やっぱり坂に始まり、ずっと坂道なんだなって。
ありがとうございます。確かに《言の葉》とか《坂道》とか、fhánaを象徴する言葉が散りばめられていますね。いつもは林 英樹くんに歌詞を書いてもらっているんですけど、林くんのテイストを踏襲しつつ、towanaらしさもしっかり感じるし。それに、この短い歌詞の中でfhánaの歴史を総ざらいしてくれていて、それにもかかわらず決して大袈裟ではない。サラッとしているところが、僕は非常に好きですね。
towanaさんが新曲でfhánaの未来を語ってくれているのがグッとくるポイントでもありますね。
そうですね。前回の3rdアルバム『World Atlas』(2018年3月発売)で「ユーレカ」という歌詞をtowanaが書いたのですが、想像以上にそれが良くて。安心して任せられると思ったし。そうやって新キャラ登場じゃないけど、新しいスキルを身に付けたfhánaを感じてもらえるんじゃないかなって思います。正直言って「ユーレカ」の時は、初めての作詞だったから不安な気持ちもあったんですけど、「STORIES」に関してはまったく心配してなくて。予想を越えていいものができたと思っています。
“ウォッオッオー”というコーラスはライヴやフェスっぽいですね。
何か入れちゃいましたね(笑)。みんなで盛り上がってもらえたらと思って。アンセム的なシンガロングのようなイメージです。
イントロのフレーズも印象的でした。
ミニマルなフレーズがループして、音像としてはリバーブ深めというか、少しアンビエントな音像を目指しました。これは最近の洋楽の潮流でもあるんですけど、アンビエントなEDMとかミニマルなEDMみたいな。アゲアゲではない、静かで内省的なEDMサウンドの雰囲気を取り入れたいと思って。ライヴでは親密な感じで盛り上がれるんじゃないかなって思います。
エモいっていうか…