あいみょん「とりあえずアレ下さい」、疲れた心を潤す『今夜このまま』

あいみょん「とりあえずアレ下さい」、疲れた心を潤す『今夜このまま』

あいみょん「とりあえずアレ下さい」
、疲れた心を潤す『今夜このまま』

そんな、あいみょんの『今夜このまま』は、仕事や恋愛において本当の自分を隠して理想を演じすぎている、疲れ果てた女子の「癒されたい!!もう無理!!」という心の叫びをちょうどよく描いている。
「自分」を偽ってガマンしてガマンして。本当の自分を諦めながら生きる。そんな風に日々、小さく殺されて行く。
心の代償は、なんだろう?そして、その死んだ心を絶対的に癒してくれるものは何だろう??
ヒントは「とりあえずアレ下さい」の「アレ」!
あいみょん「今夜このまま」
社会人も板について、仕事をする自分が一日のほとんどを占めるのが当たり前になる頃。
学生時代には、心の繋がりを求めた人間関係だって、仕事の付き合いとなればビジネスライクに変わる。
その日を気持ち良く過ごせる様に、入りすぎない距離で品位を保つ。
その心の距離を思えば、広い気のするこの場所は人口密度が高め。デスクとデスクの間も狭め。広いようで狭いような、この場所とは会社の事。
本当に会社って疲れる場所。だって仕事は否応なく山積みで体は酷使をする。けれどやらなきゃ、生活は出来ない。
おまけに一見さらっと見せてる人間関係も、実は裏でギラギラ見られて何言われてるかわからない。
そうなれば、言いたい事だってグッと飲み込む。なんなら、お給料は日々のストレスに払われてるんじゃないか。
なんて、思い出したら心がやられてる証拠。その負担は体にだって出る。毎朝、会社に行かない理由が欲しくなる。
『いかないで』って誰か叫んでくれたら。会社は休める。欠勤理由「いかないでって叫ばれたから」。
とりあえずビールがあればどうにかなる?!
こんな疲れた毎日だけど、どうにか頑張れるのは、恋人の存在があるから!って、パターンよくあるはずだ。
でも、その恋人との関係もなんか、どこか不自然で居心地が良くない。
けど、恋人って存在はある意味の武器。仕事に追われていても、疲れていても“私はお一人様じゃないの!ちゃんと恋してるんです!”って、仕事も恋も理想の完璧な私でいられるもの。
それに、理想の私で在り続ければ、相手に難があったって、きっと私を選んでくれるって思うものだ。
だから、難がある恋人でも時間を費やせる。その結果が、“長すぎた春”なんて『よくある話じゃ終われない』のだ。
仕事も恋も本当の私も殺されて、“心に自由がない!甘えるなんてもってのほか”。それでも『簡単に冷める気もないから』。
でも、疲れた。自由になりたい、素直になりたい。
心のジレンマを解放するのは、頑張りすぎている仕事でも、難ありを薄目で回避する恋でもない。
『とりあえずアレ下さい』
この、魔法の一言で差し出される、冷たい黄金色の飲み物。
一口呑めばたちまち、抑えていた言葉達が「ん〜〜!!んまい!」って幸せの声に変わる。魔法の飲み物『アレ』しかない。
その魔法の飲み物は“ビール”!理想の自分を演じる事に疲れた心を、潤し癒すのは“ビール”なのだ。
「今夜このまま」の世界観は、獣になれないわたしたちのストーリーに寄り添っているわけだが、ドラマの中でのキーポイントにも“クラフトビール”が出てくる。
ビールってお酒を嗜むとき、必ずこう頼むではないか。“とりあえずビール”って。それって“とりあえずビールがあれば大丈夫(どうにかなる)”って意味だ。
いくらあっても満たされる事のない幸せ
ビールって、たいがい1〜2杯くらいで次の口当たりの滑らかなお酒に取って代わられるけど。絶対的に、ビールが与える幸福感ってある。
最初の一口の爽快感を楽しみに、その日一日頑張れる。一口呑めばその日あったどんな事でも、幸せに変えちゃうくらいのパワーがある。
そんなにたくさん呑まなくても、最初の一口で、もう満たされちゃう。
幸せも同じ。ひとくち目のビールみたいに、想う幸せにちょっと触れたら。
そう、例えるなら8画ぜんぶ棒で出来た「幸せ」って漢字の中の横棒、4つ。その中のたった1つ。よくばり過ぎない程度で。
その幸せをじっくりじっくり味わえれば理想的。だけど、それじゃあ足らないのが本当のところ。
『満たされたい』『満たしてみたい』、ビールだったら「おかわり」。ここが、この歌の一番大事なところ。
毎日、理想の私を演じる。本当の自分が小さく殺されていく日々。その代償は、いくらあっても満たされる事のない幸せ。
満たされない幸せって全然、良い事がない。
人生の責任まで、とってはくれない会社に終わらない苦しみの中で賞賛されたって、結局それは理想の私が賞賛されただけで。本当の私は満たされる事はない。
美人だ!仕事ができる!って、例え会社に愛されて婚約指輪のごとく、昇進を言い渡されても。まさか会社に『乱されたい』とも『会いたい』とも思うわけがない。
それなら、理想なんて脱ぎ捨てて。心を潤す一番美味しいのが、ひとくちだけじゃ足らないって。素直に幸せのおかわりをすればいい。
女だからって、控える必要まるでなし。いいんです!今の恋人じゃなくたって。
フワフワほろ酔い。いい気分の心に『いつかの誰か』が浮かんで。
『乱されたい』『会いたい』って幸せ求めちゃうくらい。呑んだって!酔ったって!
その本心がむき出しになる。それが何より大事なんだから。
でも、自分らしくとか。正直に生きようとか。それこそが正義!みたいに言われるけど、実際のところは。仕事を円滑に進める為に“理想”でいるのは大事な事だ。社会人のたしなみでもある。
理想の存在であるがゆえに、苦しみは終わらないし体も心も悲鳴をあげるけど。それも、生きる為にはどうにかしていかなくちゃとも思うし。
じゃあ、いつ。獣のみたいに本能をむき出しにしたら良いんだろう。
自分に素直でいたら見える人物像
ほろ酔いの時って、好きな人に無性に逢いたくなったり好きな人の声、聞きたくなったりする事ってあると思う。
その想いをお酒のせいにしないで、ゆっくり向き合って始まるかもしれないって、思う未来とは別の未来を期待してみるって大事。
外に向けて、理想を崩して本能をむき出しにはしづらいなら、自分の心に本能をむき出しにすればいい。
そうして、自分に素直に自由でいられたら、必ずこう想う夜がやってくる。
『誰かの腕の中で、甘い夢を見ながら眠れたらなぁ』
テーブルに着いたら、鞄を置くように。偽りも理想も、自分からちょっと離して。
素直に、お酒の魔法に心を任せた時。ふんわり浮かぶのは、誰だろう?
それは絶対に本能レベルで大事にしたい人!そして、幸せな甘い夢を見せてくれる人。
TEXT:後藤 かなこ

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