【ライブレポート】OBLIVION DUST、
ツアー<Us Against Them>開幕「も
う敵だな、オマエら!」

初日にして、もはや圧巻としか呼びようのない夜だった。2018年12月2日、東京・下北沢GARDEN。OBLIVION DUSTが2018年末から2019年初頭にかけて年をまたいで全国17公演を踏破するツアー<Us Against Them Tour 2018-19>がついにこの日、幕を開けた。
満場の客席フロアから立ちのぼる尋常でない熱気。開演前だというのに、すでに決壊寸前となっていた狂騒の箍(たが)は、場内が暗転すると同時にあっさりと外れた。噴き上がるような歓声とはちきれんばかりの興奮をさらに増幅させる好戦的なオープニングSE、ひとり、またひとりとメンバーがステージに姿を現わすたびに室温は上昇の一途を辿る。前回のツアー<OBLIVION DUST Tour 2018 Adrenaline - Come Get Your Fix>終了からわずか3ヵ月余りとは思えないくらいの熱狂ぶりに、ここ数年、夏と冬にコンスタントにツアーを行なうことで揺るぎなきものにした、彼らのライヴバンドとしての本領をいきなり見せつけられる思いだ。
一斉に溢れ出すアグレッシヴなバンドアンサンブル、「カモン! カモン!」とKEN LLOYD (Vo)がフロアを手招きする。新たな旅の始まりを告げる記念すべき1曲目は「Lolita」だった。マイクを右手でがっちりと握りしめ、右に左にと会場ごと揺さぶる勢いでタフな歌声を轟かせるKEN、K.A.Z (G)のギターはドラマティックかつ緻密にサウンドを牽引。低くベースを構えたRIKIJI (B)の無二で不敵なプレイスタイルと鋭く殺傷力の高い視線がオーディエンスを容赦なく射抜く。続く「Never Ending」の朗々たる疾走感に、衝動を抑え切れなかったのか、フロアには早くもクラウドサーファーが出現。のっけから下北沢GARDENは昂揚の坩堝と化した。

「<Us Against Them>ツアー初日です、よろしく! “ウチら対ヤツら”、そんなタイトルになってます。みんな、それぞれに捉え方はあると思うけど、さっき「Never Ending」か「In Motion」かな? そっちから飛んできたヤツに腹蹴りされて。もう敵だな、オマエら!」

KENがそう冗談めかして挑戦状を叩きつけると、オーディエンスもやんやの喝采で応える。生身と生身でぶつかり合うような、ヒリヒリとしたスリルもOBLIVION DUSTのライヴの身上だと言わんばかりにMC明けの一発には「Nightcrawler」をドロップ、むき出しの闘志で猛るステージにはただひたすら圧倒されるしかない。RIKIJIと、オブリ再結成以降、もっとも長くサポートを務めるARIMATSU (Dr)のリズム隊が繰り出す重たいビートとKENの艶を秘めたヴォーカルから始まる「Satellite」、前回ツアーで新曲として毎公演欠かさず披露されていたこの曲は今やライヴの中核を担うほどの存在感を放ち、着実なバンドの進化を裏付ける。また、この日の演奏曲ではもっとも古参の楽曲「Remains」も幾多の洗練を経たのだろう、よりエッジの効いた最先端ダンスロックとなってフロアを揺らしているのが印象的だった。
ヘヴィにラウドにオーディエンスに迫るセットリストの中、異彩を放ったのはバラード「Your Yesterday」だ。スローに刻まれるリズムと清冽なギターリフにそれまでの狂騒が嘘のように凪いだ。切実な思慕を訥々と、しかしエモーショナルに訴えかけるKENの歌声を陶然と浴びるオーディエンス。ステージを染め上げた深みのあるオレンジのライトもいっそう叙情を掻き立てる。ハード一辺倒ではなく、こうした“聴かせる”楽曲を徹底して“聴かせ切る”表現力と力量に20年選手の矜持を垣間見た。

特筆すべきは新曲「Fade」だろう。今ツアーに先駆けてこの前日に行なわれたファンクラブ限定ライヴにて初披露されたばかりだが、すでに王道の風格を讃えた、OBLIVION DUSTの新境地を示す1曲だ。性急ながらも端正なギターロック色の強いサウンドに太くダンサブルなグルーヴが絡み、聴く者を愉悦の境地へと誘う。扇情的なメロディは伸びやかなKENの歌声と相俟って一度聴いたら耳から離れず、サビでのシャウトは胸を掻きむしられながら恍惚とさせられてしまう破壊力。前述の「Satellite」同様、この曲もツアーでどんな成長を遂げるのか楽しみでならない。
「1月の終わりには東京に戻ってきますが、お金と時間が余ってる人はぜひ地方の各場所にも来てください。そこでシュッシュッ!やりましょう」

終盤間近のMCにてファイティング・ポーズを交え、オーディエンスに呼びかけるKENはもはや汗だくでシャツが透けそうなほど。KENだけでなくK.A.ZもRIKIJIも、サポートのYUJI (G)も首筋からひっきりなしに汗を滴らせているのが視認できる。もちろん客席は言わずもがなだ。パンキッシュに畳み掛けた「Under My Skin」からラストまではもう一気呵成。シンガロングにハンド・クラップにとステージもフロアもひと塊となって灼熱の一夜を駆け抜けた。ツアーファイナルは来年1月27日、東京・渋谷TSUTAYA O-EASTにて。旅の集大成を心して待ちたい。

取材・文◎本間夕子
撮影◎緒車寿一

■冬の全国ツアー<OBLIVION DUST “Us Against Them Tour 2018-19”>

▼2018年
12月02日(日) 東京・下北沢GARDEN
open17:30 / start18:00
12月08日(土) 山梨・甲府KAZOO HALL
open17:30 / start18:00
12月09日(日) 埼玉・HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3
open17:30 / start18:00
12月15日(土) 神奈川・F.A.D YOKOHAMA
open17:30 / start18:00
12月16日(日) 千葉・柏PALOOZA
open17:30 / start18:00
12月22日(土) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
open17:30 / start18:00
12月23日(日) 愛知・名古屋Electric Lady Land
open17:30 / start18:00
12月24日(月・祝) 静岡・LIVE HOUSE浜松窓枠
open17:30 / start18:00
12月29日(土) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
open17:30 / start18:00
12月30日(日) 広島 CLUB QUATTRO
open17:30 / start18:00
▼2019年
01月05日(土) 宮城・仙台darwin
open17:30 / start18:00
01月06日(日) 福島・郡山HIP SHOT JAPAN
open17:30 / start18:00
01月12日(土) 熊本 DRUM Be.9 V2
open17:30 / start18:00
01月13日(日) 福岡 DRUM Be-1
open17:30 / start18:00
01月19日(土) 新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
open17:30 / start18:00
01月20日(日) 群馬・高崎club FLEEZ
open17:30 / start18:00
01月27日(日) 東京・渋谷TSUTAYA O-EAST
open17:15 / start18:00

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