【連載】Vol.057「Mike's Boogie St
ation=音楽にいつも感謝!=」

素晴らしきサザン・ソウル・シンガー、ウィリー・ハイタワー日本初公演!サポートはスティーヴ・クロッパー&ハイ・リズムだ!!
1970年のとある日に僕のソウル・ミュージックの師匠だった故・桜井ユタカさんに1970年のとある日、六本木のソウル・バー“George’s”(通称ジョージ)でウィリー・ハイタワーを教えてもらい、同店のジューク・ボックスで「Walk A Mike In My Shoes」を繰り返し聴いて楽しんだ思い出がある。ミディアム・アップのカントリー・フレーバーを感じさせるソウルフル・ナンバー、とっても気に入った。桜井さん編纂「SOUL大辞典 1950-1995 VOL.2」でウィリーはサム・クック・フォロワーと紹介されていた。そのウィリーの初の来日公演である。【メンフィス meets マッスル・ショールズ featuring ウィリー・ハイタワー, スティーヴ・クロッパー & ハイ・リズム】と題してのBillboard Live OSAKA & TOKYOでのステージ。僕はBLTでの9月29日ファースト・ショー、翌30日セカンド・ショーを楽しんだ。29日のステージ前にはインタビューもさせていただいた。
Mike:ようこそ日本へ!
Willie:こんにちは、ありがとう!日本の方々は皆さんとても親切です、ありがたいことです。楽しんでいます。
M:ここ数年、2015年のニューオリンズでのボンデロッサ・ストンプ・フェスティバルをはじめ、イタリアでの公演など貴方の存在が再び多くのファンから注目されるようになりました。
W:ボンデロッサでショーを演ったよ。そのニューオリンズはとても楽しかった。ニューオリンズには来年また行くんだ。ショーをやるのはすごく楽しいからね。ホントに楽しみだよ。実は10年間も歌っていなかったからツアーに出て歌うのがすっごく楽しいんだ。加えてこうして日本にも来られたしね!
M:1940年9月30日アラバマ州ギャズデンでのお生まれ。6歳の時に教会の聖歌隊(クワイア)に加わったのが音楽に親しむきっかけとか。
W:そうだよ、歌い始めたのは6歳の時だ。教会の聖歌隊でね。その後バンドに参加した。ハーシー・テイラーがリーダーのバンドだったと記憶している。アラバマ州タスカルーで初めて彼のステージに加わりその後、各地をツアーしたんだ。

M:貴方はサム・クックのフォロワーとも称されたことがあります。
W:サム・クックは大尊敬するアーティストの一人。今回のショーでも彼のナンバーを歌っているよ。彼とゆっくり話しする機会はなかったけど。彼は本当に若くして亡くなってしまった、61年だっけ…。
M:64年です。
W:そう 64年。私が子供の頃サム・クックがゴスペル・グループのソウル・スターラーズの一員としてギャズデンにやって来たんだ。勿論そのステージを観に行った。彼がその後ポップスを歌うようになってからはレコードでその素晴らしい魅力を楽しんだんだよ。
M:カルフォルニアのゴスペル・グループに参加なさっていたとか。いつ頃のことですか。
W:ゴスペル・コンソレーターズに参加した。えっ~と、20歳の時。彼らと一緒に5年間ほどツアーした。すごく楽しかったよ。いろいろな所に行くことが出来た。ニューヨーク、クリーブランド、フィラデルフィア…。北部の都市はほとんど初めてだったんだだけどね。

M: 1965年ニューヨークでボビー・ロビンソンのオーディションを受けて合格してソロ・シンガーとしてデビュー!
W:ボビー・ロビンソン、良い奴だった。すぐにデビューすることになった。エンジョイというレーベル、ボビーのレコード会社だった。彼の薦めで「What Am I Living For」をレコーディング。私の前にこの曲をレコーディングしたのは確か…。
M:チャック・ウィリス。
W:「What Am I Living For」がボビー・ロビンソンとの最初のレコーディングで。その後はキャピトル・レコードに移った。というのは、彼のレコード会社が倒産したからなんだ。
▲CD『WILLIE HIGHTOER』 from Mike’s Collection

M:1968年通算5枚目、キャピトル・レコードでの2枚目のシングル「It’s A Miracle」がBillboard誌R&Bチャート33位を記録。ソウル・バラードの名作!僕の大好きな曲です
W:これは私の最初の大ヒットだった。よく売れたレコードだった。ニューヨークのキャピトル・スタジオでレコーディングしたんだ。ボビーとの共作だ。
M:曲作りはいつ頃から始めたんですか。
W:かなり若いころから曲を書き始めたよ。本格的には60年代半ば頃からかな。
M:ゴスペル・タッチのナンバー。
W:そうだね、サム・クック風の曲。何度も言うけどサム・クックは私のアイドルだったからね。
M:1970年リック・ホールのフェイム・レコードに移る形になります。
W:どうやってリック・ホールのところに行ったかって?キャピトルを通してだよ。リックはキャピトルとレコーディング契約をしていた。キャピトルが私をフェイムに移動させたんだ。
M:リック・ホールの想い出を語ってください。
W:リック・ホールには何度も会った。とても良い人。彼が数カ月前に亡くなったの知ってるよね。
M:今年の1月2日。
W:リックとの仕事は楽しかったよ。彼は何でもきっちりやらないと気が済まないタイプだった。リック・ホールとレコーディングする時は、きちんと正しくやらなくちゃならないんだ。「Walk A Mile In My Shoes」のレコーディングの時なんか30回も歌った。30回だよ、でようやくリックのOKが出たんだぜ!!
M:大ヒット!
W:とっても良い曲。
M:ジョー・サウスでもヒットしエルヴィス・プレスリーもレコーディングしています。
W:その通り。エルヴィスと会いたかったなぁ~。
M:そして今年久々のアルバム『OUT OF THE BLUE』をリリース。
W:ニュー・アルバム『OUT OF THE BLUE』は“R&Bカントリー”だ。全曲がカヴァーも含めてカントリー。Mu-Wiで2日間でレコーディングした(マッスル・ショールズのウィシュボーン・スタジオのことを略してこう表現していると思われる)。カントリー・ミュージックも大好きなんだ。ジョニー・キャッシュとかね。
M:『OUT OF THE BLUE』のエクゼクティヴ・プロデューサーはクイントン・クランチ!
W:彼に初めてに会ったのは確か85年だったかな。今回、どうやって私の電話番号を知ったのか分らないけど電話をしてきて、「レコーディングに興味あるか?」って言ったんで、「あるよ!」と答えると、彼はメンフィスから車をぶっ飛ばして私の家を訪ねてきたんだ。
M:彼は90歳過ぎていますよね。
W:そうそう、クイントンは96歳だよ。
▲CD『OUT OF THE BLUE』 from Mike’s Collection

M:トラヴィス・ウォーマック、クレイトン・アイヴィー、ウィル・マクファーレーンとマッスル・ショールズ・サウンドを語る上では忘れることのできないミュージシャンも参加ですね。
W:クレイトン・アイヴィーは、オリジナルのマッスル・ショールズ・サウンド・バンドの一人だ。トラヴィス・ウーマックは「Walk A Mile In My Shoes」でもギターを弾いてくれたし、クレイトン・アイヴィーは、キーボードを弾いてくれた。だから彼らはずっと以前から知っていたけど、ここでようやくまた一緒にアルバムをレコーディングできたという訳だ。彼らに会えてよかったよ。20年ぶりかなぁ、一緒にできた
なんて信じられない。とても楽かったよ。
M:プロデューサーがビリー・ローソン。
W:良い奴だ。彼と仕事できて楽しかったよ。ローソンは素晴らしいアルバムをプロデュースしてくれた。ビリー・ローソンは素晴らしい存在。彼の作品「I Found You」「Somewhere Dry」「You Can’t Love Me(Better Than You’re Lovin’ Me Now)」「Everybody Wants My Gir」「Who Who Who」、5曲レコーディングした、クリス・ステイプルトン楽曲「Raining All The Time」「Tired Of Losing You」はローソンの選曲。アンディー・キムの曲「Rock Me Gently」も彼。実は、アルバムの曲は全部ビリー・ローソンが選曲したんだ。まずビリーが曲を選んでクイントンに持っていって承認を得たら、次に私の承認を得るというわけ。誰もが楽しめるようにと考えたんだ。私たちのアルバムはもう一度言うけど“R&Bカントリー”だからね。
M:それがサザン・ソウルだね。
W:そうだよ、まさにそれだよ!このアルバムにはすごくワクワクだよ。

M:フレディー・ハートの「Easy Lovin’」も選んでいますね。
W:そうだよ。このナンバーは、どこのレーベルだったかな…。キャピトルでレコーディングしたことがあるんだ。大ヒットしなかったけど、まあそこそこ良かったよ。いや、ごめん、リック・ホールのとこでだったな。だいぶ前のことなんで。いっぱいあり過ぎて。いや、やっぱりキャピトルだな。ハハハ。
(註:実際は72年にマーキュリー・レコードからシングル・リリースされていてチャート・インはしていない)

M:「No Getting’ Over Me」はロニー・ミルサップの大ヒット曲ですが。
W:そう、ロニー・ミルサップは大好き。実を言うと、彼の歌があまり良いんでホントは彼のナンバーはやりたくなかったんだ。プロデューサーたちの勧めでレコーディングしたんだ。

M:今夜のステージでは勿論「If I Had A Hammer」を歌ってくださいますよね。
W:OK!この「If I Had A Hammer」はサム・クック・ヴァージョンからヒントを得たんだ。サム・クックのニューヨーク/コパカバーナでのライヴ・レコーディング。
M:64年の『Sam Cooke at the Copa』。
W:あのアルバムはとても素晴らしかった。サムのあの歌がすごく気に入って、自分も歌おうと思ったんだ。彼ほど上手くは歌えないけど、自分流に変えて歌ってる。

M:そろそろ時間です、ありがとうとうございました。
W:私はどっちかというとインタビューは苦手なんだけど、この時間はとっても楽しかったよ。こちらこそ
本当にありがとう!
*協力:河合千春

☆☆☆☆☆

【メンフィス meets マッスル・ショールズ featuring ウィリー・ハイタワー, スティーヴ・クロッパー & ハイ・リズム】

さぁいよいよソウル・ショーの開演だ。ジェフリー・ワイナーのMCに続き、チャールズ&リロイ・ホッジス兄弟のハイ・リズム、元ブッカー・T.&ザ・MG’sのメンバーだったほかオーティス・レディングのバックも務めたスティーヴ・ポッツのドラムスにフロム・ジャパンからのブラス2本がジョインしての編成によるTMが会場を包み込む。R&Bインストゥルメンラルンのスタンダード、1962年の大ヒット(Billboard誌HOT100/3位、同誌R&Bチャート・1位)「Green Onion」。とくれば、MG’sギターだったスティーヴ・クロッパーがこのナンバーに乗って登場。
まずはスティーヴをフィーチャーしてのステージングだ。この日はいつもと異なりシンガーとしても頑張ってくれたのだ。ウィルソン・ピケットでお馴染み「In The Midnight Hour」(‘65)をゆったりとした雰囲気でシャウト。
3曲目は「(Sittin’ On )The Dock Of The Bay」、オーティス・レディング死後の68年初頭のベスト・セラーである。僕にとって涙なくしては聴けない名作、オーティス&スティーヴの共作なのだ。
▲シングル「ドック・オブ・ベイ/オーティス・レディング」 from Mike’s Collection

そして、スティーヴ・セットの最後は「Ninety-Nine And A Half(Won’t Do)」。66年のこれまたピケットのヒット作。ちなみにこの楽曲と「In The Midnight Hour」はスティーヴが70年に発表したファースト・ソロ・アルバム『With A Little Help From My Friends』に収録されている。
▲CD『With A Little Help From My Friends』 from Mike’s Collection

それにしても良き友スティーヴ・クロッパーのギターはいつ聴いても素晴らしい!
スティーヴと筆者(このステージの直前)

そしていよいよショーの始まりだというスティーヴのMCでウィリー・ハイタワーが颯爽とステージに登場。インタビュー時以上に若々しい雰囲気が伝わって来る(78歳!)。
1曲目は68年リリースの5枚目のシングル「It’s A Miracle」のB面ソング「Nobody But You」。軽快なアップ・テンポのナンバー。実に声がよく出ている。

「Ooh Baby How I Love You」はしっとりとした雰囲気の中にもファンキーさが出ている。ミディアム・テンポのこのナンバーは69年リリースのシングル「It’s Wonderful To Be In Love With You」B面楽曲。
ウィリー3曲目はちょっと前述した「It’s A Miracle」。彼にとっての初のヒット・チューンで、R&Bチャートには69年春にランク・インし33位までランク・アップしている。ソウルフルなバラードでマニアックな名作として知られる。スティーヴがギターということもあってどこどなくオーティスの「I’ve Got Dream To Remember」を想い出す…。

そして今度はリスペクトするサム・クックの作品を熱唱する、「Somebody Have Mercy」。63年の大ヒットでウィリーもレコーディングしている。観客も手拍子、チャールズ・ホッジスのキーボードにも聴き惚れる。余談ながら帰宅してからサム・クックの『THE HARLEM SQUARE CLUB』も楽しんだ、Somebody Have Mercy…。
▲CD『THE HARLEM SQUARE CLUB』 from Mike’s Collection

5曲目「Time Has Brought About A Change」はフェイム・レコーディング。70年リリースの9枚目「I Can’t Love Without You」B面楽曲。チャールズの演奏で引っ張っていく素晴らしきサザン・ソウルだ。またもここで感涙…。終了時により大きな拍手。

少しテンポ・アップしてリズミックでキャッチーな「I Love You (Yes I Do)」、オーディアンスとのコール&レスも楽しい雰囲気を醸し出す。67年リリースのサード・シングル「Let’s Walk Together」B面楽曲。
7曲目は「Walk A Mile A Shoes」B面ソング「You Used My Baby」。70年というあの時代をダイレクトに感じさせるR&B、ドラマティックな味わいのスロー・バラードだ。

そして続いては前曲のA面としてフェイムのファースト・シングルとして70年春にリリースされ大ヒット、Billboard誌R&Bチャート26位を記録した。カントリー・フレーバー溢れたソウル・ミュージック。まさに南部の“音”なのだ。チャールズのキーボード&リロイのギター、そしてスティーヴのギターもしっかりと味わった。
ラスト・チューンはウィリーの66年リリースのシングル・ナンバーとして発表された「If I Had A Hammer」。「天使のハンマー」という邦題でも知られるこのナンバーはピート・シーガーの作品で、60年代初頭の公民権運動でよく歌われた。ヒット・ソングとしては62年にピーター・ポール&マリー、63年にトリニ・ロペスで注目された。ソウル・ファンには64年の名作アルバム『Sam Cooke at the Copa』でお馴染み、ウィリーは勿論サム・クックにこのナンバーを教えてもらったのだった。久しぶりに手拍子ながら♪If I had a hammer in the morning…♪歌った。

そしてこれで終わりではない、アンコール!ダブル・ダイナマイト、サム&デイヴでお馴染み「Soul Man」、67年のベスト・セラー。会場内はダンス、ダンス、ダンス。当時“the other”で踊っていたファンキー・ブロードウェーでMikeは汗びっしょり。スティーヴも歌っているぞ、RIGHT ON!!!
ライヴ・ショット =Pic. by Ayaka Matsui
提供:Billboard Live TOKYO

【ライヴinfo】
10cc
▲提供:Billboard Live TOKYO

10ccのグレアム・グールドマンが帰ってきた!1960年代英国のソングライターとして珠玉の名曲、ヤードバーズの「For Your Love」やホリーズの「Bus Stop」をヒットさせ、70年代にはビートリーな香り漂う10㏄を率いてご存知の名曲「Donna」「I’m Not In Love」などヒット・メーカーとして世界中を魅了させたその中心人物のグレアム。
この10月からスタートした10ccのUK~EUツアー、そこへ19年1月にJPツアーも加わった!メンバーもマイク・オールドフィールド、ジェスロ・タル、クリフ・リチャードを支えてきた豪華な顔ぶれ!UKポップス好きは正月から目が離せない!

*2019年1月27日 Billboard Live TOKYO
ファースト・ステージ 開場15:30  開演16:30
セカンド・ステージ  開場18:30  開演19:30
*2019年1月28日 Billboard Live TOKYO
ファースト・ステージ 開場17:30  開演19:00
セカンド・ステージ  開場20:45  開演21:30
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=11212&shop=1

*2019年1月30日 Billboard Live OSAKA
ファースト・ステージ 開場17:30  開演18:30
セカンド・ステージ  開場20:30  開演21:30
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=11212&shop=1

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