純烈 歌い、踊り、そして喋る。マダ
ムを少女に変えるスーパー銭湯アイド
ルの『温泉ライブ』に潜入

純烈〜温泉ライブinお台場伍

2018年11月9日(金)お台場 大江戸温泉物語
純烈(読み:じゅんれつ)とは、戦隊ヒーロー出身俳優を中心に、平均身長183cmを誇るイケメン軍団、白川裕次郎、酒井一圭、友井雄亮、後上翔太、小田井涼平の5人で構成された歌謡コーラスグループだ。実は彼ら、全国各地のスーパー銭湯を巡り、ステージ上ではムード歌謡といわれるジャンルの楽曲を、アイドルのような派手なパフォーマンスで歌って踊り、そして喋る。“ステージ上だけがステージではない”というポリシーのもと、ライブ中に舞台を降り、客席でスキンシップを行なうという、アイドルらしからぬ芸風で、シニアを中心とした女性たちに爆発的な人気を集めている。その人気はいまやTVにも広がり、“スーパー銭湯アイドル”として情報番組などにも多数出演。今年2018年2月に発売したシングル「プロポーズ」は10万枚を超えるセールスを記録し、2018年9月度のゴールドディスクに認定され、結成以来掲げてきた「夢は紅白!親孝行!」という夢を、ついに実現することも決定した。そんな純烈が11月9日(金)、お台場 大江戸温泉物語で開催したライブ『純烈〜温泉ライブinお台場伍』の第一部の模様をレポート。
純烈 撮影=鈴木恵
平日の昼間にも関わらず、この日のチケットはSOLD OUT。会場は、畳敷きの大広間。その客席後方に設けられた無料の立ち見席スペースを含め、場内はシニアを中心とした女性ファンに埋め尽くされ、開演前から熱いファンの熱気でムンムンしている。純烈の楽曲をDJ MIXでつないだSEが流れたあと、ステージの幕が開くと、客席からの大きな拍手に迎えられてライブは始まった。
ステージ上に長身✕イケメンの5人が並んでいるだけで、場内は一気に華やかなムードに包まれる。曲は昭和の匂いたっぷりのムード歌謡だが、それに合わせて手拍子をしながらお気に入りのメンバーカラーを灯したペンライトや推しメンの名前を描いたお手製うちわを揺らす客席は、まるでアイドルのコンサートのようだ。さすが、スーパー銭湯アイドル。
純烈/白川 裕二郎 撮影=鈴木恵
純烈/友井 雄亮 撮影=鈴木恵
純烈/酒井 一圭 撮影=鈴木恵
手拍子に合わせて歌うメインボーカルの白川裕二郎は、抜群の安定感ある歌を届ける。そのサイドで友井雄亮は足さばきまでキレキレで、得意のダンスを披露。この日、オープニングから一人だけ衣装の上にハッピを着込んで登場したのはリーダーの酒井一圭。歌唱が終わると、この日発売になったばかりの『スポーツ報知』の純烈特集ページを広げ、オヤジ感丸出しで読み出す。
純烈/後上 翔太、小田井 涼平 撮影=鈴木恵
「僕たちの人気も右肩上がりということで取材していただきました」とアピールしたあと、今後も特集が続くことをほのめかすと、「カラーページだからインクの無駄遣い」と小田井涼平が得意の毒舌で苦言を畳み掛ける。その勢いで「プロポーズ」10万枚突破記念として2019年1月9日に発売される「プロポーズ〜ありがとうBOX〜」(生産限定盤)に封入されるオリジナルグッズの軍手について小田井が「焼き芋屋さんはあれあると便利」と言いだすと、すかさず他のメンバーが「いやいや、両手を合わせるとハートマークが浮かび上がるんですよ!」、「手袋はめたままスマホも使えますから」とフォローを入れまくるという連携プレイがばっちりきまったところで、恒例のメンバー紹介へ。
純烈/後上 翔太 撮影=鈴木恵
純烈/小田井 涼平 撮影=鈴木恵
この日は短めに切り上げたところで、酒井が舞台袖から先日受賞したばかりの『日本作家協会創立60周年記念 日本作家協会音楽祭2018奨励賞』の盾を持ってくる。「これから先生がこの盾を渡すので、みんなで回していって」と言って最前列の端のお客さんにその盾を手渡す。そうして「この賞は“みんな”でとった賞だから」と伝えると、客席から拍手が湧き起こる。こんな風にファンをとことん大事に思う人柄こそが、純烈が人気を集めるところなのだろう。そして、「じゃあ、盾を触りながら聴いて下さい」と言って始まったのは、小田井がダンディーな色気満載の声でリードを歌う「六本木は嫌い」。続けて後上翔太がロマンチックなせつなボイスで「ふたりで一緒に暮らしましょう」、白川の芯のある声と4人のムーディーなコーラスで「港町銀座」と、作曲家・中川博之作品を声質の違う歌声で3曲続けてしっとりとアクト。ムード歌謡ならではの歌の世界へ場内を誘い、観客をうっとりさせていった。
純烈 撮影=鈴木恵
純烈 撮影=鈴木恵
ライブが中盤にさしかかると、そのムードは一転。靴を脱ぎ、裸足になった(こういうマナーも女性をキュンキュンさせるところ!)5人が「やっぱ好きやねん」などを歌唱しながら次々とステージを降りていく。そうして、客席の通路を回りながらファンと触れ合う通称“ラウンド”が始まると、集まったマダム、おばあちゃんも少女のように目にハートマークを浮かべてはしゃぎながら大興奮!!
純烈 撮影=鈴木恵
純烈 撮影=鈴木恵
最初に最後方の立見スペースをめがけてやって来たのは後上だった。優しい笑顔で一人ひとりと向き合う後上の手を握りながら、後上の腰に手を回してくるお客さんにはハグ返しをしてあげる。客席後方で世間話でもするようにお客さんから話しかけられ、盛り上がっているのは酒井。そんなリーダーに観客は次々とプレゼントを託していく。友井はといえば、全員とハイタッチをかわす勢いで、客席の間を華麗に駆け抜けていく。前方からじっくり観客と握手を交わしていく白川は、そのイケメンっぷりを間近で見たファンが感動のあまりなかなか手を離してくれない。こんなときも、ファンが差し出すスマホを投げ捨てる塩対応っぷりでファンの笑いを誘いながらコミュニケーションをとっていく小田井。この日は、そんな小田井の塩対応を想定していた男性ファンが、事前にスマホを何個も仕込んでおき、捨てられたら次のスマホを差し出すというやりとりを何度も繰り返す場面もあった。
さっきまでステージで歌っていた5人が舞台を降り、お客さんの真横に立って各々のやり方でファンとの距離を縮めていく姿は、あまりにもファンとの距離が近すぎて、見ているだけでもドキドキする。これで、場内と観客それぞれの体温が上がらない訳がない。
​純烈/酒井 一圭 撮影=鈴木恵
純烈/後上 翔太 撮影=鈴木恵
純烈/白川 裕二郎 撮影=鈴木恵
純烈/友井 雄亮 撮影=鈴木恵
純烈/小田井 涼平 撮影=鈴木恵
そうして、ステージに戻ってきた5人は黄色いメガホンを首から下げてヒット曲「愛でしばりたい」を歌い、コミカルなダンスでフォーメーションを作るパフォーマンスで魅せ、友井がリードをとる「純烈一途」が始まるとお客さんは一斉にタオルを回し、スーパー銭湯の畳敷きの広間には、まるで若者のロックフェスのよう光景が広がる。そして第一部を締めくくるラストナンバーとして、大ヒット曲「プロポーズ」を熱唱。すると、観客全員がメンバーと同じ振り付けを踊り、場内が一つになって熱く盛り上がったところでステージの幕は閉じた。
純烈 撮影=鈴木恵
純烈 撮影=鈴木恵
ライブの後に設けられた特典会では、ラウンド以上に近い距離感で濃厚なスキンシップを繰り広げ、集まった大人の女性たちの心を一人残らず少女に戻していった純烈。彼らがマダムだけではなく、もっと幅広い年齢層を魅了していく日はそう遠くないかもしれない。
取材・文=東條祥恵 撮影=鈴木恵

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