【THE MODS×THE COLTS
ライヴレポート】
『TOUR 2018 "GOOD-BYE
SCARFACES"』
2018年10月20日
at 日比谷野外大音楽堂
17時を少し過ぎた頃、空には月が出ているが小雨が降り始め、程なくして大粒に変わる。そんな中、東京生まれL.A.育ちのAKIRA(Vo&Gu)率いるLuv-Endersがオープニングアクトで登場。9月に発表したばかりのアルバム『Luv-Enders' Explosion!』の収録曲を中心とした、キュートでフレッシュなR&Rナンバーに生まれ変わったロッククラシックスのカバー曲で、降りしきる雨の中をぶっ飛ばしていく。ラストはAKIRAが作詞をTHE MODSの森山達也(Vo&Gu)が作曲を手掛けた初のオリジナル楽曲「Homecoming」。夕暮れと雨によって気温が下がり始めた会場を十分に温め、次のTHE COLTSへとバトンを渡した。
さらに雨足が強くなった野音。しかし、オープニングの「LIFE IS A CIRCUS」からパーティー感全開で、11月にリリースを控えるニューアルバム『MORE BASTARD!』から新曲「Dog day Afternoon」も披露し、のっけから軽快なスカビートが観客の高揚感を蹴り上げる。しかも、土砂降りの雨がバンドの、観客のテンションを焚き付けているかのようで、“雨の野音のビデオは100万回くらい観ましたけど、やるのは初めて。できれば、やりたくなかったね”と話す岩川浩二(Vo&Gu)の言葉もどこか嬉しそうだ。そして、Luv-EndersのAKIRAをゲストに迎えての「Pressure Drop」で観客を躍らせると一気にスパート! 雨を忘れさせるような定番曲のラッシュでピースフル&ハッピーに客席を盛り上げ、岩川がギターを置いてハンドマイクを手にし、スケール感たっぷりに歌い上げた「IT'S ONLY ENTERTAINMENT」で大団円。最後に再び「LIFE IS A CIRCUS」へとつなげ、雨の中のエンターテインメントショーを締め括った。
トリを務めるのはTHE MODS。“ワン、ツー、スリー、フォー!”という森山のカウントから「HEY!! TRAVIS」のイントロダクションが放たれ、インターバルを置いていた観客のテンションに火が付けられる。拳を高く突き上げ、サビでは大合唱…1曲目にして、そこはもうTHE MODSの独せん場だ。続けて「CRAZY BEAT」が投下されるとオイコールが起こり、ますますヒートアップ! そして、森山の“久しぶりの雨です(笑)。1982年を思い出すような…博多弁で言いますけど、しろしいと思いますけど、最後まで楽しんでください”と挨拶代わりのMCをはさんで、ご機嫌なブギー「I SMELL TROUBLE」で客席を揺らし、苣木寛之(Gu&Vo)が“古い曲をやります”と歌った「TROUBLE JUNGLE」で魅了すると、人気曲のひとつ「TEENAGE BLUE」、シンガロングナンバー「THE MAN OF THE MATCH」が会場の熱量をグッと高める。さらに、雨はいっこうに止む気配はなく、むしろ激しさを増していったが、森山の“また近いうちに…このまま元気だったら、例の年に野音やるんで”という40周年に向けた宣言が客席(関係者席含む)を歓喜に震わせた。
終盤戦は上半身裸になった北里晃一(Ba&Vo)が歌うパンクチューン「ROCKAHOLIC ROCK」から。北里の真っ直ぐなヴォーカルを押し出す、佐々木 周(Dr&Vo)のタイトなビート。その逞しさに彼も来年1月で正式加入して10年というキャリアを積んだことをまざまざと実感した。そんな佐々木の痛快なビートが躍動感を生む「LONDON NITE」、苣木のギターがドライブする「他に何が」で本編が終了すると、アンコールでは“昔を思い出したんで、曲を変えます”と屈指の代表曲「TWO PUNKS」が披露される。言うまでもなく、そのイントロが鳴らされただけで会場は興奮のるつぼに。あと、ヴォーカルは森山と言うよりも、もはやこの場にいた全員だったことも追記したい。そして、“SCARFACEが一番最初に契約したバンドで、最後まで残っているバンド”と紹介してTHE COLTSのメンバーを呼び込み、本ツアーの会場&通販限定で発売されたコラボマキシシングル「汚れた顔の天使達」の表題曲をはじめ、お互いのナンバーをセッション。森山と岩川のツインヴォーカル、“裸のキーボーディスト”こと北里のピアノなど、最後に観どころ&聴きどころ満載のR&Rパーティーが盛大に繰り広げられ、“雨の野音”にまた新たな伝説の一夜が刻まれたのだった。
“GOOD-BYE SCARFACES”と掲げた本ツアー。正直言って、不本意なかたちで終わりを迎えたSCARFACEに対するけじめだと思っていた。しかし、そんな過去の清算などではなく、「汚れた顔の天使達」の歌い出しのように《あの日があるから 俺たちは今がある》ということなのだと確信。常に未来を見ているのだ。“例の年に野音やる”という約束もあったし、“みんなが望んでくれるんであれば、俺たちも…もちろんコルツもまだまだやっていこうと思ってます。SCARFACEはこれで終わるけど、この夜を忘れないでください”というMCもあったし、これは40周年に向けての開戦前夜だと思うことにした。
撮影:齋藤ユーリ/取材:石田博嗣
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