【インタビュー】エドゥ・ファラスキ
「新しいアングラになりたいわけでは
ない」

2012年までアングラに在籍していたシンガー、エドゥ・ファラスキが初のソロ名義での来日公演を果たした。
自身を中心とした別バンド:アルマーの活動でも知られているが、アングラ時代のヒット・アルバム『Rebirth』と『Temple of the Shadows』を再現する<Rebirth of Shadows>ツアーでの来日となり、新曲を含む来日記念盤『The Glory of the Sacred Truth』もリリースされた。
──久しぶりの日本はいかがですか?

エドゥ:7年ぶりなんだ。日本はいつ来てもハッピーだし僕にとっても特別な思いだよ。こうして来日するチャンスがまた巡ってきて、思わず神様に感謝したよ。

──<Rebirth of Shadows>ツアーは2017年からスタートしていますが、各所の反響はいかがですか?

エドゥ:正直、結果にとても驚いているよ。これは僕にとって初のソロツアーで、結果がどうなるかは全くわからなかった。みんな気に入ってくれるかどうか…もしかしたらアルマーの方がいいと言われるんじゃないか、と。2017年7月に7回のショウをやったんだけど、全てソールドアウトすることができて、初日から凄い盛り上がりだった。その瞬間に「やって良かった」と心から思えた。全て順調だよ。

──今、『Rebirth』と『Temple of the Shadows』を歌う事はどんな心境ですか?

エドゥ:至って自然だよ。アングラで12年間たくさん歌っていたし、今のメンバーも元アングラのアキレス(プリースター / Dr)とファビオ(ラグーナ / Key)が一緒に居てくれるから、とても自然なんだよ。すぐに昔に戻った気分でやれている。何も変わっていないよ。

──この2枚のアルバムは大ヒット作品ですから、思い入れも強いのではないですか?

エドゥ:僕にとっても特別なアルバムで、『Rebirth』は僕のキャリアを世に知らしめたものだよね。次の『Temple of the Shadows』は、僕が在籍していた時代のアングラでは最も商業的に成功したアルバムで世界中で売れたから、とても思い入れも強いよ。

──日本でも『Temple of the Shadows』はリリース年の「メタルアルバム・オブ・ザ・イヤー」(BURRN!誌)でしたものね。

エドゥ:うん、日本ではBURRN!誌で賞を貰って「Spread Your Fire」はベストソング・イヤーでも選ばれた。これは僕の作曲によるものだったからトロフィーも貰った。他にもブラジルやヨーロッパでもたくさんの賞を貰ったな。

──アングラ脱退時、「無理したハイトーンではなく自然な声で歌いたい」と言っていましたが、現在は喉の調子はいかがですか?
エドゥ:あの時は喉の調子も悪くて、キーを下げた歌い方をしなければならなかった。でも年月とともに回復して、今はとても調子が良い。アングラに加入したのは20代だったから当然今よりハイトーンも楽に出せたけど、今もハイトーンは出せるし、昔より成熟したと思うよ。自分の事もよくわかってきたし経験も積んで自信もついたから問題ない。年月が経つとキーを下げるシンガーも多いけど、僕は一切下げていなくてオリジナルキーのままだよ。

──歌唱法が変わった?

エドゥ:実は逆流性食道炎のようなもので、胃酸で喉をやられていたんだけどその原因がなかなか究明できなかったんだ。何年もかかってわかった頃にはすでに喉はかなり破壊されていた。それから投薬を始めて、歌唱法を変えたり、食べ物も健康に気をつけたり。アルマーは音楽性もモダンで違うから以前の歌い方でも良かったけど、今のソロではアングラ時代のエドゥなわけだからハイトーンが必要だよね。何年も生活を変えたおかげでそれができるようになっているけど、この病状は完治はしないようで今でも薬は飲んでいる。でも、ようやく良い状態になれたんだ。

──今のあなたは髪も短くなって若返ったようですよ。

エドゥ:やっぱり昔は長過ぎたかな(笑)。長いと毎日のシャンプーや手入れも大変だしさ。数ヶ月前に切ったんだけど、これでももうだいぶ伸びてきてね。このくらいの長さをキープしようと思ってるんだ。これは偶然なんだけど、最初にアングラに加入した時もこのくらいの長さで、そこから伸びたものだったんだけど、今の僕が再スタートをするにあたっても凄く良いかなと思っているんだ。ハードロックな感じで、ヨーロッパのジョーイ・テンペストみたいなスタイルさ。
──アングラ時代では、どんなエピソードを覚えていますか?

エドゥ:そうだな…エクアドルでのライブでね、ソールドアウトだったから入場できないファンがたくさんいたんだ。でもラテンの人々は無理矢理にでも入ろうとしてさ(笑)、あまりにも危険だったからプロモーターが警察を呼んだんだ。僕らは中でプレイしていたから何が起こっているのかわからなかったんだけど、実は警察は騒ぎを鎮める為に催涙ガスを巻いていたんだよ。僕らがプレイしていたら、前列のお客さんがみんな泣き出していて、こんなに観客を感動させているんだと思っていたのに(笑)、そのうちバンドもみんな苦しくなってきて、咳込むやら涙は出るわで一旦ショウを中断したのさ。そしたら救急救命医が来たんだけど、彼らは酸素マスクしてるんだよ(笑)。「よこせ!」と言ってもマスクはくれず、プロモーターもショウを中止にしようとしたけど、僕らはウォリアーだから(笑)再開して何とか乗り切ったのさ。それが翌日の新聞に「催涙ガスにも負けずにコンサートをやり切ったヒーロー」みたいに載ってね(笑)。あの時は大変な思いをしたけど、後でヒーローになれたから良かったな(笑)。

──警察が催涙ガスを巻くなんて、日本では考えられないですよ。

エドゥ:そうだよね、馬でやってきた騎馬隊のような警察だったよ。たくさんの人をまばらにする為にやるんだ。ブラジルでもそうだよ、凄いよね。

──来日記念盤『The Glory of the Sacred Truth』に収録された新曲は、アングラとアルマーが上手くミックスされたアプローチになっていますね。

エドゥ:新曲の2曲は、アングラ時代から僕を応援してくれている日本のファンへプレゼントのつもりで作ったんだ。初めてのソロ作品として、まずはアングラ時代からのファンへありがとうを伝えたかったんだ。アキレスとファビオもいるし、僕がアングラを脱退してからもアングラの歴史を続ける意味もある。自然とできたものではあるけど、アングラでは「Nova Era」「Heroes of Sand」「Bleeding Heart」「Spread Your Fire」「Wishing Well」とかも僕が書いた曲だし、これぞアングラのエドゥだというものをあえてやりたかったのはあるよ。アルマーもアングラから派生したようなものだから、どちらのフィーリングもあるよね。僕が思い描いていたものができたと思うよ。
──今後はソロとして活動を?

エドゥ:ひとつハッキリとさせておきたいのは、僕は新しいアングラになりたいわけではないんだ。あくまでも「アングラ時代のエドゥ・ファラスキを復活させたい」という事なんだ。ソロキャリアとして未来を見据えたもので、新しいアングラではなくね。

──日本のファンも応援しています。

エドゥ:心を込めて作ったEPを楽しんでね、みんなの応援にとても感謝しているよ。ソロアーティストとしてこれからも歩んで行くよ、みんなと一緒に未来を歩んで行きたいと思っている。
取材・文:Sweeet Rock / Aki
写真:Yuki Kuroyanagi

<Edu Falaschi ~ Rebirth of Shadows Japan Tour 2018 ~>
2018.10.6 Shinjuku Blaze
1.In Excelsis
2.Nova Era
3.Acid Rain
4.Angels and Demons
5.Running Alone
6 .Wishing Well
7.Winds of Destination
8.Heroes of Sand
9.The Glory of the Sacred Truth
10.Millennium Sun
11.The Shadow Hunter
12.Live and Learn
13.Rebirth
14.Deus Le Volt!
15.Spread Your Fire
16.Gate XIII

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