ソウルでもっとも絵になる酒場のひとつ『味カルメギサル専門』。店の入口に向かって左手の道沿いにもテーブルが並ぶが、冬場はここに半透明のビニールカーテンがかかる

ソウルでもっとも絵になる酒場のひとつ『味カルメギサル専門』。店の入口に向かって左手の道沿いにもテーブルが並ぶが、冬場はここに半透明のビニールカーテンがかかる

【韓国】現地ツウ推し!安い、旨いソ
ウルの(せんべろ)居酒屋ベスト10(
後編)

大らかにお酒を楽しむ韓国。その首都ソウルは、“酒都”と呼びたくなるくらい飲み屋さんが多く、業態も多彩だ。今回は韓国酒場取材歴20年の筆者が選ぶ『ソウル居酒屋ベスト10』の後編(5位から1位)をお送りする。

大らかにお酒を楽しむ韓国。その首都ソウルは、“酒都”と呼びたくなるくらい飲み屋さんが多く、業態も多彩だ。
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今回は前回に続き、韓国酒場取材歴20年の筆者が選ぶ『ソウル居酒屋ベスト10』の後編(5位から1位)をお送りする。
選考の基準は、コスパがよいこと、主人が人情肌で常連さんとも親しくなりやすいこと、つまみに特徴があることなどだが、上位ランクはとくに日本人が行きやすい明洞(ミョンドン)や仁寺洞(インサドン)に近いエリアにある店を選んである。
次回訪韓時にぜひ訪れてもらいたい。
第5位 幸福カンチプ/행복한 집(鍾路3街)鍾路3街(チョンノサムガ)は、お父さん向きの大衆酒場街とおしゃれカップル向きのカフェやバー、そして、ゲイカルチャーが共存するソウル旧市街の注目エリアだ。
幸福カンチプ(ヘンボッカンチプ)はそのメインストリートに面したジョン(チヂミ)で生マッコリ(韓国では生が基本)を飲ませる大衆酒場。とくに地方のマッコリが充実していて、なかでも伝統製法で作られた釜山の金井山城(クムジョンサンソン)が4000ウォン、全羅北道の人間文化財が醸したソ・ミョンソプが5000ウォンと、隣町の観光地・仁寺洞のマッコリ専門店の半値近い価格で飲めるのがうれしい。
外観も店内もおしゃれとはほど遠いが、老若男女や国籍の分け隔てなく、誰でも気楽に飲める店だ。店の前はソウル最大の屋台街で、『幸福カンチプ』も店の前に簡易テーブルを置いたり、テントを張ったりするので、屋台感覚で楽しむこともできる。
幸福カンチプ
住所:종로구 돈의동44-4
TEL:02-747-2324 日曜定休
第4位 ソウル食品/서울식품(鍾路3街)筆者の事務所が取材コーディネートを担当した番組『世界入りにくい居酒屋』(NHKBSプレミアム)に登場しなかったら、日本からの観光客はまず入らなかっただろうと思える店。
夕方以降は酒場と化すが、じつは小さな食料雑貨店だ。
清渓川(チョンゲチョン)添いの小さな金属加工工場の密集地域にあり、本来は工場で働くお父さんたちがコーヒーやタバコを買ったり、カップラーメンを食べたりする憩いの場なのだが、3、4年前からチープでディープな酒場が好きな韓国の若者の目に止まり、ブログなどで取り上げられるようになり、今ではカップルの姿も珍しくなくなった。
サーバーから注がれる生ビールも焼酎(瓶)も生マッコリも全部2000ウォンという破格値。
つまみは目玉焼き(卵3個入り)3000ウォンからあるが、高くても10000ウォン(サンマのチゲなど)、12000ウォン(巻貝の和え物)なので、財布を気にせず飲み食べることができる。
NHKの番組を観た人はおわかりだろうが、この店の最大の魅力は、韓国の経済成長を陰で支えた工場労働者たちに酒やつまみを安く提供したいという心意気の女将(50代)。
工場街のマドンナ的存在である彼女は、食料雑貨店と調理場を兼ねた1階のテーブル数席でしか拝観できない。夕方、1~3名で訪れ、マドンナが美しく立ち働く姿を愛でながら一杯やるのは至福の時間だ。
ソウル食品
住所:종로구 관수동 102-1
TEL: 02-2267-3657 日曜定休
ベスト3発表!
第3位 味カルメギサル専門/미갈매기살전문(鍾路3街)ソウル旧市街のなかで今もっともエキサイティングな鍾路3街。『味カルメギサル専門』は、その大衆酒場エリアと、おしゃれなカフェやバーが集まっているエリアの境界線にある。
裏通りのY字路の又の部分に位置するため、夕方以降、ご機嫌な酔客が常に行ったり来たりする様子はソウル飲み屋街のビジュアル大賞と言ってよい。
2年ほど前、韓国の人気グルメ番組『水曜美食会』で、著名なコラムニスト、ファン・キョイク氏がこの店を推薦して以来、しばらく行列が絶えなかったが、今は一段落しているので、利用しやすくなっている。
店名のカルメギサルとは豚ハラミのこと。この店に来たら誰もが頼むこの肉は日本の人におなじみのサムギョプサルのような脂身がほとんどなく、ほどよい弾力があるので、酒のつまみにぴったり。しかもお店の人が細かく切ってくれるので女性にも食べやすい。オリジナルのレモンソースにつけて食べると、さっぱりいただける。女性客が多いのもうなずける。
味カルメギサル専門
住所:종로구 돈의동 7-1
TEL:02-3672-0081 第3日曜定休
第2位 乙支OBベオ/을지오비베어(乙支路3街)明洞の最寄り駅である乙支路入口(ウルチロイプク)駅から1駅となりの乙支路3街駅の周辺は、インテリアや水回り製品、照明などの専門店街だ。
この駅の3番から地上に出て、ウリ(woori)銀行を右手に見ながら進み、最初の路地を右折してしばらく行くと、庶民的なビアホール街が姿を現す。
この辺りでは、席にさえ着けば何も言わなくても、たちまちジョッキの生ビールと鱈の干物をあぶったノガリクイが出てくる。ビールのおかわりがほしければ店員に向かってジョッキを指さしたり持ち上げたりすればよい。
周りに個人商店が多いので、時間を自由に使える中所企業のオーナー(中高年男性)が昼間からビールを一杯飲んでサッと仕事場に戻る。1970年代からそんな利用の仕方が一般的だったのだが、ここ数年のレトロブームに乗って、若者の人気スポットとなり、しゃれた店が増えてきた。筆者は昔ながらのビアホールの雰囲気が好きだったのだが……。
そんななかでも昔の雰囲気を残しているのは、最古参の『OBベオ』。店内にはL字カウンターが2つあるだけで、20人入るか入らないかだが、店の脇や裏に駐車場のようなスペースがあるので、そこでも飲める。
この店では生ビール3500ウォン、ノガリクイが1000ウォンと一般のビアホールより安い。
ノガリクイに添えられる真っ赤な唐辛子のタレは韓国人にも辛いが、激辛ダレで燃える口中をビールで消火→再び激辛ダレ。このリズムが楽しい。
乙女OBベオ
住所:중구 을지로3가 95-4
TEL:02-2264-1597 無休
第1位 ウファ食堂/우화식당(乙支路3街)2位のOBベオがあるビアホール街の周辺は、雑居ビルの間をぬうように狭い路地が網の目のように広がっている。こんな路地に雰囲気のいい酒場があったらなあと思いながら歩いていると、奇跡のように存在するのが、第1位のウファ食堂だ。
軒先に大根の干し葉や干し鱈がぶら下がっている光景は、田舎町ならともかく大都会ソウルではめったに見られない。
店を一人で切り盛りしている女将はいつも黙々と調理に励んでいる。その後ろ姿は昔懐かしい母親の姿そのものだ。酔客にお愛想を言うようなタイプではないが、飲み過ぎの客には毅然とした態度で接する。だから、日本の女性客でも安心して利用できる。
毎週土日の2日間は定休日なので、週末に旅行することが多い日本の旅行者にとってはなかば幻の居酒屋的存在だ。
ウファ食堂
住所:중구 입정동 250
TEL: 02-2277-4997 土日定休
※いずれの店も、17時前後の入店がおすすめ。写真説明文にあるハングル表記の住所をタクシー運転手さんに見せれば、近くまで連れて行ってくれる。

アーティスト

ウレぴあ総研

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