日本最大級のTOKYO CALLING 2018 SP
ICEライブレポート1日目【新宿】SIX
LOUNGE、夢みるアドレセンス~ハン
ブレッダーズ、WOMCADOLEまで

日本最大級のライブサーキット【TOKYO CALLING 2018】 9.15 新宿エリア
新宿、下北沢、渋谷の3エリアに渡り展開される日本最大級のライブハウスサーキットイベント『TOKYO CALLING』が今年も開催された。
今年は9月15日に新宿、16日に下北沢、17日に渋谷のスケジュールにて敢行。毎年の各地の名物サーキットフェスとの連携はもとより、今年は「BASEMENT-TIMES」「Ruby Tuesday」「ピストル・ディスコ」「フジテレビ LOVE MUSIC」「SPACE SHOWER NEW FORCEコラボステージ」「ジロッケン環七フィーバー」といった発信メディアとのコラボステージも多く組み込まれ、新たなる試みも感じられた。
全国各地から計300組以上のアーティストが出演し、自身の音楽性やアイデンティティを30分という決められた枠の中で、魅せつけ、ぶつけ合った同フェス。述べ1万2千人のオーディエンスがそれらを浴び、聴き、受け止め、浸り等々、様々な楽しみ方をしていたのも印象深い。
そんな『TOKYO CALLING』の初日の会場は新宿であった。
SIX LOUNGE Photo by タマイシンゴ
ロフトに登場したSIX LOUNGEは目覚まし&盛り上がりの着火役を担った。フィードバック音の中、ボーカル&ギターのヤマグチユウモリが「TOKYO CALLING!起きてんのか!?」「ちゃんと目を覚ましてんのか!?」と、いきなり会場を覚醒しにかかる。
「30分のために大分からやってきた!」と1曲目は「僕を撃て」。パーティ感を伴った同曲が、じわじわ加速しながらもピークではガツンとした盛り上がりまで場内を引き上げる。続けて、「連れていくぜ!!」と言わんばかりに突入した「STARSHIP」では、「ボーッとしてると置いていくぜボケ!!」(ヤマグチ)と更にライヴの加速度を上げていく…ものの、勢いにノリ過ぎて歌詞がトぶ場面も。そこでは歌が会場に預けられ、それを会場中が補完する名場面も生まれた。
SIX LOUNGE Photo by タマイシンゴ
中盤では彼らの魅力の一つでもある抱き寄せる方面の曲も登場。人気曲「メリールー」がぐっと会場を抱きしめると、打って変わりスリリングで性急的な「LULU」では会場の盛り上がりの火に油をガンガンに注いでいく。また、カウパンクな「トラッシュ」が会場に突込んでくれば、「俺のロックンロール」では歌に込められた想いが、“届け!!”とばかりに放たれていった。ラストはソリッドで疾走感のある新曲「ラストシーン」も披露。ラストに向けてテンポアップし走り出していくかのような錯覚をおぼえた。
見事、終始ロックンロールに込めたアイラブユーを会場中放ち、楽器と“まだ観たい!!”とのお客さんの心を置き去りに彼らはステージを去った。
Zirco Tokyoでは他会場とは違い、短い転換スパンで数多くのアーティストの饗宴が行われた。こちらはアイドルやアイドル的存在、またバックトラックに載せて歌うアーティストたちが多く出演。そこに3人の新メンバーを交え、久々に7人の盤石な態勢にて登場したのが夢みるアドレセンスであった。
“他の会場のロックバンドたちには負けない!”とばかりに濃くアゲアゲ、本人たち曰く「胃もたれしそうなセトリ」で挑んだ、この日。
夢みるアドレセンス Photo by kaochi
好きな男の子とずっと一緒にいたい気持ちを会場中に広げた「リーダーシップ」。荻野可鈴が「夢みるアドレセンスがTOKYO CALLINGに降臨!!」と口上をキメ、フォーメーションの縦横無尽さや会場交えての旗揚げも楽しめた「桜」、疾走感と爽快感溢れるサウンドの上、歌い踊られた「17:30のアニメ」、また、「アイドルレース」では、ラウドさも交えたサウンドの上、情報量を詰め込んだリリックが饒舌に歌いこなされていく。
また、後述のハンブレッダーズに提供してもらった楽曲「メロンソーダ」では、ギターロックサウンドに乗せて甘酸っぱい気持ちが放たれ、「なんであの子ばかり見るの?私のこの想いに気づいて!!」的な乙女心に胸がキュンとなる。ラストは「会場中一つになろう」と「ファンタスティックパレード」に。ラテンポップ部では会場も交えての盛り上がりを見せ、30分のステージを締めた。
セックスマシーン
セックスマシーン Photo by nishinaga "saicho" isao
登場時に「このTOKYO CALLINGで一番みんなが一緒に歌える出番にするから!!」と誓いMARZのステージに立ったセックスマシーン。結果この日全会場で最も一緒に心の限りの声を上げた名場面に立ち会うことが出来た。
登場SEの後、ボン・ジョヴィの「You Give Love A Bad Name 」が大音量で流れる中、2階のテラスからボーカル森田剛史が現れる。のっけから「今年は意味のある曲は一曲もやりません!その代わりにかっこいい曲だけをやります!!」とマニュフェスト。「サルでもわかるラブソング」に入る。ほぼ、♪おれおまえすきすき♪のシンプルなフレーズのみで成立している同曲に、既知未知問わず会場が大合唱を見せる。
セックスマシーン Photo by nishinaga "saicho" isao
「全会場中で最も心の動きが激しいバンドだから、俺たちは」とは森田。ドタバタ2ビートの「(It's only) ネクラ」。例えいま別れてもまた再び出会える。そんな旅立っていく友への別れのエール「春への扉」、ラブソングの「頭の良くなるラブソング」が胸をグッとさせれば、「ロックの歌に意味なんて持たせない」との当初の公約通り、シンプルにウォーが曲のほとんどを成立させているラストの「君を失ってWOW」に於いては、間違いなくこの日全会場中で、
最もお客さんに一緒に声を出させていた瞬間に居合わすことが出来た。
終いには隣り会場でライブ中の別バンドを誘いに外へ。その間中、お客さんがずっと歌を繋ぎ、最後は会場のお客さんを「最高なロックシンガー」と化させていたのも印象深い。
GOOD ON THE REEL Photo by タマイシンゴ
ロフトに戻りGOOD ON THE REELを観る。贈られる曲毎に、ここではないどこかへ誘ってくれる彼ら。まさにこの日も曲毎で心を各歌物語や場面へと佇ませてくれた。
まずは、前のめりの突っ込んだサウンドに乗せた「雨天決行」が、「大丈夫。安心しな。ここから連れ出していってあげる」とのメッセージと共に、いきなりの心強さで会場をガシッと抱きしめにかかる。ノンストップで入った「ゴースト」では、場内にダイナミズムが呼び込まれ、ボーカルの千野隆尋も彼特有のジェスチャーを交えた歌物語や感情を全身で表現。サビではパーっと眺めの良い場所へと誘ってくれた。
GOOD ON THE REEL Photo by タマイシンゴ​
「どこにいっても新しい発見や感動がある。そんな中、この時間も自分たちとみなさんで特別な時間を作っていきましょう」との千野の言葉の後、4つ打ちで上昇感のある「小さな部屋」に。ギターの伊丸岡亮太のファンキーなカッティングと共に、同曲がジワジワとした上昇感を与えてくれる。また、「二月のセプテンバー」ではシンセ風のギターソロも伺え、千野の歌声も青天井のように広がっていった。
そして、ギターの岡崎広平によるイントロから入ったラストの「私へ」では、再びライブが走り出し、“元気ですよ。幸せですよ”との気丈の振る舞いとは裏腹のとの本音を交えた強がりの心の手紙が風に飛ばされて聴き手の心まで届くのを目撃した
ハンブレッダーズ
ハンブレッダーズ Photo by タマイシンゴ
そのままロフトに滞在。続くハンブレッダーズを観る。甘酸っぱい青春性を会場中に広げていった彼ら。「ひとりぼっちの音楽を歌いに来ました」とボーカル&ギターのムツムロアキラの言葉を皮切りに「DAY DREAM BEAT」がライブを走り出させた。
同曲が、あの頃の自分に会いに行かせる。続く躍動感やファンキーさも交えた「常識の範疇」では、ムツムロと吉野エクスプロージョンのギターのユニゾンとオブリのコンビネーションも耳を惹く。吉野が感情を込めたエモいギターソロをキメれば、最後はベースのでらしも交えた竿3本によるユニゾン場面も楽しませてくれた。
ハンブレッダーズ Photo by タマイシンゴ
また、サビのメロディも印象的な「スクールマジシャンガール」では、サビ部にて切ないキュンとした気持ちを与えてくれ、地元以外の街で自分たちのことを待ってくれている人たちを想い歌ったとの新曲「CRYING BABY」では、歌に乗せた「今後もみんなに向けて歌をうたっていく宣言」がフロアとメンバーの距離をぐっと近づけた。
その後もエモさとドライブ感を広げていった「フェイクファー」、「信じて突き進めばきっと夢や希望は叶う」と信じさせてくれた「逃飛行」での少年漫画の主人公のようにワクワクさせてくれる気持ちを残し、彼らはステージを去った。
SHIMA
SHIMA Photo by マサ
HOLIDAY SHINJUKUに移動。北九州のパンクロックバンドSHIMAを観る。「絶対に楽しいと思わせて帰る!!俺たちとお前たちで共に最高のライブを作ろうぜ!!」との心意気で臨んだ彼ら。その気概通り、この時間この場所では、フロアと会場が一緒に作り上げる「楽しい場面」が幾つも育まれていった。
ストレートさとドライヴ感。そこにラウド性を交えた「FUSUMA」が口火を切れば、高速2ビートにハイトーンスクリームも印象的だった「STORY」では、シンガロングやモッシュやサークルが早くも次々と生まれ出ていく。また、スケート性も交え、ウォールオプデスも起こした「DOGGYMAN」からは、よりハッピーさも場内に注入されていく。
SHIMA Photo by マサ​
「ライブハウスは気持ちをぶつけ合うもの。思ってることをここで全て吐き出してしまえ!!」とはボーカルのEGACCHO。場内も楽しそうに全身を使い一緒にZMS(ザイマス)のサインを作ったり、ジャンプしたりと会場参加で楽曲を完成させた「PARISLOTTE」。持ち前のハッピーさで会場中を踊らせた「TRILOGY」を経て、後半もその持ち前の楽しさの輪をグングン広げていく。
最後は「笑って帰ってちょうだい」の気持ちも込めて「USUAL THINGS」が大団円を誘うように会場に楽しさの輪を会場いっぱいに広げ、その中に無数の笑顔の花を咲かせていった。
WOMCADOLE Photo by タマイシンゴ
この日のロフトのトリを飾ったのは、今や出身地「滋賀の」から「日本のスーパーロックバンド」へと標榜を変えたWOMCADOLEだった。生き急ぐような、もう後がないかの如くな緊迫感と切迫感。喉から魂が飛び出していくんじゃないかとの情熱が全身を使い、毎度それらが満身創痍で伝えられる彼らのライヴ。この日の彼らも各曲を通し、「お前はそんなもんか?」と煽り、急き立て、詰問してくるかのような、実に彼ららしい雄姿を魅せてくれた。
「SEXよりも気持ちいいものがここにはあるんだぜ!!」とは樋口侑希(Vo.&G.)。それを教示せん、とばかりに入った「人間なんです」がドライブ感を交えた怒涛性と共に、まずは会場に挑みかかってくる。続く、ノンストップで入ったスリリングさとタイトさが特徴的な「ドア」にてライブをさらに加速させた彼ら。樋口の歌声にも艶が加わっていく。彼らの魅力の一つはサビで現れるカタルシス。Aメロ、Bメロでの深さが深いほどサビでの抜けた瞬間は爽快だ。
WOMCADOLE Photo by タマイシンゴ​
「衝動は大爆発。みんなで大爆発を起こそう。人間は不器用で何かが足りないもの。だけど、それでいいし、それで十分」と「絶望を撃て」を歌えば、「アオキハルへ」では、最初には戻れないから、今を一生懸命生きなくちゃいけないことを力の限り説く。また、お前らの心に着火してやるとばかりに挑まれた新曲「ライター」では、集まったオーディエンスたちの魂に火がついていくのを目の当たりにし、その火を更に燃え広げた「綺麗な空はある日突然に」で
はラストを会場の大合唱を得て楽曲を完成させていく名場面に出くわした。
特別にアンコールにも応えてくれた彼ら。“お前らもその二本の足でどこまでも歩き続けて行け!!”と言わんばかりに歌い放った「アルク」では、まるで“俺たちはこれからもこの二本の足で力強く歩いていく!!”かのような力強い宣言のようにも響き、「また俺たちとロックンロールしようぜ!!」との誓いを交わし、魂と気概を会場に残し彼らはステージを去った。
これをもって、2018年のTOKYO CALLINGの私の一日目は幕を閉じたのだった。
取材・文=池田スカオ

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