ニューロティカ × 四星球 爆笑の運
動会から悲喜こもごもの名曲まで、リ
スペクト溢れるライブ

『Way to 2000 2 MAN SHOW』ニューロティカ四星球 2018.9.21 渋谷TSUTAYA O-WEST
10月20日(土)東京・ZEPP TOKYOにて行われる、通算2000本目のライブ『Zepp de NEW ROTE'KA ~祝2000本達成ライブ~』を控え、2000本を目前としたカウントダウン・ライブシリーズ『Way to 2000 2 MAN SHOW』を開催中のニューロティカ。通算1997本目のライブであり、ツーマンシリーズ4本目となる四星球とのツーマンライブが、9月21日(金)渋谷O-Westにて行われた。“日本一泣けるコミックバンド”を自称する四星球と、自称していないのにコミックバンドと思われることの多いニューロティカ。バンドとしては20年近く後輩になり、常日頃から目標かつ指針としてニューロティカの名を上げている四星球だが、そんなのステージ上では一切関係無し! 四星球はこの日、自分たちが一番泣けて一番笑えるバンドであることを証明し、ロックンロール下剋上を果たすことが出来たのか!?
ニューロティカ / 四星球 撮影=のうだちなみ
「ただいまより、第386回 ニューロティカvs四星球 秋の大運動会を始めます!」と、両バンドの選手入場で始まったこの日のライブ。あっちゃんがボケまくって、いつまでも始まらなかった北島康雄(Vo)との開会宣言で運動会がスタート。綱引き、ぐるぐるバットリレー、フロアでの騎馬戦と3つの種目で勝敗を競った運動会は、2勝1敗で四星球の勝利! 四星球が早くもニューロティカへの下剋上を果たして、ライブがスタート。
わりと本気で競技に挑んだ運動会の直後、先攻で登場したのは四星球。「気づいたんですけど、僕らを疲れさせて潰しにきてますよね?」とボヤく北島。「あと4回で2000回! めでたいんで、さる回しを連れてきました」と紹介すると、さるの格好をした楽器隊が登場。フロアから登場したまさやん(Gt)のバック宙を合図に「運動会をやりたい」でライブがスタート。モリス(Dr)の軽快なビートにU太(Ba)が野太いベースを乗せ、ロックバンドらしい演奏でスタートしたと思いきや、曲中に観客を赤組と白組に分けて始まったのは運動会。高田純次やあっちゃんの真似、vs人間椅子で披露した「ヤングマン」のYMCAポーズを、どちらが上手に出来るかで競っていると「始まってから50分くらい、ずっと運動会してる!」と北島が笑う。
ニューロティカ / 四星球 撮影=のうだちなみ
ニューロティカ / 四星球 撮影=のうだちなみ
ニューロティカ / 四星球 撮影=のうだちなみ
「ニューロティカ先輩の前で言うのは恥ずかしいけど、16年間歌ってます。あっちゃんの“やりたいことをやらなきゃ嘘になっちまうぜ”の言葉を信じてずっとやってきました」と、ちょっぴり真面目に語って始まった曲は「クラーク博士と僕」。ニューロティカへの想いや感謝を込めた、力強く丁寧な演奏はすごく良かったし、会場を盛り上げていたのだが、途中、まさやんがガムテープで顔をぐるぐる巻きにしたり、北島が間奏でフラフープソロを見せたりと、結局、笑いに落とし込んでしまう。四星球ってバンドは、んもう!(笑)
ニューロティカ / 四星球 撮影=のうだちなみ
「康夫!全然声出てないよ」とモリスが怒鳴り、「絶叫マシン発声練習や!」とお客さんも巻き込んで絶叫マシンごっこをしたり、その後もやりたい放題の四星球だが、続く「言うてますけども」で歌っているように、<やいやい 言うてますけども>とふと見せるシリアスや切なさが、どちらをも際立たせる。笑いと悲哀が背中合わせにあるからこそ、より面白く見えてくるのだ。そう、それはまるでピエロのメイクに描かれた涙のように。そう考えると、四星球がニューロティカを敬愛し、シンパシーを感じる理由も分かる気がする。
ニューロティカ / 四星球 撮影=のうだちなみ
MCでは「あっちゃん、ロックの中心って自分で言うてるんですかね? でも、ホンマに中心ですからね」と語り始めた北島。「ニューロティカがいなかったら、めちゃくちゃやってる僕らみたいなバンドは通用しなかったですから」とライブハウスにおける笑いの先駆者である、ニューロティカへの感謝を伝え、8年前に初めて出会ってツアーに誘ってもらった時の喜びを語る。「ツアーに誘ってもらったあの頃、8年前に出来た曲です」と始まった曲は、「Paint Pain」。あの頃とは全く異なる状況にある現在、当時の色と現在の色を混ぜた時、彼らにはどんな色が見えていたのだろうか?
ニューロティカ・アツシ 撮影=のうだちなみ
続く、「Mr.Cosmo」で客席も巻き込んでUFOを呼ぶと、「こんなバンドなんで自慢できることは少ないけど、通算2000本の前の前の前に選んでもらったのは自慢してもええでしょ? みんなにも自慢してもらえるような夜にします」と告げ、「今日呼んでもらったのは、2000回目指して頑張れのメッセージやと思うんで」と、ニューロティカの前でこれからも歌い続けていく覚悟を表明するようにラスト「豪華客船ドロ船号」を演奏。<50になっても自由にこの歌を歌ってたいな>と始まるこの曲は、まるでこの日、この場所で歌うために作られた曲にさえ思え、強く胸に響いた。
ニューロティカ 撮影=のうだちなみ
四星球からの想いを込めたバトンを受けて、後攻のニューロティカが登場。カタル(Ba)の「Yes! ニューロティカ!」の叫びでステージに登場したのは、まるで誰かに肩車されているくらい大きな巨大あっちゃん! 「気持ちいっぱいビンビンビン」でライブが始まると、巨大あっちゃんの煽りでロティカと四星球のタオルが会場中に回る。続いて、フロント3人の<夏、シンナー、お~~い!>の叫びで始まった高速ナンバー「夏・NANCY・16才」、祭り囃子が陽気な「シェリーは祭りが大好き」、会場中が掛け声を合わせた「太陽族」と、まだまだ夏は終わらない! とばかりに夏ナンバーを矢継ぎ早に叩きつけると、「夏・渚・17才」ではあっちゃんがサーフボードをかぶって登場。サーフボードをぐるぐる回して、<やらせて~! やらせて~!>と叫ぶ。ニューロティカってバンドは、んもう!(笑)
ニューロティカ・アツシ 撮影=のうだちなみ
「四星球、ザケんなよ!」と、“良いライブをしたときだけ、楽屋であっちゃんが言ってくれる”と北島が語ってた言葉が飛び出し、四星球を称えるあっちゃんだったが。「しゅーしんちゅう」と発音するあっちゃんに、「四星球って言えてない!」とメンバーから総ツッコミ(笑)。「しゅーしんちゅうに捧げます」と始まった「バイバイモンキー」は途中、「クラーク博士と僕」のカバーが挟まれ、四星球ファンも大喜び。「一生、臆病者なんかになるんじゃねぇぞ!」と熱いメッセージを送ると、<頑張れよ オー! 踏ん張れよ オー!>の掛け声に会場中から拳が上がる。
ニューロティカ・ジェームス 撮影=のうだちなみ
ナボ(Dr)とカタルが生む痛快なグルーヴに、ジェームス(Gt)のロックンロール・ギターが抜群にカッコ良かった「ウィスキー・ロック」、「ピリオドの向こう側に行ってしまった、仲間たちに送ります」と始まった「Fight ~BEST Fight~」と続き、いまは四星球がニューロティカにどうやっても敵わないけど、ここからどんどん増してくであろう部分は、この年齢を重ねたからこその哀愁なのだろうなどと考えていると、北島も「この言葉を信じてきた」と語った「嘘になっちまうぜ」が始まる。ナボの力強いビートと、ジェームスとカタルの重厚なアンサンブルに乗せて放たれる、<やりたいことをやらなきゃ嘘になってしまうのさ>の歌詞がいつも以上に心を打つ。
四星球 撮影=のうだちなみ
ライブはいよいよ終盤戦、「ロックンロール クレイジーラン」では、アツシとカタルが縦横無尽にステージを走り回ると、ジェームス、そしてナボまでステージを走り回り、ドラム不在で全員がステージを走り回るという異常事態に(笑)。ライブ終盤は「34年歌ってます」と始まった「DRINKIN BOY'S」、「五十の夜」と続き、「チョイスで会おうぜ」で掛け声を合わせると、曲中にあっちゃんがハッピを背負い、「小宇宙と書いてコスモと読む」と「Mr.COSMO」のカバーが始まる。2階席からUFOが降りてくる仕込みまでする用意周到ぶりで、後輩相手でも容赦のないニューロティカ。ラストは北島もピエロ姿で登場した、四星球を呼び込んでの「絶体絶命のピンチに尻尾を高く上げろ!」で、歌って踊って楽しくフィニッシュ。かなり年の離れた先輩後輩ながら、互いのリスペクトに溢れ、本当に楽しく温かい気分になれる素晴らしい対バンだった。
ニューロティカ / 四星球 撮影=のうだちなみ
最後にニューロティカが「クラーク博士と僕」を演奏し始めた際、たまたま2階席の僕の隣で見てた北島が嬉しそうに笑った後、涙を拭いたのを見てしまったのはここだけの話にしてほしい。笑えて泣けるコミックバンドの大先輩は、やっぱり一枚上手。ロックンロール下剋上には、もうちょっと時間がかかりそうだ。あ、ニューロティカはコミックバンドを自称してないわ(笑)。
ニューロティカ / 四星球 撮影=のうだちなみ
9月24日(月)のvs氣志團で5本のツーマンショーを終えた『Way to 2000 2 MAN SHOW』を経て、10月13日(土)開催のGAUZE主催『消毒GIG VOL.170』に出演し、いよいよ10月20日(土)東京・Zepp Tokyoにて『Zepp de NEW ROTE'KA ~祝2000本達成ライブ~』を行う。ZEPP TOKYOワンマンのチケットはただいま絶賛発売中なので、ツーマンショーを経てさらに強靭になったニューロティカのライブをワンマンでしっかり堪能してほしい。

取材・文=フジジュン 撮影=のうだちなみ
ニューロティカ / 四星球 撮影=のうだちなみ

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