MOROHAアフロの『逢いたい、相対。』
第七回ゲストは般若 2人はなぜラッ
プに惹かれたのか

MOROHAアフロの『逢いたい、相対。』6回目のゲストは般若。2人が対談場所に到着する前、スタッフは皆そわそわしていた。果たしてどんな空気になるのか、どんな話をするのか、この連載初のラッパー同士の対談だからこそ妙な緊張感が漂っていた——。般若といえば『フリースタイルダンジョン』のイメージが強い人もいるだろう。実際にここ数年、番組をきっかけに街中でサイファーをやる若者が増えた。彼が今のHIP HOPシーンを盛り上げた立役者の1人であることは間違いない。そもそもSNSがなかった時代にラップの世界に惹かれた彼らは、今のシーンをどのように見ているのか。いや、そもそもラッパーとは何なのだろう。今回、2人がマイクを握った原点について語り合った。
●般若さんといえば日本刀を持ってラップをかましてたイメージがありました●
アフロ:俺は漫画に出てきそうなバンドとかラッパーが好きなんですよ。逆に、漫画に出てこなそうなアーティストはつまらないし、漫画に出てきても細い線で描かれるようなラッパーはダメだな、と思って。
般若:あぁ、劇画系だ。
アフロ:そうなんです。『HEAT-灼熱-』みたいな感じが良いな、と思って。
般若: MOROHAは十分、劇画になってると思うよ。
アフロ:般若さんこそ、まさにそうじゃないですか。
般若:いや、みんなからどんなイメージを持たれているか知らないけど、たまたまこの顔面がくっついてるだけで。中身は引きこもりタイプだし、ただの漫画と犬好きなやつだよ。
アフロ:みんなは逆のイメージで見てるわけですよ。そこはどう思ってるんですか?
般若:もういいや、と思って。話すと「意外と普通ですね」って言われるんだけど、どんなふうに思っていたんだろうって(笑)。
アフロ:我々世代は、般若さんといえば日本刀を持ってラップをかましてたイメージが最初にありました。
般若:ああいうことをしなきゃいけない時期があってさ。
アフロ:しなきゃいけない、ってどういうことですか?
般若:自分を売り込むために考えて。なんか風穴を開けて爪痕を残さないといけない感覚で、まぁプロモーションの一環だよね。今でも必死だし、自分が成功しているとは1ミリも思わないし、余裕なんてないけど。
アフロ:般若さんはプロモーションの一環でやっている反面、本当にそういう人だと思われるぐらいの気迫でやっているじゃないですか。
般若:その時はある意味、役に入ってるからマジはマジなんだよ。俺もたまに笑いそうになるけど、それぐらいで良いと思うんだよね。常にステージのままのテンションで生きていたら、今頃捕まってると思うし(笑)。
アフロ:あぁ、なるほど。そもそも本当にヤバイ人はライブもしないし、この対談にも来ないですもんね。
般若:そうだよ。
アフロ:いつも思うんですけど、ラッパーはどんだけ悪いことを歌って「あの人はヤバイんだ」と思われていても、一歩踏み込めば家でリリックを覚えてる姿が想像できるじゃないですか。
般若:そうだよね。実は曲を考える姿なんて、結構滑稽なんだよ。
アフロ:そう思うと一気に愛おしくなるんですよ。
般若:それだけの読解力や理解力がリスナーにはないのかもしれないけど。本当に悪い奴は音楽をやってないから、と言いたいよね。
アフロ:とはいえ、どこかで本当に悪いラッパーはいるんじゃないかと信じてるんですよ。
般若:何人かはいると思うよ。だけど、本当に悪い奴は片手間というか、趣味で音楽をやってるんじゃないの? こっちがメインじゃねえじゃん。俺は本気で音楽が好きだから分け隔てなく聴いてるし、一通り聴いて良いものは良いと思う。
アフロ:どういう音楽が般若さんにとって良いものですか?
般若:最近の若い子たちは、本当にみんなラップが上手くなっているけど、上手すぎても右から左へ流れていくことがあるわけよ。上手いものをずっと聴いていて、たまにサウンドから逸れてはみ出してる奴がいるじゃん。漫画だったら枠からセリフが飛び出すみたいな。そういう奴は面白いと思うね。ジャンルは違うけどJ-REXXXはすごいと思うし。まあ、今の若い人たちは本当に上手いと思うわ。テレビの仕事で若いチャレンジャーを見てても、上手すぎて何を言ってるかわからないもん(笑)。会場が沸いてるから上手いんだこの子! でも何を言ってるかわからないんだよ、っていう。
アフロ:上手いっすよね。たまに盆踊りのリズムで乗せられた時にハッとしたりしますよ。
般若:ああいうリズムは取り入れていった方が良いと思うんだよ。日本はどこへ行っても手拍子の世界だから。
●実際に自分の目や耳で感じたことの方が一生、体に残るぜ、とは言いたい。自分の世界観は広がらないぜ、って。たまに寂しい気持ちにもなる●
アフロ:ちなみにライブで手拍子って起こりますか?
般若:たまにライブをじっと見られた後に手拍子されることがあって。これがここの常識なんだな、みたいな。
アフロ:歌ってる最中はないですか?
般若:昔はあったね。びっくりはするけど、それに対しては基本スルー。ライブ中の野次も基本的にはスルーする。センスがある人は拾うけど、ない人は拾わない。
アフロ:いろんなイベントに出ると、ふいに起こる手拍子も気になるんですけど、ライブ中にスマホを向けて写真撮ってる人がいるじゃないですか。別にマナーがどうこうじゃなくて、俺のテンションが下がるから止めてほしいんですよ。
般若:そうだね、それはわかる。
アフロ:どうしても気になったら言うんです。「スマホで撮るんじゃねえ」じゃなくて、「せっかく速度制限とか容量の関係ない世界で俺たちは共有してるんだから」って。だけど、捻りを効かすと伝わらないんですよね。話のわかる客は湧くんですけど、本人は自分が容認された気持ちになってイエー!って撮り続ける。
般若:ここ10年くらいで撮る人が増えてきたじゃん。自分のワンマンだったら全面的に禁止してるけど、あれってマナーの問題だと思うんだよね。特にHIPHOPのお客さんは若い人が多いから、どうしてもそうなっちゃうのかなと思う。ただ、実際に自分の目や耳で感じたことの方が一生、体に残るぜ、とは言いたい。自分の世界観は広がらないぜ、って。たまに寂しい気持ちにもなるし。
アフロ:そうっすね。壁を隔てられちゃてる感じがしますよね。
般若:こっちが携帯を下げてください、と言ったら被害者意識を持たれちゃうし。なかなか難しい問題だけどちゃんと考えたいよね。俺が10代の頃は、ポケベルだけで携帯なんてなかったからさ。それでも一生記憶に残るライブを観てきた感覚はあるし。ただ、今の人たちは今の人たちなりの受け止め方があるのもわかるけど……わかるんだけどって思う。
アフロ:俺はそこまで行けないっすね。こいつら何なんだろうって思う。
般若:「今からヤバイ曲をやるから、全員携帯を下げろ」と言う時はある。
アフロ:それぐらいの言い方をしないと、全員には伝わらないですよね。
般若:そうだね。
アフロ:直接言わなきゃ伝わらないという話ですけど、リリックに関しては絶妙なところを突いてるイメージがあるんで。直球なんだけど、ちょっと回転が人と違ってまっすぐみたいな。般若さんのリリックは高いレベルを提供しつつ、馬鹿にも分かるものを作らないといけない、って気持ちが伝わってくるんですよ。
般若:テレビが受け手の理解力を下げた気がして。2004年か2005年くらいから、すべてのテレビ番組に字幕がつくようになった。そうすると、みんな映像よりも字幕を追っていくんだよね。その最たる番組が『エンタの神様』で、あれってオチを全部言っちゃてるじゃん。それに付随して、みんな説明を欲しがるようになった気がするんだ。音楽でいうと「この歌詞はどういうことを言ってるんですか?」って。「いや、そのまんまだわ」と思うし、説明しなきゃいけないほどレベルの低いものはないよ。そこに理屈は求めてねえし、って。
アフロ:テレビの話なんですけど、俺は耐えられないんですよね。ニュース番組でTwitterのコメントが出るじゃないですか。あれに発狂したくなるっすよ。
般若:SNSというものに、みんなが依存してるということでしょう。
アフロ:それにコメントの質がすごいっすよね。
般若:俺もインスタにメッセージを頂くんだけど、毎日10~20人はブロックしてるよ。なんで、この馬鹿にこんなことを言われなきゃいけないんだろうと思うし。所詮は顔を隠してものを言ってるやつだから、って。そんな奴らにこっちが攻撃される時間がもったいないと思う。
アフロ:俺が中学生の時は、SNSなんてないからファンレターを送るしか連絡手段がなかったわけじゃないですか。でも送り先もわからないし、この気持ちをどうしようと思って、ラップすることに行き着くわけですよ。今はそういう気持ちにならないんじゃないかな、って。
般若:そうそう。もうネット社会は制限がないじゃん。俺たちは何もない状況から手探りできたと思うし、それよりも苦労した先輩たちはいっぱいいるわけだけど。選択肢がありすぎるのも残酷なことだと思うんだよね。全部揃っちゃってるというのは。
●MOROHAの楽曲を聴いてて、相当すごい世界へ行ってるなと思うんだよ●
アフロ:インスタには何をあげてるんですか?
般若:ライブの情報だったり、あとはテキトーだよ。最近はトレーニングの写真が多くなっちゃうから、あんまりあげてない。
アフロ:トレーニングを始めたきっかけは何だったんですか?
般若:恥ずかしながら、ちゃんとトレーニングを始めたのは30歳からなんだよ。自分のワンマンに備えて身体を変えなきゃと思って。これで如実に結果が出なければやらなくて良いや、と思ったら10年も続いた。自分のマインドが良くなるし、世界も広がったかな。
アフロ:トレーニングでマインドも変わるっすか?
般若:確実に良い方へ変わる。「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言葉は本当だよ。10人中10人がトレーニングをやって良かった、っていうと思うんだよね。
アフロ:ライブの発声だったり、パフォーマンスも変わりますか?
般若:全然変わってくる。トレーニングをやる前よりも、だいぶ良くなったかな。今日も午前中にジムへ行ってきたし。
アフロ:へぇ! メニューも決まってるんですか。
般若:そうだね、頭の中で何をやるか決まってる。
アフロ:歌詞を書く作業と繋がったりします?
般若:するよ。トレーニング中は無心になれるし、ふと言葉が思いつくこともある。
アフロ:俺は歩くのが好きで、そういう時間に歌詞が思いついたりするんですよ。
般若:身体を動かしていると、閃きやすいと思う。ずっと椅子に座っていても疲れるし、夜中に書くものは深くなっていく。
アフロ:夜中はそうっすよね。
般若:すごいテンションになるよね。夜中の2時に書いたやつを、朝10時くらいに読むと「コイツやばいな」みたいになるじゃん(笑)。
アフロ:寝る前に歌詞が浮かんだりしないですか。
般若:ああ、あるかもしれない。
アフロ:俺は枕元にノートを置いておくんですよ。寝る前に思いついたことをワーっと書いて、翌日に見ると悪い方の荒削り感があって。この間は「逃げてんじゃねえよ、男だろ!ガッツ!ガッツ!」と無茶苦茶な書き置きがありましたね。ダサすぎるだろ、って!
般若:MOROHAの楽曲を聴いてて、相当すごい世界へ行ってるなと思うんだよ。言葉があれだけ研ぎ澄まされているというのは、そこに至るまで無駄なものを引くって作業を自分の中ですごいしてきてるんだろうなって。だからこそ言葉が生きてるんじゃないかな。ピストルさんにも同系列の感覚を覚える時があるんだよね。
アフロ:俺は情景描写をなるべくすっ飛ばすようにしてるんですよ。小説でいえば全部がカギカッコで書かれている物語じゃないと、体重を乗せて吐けないところがあって。そういう意味で、そこの引き算をすごいしてるかもしれないです。これは恥ずかしいと思うんですけど、詩集が読めないんですよね。詩人さん特有の情景をつらつらと書いて、そこから読み取って下さいっていう文体がすごく苦手で。
般若:俺は漫画しか読んでないからな。
アフロ:そうなんです。結局、漫画って吹き出しの世界じゃないですか。それに俺も魅了されているんですよ。
般若:それと俺の場合、何人かの大事な友達と話している時に言葉をもらったりパンチラインをもらったりするかな。
アフロ:そこでもらう言葉は普遍性があって良いですよね。
般若:そうだと思う。作られた言葉じゃないから、そういうのが一番残ると思うよ。
アフロ:人間関係においては、信頼できる人さえ居れば良いですか?
般若:うん、あとは要らない。元々、地元のやつ以外は全然付き合ってなかったし。今でもそうだけど、俺は本当に質素だと思うんだよね。思いっきり豪遊することないし。銀座へ行ってシャンパンを開けるとか、俺は一生ないと思う。人にもよるけど、ラッパーって外から派手に見えても全然そんなことないよね。
●俺の肩をポンと叩いて「上がってこいよ」って●
アフロ:そういえば、最初は「般若」ってグループ名だったんですよね。それは高校生の時ですか?
般若:そう、高校生の時。最初はDJになりたくて、ターンテーブルを買ってDJの練習をやってた。そしたら同じ高校で「隣のクラスの荒居さん(RUMI)がラップしてる」と聞いて、日本語でラップが出来るんだ!って驚いたの。それが俺の中で人生が変わっちゃった瞬間かもね。それから段々、ラップをやりたくなったんだけど、どうやったら良いかわからなくて。RUMIに「ラップってルールあるの?」「韻を踏むんだよ」「韻って何?」みたいな。その頃にキングギドラが出てきたりして、そんなこんなで今に至る感じ。
アフロ:実は、俺もRUMIさんがターニングポイントになっていて。MOROHAを組む直前に俺の地元へRUMIさんが来たんですよ。「A.K.Y」が入ってる『HELL ME NATION』のリリースタイミングだったのかな。俺とUKは東京へ出ていたんですけど、地元の先輩との絡みがあったので「お前らも出ろよ」と言われて。それこそ般若さんが日本刀を持ってやるような、自分のセルフプロデュースも含めて、相手を倒しに行かなきゃいけないんだ、というマインドがあって。わざわざTシャツに「ゲスト喰い」とプリントして挑んだんです。そのまま行くとマズイんで、その上に1枚Tシャツを着て。出番直前、RUMIさんに「俺、めちゃめちゃヤバイライブをするんで、絶対に見ててください!」って。
般若:その感じ面倒くせぇ(笑)!
アフロ:意気揚々と行くんですけど、全然実力が伴ってないし、フロアも盛り上がらないわけですよ。おまけに、中に仕込んだ文字を見せるためにTシャツを一枚脱ごうとするんだけどマイクが絡まって全然脱げない。
般若:ハハハハハ! その状況はヤバイね。
アフロ:なんとか脱いだ後に「RUMIより俺がヤバイ!」というんですけど、フロアは一向に盛り上がらず。その後に出てきたRUMIさんが2曲目の頭で「俺がヤバイって、自分で言ったら世話ねえよ!」という一発でフロアはドカーン!と盛り上がって。俺もフロアにいたんですけど、周りの様子を見て半泣きで。俺は忘れられない負けを刻んだんだ、と思いました。
般若:あいつ怖え(笑)。その負け方は相当恥ずかしいね。
アフロ:負けるってこんなにカッコ悪いんだ。負けん気だけで立ち向かうと、こんなに痛い目を見るんだ。そこでステージに立つ者の覚悟を教わった気がして。RUMIさんは優しいですよ、ぶっちゃけスルーしても良いじゃないですか。でも、一言ちゃんと刺してくれたし、ちゃんとボコボコにしてくれた。
般若:挑戦を受けて、アフロのステージをちゃんと見てたんだろうね。
アフロ:俺らは今回のツアーで初めて、そのハコをワンマンでソールドアウトさせられたんですけど。いつも、あのステージに立つとRUMIさんに負けたことを思い出すんです。それから一度もご一緒できてない。
般若:俺も会ってないな。結婚して子供も生まれて、今は大変なんじゃないかな。
アフロ:逆にそういう挑戦を受けることはないですか?
般若:昔はいっぱいあったけど、今はないかな。
アフロ:フリースタイルのイメージが強いのに挑戦されないってことは、みんな仕掛けることもできないんですね。
般若:そもそも10年くらい前から対応はしてないかな。良ければいいんだよ、そしたら対応するけど。
アフロ:自分が若い頃は仕掛けてました?
般若:全然やってたよ。Big Lとか日本に来た外タレにもバンバン仕掛けてた。そしたらWu-Tang Clanのセキュリティに殴られたこともあって。当時17歳で、殴られた時は本気でアゴが外れたと思った。
アフロ:ビビらなかったんですね。
般若:うん、どっかでネジが飛んでるんだろうね。
アフロ:だけど冷静さもあるじゃないですか。シラフで挑んでいける、それが強さですよね。
般若:むしろ本当にぶっ飛んでたら行けないんじゃないかな。
アフロ:これも般若さんに近しい人のエピソードなんですけど、人生で忘れられない酷いフリースタイルがあって。RUMIさんの洗礼を受けた直後ぐらいに、俺がクラブで(OZROSAURUSの)MACCHOさんに「おいMACCHO、耳元だぜ」で仕掛けたフリースタイルが人生で最低の即興でした。フロアにいるのを見て大好き故にビビっちゃダメだと思って突っ込んだんですけど、緊張で本当ボロボロでした。
般若:ヤバイね(笑)! あいつどうした?
アフロ:俺が緊張してるのをわかってくれて、静かに頷いてくれました。俺がラップし終わった後に、肩をポンと叩いて「上がってこいよ」って。
般若:あいつカッケーな(笑)。MACCHOってね、俺よりもそういうの嫌いなんだよ。大体のヤツは相手にしないからアフロはレアケースだね。
アフロ:行かなきゃと思ったのは、後にも先にもそれだけっす。般若さんが17歳で仕掛けた時は勇気を振り絞ってるんですか?
般若:そうだね。俺は周りに自分の音楽を聴かせられる環境がなくて。他がガチガチの暴走族ばかりの中、音楽へ行ったの俺だけだったから、勇気を振り絞ってやるしか他になかった。
アフロ:それしか道がねえっていう。それはSNSや今の時代と真逆ですね。
般若:俺は高校にラジカセを持って行って、階段の踊り場でブツブツやってた。だから今の子達がサイファーをやってることにビックリして。世の中はそんなに変わったんだ、と思った。
アフロ:今の時代に高校生だったらどうしてます?
般若:それは考えたことある。この間、R指定と話していたんだけど「今から通信制の高校へなんとか通って、『高校生RAP選手権』に出れないかな」って。とりあえずチヤホヤされたくない? という話になって。
アフロ:アハハハハ!
般若:この間、R指定に「俺がなんでダンジョン(『フリースタイルダンジョン』)に出てるか知ってる? モテたいからだよ」って。勝ち負けじゃなくてテレビに出てればモテるんだよ、って話を全員の前でした。
アフロ:だけどご結婚されてるじゃないですか。それは治外法権ですか? そこも記事に書きますよ(笑)。
般若:……一応それは役としてやってるから。
アフロ:役として、ってうまいこと使ってるでしょ。
般若:「全部、役作りだから」って。
アフロ:女性に対してこれは役作りだからと言えるし、役作りってインタビューで言ってるけど本当はちゃんとしてるから、とも言えるし。
般若:自分のことを最低キャラで売り出しておいて、良いことをやるとすげえ良い人に見えるんだ。それを俺はずっと言ってるわけよ。自分を最低だと言って、猫でも助けてみ? みたいなさ。
アフロ:それもセルフプロデュースっすもんね。
般若:全部テキトーだから。「般若さんですか?」って聞かれても「……あの、僕は双子の弟で、兄の音楽は否定してます」ってガチでいう時あるから。
アフロ:アハハハハ! でも、そう言われた方がファンとしてはなんか嬉しいですよね。
●MOROHAもピストルさんも“人物”というジャンルじゃん●
アフロ:ライブの話もふれたいんですけど、武道館をやるわけじゃないですか。
般若:必死だよ。俺も本当にこれだけ時間がかかってるしアレだけど、これからの人たちは大なり小なり、どんどんワンマンとかやってほしいな、と切に思う。自分もさ、クラブでやらせてもらえなくて三軒茶屋HEAVEN'S DOORから出てきた人間だから感じるけど、絶対にライブハウスでやったほうが良いと思う。
アフロ:我々も最初は池袋 CLUB BEDでやってたんですよ。その後にライブハウスでもやるようになったんですけど、決定的な違いはラッパーって一回ステップアップしてゲストの枠になると、そこからノルマを抜けるとリスクを背負わなくなるんですよね。だけどバンドは名前を知られるようになっても、自分たちでハコを押さえて、場合によっちゃ自分たちで赤字を出しちゃったり。そういうところでビジネスの感覚がバンドの方が地に足がついた感じするっすね。
般若:本当にそう思うよ。
アフロ:思い返せば、俺らが最初にライブでご一緒したのは(新宿)ロフトでしたね。(※2016に開催されたタワーレコード新宿店18周年✕宮川企画 による『マイセルフ,ユアセルフ』。MOROHA、般若、竹原ピストルが出演した)
般若:あのライブはすごかったよね。宮川企画はなかなか頭がおかしいと思ったよ。
アフロ:終わった後にセッションしましょう、って言ったの覚えてます?
般若:覚えてる。なんで俺が断ったのかというと、ピストルさんが最後に「浅草キッド」を歌ったんだよね。しかもアンコールだったじゃん。あれ以上のものは絶対にできないから、こっちが負け戦になると思ったんだよ。MOROHAもそうだけど、ピストルさんも“人物”というジャンルじゃない。フォークというよりも“竹原ピストル”というジャンルで、もはや説明が要らないというか。アレを出されちゃったら単に受け止めるしかないんじゃない、っていうさ。
アフロ:俺、今1人で感動してるんですけど……ピストルさんも般若さんに対して全く同じことを言ってました。この間、札幌でやった2マンがとにかく終始ずっとすごかった、と言ってて。何がそんなにすごいのか聞いたら、「般若だよ、アレは」って。あの3マンをもう1回やりたいっすね。
般若:もう一回やりたいね。
アフロ:その時は、セッションと言わずに何かやれたら良いっすよね。
般若:来年ぐらいには形にしたいな。
アフロ:宮川企画に話したら、すぐに組んでくれると思うんで。楽しみだなぁ、来年。
般若:そうだね。10月27日に俺らの2マンをやりつつ、来年は3マンを見越して。
アフロ:よろしくお願いします。
文=真貝聡 撮影=横井明彦
取材撮影協力=炭火焼 尋 (東京都目黒区上目黒3-14-5ティグリス中目黒II 3F)

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