INTERVIEW / 山嵜廣和 (toe) 「音
楽に求めているものは、いつの時代も
変わらない」ーーtoe・山嵜が語る、
新作と「音楽」に対する自身のスタン

日本が世界に誇るポスト・ロック/インストゥルメンタル・バンド、toe。
今年に入ってからは未発表曲やリミックス、CM提供曲などを集めた『That’s Another Story』のリリースや、バンドとしては初となる南米ツアーなど、例年以上に精力的な活動を見せているが、8月22日(水)にオリジナル・リリースとしては『HEAR YOU』以来、およそ3年ぶりとなるEP『Our Latest Number』をリリースした。
同作では『HEAR YOU』以降の彼らを象徴するような、toe流ヒップホップ〜R&Bのエッセンスを散りばめた作風を踏襲しつつも、初期の彼らを想起させる繊細でテクニカルなアンサンブルで魅せるエモ・インスト・チューンもしっかりと抑え、4曲という曲数ながらも密度の濃い作品となっている。
この度は、そんなtoeのギタリストであり、バンドを牽引する山嵜廣和にインタビューを行い、新作にまつわるエピソードに加えて、制作のプロセスやアメリカを始めとする海外での活動、文化の違いなど多方面から話を伺うことが出来た。
Interview & Text by Yuya Tamura & Eriko Sakai
Photo by Takazumi Hosaka
ーー新作『That’s Another Story』のリリースおめでとうございます。オリジナル・リリースとしては『HEAR YOU』以来、EPとしては『The Future Is Now』ぶりのリリースとなりますが、toeとしてフル・アルバムとEPで曲の表現やスタンスの違いについてお伺いしたいです。
山嵜:アルバムを作るっていう精神的体力がまだなくて(笑)。アルバムだと10曲くらい必要じゃないですか。そうすると、ギターの被せ方とか、仕上げのアディアが似てくる曲も出てきたり。僕の好きなバンドもアルバムで入っている曲よりもその前のEPに入っている曲のバージョンの方が好きだったりするんですよね。4曲だと集中して1曲1曲に手間を掛けられるのもあって、EPのサイズ感、好きなんです。
ーーEPに入っている曲の方がファンの中での人気曲になるっていうパターンもありますもんね。
山嵜:そうそう。まさにその感覚で自分たちの作品も作っています。
ーー今作のタイトル『Our Latest Number』には、まさしく「これが私たちの最新の姿です」という意味合いが込められているのでしょうか?
山嵜:英語で一番新しいことを「latest」って言うじゃないですか? 遅いの最上級(late + est)が最新? っていう。単語自体は「遅い」っていう意味なのに、それが「最新」を意味するっていうのが何かおもしろいなぁって昔から思っていて。「結局、同じ事象を指しているのに、立ち位置が違うだけで真逆の言い方になる」みたいな感覚は、「レイテストナンバー」を作っていた時に考えていたことでもあって。基本的に曲のタイトルって、最後の最後に勢いで適当に付けるんですが、この曲とそれに基づいたEPタイトルに関しては違いますね。珍しく。
ーー他の曲もそのテーマが関係しているのでしょうか?
山嵜:いや、あくまでも「レイテストナンバー」だけですね。それをEPのタイトルに持ってきたのは、何か収録曲に関係したタイトルにしたいという想いがあっただけで。
ーー一曲目「Dual Harmonics」は初期のtoeに近いニュアンスを感じられた一方で、「レイテストナンバー」は『HEAR YOU』に近い雰囲気を受けました。
山嵜:あまり「この曲はこうしたい」とかはなくて、結果的にそうなっちゃった感じです。よく『HEAR YOU』は「チャレンジングな作品だ」なんて言われるんですけど、それも結果的にあのような形になってしまったっていうだけなんですよね。
ーー初回限定盤に収録された、Black Sabbathの「War Pigs」カバーは、toe感を残しつつもバンドの新しい一面を垣間見ることができた気がします。「F/CE.®」の東京コレクション用に制作されたそうですが、Black Sabbathの中でも人気曲のこの曲を選んだ理由は?
山嵜:大定番の曲ではあるんですけど、昔から好きでギターをコピーしてたんで。他にもFaith No Moreもカバーしていたりしていて。何かのタイミングでこの辺のバンドのカバーをもう一回やりたいなとは前々から思っていたんです。でも、ああいうハードロックなバンドのボーカルって、日本のアーティストがやると個人的に違和感を感じることも多くて。やるとしたらインストなのか、雰囲気が全く違うボーカルがいいなと思ってたんです。
そうしたらちょうど山根くん(toeのBa.)が「自分がやっているアパレル・ブランドのコレクションをやりたい」って言っていて。「F/CE.®」のランウェイ・ショーをやるなら、山根くんらしさが出ているオルタナティヴ感のある音楽が合うんじゃないかという話から、昔やりたかったBlack Sabbathのカバーをtoeでやろうってことになったんです。若い時にコピーしているから、時間が経っても意外と覚えてて。すぐ弾けましたね(笑)。
山嵜:コトリちゃん(コトリンゴ)もすぐに「いいよ」って引き受けてくれて。演奏はテンポもまんまBlack Sabbathのオリジナルに近い感じでやってます。
ーー「レイテストナンバー」のMVについてお伺いしたいです。toeとはかけ離れたイメージの、いわゆる今どきな女性たちの夏の思い出シーンを集めたような、異色の作品になっていると思います。ラスト・シーンも印象的ですが、あの作品はどのような経緯で生まれたのでしょうか?
山嵜:MVって、僕はリミックスに近い感覚で作ってもらいたいんです。基本的に映像は「僕らの仕事ではない」と思ってて。誰かにお願いする上で、僕らからの意見を押し付けるのではなく、「僕らの音を元に、あなたの作品を作ってください」っていう感じでお願いしたいんです。明らかに内容が自分たちの主義や考え方と相反するものは嫌ですけど、「この人はこの曲をこういう感じで解釈したんだな」っていうのがわかるような作品が好きで。自分が何か作るときに、途中で色々口出されるとめちゃくちゃやりにくいっていうのは重々わかってるので、基本は「あなたのベストをお願いします」っていう感じでぶん投げます。
「レイテストナンバー」のMVについては、岡宗(秀吾)さんが以前作っていた、女性同士の青春感溢れる写真を繋げたスライドショー的なやつがすごく好きで。岡宗さんにあれをやってほしいと依頼したんですよ。
ーースマホに適した縦型のカットは今の時代っぽさも感じさせますよね。
山嵜:最近のSNSっぽい〜とかあまり考えていなくて。今言ったイメージを伝えたら自然とこういう風になったっていう感じです。あの動画素材は一切岡宗さん自身は撮影していなくて、実際に友人同士の女子4人だけでお互いに撮影し合ったものなんです。4人全員が写っているカットも、固定で撮ったりしていて。
ーー最近気になっているアーティストや作品はありますか?
山嵜:そんなに最新の音楽を追っかけているわけじゃないんですけど、5lackの新曲「Twiligh Dive」はすごく好きでした。。あと、今回ゲスト・ボーカルとして参加してくれたJCさんが所属しているんoon(フーン)もすごく良い。レコーディングも始まっている段階で、女性ボーカル誰かいないかなーって考えていた時に、Flake RecordsのDAWAさんから教えてもらったんです。本人に直接メールしたら「いいですよ」って快諾してもらえて、スタジオにお呼びして歌入れしてもらいました。
ーー山嵜さんはんoonのどういったところに惹かれたのでしょうか?
山嵜:あの、例えば、The Internetって、演奏は上手くないんだけどめちゃくちゃカッコいいじゃないですか。「かっちり完璧に出来上がっていない」っていう、それが逆に長所になってるし、すごくバンド感みたいなところに繋がってくる。なんというか、正統なルートとはまた違う経緯の音楽というかそういうものが好きで。んoonにも何かしらそういう要素を感じて、すごくいいバンドだなと思いました。
ーーtoeはこれまでも多くの女性アーティストをゲスト・ボーカルに迎えてきましたが、本作のJCさんの声を聴いて、何か一貫とした方向性のようなものがあるなと感じました。
山嵜:基本的にあんまり声を張らない人が好きっていうのもあるんですけど、JCさんこれまでとは異なり、R&Bのテイストも感じられると思います。あと、僕らの曲にゲスト・ボーカルで参加してもらうと、みんな曲に合わせようとしてくれるから、そう聴こえるのかもしれません(笑)。皆さんそれぞれの色があると思いますし。
ーーtoeはボーカルを楽器的に使いますよね。
山嵜:そうですね。それは前提としてゲスト・ボーカルの方を考えてるかもしれません。
ーー最近の作品ではゲスト・ボーカルも増えたなという印象も受けますが。
山嵜:アルバムの時はボーカルが入ると全体を通してメリハリがつくので、『HEAR YOU』の時は意図的に何人か入れたいなって最初の方から考えていました。
ーー本作はアメリカでは〈Topshelf Records〉からのリリースとなります。どのようにしてレーベルとの繋がりを持つようになったのでしょうか。
山嵜:SNSとかが普及してきた中で、いくつかの海外のレーベルから「うちで出さないか」っていう風に声をかけられていて。そのレーベルのひとつが〈topshelf〉だったんです。その当時は〈topshelf〉もレーベルを立ち上げて間もない頃で、レーベルのメンバーもみんな大学生くらいだったんですよ。僕らとしては海外で出すならその当時憧れていたエモの老舗レーベルみたいなところから出したいなって思っていて。そういったレーベルと連絡取ったりもしていたんです。でも、体のいい断り文句かもしれないんだけど、「何ヶ月かアメリカでのツアー経験がないとリリースしないという方針がある」っていう断り方をされて。それでどうしようかなっていっている時に、〈topshelf〉がまた声をかけてくれたんです。
山嵜:その頃には〈topshelf〉もBraidとかベテランのエモ・バンドの再発を手がけたりしていて、90’sリヴァイバルも抑えつつ、それに影響を受けた現行バンドも大体〈topshelf〉からリリースするようになるくらい、界隈で知名度が上がってきていて。お願いしようという話になりました。やり取りしていると、レーベルとしてすごくキッチリしているなっていう印象も受けます。音楽に対する熱量が高くて、バンドへの愛があるなと感じますね。
ーー新作のヴァイナルの種類を見ても、〈topshelf〉の熱量がすごいというのは感じられます。
山嵜:実際のアメリカのシーンはわからないけど、単純に日本よりもレコードが売れるんだと思います。それに、本当にレコードが好きなやつはレアなバージョンとかを欲しがったりするじゃないですか。その辺もマーケティングの一環として、彼らも熱を入れて色々な盤を作っているんじゃないですかね。僕らだけでやってたら絶対にここまでしないです(笑)。
ーーこれはレーベルからの提案なんですね。
山嵜:特殊ヴァイナルに関してはそうですね。
米レーベル〈topshelf〉からリリースされたtoe『Our Latest Number』のLP。3種類のカラー・ヴァイナルでリリースされた。
ーー〈topshelf〉からは多くの日本のバンドがリリースしていますが、日本のアーティストの海外進出についてはどう思われますか?
山嵜:インターネットがあるので、もはやどこの国のバンドとか関係なくなっていますよね。きっと僕らの音源を買ってくれている欧米の人たちも、そんなに「日本」とかを気にしなくなっているんじゃないかな。
ーー聴き手の環境が変わると、アーティストの売り方やプロモーションの仕方も変わると思いますが、toeとしてはどのようなスタンスを持っていますか?
山嵜:あんまり考えてないけど、元々しっかりとした理由がないと納得できないタイプなんです。リリース日周辺の締切とかについても、「何でその決まりに従わなきゃいけないの?」って思ってしまったり。あと、自分たちで全てやっているから、本当にやりたくないならやらないっていう決断もできたりする。とりわけ新しいことをやろうという気持ちはなくて、疑問に感じることはやらないというか、音楽誌のインタビューとかも、お金を払ってまでやってもらおうとは思わないし(笑)。
ーーストリーミング配信もされていると思うんですけど、今年1月にリリースされた『That’s Another Story』はLess track versionでした。あれはなにか意図があったのでしょうか。
山嵜:あれはそんなにややこしい理由とかはなくて。原盤権を僕らが持っている曲はそのまま使えるけど、持っていない曲(他アーティストに提供した曲など)に関しては、配信だと例えば毎月どの国でどれだけ再生されたかを集計して、それに応じて支払わないといけない。さっきも言った通り、基本的に僕らは全部自分たちでやっているので、人員的な問題でそれは現実的じゃないんです。フィジカルだと、盤を制作する段階で「〇〇枚作ったので、〇〇円お支払いします」っていう感じで大丈夫なんですけど。今回のEPでも、Black Sabbathのカバーだけ配信はしていないんですけど、それも同じ理由で。配信すると、ちゃんと再生数やDL数をカウントして、Ozzy Osbourneに使用料を払い続けないといけないから(笑)。
ーーストリーミング全盛の時代になったことでの変化はありますか? 近年は「アルバムの時代は終わった」なんて言われ方もしますけど。
山嵜:そこまで気にしていませんが、個人的にはただ単純に曲数がEPに収録出来る程度しか作れないっていうのが大きいです(笑)。逆にアナログでは12インチのLPが流行っていたりしますけど、今後はフォーマット毎の曲のボリュームっていうのは、あまり関係なくなってくるんじゃないかなって思います。
ーーtoeとしては、音楽的な時流やトレンドはどう捉えていますか?
山嵜:最近の音楽を頻繁にチェックしているわけではないけど、その中でも「え? 今これやる?」みたいなのってありますよね。そういう表面的な部分は常に移りゆくものだと思っていて。コアというか、核になる部分ーー人々が音楽に求めているものっていうのは、いつの時代も変わらないんじゃないですかね。少なくとも、自分が惹かれる音楽はそうです。演歌だろうがレゲエだろうが、アウトプットは違えど核となる部分は一緒。だから、僕らは今流行っているサウンドを取り入れようとか特にないですね。「今、これをやるのは……」みたいなのはありますけど。
ーーtoeとしての良い作品という基準っていうのは、どのように言語化できると思いますか?
山嵜:結局は曲を作り始める時にデモを持ってきた人が、最終的にどうしたいのかで決まります。デモを元に、それぞれが解釈して肉付けをしていくんですけど、他の人が「OK」を出しても、最終的にデモを作った人が「NO」と言えばそれはボツです。「自分が最初に考えていたよりもいい曲になった」ってなるくらいまで持っていかないとダメで。
ーーまだ発表していないような新曲もストックしてあったりするのでしょうか?
山嵜:ギター・リフとかドラムのパターンみたいな断片的なアイデアは携帯のボイス・メモにたくさん入っていたりしますね。後で聴いても全く意味わからないものも多いですけど(笑)。
結局、バンドとして「せーの!」で始めて、そこから完成させるまでが一番大変な工程なので、いくら断片的なアイデアがたくさんあっても、曲はなかなかできないですね。基本的に僕らは一曲に多くの時間をかける方だと思うので、作品に収録せずにストックしてある曲とかはほとんどないです。
ーー皆さんバンドの他にも個々の活動がある中で、定期的に集まったりしているのでしょうか?
山嵜:いや、全くないですね。むしろできるだけ会わないようにしています(笑)。練習やレコーディングの時に会うからいいじゃん、みたいな。
ーー3年前、dia STANDARDでのインタビューで、音楽業界における日本とアメリカの違いについて、「(アメリカの方が)一般の人も含めて、音楽や芸術へのリスペクトがあると思う」という話が非常に印象的でした。このインタビューからおよそ3年が経ち、ストリーミング・サービスも徐々にではありますが日本でもユーザー数を獲得してきて、音楽業界にも様々な変化が起きたのではないかと思います。そんな今日でも、この「リスペクト」という部分には日本とアメリカとで差があると感じますか?
山嵜:そこは変わらないと思います。音楽業界に属している意識もそんなにないので、詳しい部分まではわからないですけど、依然としてバンドをやっていることに対して、大概の人は興味ないだろうし、基本的にはお金になることが善として捉えられる。どこの国も同じだろうけど、特に日本はどこに対してもシビアで厳しいんじゃないかなって。どこの国も一緒だけど、欧米の人はそれに加えて、音楽やアートに対して、お金にはならないけど個人で評価したり、その価値を認めたりする文化があるんだなって感じる。日本は何となく「いいな」って思っていても、基本的にはある程度有名だったり、金銭的に成功してないとリスペクトを寄せないような気がするんです。それとは違って、欧米だと音楽とかに打ち込んでいること自体に対して、「頑張れよ!」って応援してくれる感覚は感じますね。
ーー自分の知識外のことに対して、興味を持たない。
山嵜:まぁ、実際海外がどうなっているのかは、言語がわかるわけじゃないので正確かどうかはわかりませんが。個人の肌感として、日本とアメリカでは違いを感じますね。みんなと同じものを聴きたい、好きになりたいっていう同調意識が作用しているのかもしれませんけどね。
ーー同じインタビューでは、アメリカでは若い人たちが後の大きなシーンを作り上げるっていう部分も印象的でした。
山嵜:そうですね。若い人がシーンを作って、それが後にビジネスに繋がっていく。それはすごく健全なことだなって思います。
ーーこの部分は個人的にも日本と海外とで差があるなと感じる部分でもあって。日本だと、未だに年功序列のような空気感を感じたり。
山嵜:そうそう。儒教的な(笑)。基本的に欧米は敬語のない国だし、年齢関係なく、能力のあるやつが発言権を持ちますよね。そこにブレがないですし、歳が上だから偉いとか、そういう感覚は全くありませんよね。
ーーアートや音楽へのリスペクトであったり、興味のない人が多いという日本の現状に対して、変えたい、変わって欲しいと思いますか?
山嵜:まぁ、僕らがどうこうできるっていう話ではないとは思いますけど(笑)。ただ、相変わらず世界は色々なことが欧米主導で動いていると思うので、次第に変わっていくのかもしれないですけど。10年前とか、日本でもタバコをその辺にポイ捨てする人ばっかだけど、今同じことしたら相当白い目で見られますよね。10年という歳月は、それくらい人の意識を変えることができる。それこそ入れ墨何かに対しての意識も、10年経てば全然変わってるんじゃないですかね。ピアスとかもそうですけど、当事者の絶対数が増えると、みんなの意識って変わるんですよ。ただ、逆に言えばそれだけ当事者が増えないと、何も変わらないかもしれない。
ーー音楽以外のアート、エンターテイメントも増えましたしね。
山嵜:でも、それはすごくいいことだよね。僕らの若い頃と比べて、今の若い子たちってきっと選択肢が多いと思う。それは純粋に羨ましい。あと、YouTubeとかSpotifyも超便利だよね。僕らの時は「誰々の音源が出た!」ってなったら、レコード屋さんに駆け込んでCD買って、家帰って聴くっていう流れだったけど、今はその場ですぐに聴ける。最高ですよね。その分、「今の若者は想像力がなくなった」っていうような声も聞くけど、それは個人差があるだろうし、便利なことに越したことはないのではと、個人的には思います。
ーー近年、ミュージシャンのインタビューなどでも「兼業」というワードをよく耳にするようになりました。山嵜さんも長年インテリア・デザイナーとバンド活動をこなしつつ、さらに二児のパパとしての顔も持つというハイブリッドな生活をしていますよね。最近の「兼業」の在り方についてお考えを聞きたいです。
山嵜:僕個人でいうと、ご飯を食べていくために音楽を始めたわけではないっていう、それだけですね。現状、僕ら程度のCDの売上があっても、家族を養っていくとなると、それはやっぱり厳しい。音楽だけで食べていこうとすると、それこそ毎年アルバム1枚、さらにシングルをリリースして、ずっとツアーで回るような生活が必要になってくる。僕らの音楽性からするとそれはかなりキツいし、自分の作る音楽自体に支障をきたす気がします。
音楽が好きだからこそ、他の人に「あーしろこーしろ」言われるのは嫌だし、生活をかけて、売れる音楽を作るっていうのも僕には難しくて。だから、音楽活動を自分の生活を支える金銭的な柱として考えたくないんです。
【リリース情報】

toe 『Our Latest Number』

Release Date2018.08.22 (Wed.)
Label:Machupicchu Industrias
Cat.No.:XQIF-91001(初回限定盤)
Price:¥1,800 + Tax
Tracklist:
1. Dual Harmonics
2. レイテストナンバー
3. Etude Of Solitude
4. F_A_R
+初回限定盤ボーナストラック
「WAR PIGS feat. kotoringo」(Black Sabbath cover)
■ toe オフィシャル・サイト(http://www.toe.st/)

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