OBLIVION DUST連載『No rest for the wicked ~悪いヤツらに休息はない~』

OBLIVION DUST連載『No rest for the wicked ~悪いヤツらに休息はない~』

OBLIVION DUST
『No rest for the wicked
~悪いヤツらに休息はない~』
【Vol.4】
「トラブルは楽しんだもん勝ちの巻」

【7/28@長崎 DRUM Be-7】

今回は台風12号の影響でLIVEが開催できるか微妙な感じの長崎LIVE前日から。

…マネージャーは常に台風情報とにらめっこ。

28日に飛行機が飛ぶかが微妙な為、場合によっては早朝に新幹線移動に切り替えも有り得ると連絡が入る。
夜になってもまだ移動行程が決定せず、決定は当日の朝になるとの事。
何だか嫌な予感…。

28日当日のAM6:30、マネージャーからの連絡により、予定通り飛行機での移動が決定される。
自分が自宅を出た時は大雨で心配したが、台風が予報より少し南寄りのルートになったのと多少スピードが上がった事が重なり、運良く飛行予定時間にはぶつからないらしい。
まずは一安心。

次の心配はウチのVo.ケン ロイド氏だ(笑)
彼は時間には正確な為、遅刻をする事はまずないのだが、オブリFANの皆様はご存知の通り、普段から彼は表情を変える事無く奇想天外のことをする天才なので、正直気が抜けない。しかもそれがイタズラなのか天然なのか未だに判別がつかないのが困りものだ。

前回のツアーではKENはちゃんと待ち合わせ時間には空港に着いたにもかかわらず、なんと! 居たのは違うターミナル。しかも待ち合わせ場所は南ウィングなのになぜか北ウィングにやって来るという、誰も予期してなかった面白エピソードとなり、朝から皆をヒヤヒヤさせ、笑いを提供していた(笑)
しかし今日の奇想天外な男は期待を裏切って、ちゃんと待ち合わせ場所に時間通りに到着。
よしよし。

飛行機は定刻通り長崎空港に到着し空港を出ると、東京よりも湿気は無いもののやはり暑い!!
南国気分を味わう間もなく迎えの車に乗り込み、皆を乗せた車は空港から延びる一直線の橋を渡り歴史のある街に向かって走り出す。
市街地へ向かう高速道路を順調に走り、山間にポツポツとある民家を横目に見ながら
『もし、この様な場所に生まれていたらロックミュージシャンにはなっていなかったろうなぁ。』
などと考えてこの山を越えた場所で待つオーディエンスの事を考えながら気持ちを上げて行く。
車はいくつかの長いトンネルをくぐり抜けLIVE HOUSEに到着。
メンバーは各々のペースでLIVEの準備に取りかかる。
うん、順調だ。
サウンドチェックも順調に進み、リハーサルが始まるとフロアに流れる外音を確認しにステージからフロアに降りる。
九州のDRUM系列のハコは昔のBe-1(昔は確か、博多駅の近くでビルの地下にあった)の名残なのか、どこも床が市松模様になっている。
リハーサルでは照明のチェックも同時に進行する為に客席の明かりを落とすのだが、そうすると足元の段差が判り辛くなり注意して歩かないと足を引っかけてしまう。
…ん? また嫌な予感。

リハーサルが終わって楽屋に戻ると、何やら美味しそうなものが。
ツアー中は、本番前に地元の名物などの軽食が用意されている。
今回の軽食は地元で有名な”冨士男”というお店の『タマゴサンド』だ。
うーん、これは美味い。ケータリングさんナイスチョイス!
いいぞ!
そして本番の時間が刻々と迫ってきた…。
今回の長崎LIVEから自分がセットリストを担当しているのだが、これが難しい…。
今までKENが担当していた時は毎回変化をつけ、新旧織り交ぜたセットになっていたので、それを継承しつつ皆に喜んでもらうセットを考えなければならない。Gt.のK.A.Zさんにもアドバイスをもらいつつ決めさせてもらいましたが、はたして長崎の皆さんの反応は?
いざ本番。
1曲目『Evidence』から順調に進んで行き、
7曲目にはZilchのカバー曲『Electric Cucumber』でKENのMCへ。
KEN、何故かいつもに増して片言の日本語で外タレのMCのマネをする。「コニチワ〜ナガサーキ、トゥデイアイイートチャンポ〜ン!」。KEN、そういうギャグはルックスが純日本人の人がやるから面白いのであって、と思いかけたが場内は大爆笑。
まあ結果オーライということか。
そんなことをぼんやり考えていたら久々の『Crazy』で俺、少し間違える…(汗)
KEN、こちらをチラッと見る(バレたか…?)
サポートドラムの有松君もこちらをチラッと見る。そしてニヤッとする(マズい!)
俺、苦笑いで誤摩化す。
それを見て有松君再度笑う(完全にバレてる…)
ダメだ、もう何事もなかったことにしようと、記憶をすり替えることにする。
俺の細かいミス以外LIVEは順調に進んで行き、ステージ、フロア共に全力で挑んだLIVEもとうとう最後の曲を迎えた。
本日のラストナンバーは『You』だ。
そしてその時、事件は起きた。
曲も後半に入った時、KENがステージから消えたのだ!
辺りを見回してもKENの姿が見当たらない…。
急に体調でも悪くしたのかと思い、急遽サビの部分を自分が歌いフォローする。ヤバい、このままだと曲が終わってしまう!
するとKENがステージに戻って来た! 良かった、間に合ったと思ったのも束の間、彼の手には何故かあの『タマゴサンド』が!
あろう事か、全力でエンディングを演奏しているメンバーをよそにステージサイドにあるスピーカーに寄りかかったまま『タマゴサンド』を食べ始めたのだ!
何が起きてるのか理解に苦しんだ末、どうせならノッてやろうと俺は曲のエンディングを『タマゴサンドォ〜♪』『タマゴサンドォ〜♪』と熱唱しステージを去った…。
最後の最後に、奇想天外な男がやってくれた! 今朝ちゃんと集合場所に来ていたのは、この布石だったのか??
ん? もしかして朝からの嫌な予感はこれの事だったのか!
こんなハプニング、LIVEに足を運ばないと絶対に観る事はできないし、わざわざ足を運んでLIVEを楽しんだ者だけが味わえる特権だと俺は思っている。
あの事件を目撃した人はラッキーと言う事で。
ちなみに、俺は過去にあれほど呆れ顔をしたK.A.Zさんを見た事が無い(笑)

ホテルに戻り夕食の為に夜の街を歩いてると
近くで開催されていた花火大会にたまたま遭遇。
夏の夜空に咲いた大きな花とそれに対抗して綺麗に咲いてる満月を観ながらの一杯。
それは確実にラッキーでした。

翌日に続く…。
【7/29@福岡 DRUM Be-1】
台風12号は着実に福岡向かって進んでいるらしい…。

朝からマネージャーの表情が険しい。

予報だと夕方に福岡は大雨になるとの事だ。
なんとか中止にはならずに済みそうだが、
大雨の中お客さんたちの移動も大変だろうな、と心配になる。
朝の長崎のホテルのロビー。
メンバーの皆は時間通りに集まってくる。
そのまま駅へ。
駅前では“唐揚げフェスティバル”らしきイベントが開催されていた。
イベント会場の横を通った時の揚げ油の蒸気が鼻の奥に飛びこんできたが、アイスコーヒーを食道に流し込み気持ちの悪さを誤摩化す。

長崎から福岡までの移動は『特急かもめ』。
車両の先端にメルセデスベンツみたいなエンブレムを纏った電車だ(笑)
定刻になり車両は長崎のホームから徐々に遠ざかる。
はじめは気付かなかったが、段々と前回ツアーの移動の記憶が蘇り隣に座るサポートギターのユウジに、
「はっ! 確かこの電車はやたら揺れるんじゃなかったっけ?」と確認すると、
「はぁ…、覚えてないっすね…。」と想定内の素っ気ない返事を返されユウジはいつも通りにスマホの画面に目を戻す。

長崎を離れるにつれ車両の揺れが激しくなってくる。
やっぱり俺の記憶は正しかった!!と自分の記憶力を自分で讃えたところで、こころなしか車内の気温も上がり始め汗が吹き出てくる。
気分でも変えようと車両前部にあるデッキに移動。ここはクーラーが効いてて気持ちがよく、デッキ右側の窓は大きくて有明海が一望できる。
『なんて良い眺めだ、気分がいい! 今日のLIVEも良いLIVEになるに違いない!』と自分に言い聞かせ気持ちを上げながら自分の席に戻る。

二時間弱の横揺れアトラクションは終点に到着。
博多の街は多少生温い風が吹いていたが、
幸い雨は降っておらず俺達は無事にLIVE HOUSEに着いた。
サウンドチェックの準備に取りかかっていると窓の外は風も強くなり、
どんよりとしてきた。
そして、大粒の雨が風とタッグを組んでアスファルトにリズムを刻む頃には俺達はリハーサルも終わり本番に向かって気持ちを整えるだけとなった。

この雨の中、足を運んでくれるファンのことがまた少し心配になる。
7月29日@福岡・DRUM Be-1(リハ)

7月29日@福岡・DRUM Be-1(リハ)

雨で時間も押す事なく刻々と本番時間が迫り、18:00いざ本番スタート。
相変わらず俺の細かいミスに有松君とユウジのチラ見からのニヤニヤ攻撃が止まらない。それを苦笑いでかわしつつ順調にライブは進む。

この日のハイライトは13曲目の『Lolita』。
今日のケン ロイド氏、歌の入りを4小節早く入る(笑)
メンバー、オーディエンス、スタッフ、みんなが『キョトン』。
そして会場内全員が『ニヤニヤ』!
途中のブレイクで俺のマシンガンベース、「こいつです」とばかりにKENを狙い撃ち!
KEN氏、すぐさま俺を指差し「さっき間違えてたよ!×2」。

………なんだこの泥のなすり合いは!(笑)

あくまで個人的にだが、他アーティストのLIVEでもミスやハプニングはその場に居たから味わえる事であり、トラブルも含めてハプニングにこそ、バンドの個性が出ると俺は思ってる。今日もこういう場面を観れたオーディエンスはラッキーだと思う。

そして次の曲『Haze』。
ラストで俺がカッコつけて曲を締めるが、照明が暗くなった中での有松君のニヤニヤは勢いを増して俺に突き刺さる(笑)
その後はトラブルもなく無事LIVEが終了。

楽屋での帰り支度が終わりLIVE HOUSEを出る頃には雨はすっかり上がっていた。
大雨の中、俺達のLIVEに足を運んでくれた人達に最上級の感謝をします。
ありがとう。

翌朝、福岡は台風一過の晴れ!
空にはまた真夏の太陽が幅を利かせている。

飛行機が福岡空港から飛び立ち、雲を抜けると窓の下は夏の雲が広がっていた。
ツアーも残りちょうどラッキーセブンの7本。
気を抜く事なく無事にツアーを終えるように頑張ろうと思いながら俺達の悪運の強さを表す様なツアー九州編は終了する。

俺達を乗せた飛行機は西から東に続く夏雲に飛び込んで行き、まだまだ蒸し暑い羽田に向かって徐々に高度を下げていく。

RIKIJI

『OBLIVION DUST Tour 2018
Adrenaline –Come Get Your Fix』

6月30日(土) 千葉・柏PALOOZA
7月01日(日) 埼玉・HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3 
7月07日(土) 埼玉・HEAVEN'S ROCK熊谷VJ-1
7月08日(日) 神奈川・F.A.D YOKOHAMA
7月14日(土) 山梨・甲府KAZOO HALL
7月15日(日) 栃木・HEAVEN'S ROCK宇都宮VJ-2
7月21日(土) 岡山・YEBISU YA PRO
7月22日(日) 山口・RISING HALL SHUNAN
7月28日(土) 長崎・DRUM Be-7
7月29日(日) 福岡・DRUM Be-1
8月04日(土) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
8月10日(金) 愛知・名古屋 CLUB QUATTRO
8月11日(土) 静岡・ LIVE HOUSE浜松窓枠
8月12日(日) 広島・CLUB QUATTRO
8月18日(土) 宮城・仙台darwin
8月25日(土) 兵庫・神戸VARIT.
8月26日(日) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
長崎空港→会場
7月29日@福岡・DRUM Be-1(リハ)
福岡空港→羽田空港

OKMusic編集部

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