シド、10周年ラストを飾る武道館イベ
ント「VISUAL BANG!」ライヴレポ!

そのラストを飾るイベントとして、初期からの名曲「妄想日記」をカヴァーシングルとして12月11日に同時発売した10組のアーティストを招いてのライブ“VISUAL BANG!~SID 10th Anniversary FINAL PARTY~”が、12月27日に日本武道館で行われた。ヴィジュアルシーンを代表する精鋭が集まった豪華なラインナップなだけに、チケットは即日ソールドアウト。会場を360度埋め尽くしたオーディエンスが、実に8時間以上にわたって熱狂と感動の祝宴を繰り広げた。

 開場中にはDANGER CRUE主催イベント“J-ROCK EXPLOSION 2013 華麗なる激情 最終章-新たなる旅立ち‐”の優勝バンド・EVEが、オープニングアクトとして登場。激戦のガチンコ投票バトルを勝ち抜いた彼らだけに、初っ端から花道を駆け出して肝の太さとフレッシュなパワーで駆け抜け、まずは先陣を切る。

 本編のトップバッターとなったのはDIV。「始めようか。派手にやろうぜ!」と「妄想日記」でライブの火蓋を切ると同時に、ステージに火の玉があがるとワッ!と大歓声が沸き起こる。結成から1年半の新人バンドとしては思えぬテクニカルな演奏で魅せ、持ち前のデジタリックな要素を取り込みながら「LOVE IS DEAD」で会場を揺らし、「ASTERIOS」でへヴィに攻めたあとは、大定番曲「夏の行方」へ。「年末なんですけど会場を夏にしてくれますか?」というCHISA(Vo)の声に応えて一斉にタオルが振られると、場内には爽やかな夏風が吹き込む。ラストは壮大かつポジティヴなメッセージが籠められた「ZERO ONE」。へヴィをベースにした多彩色かつ堂々たるステージングで、急上昇中の人気と勢いをアピールしてみせた。

 二番手カメレオは、あの某有名プロレスラーのテーマで入場。コミカルに笑いを誘ったかと思いきや、Takashi(G)の奏でるピアノからグッとシックに「妄想日記」をプレイ、曲後半では拳を煽るロックに急転直下して、観る者をアッと驚かせる。さらに「ごめんなさいっ!」では全員が前に出て、ダンサーと共にスタンドマイクで歌い踊るのだから衝撃的この上ない。ヘドバン/ジャンプタイムを交えた「関係ナイ」でも、マイク片手に5人ともが花道へ飛び出し、「ダメ男」ではHIKARU.(Vo)がジュリ扇を振って、ハチャメチャなパフォーマンスを展開。ロックバンドの枠を超えた“何でもアリ”の目まぐるしいステージングを、恒例のTakeshi(Dr)による“ハナゲ!”コールが締め括って、実にシュールな存在感を示す。

 続いてν[NEU]も負けじと、SIDの「アリバイ」を頭に据えるという、予想外の選曲でスタート。光るリングが煌めく場内に、みつ(Vo)のハスキーヴォーカルが映えた末、「驚いてもらえましたか?」の言葉には“してやられた!”と脱帽するほかない。PVでのメンバー女装&キスが話題沸騰の「妄想接吻」では、「1万3千人で一つのイベント創りませんか?」とフリ説明が為され、セーラー服姿の華遊(Vo)が先導して客席を一つにする様は素晴らしく壮観! オーディエンスが腕で○と×を作って一斉に飛び跳ねる「YES≒NO」でも、「SIDさん、10周年おめでとう!」とコール&レスポンスして、盛り上がりをクライマックスへと導いてゆく。最後はタオル舞う「The 25th Century Love」でハッピーな空気を爆発させ、一瞬も目を離させない手練れのライブ巧者ぶりを見せつけた。

 アッパーに進むイベントの色を、ここで淡い幻想へと一変させたのがMoran。「この場所にいる一人ひとりにMoranの音楽が沁み込んでいきますように」とHitomi(Vo)が語って、アコースティックな色の強い「皮下に滲む」が奏でられると、しっとりと哀感に満ちた空気が武道館にジワリ滲んでゆく。一転、次の「ホロウマン」に到れば一気に拳が上がり、ステージではメンバーがスリリングに絡み合うが、そんな激しさの中にもワインのような味わい深さがあるのが彼らの魅力だ。「SIDおめでとう!」と10周年の祝福を全員で届けた後は、爽やかな曲調でディープな人生観を謳う「Bulbs」、優しさの裏に灼熱の激情を秘めた「浮遊病」をプレイ。Hitomiの詩的なMCも交え、観る者の深奥にズシリと重い感動を突き刺してゆく。

 さらに和装のDaizyStripperが、ド頭からSIDの「青」1万3千人の度胆を抜く。力強く伸びやかな夕霧(Vo)のアカペラは圧倒的で、そこからジャジーな「妄想日記」へと雪崩れ込み、ドラッグクイーンのダンサー陣と「もっとちょうだい!」と貪欲に求める姿が何とも色っぽい。一方で、女性目線の激情ラブソング「MISSING」、音もメンバーもステージを駆け抜ける「STARGAZER」と、キャッチー&メロディック&アグレッシヴなDaizyStripperワールドも存分に発揮。ラスト曲「STAY GOLD」では背中合わせに立つギター隊、まゆ&なおによるツインのハモりが高揚感を掻き立て、夕霧も「絶対ココにワンマンで連れて来るからな!」と頼もしく宣言してくれた。遂にはなおが床に倒れ込む全力投球のライブに、全く目が離せない。

 エレクトロアレンジ&全英詞という斬新すぎる「妄想日記」で始まったZOROのステージは、とにかく異色。白づくめのダンサー陣を従え、テクノ感あふれる不思議な空間を創り上げる一方、「声を失う覚悟でココに立ってる」と話した龍寺(Vo)の心意気は、実に熱い。タオルと拳が振られる中、たつひ(B)のベースがバキバキと鳴る新曲「蝿」に、龍寺のシャウトが轟く「Night Rider」を挟んで龍寺が上着を脱ぐと、なんと背中に“SID命”の文字が! 再びダンサーと一緒に「POLICE」を贈り、全員で手を繋いでライブは終了……かと思いきや、「もう1曲やります!」とヘドバン全開の「ペスト」へ。クールに去るたつひと舞台に倒れ込む龍寺の対比も興味深く、最後まで先の見えないステージで楽しませてくれた。

 AYABIEは持ち前のメロディの良さを前面に押し出して、心温まるライブを展開。まずは定番曲「メリーゴーランド」をクルクル回りながら軽やかに届け、「夏、夜の夢 花と散る」ではベースからギター、キーボードと流れるようにソロを繋ぐのも見事だ。MCでは夢人(Vo)が昔から先輩であるマオに仲良くさせてもらっており、必ず奢ってくれていたという秘話を披露。さらに、芯のあるヴォーカルに熱いバンドサウンドと美しい鍵盤の音色が重なり合う「Splash」に「桜ロマンス」が、何とも言えぬ切なさを醸し出してくれる。そして七色のライトがステージを照らし出す「虹」で、皆で大きく手を振ってフィニッシュ。素直なエモーションを描き出して、オーディエンスを包んでくれるのが嬉しい。

 飛び交うレーザービームを浴び、全員ジェイソンマスク+チェーンソーを携えて現れたのは、アリス十番スチームガールズの合体ユニット・仮面女子。16人が「妄想日記」を歌うとスモークが噴き上がり、メタルポップなサウンドとキュートなヴォーカルのギャップが、逆に空恐ろしさを掻き立てる。一転、ラップが弾ける元気な「大冒険☆」では時折素顔を晒し、ちょっぴりダークで神秘的な「天地-AMATSUCHI-」ではチェーンソーからレーザーを発射! 最後の「夏だね☆」ではメンバーがゴムボートでアリーナ席に降りる場面もあったりと、アイドルの既成概念をブチ破りまくりの奔放なパフォーマンスで、場内のバンドファンをもアッと言わせた。

 いよいよイベントも大詰め。R指定の出番になると、いきなり「君が代」が流れるという、日の丸が掲げられた日本武道館&彼らのバンドコンセプトにピッタリの幕開けに、思わずニヤリとしてしまう。その世界観を引き継いで、“敬礼”と“万歳”が満載の「玉砕メランコリィ」へ。「妄想日記」の曲中では「恐れ多いですが、今だけは“マオにゃん”ではなく、“マモにゃん”と呼んでくれ!」と懇願するマモ(Vo)に応えて、場内は黄色い声でいっぱいになる。和の情緒滲む「波瀾万丈、椿唄」で客席を揺らし、なんと「愛國革命」では指定席で左右にモッシュを敢行! デジタリックにかき鳴らされる爆撃チューンの威力を、赤いライトと緑のレーザービームが増幅させて、瞬く間に狂乱の世界を創り上げた。

 10組のラストを飾ったのはDOG inTheパラレルワールドオーケストラ。「妄想日記」のメロディを混ぜ込んだスペシャルなSEから、春(Vo)がフリ付きで「妄想日記」を歌い出すと、それに倣って客席も一斉に踊り出すのが微笑ましい。春のみならず、楽器隊も演奏しながら歌を入れる前代未聞の全員ヴォーカル曲「Doggy’s Party!!」の曲中では、フロント陣総出で花道の先に駆け出し、360度のオーディエンスに挨拶。そこから指で作ったハートと拳にヘドバンが交錯する「boomy boomy」に続いて、可愛らしいイメージを膨らませてゆくが、そんな眩いポップネスに致死量の毒をコッソリ混ぜ込んでいるのがDOG楽曲の甘い罠。手拍子を誘う「ハルシオンキャンディ」のエキセントリックな響きに、タダ者ならぬ風情が香って末恐ろしい。

 大トリはもちろん本日の主役・SIDだ。4人が登場すると、凄まじい大歓声が会場を震わし、1曲目の「アリバイ」が始まれば、1万3千人のジャンプが日本武道館を揺らしてゆく。続く「夏恋」、「SENSE」で花道の端から端まで大きく動きつつ、互いに微笑み交わすメンバーのリラックスした様子は流石の貫禄。懐かしのナンバー「私は雨」の哀愁感と緊張感も素晴らしく、10年での確かな進化を感じさせる。

「こんなにたくさん集まってくれた御礼に」と来年2月12日リリースの新曲「hug」をメロディックに初披露すれば、明希(B)も投げキスを大盤振る舞いして、「ドレスコード」に「ノイロヲゼパアティー」と新旧のオシャレナンバーをプレイ。

「こうやって懐かしい曲もSIDは捨てずにやり続けていきます。誰かの“懐かしい”が、誰かの“新しい”になるかもしれないしね」というマオの言葉には、全く同感だ。

最新シングル「ANNIVERSARY」ではミラーボールが回り、金銀テープも発射して、彼らの10周年を華やかに祝福。間髪入れずにゆうや(Dr)がリズムを入れ、メンバーコールが煽られると、人々は次の曲を察してワッ!と沸き返る。そうして客席中がクルクル回り、大きく咲く「循環」、Shinjiの鋭いギターが空間を切り裂く「眩暈」、さらにマオが狂気の声音で叫ぶ「吉開学17歳(無職)」と、待ちに待った初期楽曲の乱れ打ちに、場内はカオスとも言える狂乱状態!

 なかなか演る機会の少ないインディーズ楽曲から最新シングルまでを網羅した、まさに10周年のアニバーサリーに相応しいスペシャルなステージに、日本武道館は歓喜に包まれた。ライブ後にはシングル「hug」に続き、3月12日にアルバム『OUTSIDER』がリリースされ、4月からは台湾・香港を含む21箇所28公演の全国ツアーも映像にて発表。「来年も突っ走るからな!」という明希の言葉が、現実のものになるのは間違いない。

 アンコールは10組のヴォーカリストを迎えてのスペシャルセッション。大賑わいの舞台で本家本元の「妄想日記」が演奏され、歌い継ぐ後輩たちに、マオは中央のお立ち台へと押し出されてゆく。「もう1曲行こうか!」と「Dear Tokyo」のイントロをShinjiがお立ち台でかき鳴らすと、ヴォーカル以外のメンバーもステージへ! それぞれが客席にサインボールを投げ込んで、この場所に立ち会えた喜びを分かち合ってゆく。マオが「ホント最高だった。来年もやりたいよ!」と漏らせば、ゆうやも「SIDは超ヴィジュアル系。次は15周年で、みんなからの“おめでとう”を聞きたい」と語った。10周年のファイナル、それは何かの始まりであるのかもしれない。



写真:今元秀明、文:清水素子



Visual BANG! SID 10th Anniversary FINAL PARTY
2013.12.27(Fri) 日本武道館
SET LIST

■DIV
1 妄想日記
2 LOVE IS DEAD
3 ASTERIOS
4 夏の行方
5 ZERO ONE

■カメレオ
1 妄想日記
2 ごめんなさいっ!
3 関係ナイ
4 ダメ男

■ν[NEU]
1 アリバイ
2 妄想接吻
3 YES≒NO
4 The 25th Century Love

■Moran
1 皮下に滲む
2 ホロウマン
3 Bulbs
4 浮遊病

■DaizyStripper
1 青~妄想日記
2 MISSING
3 STARGAZER
4 STAY GOLD

■ZORO
1 妄想日記
2 蠅
3 Night Rider
4 POLICE (TeddyLoid Remix)
5 ペスト

■AYABIE
1 メリーゴーランド
2 夏、夜の夢 花と散る
3 Splash
4 桜ロマンス
5 虹

■アリス十番×スチームガールズ
1 妄想日記
2 大冒険☆
3 天地-AMATSUCHI-
4 夏だね☆

■R指定
1 玉砕メランコリィ
2 妄想日記
3 波瀾万丈、椿唄
4 愛國革命

■DOG inTheパラレルワールドオーケストラ
1 妄想日記
2 Doggy's Party!!
3 boomy boomy
4 ハルシオンキャンディ

シド
1 アリバイ
2 夏恋
3 SENSE
4 私は雨
5 hug(新曲)
6 ドレスコード
7 ノイロヲゼパアティー
8 ANNIVERSARY
9 循環
10 眩暈
11 吉開学17歳(無職)

■Special Session
1 妄想日記
2 Daer Tokyo

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