L→R 髙野清宗(Ba)、藤澤涼架(Key)、大森元貴(Vo&Gu)、山中綾華(Dr)、若井滉斗(Gu)

L→R 髙野清宗(Ba)、藤澤涼架(Key)、大森元貴(Vo&Gu)、山中綾華(Dr)、若井滉斗(Gu)

【Mrs. GREEN APPLE インタビュー】
今はハングリーに原点回帰で、
エネルギーに満ちている

映画『青夏 きみに恋した30日』主題歌の新曲「青と夏」。一発録りの勢いを詰め込んだ最高のポップチューンながら、歌詞は大森元貴(Vo&Gu)の内面をえぐり出すヒリヒリしたもの。彼の内面で何が起きたのか? じっくり訊いてみた。

今回のシングルには“原点回帰”というテーマがあると聞きました。

そうなんです。純粋にギターリフだけの曲って実はめちゃめちゃ久々なんですよ。曲の構成もインディーズの時やデビュー当時に似ていて、一周回ってパワーアップした状態でそれをもう一回やろうかなと思ったんです。歌詞も初期に近いような憂いをまとったものにしようと思ったんですけど、すごく大変でしたね。この映画の主題歌がミセスである理由、僕が作家である理由が明確じゃなきゃいけないと思っていて、映画を意識しすぎると悪い意味で作家思考になっていくから、そこの切り離しが難しかった。

難しかったのは具体的にどの部分が?

『ENSEMBLE』(2018年4月発表の3rdアルバム)は完全にミセスどうこうじゃないところで作った作品だったけど、また等身大で歌詞を書くとなると…つまり、17~18歳の頃の書き方を21~22歳になってすると感覚が違ったりするわけで。そのためにちょっとリハビリが必要だったんですよね。特に大サビの《寂しいな やっぱ寂しいな いつか忘れられてしまうんだろうか》のところが全然書けなくて、本当に久々に曲で悩みました。僕は何をこの曲で伝えたいのかなと思って、結局ここに行き着くことが複雑でもあり、やっぱり変わってないなという嬉しさもあり。最近わりと避けてきた表現方法なので書けた時にはホッとしました。

あそこの歌詞は本当にリアルで。グッときました。

10代の頃は“いつか忘れられてしまうんだろうか”で終わってたと思うんです。でも、そのあとに《それでもね 「繋がり」求める 人の素晴らしさを信じてる》と、“それでもね…”と続けられたことが当時と違うところ。だから、原点回帰とはいえ、ちゃんと前に進めてるんじゃないかなと思える作詞でしたね。自分でも感動するわけですよ。歌詞とメロディーを同時に思い付くから、《♪~しまうんだろうか。それでもね~》って出てきた時に“あー!!”みたいな。

自分で自分の成長を感じている。

それが自分でも嬉しいですね。今年22歳になるので、周りは就活生なんですよ。でも、僕は小6からずっとこのスタンスでいるから、時間が止まってるんですよね。同級生に久々に会うとそういう話ばっかりしちゃうんですけど、高校受験して高校生活を3年間やって、大学受験して大学生活を4年間、自分の人生について深く考えるわけじゃないですか。僕はそれをやってないので、そこに対する劣等感がすごくあるんですよ。この歌詞はそういう自分を思い出すというか、自分の劣等感や憂いとまた向き合わなきゃいけない曲でした。華々しいポピュラーミュージックを歌うMrs. GREEN APPLEというものじゃないところ、さわやかバンドとは違う味がデビュー当時はもっと強くあったので、それをもう一回出したいということだったと思います。

カップリング「点描の唄」も映画の挿入歌で、こちらは素晴らしいバラード。しかも、井上苑子ちゃんとデュエットしているという。

余計なことを考えずに、純粋にグッドメロディーを書こうと思いました。でも、“ザ・いい曲”を作りたいんだけど、それだけじゃ耳に残らないので、あたたかいグランドピアノの音なのにドラムの打ち込みが乾いた音だったり、気持ち悪いところに入っていたり(笑)。生だけどデジタルっぽく聴かせるところを意識しました。苑子ちゃんは同じレーベルで同期なんですよ。言葉の表現が合ってるかどうか分からないけど、最初はポップでかわいらしい印象があったので、こういう曲を歌わせたら面白いんじゃないかなと思って作ってみました。そしたら、苑子ちゃんの新しい顔が見えてすごいと思いましたね。仮歌を僕が歌って“ここを歌って”という指定をしたんですけど、なぜか僕のほうが高いキーへ行っちゃったりとか、よく分かんないですよね(笑)。感覚で作ってるから、そういうことはよくあるんですよ。でも、女性キーだからやっと女性がカラオケで歌える曲ができたと思います(笑)。

切ない恋愛ソングですよね。片想いのような両想いのような微妙なところ。

お互いに“私はあなたを好いている”と言ってるんですけど、口には出してないのかもしれない。“私があなたを好きということを分かってほしい”でもないし、“私はあなたを好いている”ということが自分にフッと落ちる、その感覚がお互いにある感じ。そこから何に発展してるわけでもないので、普通の恋愛ソングとは違うと思います。 

そして、3曲目「ア・プリオリ」は映画とは関係ない新曲で、あまりの攻撃性の強さに驚きました。

原点回帰というコンセプトを掲げてシングルを作るのであれば、こういうジャンルはミセスとしては回避不可能ということですね。「パブリック」(2016年1月発表の1stアルバム『TWELVE』収録曲)や「アウフヘーベン」(『ENSEMBLE』収録)みたいな17~18歳で書いていたような楽曲を今の僕が作ったらどうなるのかなというところで、ずっと思っていたことを改めて歌詞にしてみました。「青と夏」では《人の素晴らしさを信じてる》と歌っているけど、「ア・プリオリ」は《まだ信じて居るなんて》で終わるわけですから、お互いが否定し合ってる。でも、どっちの自分もいることを分かってもらうのが、Mrs. GREEN APPLEとしてすごく大事なところなのかなと思ってます。

そんな今回のシングルは新しいモードが始まる重要な作品だと思います。

毎度毎度、別のバンドみたいなんですよ。違うバンドを毎度プロデュースしてる感覚で、そのプロデュース方法が『ENSEMBLE』で一回終わったのかなというふうに思っていて。そういう意味で今はハングリーに原点回帰で、プロデュースどうこうじゃないところで音楽を鳴らしてる。だから、今はみんな、エネルギーに満ちてるんじゃないかなと思いますね。

取材:宮本英夫

シングル「青と夏」2018年8月1日発売 EMI Records
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • UPCH-89376 ¥1,700(税抜)
    • 【通常盤】
    • UPCH-80493 ¥1,200(税抜)

ライヴ情報

『Mrs. GREEN APPLE ENSEMBLE TOUR』
7/20(金) 静岡・静岡市民会館 中ホール
7/27(金) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
8/04(土) 長野・ホクト文化ホール
9/08(土) 千葉・幕張メッセ 国際展示場 
9/09(日) 千葉・幕張メッセ 国際展示場

『Mrs. ONEMAN LIVE ~青の海と夏~』
9/23(日) 沖縄・ミュージックタウン音市場

Mrs. GREEN APPLE プロフィール

ミセス・グリーンアップル:2013年4月結成の5人組バンド。作詞、作曲、編曲の全てをヴォーカル&ギターの大森元貴が手掛けており、15年7月にミニアルバム『Variety』でメジャーデビュー。18年4月に発表した3rdアルバム『ENSEMBLE』はオリコン初登場3位を記録。アルバムを提げてのワンマンツアーはファイナルの幕張メッセ国際展示場2デイズまで全公演即日完売。シングルと同時発売で最終公演の模様を収めたDVD&Blu-ray『ENSEMBLE TOUR 〜ソワレ・ドゥ・ラ・ブリュ〜』をリリースする。Mrs. GREEN APPLE オフィシャルHP

L→R 髙野清宗(Ba)、藤澤涼架(Key)、大森元貴(Vo&Gu)、山中綾華(Dr)、若井滉斗(Gu)
シングル「青と夏」【初回限定盤(DVD付)】
シングル「青と夏」【通常盤】

「青と夏」MV(Short Ver.)

OKMusic編集部

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