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【Anly インタビュー】
びっくりしてもらわなきゃ困る

ループペダルを使いながら、ライヴで育ててきた新曲を中心に収録した2ndアルバム『LOOP』。等身大の彼女の姿を切り取ったという本作には、この1年間の変化と進化がしっかりと刻まれている。

初回生産限定盤のジャケットの写真が、すごいことになっています(笑)。

あはは。やってみようかって、ぐにゅーんって(笑)。アートワークもこだわっているんです。提案されたデザインがウェブサイトに上がった時にどう見えるかをシミュレーションして、ジャケットも仮のデザインを作ったり、ああでもないこうでもないって半年ぐらい前から考えてたんです。それも含め、自分の想いが詰まったアルバムになりました。前作の『anly one』は伊江島と沖縄本島と、ちょっと東京って感じなんですけど、今回の『LOOP』は東京に来てからの変化が反映されているんです。一番はループペダルだけでライヴするようになったこと。その練習の合間にできた曲とか、ループペダルで演奏できるようにアレンジした曲とかが全12曲にギュッと凝縮されているんです。

ループペダルを使ってライヴで演奏している曲とそれまでやってきた曲ってちょっと違うから、ひょっとしたら前者はアルバムには入らないんじゃないかって思っていました。 

がっつり入りました。むしろ、そっちがメインっていう(笑)。アルバムを作ることになった時、今ってライヴではループペダルを使いながらみんなと盛り上がっているし、やりたい音楽がそこで芽生えてきているから、今の自分を表現するテーマはそれしかないと思ったんです。そしたらプロデューサーも“振り切ってやってみたら? 今、やりたいことがそれなら、『LOOP』ってアルバムを作ったらいいんじゃん!”って言ってくれたので、自分がやりたいことにしっかり向き合おうと覚悟を決めて作りました。今までやってきたルーツミュージック的なものを忘れたわけではないんですけど、今は自分の中で進化を楽しみながら音楽をやりたいし、それをみんなに受け取ってもらいたいと思っているんです。

進化を含め、今のAnlyさんを印象付けるアルバムになったと思います。ただ、ライヴに足を運んでいる人は今のAnlyさんがやりたいことはこういうことなんだと分かっていると思うのですが、CDだけを聴いている人は『LOOP』を聴いたら結構びっくりするのではないでしょうか?

“えぇっ!?”ってなると思います(笑)。私は今、これがカッコ良いと思ってやっているから、逆にびっくりしてもらわないと困るっていうか(笑)、びっくりしてほしいって思いながら作りました。ただ、東京に来て、突然ループペダルを使い始めたわけではなくて、今回入っている「MANUAL」も高校生の時からループペダルを使ってやっていたので、私自身は一気に変化したとは思ってないんですよね。

「MANUAL」は高校生の時から歌っていたのですか?

高3の時のワンマンライヴで初めて弾き語りしました。だから、テーマにしているブラック校則が世の中で話題になり始めてから作ったわけではないんです。でも、ずっと歌い続けてきたことがやっとメディアに取り上げられるようになってきたので、改めてこの曲はもっと歌わないといけないんだと思って、今回のアルバムには絶対に入れようと決めてました。

ところで、今回何が一番変化したと感じていますか?

前作はメロディーがしっかりしている曲が多かったんですけど、今回は言いたいことがいっぱいあるせいか、言葉を詰め込んだ歌詞だったり、フレーズだったりが多いと思います。伝えたいことを正直に言葉にできた。もちろん、歌詞も書き直しているんですけど、書き直す目的が違ったんです。もっと幻想的な言葉がないか、もっとメロディーに合う言葉はないかとか、高校生の時からやっていたそういう書き方の集大成が前作だったんですけど、今回はもっと自分を切り取れないかなって。もっと自分が普段言ってそうな言葉や、みんなが言ってそうな言葉を書きたかったし、それをみんなで“だよね”って言い合えたらいいなって考えました。今までは“大人っぽいですね”って言われることがあったんですけど、今回は21歳の等身大の私と言えるものができたと思います。

一番等身大の自分に近い歌詞が書けたと思う曲は?

1曲目の「DREAM ON」かな。これはそのまんまです。私の口癖がそのまま歌詞になってるし、行きたい場所を全部並べてるし(笑)。音源作りにもこだわって、ちゃんとしたスタジオではなく、リビングで録ったデモの歌をそのまま修正せずに使っているんです。ミックスの確認の音源をもらった時も偶然、歌詞の通り、コインランドリーにいて(笑)。私の生活感とか日常とかが切り取られている。今回、初めて組んだロサンゼルス在住のJuan Arizaというプロデューサーにトラックはお願いしたんですけど、彼の作業部屋もリビングで(笑)。本当は「DREAM ON」は入れる予定ではなくて、「COFFEE」「Moonlight」「ENEMY」を作りに行ったんですけど、その3曲が終わった時に“時間が余ったね。もうちょいできるね”って「DREAM ON」のデモを聴いてもらったら、“これ、絶対にカッコ良くなる”って作り出して。音作りもオリジナリティーにあふれているんですよ。机を叩いた音をサンプリングしたり、「COFFEE」では手でキャンバスを叩いた音をキック代わりに使ったり(笑)。それを当たり前にやっているから、さすが自由の国と思いました(笑)。

ライヴの光景が想像できるアルバムにもなりましたね。

前作とは違う楽しみ方ができるアルバムだから、リリースツアーも前回とは違うものになるだろうってわくわくしてます。もちろん今度のツアーでも新曲はやろうと思ってます。やっぱりライヴで育てたいんです。お客さんの反応を見ながらアレンジや歌詞を変えることがあるんですけど、それが結構楽しいし、今回のようにアルバムにつながるってなると毎日が楽しいって思うし(笑)。“やっぱり楽しくやらなきゃ、音楽は”って思いますよね。

取材:山口智男

アルバム『LOOP』2018年7月25日発売 Sony Music Records
    • 【初回生産限定盤(DVD付)】
    • SRCL-9877~8 ¥3,800(税込)
    • ※28Pフォトブックレット仕様
    • 【通常盤】
    • SRCL-9879 ¥3,000(税込)

『Anly “LOOP” Around the World ~Track 1~』

■LOOP PEDAL SET(ソロ)
8/31(金) 東京・新宿LOFT
9/02(日) 宮城・仙台LIVE HOUSE enn 2nd
9/06(木) 兵庫・神戸VARIT.
9/07(金) 広島・BACK BEAT
9/09(日) 福岡・DRUM SON
9/14(金) 千葉・LOOK
9/16(日) 栃木・HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
9/17(月) 茨城・水戸LIGHT HOUSE
9/21(金) 静岡・浜松FORCE
9/22(土) 神奈川・横浜BAYSIS
9/24(月) 埼玉・HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
9/27(木) 京都・someno kyoto
10/05(金) 新潟・GOLDEN PIGS YELLOW STAGE
10/06(土) 群馬・高崎TRUST55
10/12(金) 沖縄・桜坂セントラル
■BAND SET
9/28(金) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
9/30(日) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
10/08(月) 東京・渋谷CLUB QUATTRO

Anly プロフィール

アンリィ:1997年1月、沖縄・伊江島生まれ。中学卒業までPCもインターネット環境も家にはなく、情報が閉ざされた南の島で、音楽好きの父が持ち帰るブルースやロックのCDを聴き、ギターをオモチャ代わりに爪弾く日々を過ごす。島には中学までしかないため、高校進学のために転居した那覇市内で弾き語りライヴをスタート。高校を卒業した15年11月、シングル「太陽に笑え」でメジャーデビュー。17年3月にリリースした“Anly+スキマスイッチ=”名義によるスキマスイッチとのコラボシングル「この闇を照らす光のむこうに」で注目を集めた。Anly オフィシャルHP

Anly
アルバム『LOOP』【初回生産限定盤(DVD付)】
アルバム『LOOP』【通常盤】

「MANUAL」(『LOOP』Ver.)

「MANUAL」リリックビデオ

OKMusic編集部

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