ましのみ

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【ましのみ インタビュー】
お客さんと一緒に盛り上がれる
夏ソング

初のシングル「どうせ夏ならバテてみない?」はポップで元気になるナンバー。今まで以上に同世代の女の子たちに届くよう書いたという今作で、彼女が表現したかったこととは?

「どうせ夏ならバテてみない?」は軽快な夏ソングですね。

同世代の女の子たちが聴いて何かしら元気になるとか、わくわくできるような曲を作りたくて、特に“分かりやすく表現しよう”と強めに意識し、書いてみたシングルなんです。「どうせ夏ならバテてみない?」は好きな人同士の間で“好き”の重さに違いがある状態を描いているんですけど、この場合は女の子の好きが重くなり、好きだからこそずっと“構ってよ”という気持ちがクレッシェンドしていって…そういった恋愛している時のもどかしさを細かく描写するようにしました。

女の子が赤裸々に自分の気持ちを訴えているのが印象的でした。

ネガティブなことを言っているのはリアルだからこそというか。現実はきれいなことばかりが起こるわけじゃないし。私は幸せの中にも楽しさだけでなく、いろいろないざこざや辛い気持ちがあるほうが、ほんとは深い恋愛だと思うから。そういうのを書きたいなと思ったんです。そして、曲になるのだからドラマチックなほうが聴いている人も楽しいですよね。あとは、私自身が夏はわくわくする曲が聴きたいので、BPM的にもわくわくするようにして。そしたから今までの曲の中でもピアノが大変で、自分で作ったにもかかわらず、“早っ!”と思いました(笑)。

ましのみさんの声色も多彩で楽しいです。

前回のレコーディングやライヴでの経験、さらにさまざまな音源を聴いて“私はどういったところが好きなんだろう?”と考えて。私は飽き性だから、その時その時にいろいろなものを使って表現したほうが分かりやすく好きだなと思ったんです。特にこういう曲は大袈裟にやったとしてもギリギリ伝わるくらいだっていうのを前回のアルバム『ぺっとぼとリテラシー』で知ったので、今回は多彩な声色や表情を大袈裟に出しています。

いきなり“トゥルルル~”という声が入って驚きました。

イントロはすごく大事ですから。そこで引っ掛かってくれないといけないので、せっかくだから声でいろいろしてみようと考えてやりました。レコーディングスタジオでこれを見つけたんですけれど、さすがにプロの現場で言うのは勇気がいりましたね(笑)。

2曲目は「海水掛け合いっこ」の主人公は拗ねている女の子で。

どちらも“夏に向かってわくわくできる曲を!”と考えたんですけど、「海水掛け合いっこ」は女の子が意地を張っている場面をずっと描いていて。例えば昔って携帯とかもないし、連絡も簡単につかない。そんな時代に戻ったら相手が何をしているか分からない時間が多いわけじゃないですか。今はSNSでチェックできちゃうし、ずっと見ようと思えば見れる。GPSとかあるし。そういうものがない時代だと成り立たない恋じゃ悲しいでしょ?って。それくらい信用していたいから、浮つき癖を治してほしい。だから、簡単に許さないんだよ…という感じです。

青春だけど、当事者にとっては重要な問題ですね。

本人たちからしたら必死で、切実な問題というのを書きたかったんです。そこも恋愛のキュンとするポイントだなと思っているので。私の中で「海水掛け合いっこ」は昼から夕方にかけての曲なんですけど、こちらの主人公のほうがちょっとかわいらしいかな。で、「どうせ夏ならバテてみない?」は夜から朝にかけての曲。同じふたりでもその時の気分によっていろいろな感じになったりすると思うから、せっかく夏でシングルを作れるんだったらいろいろな場面を書きたいなと思ったんです。

3曲目「コレクションofコネクション」はがらりと雰囲気が変わって切ないナンバーですね。

これは救いようのないテーマを扱っているから、変に救いを与えたくなかったんですよ。恋愛や人間関係において“一番好きだよ”とか言うけれど、その“好き”に対するとらえ方はどうやっても自分の中と相手の中で同じにはならないじゃないですか。たぶんどんなに話し合ってもそこの感覚は共有できない。それによって生じる“誰も悪くない”という傷付きを、この曲では恋愛で描いています。誰も悪くないからこそ救いようがないというか。生きていればみんな“好き”の価値観が人によって違うってことを感じると思うし、救いようのないテーマだからこそ寄り添って共感できれば、“私だけじゃないんだ”とちょっとポジティブになれると思うんです。

そうですよね。

もうひとつの軸としては、花火大会は華やかな場所だから告白したり告白されたりとか、いろいろあるじゃないですか。でも、それが終わってひとりになった時、すごく寂しく感じると思うんです。夏は盛り上がるからこそ、ひとりの時に孤独を感じやすいから。そういう孤独にも寄り添えるよう、この曲は素朴なミックスにしました。ピアノもペダルを踏まないでポロポロと弾いたりとか、リバーブもかけなかったりして。孤独に寄り添える素朴な曲にしたかったんです。

今年はメジャーデビューをして今までにアルバムとシングルをリリースされましたが、活動をする中でどんなことを感じていますか?

アルバムをリリースしたあと、ライヴをしていてお客さんと盛り上がれる曲ってすごくいいなと気付いたんですね。だからこそ、もっとみんなで盛り上がれる曲がたくさん欲しいというのもあって、今回、一緒に盛り上がれる夏ソングをアゲアゲで書いたんです。以前はお客さんに合わせすぎていて、それが嫌で逆にお客さんを置いていくくらいのライヴをしようとしていた時期があったんですけど、お客さんを巻き込んでいくのが一番楽しいことだと分かった。今は寄り添いすぎず、突き放しすぎず、期待を上回るライヴをするように、若干のライヴアレンジを加えたり、曲と曲のつなぎを考えたり、いろいろ工夫することにやり甲斐を感じています。

取材:桂泉晴名

シングル「どうせ夏ならバテてみない?」2018年8月1日発売 PONY CANYON
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • PCCA-04685 ¥2,160(税込)
    • 【通常盤】
    • PCCA-04686 ¥1,296(税込)

ライヴ情報

『ましのみ× eggman presents 「スクランブルエッグ
〜スクランブられずスクランブりまshow〜」 Vol.2』
7/29(土) 東京・Shibuya eggman
w)MINT mate box、TENDERLAMP and more

『ぺっとぼとリテラシー
ほとばしるバテで夏を締めくくりまショータイム Vol.2』
9/08(土) 東京・代官山UNIT

ましのみ プロフィール

ましのみ:1997年2月12日生まれ。キーボード弾き語りスタイルで活動している現役女子大生シンガーソングライター。2016年にヤマハグループが開催する日本最大規模の音楽コンテスト『Music Revolution 第10回 東日本ファイナル』で約3,000 組の中からグランプリを獲得。これまでインディーズ盤にて『ハッピーエンドが見えません』『ましのみのサブアカウント』をリリース 。5週連続でタワーレコードの“タワクル”の売り上げ第1位をキープし話題となった。18年2月、アルバム『ぺっとぼとリテラシー』でメジャーデビューを果たした。ましのみ オフィシャルHP

ましのみ
シングル「どうせ夏ならバテてみない?」【初回限定盤(DVD付)】
シングル「どうせ夏ならバテてみない?」【通常盤】

「どうせ夏ならバテてみない?」MV
(ほぼFull.Ver)

OKMusic編集部

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