シド、
ツアーファイナル公演の
“暴れ曲限定LIVE”で会場が大熱狂
5月5日の東京から始まった『SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018』が東京へ還ってきた。追加公演の豊洲PIT 2Daysを残すものの、名目上はこのZepp Tokyoがツアーファイナルだ。今回のツアーは各日様々な趣向を凝らし、“ファン投票”“インディーズ曲限定”“昭和歌謡曲限定”などコンセプチュアルなセットリストが大きな話題を呼んだが、この日のメニューはズバリ“暴れ曲限定LIVE”。さあ、暴れる準備は出来ているか? フロアはぎっしり満員、立ち上る期待感が陽炎になって目に見えるようだ。
ゆうや、明希、Shinji、そしてマオ。ゆっくりと登場する一人一人に大歓声が襲い掛かる。マオの目がすでに攻撃色に変わっている。ゆうやが勢いよくカウントを入れ、「dummy」が始まった途端にフロアがぐらりと揺れた気がした。マオが客席に足を突っ込み噛みつくように歌っている。「隣人」では明希とShinjiが最前線に飛び出し煽りまくり、「ENAMEL」では会場全体を巻き込んだヘッドバンギングで風が起きる。誰一人、5分後のことすら考えていやしない。刹那の爆音にひたすら身を委ねるのみだ。
“怪我すんなよ。キツそうな奴は助けろよ。あとは何をやってもいい。一緒にぶっ壊れていこう”
マオの短い挨拶に続き、最新アルバム『NOMAD』からハイスピードのメタルチューン「XYZ」。フロア全体で突き上げる拳が壮観だ。一転して明るいスピードポップ「Re:Dreamer」でマオがようやく笑顔を見せ、客席にマイクを向け大合唱をリードする。「MUSIC」は打ち込みを使った高速エレクトロ・ロックで、明希が弾くスラップ・ベースのソロがかっこいい。中間部のジャジィな4ビートも実にお洒落。暴れ曲オンリーとはいえ1曲ごとに味付けを変えて飽きさせない、それがシドの楽曲の強みだ。
“次にこんなことやれるかわかんない。悔い残すなよ”(明希)
“のっけからすごいね。パワーもらったんで、ここから倍返しだ”(Shinji)
“2018年で一番暴れた1日にしてやってくださいよ”(ゆうや)
3人が一言ずつ、そしてマオの“ここからはねっとりと絡まっていきましょう”という言葉を合図に、「capsule」「必要悪」と劇的なテンポチェンジを持つヘヴィロック二連発へ。思い切り歪ませた明希の極悪ベースが工事現場のノイズのようにズシリと響き渡る。リード曲よりアルバム曲やカップリング曲がここぞとばかりに自己主張する“暴れ曲"のセトリだが、「バタフライエフェクト」はシングルとしては稀有な攻撃型ヘヴィロックとして強烈な個性を見せつける。蝶のように舞い蜂のように刺す、Shinjiのハードなギターワークは手元を見ているだけで楽しい。
“若干まったりしたけど、ここからまたぶっ壊していくから。お前らに新曲持ってきました”
新曲「VOICE」は、豪快な2ビートとメンバー全員コーラスが印象的な陽性のメロディック・パンクチューンだ。マオがオーディエンスにシャウトを求め、にっこり笑ってOKサインを出す。間髪入れずに「Dear Tokyo」を繰り出すと、フロアも二階席も一体となり拳振り上げ、ジャンプ、クラップ、ヘドバン、熱いコーラスで応戦。“今日はすげーな”と思わずマオが笑う。そのまま「one way」へとなだれ込み、全員が左右にステップを踏みながら踊りまくる、カオスの海の中で陽気に溺れている。
タイトルとは裏腹にガンガン飛ばすロックチューン「プロポーズ」でさらにアクセルを踏み込み、本編ラストを飾ったのはとことんヘヴィなメタル・ダンスチューン「眩暈」だった。ここまで14曲でなんと60分ちょっと。14曲を全力疾走で駆け抜けたバンドも、暴れまくったオーディンスも、しかしどちらもギブアップする気はゼロ。アンコールの拍手に呼び戻されたマオが“ここからもっと飛ばしていこうか”と不敵に笑う。乱舞の宴の再開だ。
インディーズ時代から暴れ曲として名高い「赤紙シャッフォー」、エスニックなギターリフが妖しく舞う「敬礼ボウイ」。サディスティックなまでに攻撃的な2曲を叩きつけメンバーは一旦ステージを降りたが、鳴りやまない拍手と歓声に応えてダブル・アンコールが実現した。“もっともっとヤらしいおまえらが見たいんだ”とマオが煽る。明希が“飛ばせ! かかってこい!”と叫ぶ。曲は「park」、そして本当のラストは「吉開学17歳(無職)」だった。一番最後に最速ハードコアチューンを持ってくるとんでもない展開に場内騒然、マオが酸素ボトルを破壊し、明希はベースを置きフロアに飛び込もうとする。暴れ曲限定LIVEにふさわしい、カオスでエモーショナルなラストシーンだった。
“トーキョー、気持ち良かったか? 俺も2回もイっちまったよ。サンキュー、バイバイ”
アスリートのようなスピード感で一気に駆け抜けた90分18曲。15周年を迎えてたとえベテランと呼ばれても落ち着いたバンドになる気はさらさらない、“暴れ曲限定LIVE"はシドの生き方そのものだった。終演後には7月25日にライブ映像作品『SID TOUR 2017「NOMAD」』、8月22日にニューミニアルバム『いちばん好きな場所』のリリースが発表され、9月からは“SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 「いちばん好きな場所2018」"の開催も発表された。
そして“SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018"の追加公演も、6月27日(水)・28日(木)、豊洲PITにて実施される。それぞれ、“昭和歌謡曲限定LIVE"、“インディーズ曲限定LIVE"と、これもまたコンセプトの違うライブとなる。シドは攻め続け、走り続け、暴れ続ける。15周年の祝宴、最高のクライマックスはこれからだ。
Text by 宮本英夫
Photo by 今元秀明
ゆうや、明希、Shinji、そしてマオ。ゆっくりと登場する一人一人に大歓声が襲い掛かる。マオの目がすでに攻撃色に変わっている。ゆうやが勢いよくカウントを入れ、「dummy」が始まった途端にフロアがぐらりと揺れた気がした。マオが客席に足を突っ込み噛みつくように歌っている。「隣人」では明希とShinjiが最前線に飛び出し煽りまくり、「ENAMEL」では会場全体を巻き込んだヘッドバンギングで風が起きる。誰一人、5分後のことすら考えていやしない。刹那の爆音にひたすら身を委ねるのみだ。
“怪我すんなよ。キツそうな奴は助けろよ。あとは何をやってもいい。一緒にぶっ壊れていこう”
マオの短い挨拶に続き、最新アルバム『NOMAD』からハイスピードのメタルチューン「XYZ」。フロア全体で突き上げる拳が壮観だ。一転して明るいスピードポップ「Re:Dreamer」でマオがようやく笑顔を見せ、客席にマイクを向け大合唱をリードする。「MUSIC」は打ち込みを使った高速エレクトロ・ロックで、明希が弾くスラップ・ベースのソロがかっこいい。中間部のジャジィな4ビートも実にお洒落。暴れ曲オンリーとはいえ1曲ごとに味付けを変えて飽きさせない、それがシドの楽曲の強みだ。
“次にこんなことやれるかわかんない。悔い残すなよ”(明希)
“のっけからすごいね。パワーもらったんで、ここから倍返しだ”(Shinji)
“2018年で一番暴れた1日にしてやってくださいよ”(ゆうや)
3人が一言ずつ、そしてマオの“ここからはねっとりと絡まっていきましょう”という言葉を合図に、「capsule」「必要悪」と劇的なテンポチェンジを持つヘヴィロック二連発へ。思い切り歪ませた明希の極悪ベースが工事現場のノイズのようにズシリと響き渡る。リード曲よりアルバム曲やカップリング曲がここぞとばかりに自己主張する“暴れ曲"のセトリだが、「バタフライエフェクト」はシングルとしては稀有な攻撃型ヘヴィロックとして強烈な個性を見せつける。蝶のように舞い蜂のように刺す、Shinjiのハードなギターワークは手元を見ているだけで楽しい。
“若干まったりしたけど、ここからまたぶっ壊していくから。お前らに新曲持ってきました”
新曲「VOICE」は、豪快な2ビートとメンバー全員コーラスが印象的な陽性のメロディック・パンクチューンだ。マオがオーディエンスにシャウトを求め、にっこり笑ってOKサインを出す。間髪入れずに「Dear Tokyo」を繰り出すと、フロアも二階席も一体となり拳振り上げ、ジャンプ、クラップ、ヘドバン、熱いコーラスで応戦。“今日はすげーな”と思わずマオが笑う。そのまま「one way」へとなだれ込み、全員が左右にステップを踏みながら踊りまくる、カオスの海の中で陽気に溺れている。
タイトルとは裏腹にガンガン飛ばすロックチューン「プロポーズ」でさらにアクセルを踏み込み、本編ラストを飾ったのはとことんヘヴィなメタル・ダンスチューン「眩暈」だった。ここまで14曲でなんと60分ちょっと。14曲を全力疾走で駆け抜けたバンドも、暴れまくったオーディンスも、しかしどちらもギブアップする気はゼロ。アンコールの拍手に呼び戻されたマオが“ここからもっと飛ばしていこうか”と不敵に笑う。乱舞の宴の再開だ。
インディーズ時代から暴れ曲として名高い「赤紙シャッフォー」、エスニックなギターリフが妖しく舞う「敬礼ボウイ」。サディスティックなまでに攻撃的な2曲を叩きつけメンバーは一旦ステージを降りたが、鳴りやまない拍手と歓声に応えてダブル・アンコールが実現した。“もっともっとヤらしいおまえらが見たいんだ”とマオが煽る。明希が“飛ばせ! かかってこい!”と叫ぶ。曲は「park」、そして本当のラストは「吉開学17歳(無職)」だった。一番最後に最速ハードコアチューンを持ってくるとんでもない展開に場内騒然、マオが酸素ボトルを破壊し、明希はベースを置きフロアに飛び込もうとする。暴れ曲限定LIVEにふさわしい、カオスでエモーショナルなラストシーンだった。
“トーキョー、気持ち良かったか? 俺も2回もイっちまったよ。サンキュー、バイバイ”
アスリートのようなスピード感で一気に駆け抜けた90分18曲。15周年を迎えてたとえベテランと呼ばれても落ち着いたバンドになる気はさらさらない、“暴れ曲限定LIVE"はシドの生き方そのものだった。終演後には7月25日にライブ映像作品『SID TOUR 2017「NOMAD」』、8月22日にニューミニアルバム『いちばん好きな場所』のリリースが発表され、9月からは“SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 「いちばん好きな場所2018」"の開催も発表された。
そして“SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018"の追加公演も、6月27日(水)・28日(木)、豊洲PITにて実施される。それぞれ、“昭和歌謡曲限定LIVE"、“インディーズ曲限定LIVE"と、これもまたコンセプトの違うライブとなる。シドは攻め続け、走り続け、暴れ続ける。15周年の祝宴、最高のクライマックスはこれからだ。
Text by 宮本英夫
Photo by 今元秀明
【セットリスト】
1.dummy
2.隣人
3.ENAMEL
4.XYZ
5.Re:Dreamer
6.MUSIC
7.capsule
8.必要悪
9.バタフライエフェクト
10.VOICE
11.Dear Tokyo
12.one way
13.プロポーズ
14.眩暈
En1.赤紙シャッフォー
En2.敬礼ボウイ
WEn1.park
WEn2.吉開学17歳(無職)
1.dummy
2.隣人
3.ENAMEL
4.XYZ
5.Re:Dreamer
6.MUSIC
7.capsule
8.必要悪
9.バタフライエフェクト
10.VOICE
11.Dear Tokyo
12.one way
13.プロポーズ
14.眩暈
En1.赤紙シャッフォー
En2.敬礼ボウイ
WEn1.park
WEn2.吉開学17歳(無職)