ヨシケン

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【ヨシケン インタビュー】
原点回帰に込めた新たな決意と覚悟!

ロックシンガーソングライター、ヨシケンが前作から3年振りとなるアルバム『Despair or Brilliance』をリリース! 10枚目にして初めてライヴのメンバーと全曲をレコーディングしたという新作に込めた想いを語る。

新作を作るにあたっては、2017年5月の赤坂BLITZ(現マイナビBLITZ赤坂)公演がターニングポイントになったようですね。

2016年5月に赤坂BLITZでやったあと、たまたまバンドのメンバーがチェンジして、ギターとキーボードに若い子が入って、ドラマーも昔やっていた人に代わったんですね。で、“ルーツ・オブ・ロックンロール”みたいにシンプルにやりたいってことで、2017年は“中高生の時にカッコ良いと思ったことが正しい”をキーワードにライヴをやったんです。で、2016年のライヴももちろん良かったんですけど、その時のメンバーでそのままレコーディングに突入しようってことになって。ライヴのメンバーで全曲を録るって、これまでなかったんですよ。レコーディングはあえて、いつもライヴをやっているメンバーにスタジオミュージシャンも加えていたんですけど、今回はライヴのメンバーだけでライヴみたいに録ってみたんです。

フットワークが軽く、ロックンロールに回帰しているように感じられるのはそういうことだったのですね。

シンプルですよね。曲を作ったらギター、ベース、ドラムを入れた簡単なデモをメンバーに投げて、仮の歌詞のまま10代の頃にやっていたみたいにジャムセッションしながらかたちにしていったんですけど、10代の頃とは違う新鮮さがありましたね。2曲目の「夜のハイウェイ」は“せーの!”で一発録りしたんです。リズムを録る時、いつも僕は仮歌を歌うんですけど、「夜のハイウェイ」はワンコーラスやったところで“これ、オーケーテイクになっちゃうな”と思ったんです。そしたらエンジニアも含め、みんなそう思ったみたいで、そのテイクをできるだけ残せるように機材をいじり出して(笑)。結果、“録りまーす”って全員で“せーの!”で録った歌がそのまま残りました。ただ、そういうことをこだわりとしてやったわけではなくて、10代の頃やってたことと同じことをやろうとしたら自然とそうなったっていう。

じゃあ、曲を作る時も中高生の時にカッコ良いと思ったものを意識して?

そうですね。普通だったら“なし!”にするような曲も、“まぁ、いいんじゃないか”って(笑)。9曲目の「FUCKIN’ DREAMS COEM TRUE」は2016年の赤坂BLITZ公演の最後に演奏したんですけど、ドッドタンドッドタンってシャッフルのリズムの曲って、日本語でやるといなたい感じになるんですよね。でも、“ライヴだし、いいや。やっちゃえ”って。そしたら思ってた以上に良くて。それで、2017年の時に10曲目の「The Long and King’s Road」を…最初、♪ラララ〜でメロディーを付けた時、自分でもEAGLESっぽいと思ったんですけど、そういう曲調で僕の歌の世界を成立させるのは難しいなぁって。でも、いいやと思ってやったんですよね。だから、もとからあったその2曲がわりと自分の中の禁を破ってたんで、そこから先は“もういいじゃん!”って感じでしたね。

ただ、原点に戻りながらもバラードを含め、楽曲はバラエティーに富んでいますよね。サンプリングも使ったダンサブルな「ナイフと薔薇」のような曲も欠かせないわけですか? 

その曲は…高校生の頃から僕のライヴに来ていたファンの男の子がいたんです。その後、彼もシンガーソングライターとして音楽を始めたんですけど、耳の病気になってしまって辞めたんですね。でも、どうしても彼にもう一度音楽をやってほしいと思って、2011年に赤坂BLITZでライヴをやる時に“DJやらない? とりあえずループを作って、スイッチを押したら踊ってりゃいいんだよ”って無理矢理やらせたんですよ。そしたら、今はDJとして仕事をもらっているっていうね(笑)。

あぁ、バンドのメンバーでもあるDJ hanawayaさん?

アイドルのアレンジや作曲の仕事もやっているんですよ。「ナイフと薔薇」はロックなんだけど、ダンスビートにはまる曲を作りたいと思って、バンドと演奏したデモを“好きにしていいよ”ってhanawayaに送ったら1日で返してきたから、それに歌詞を書いて、ギターの久保田邦夫さんに“いろいろなギタリストがガンガン弾いてる感じで”ってギターを入れてもらって…というふうに作っていったんですけど、それもやってみて面白ければいいじゃんって。

アルバムにはそういう今の時代の要素も必要だと?

“こういうことをやったらウケるだろう”みたいなことは考えてなくて、単純に好きなんです。何年も前からアンダーグラウンドのヒップホップの人たちが好きだったんですよ。自分がラッパーになりたいとは思わないけど、リリックがカッコ良いし、面白そうなことをやっているじゃないですか。自分が好きなものをやればいいんだって、そういう人たちに勇気付けられているところもありますしね。

今回、歌詞を書く上ではどんなテーマがありましたか? ヨシケンさんの半生にだぶらせながら、ひとりのロックンロールミュージシャンの物語をアルバム1枚を通して歌っているようにも思えるのですが。

最初にできた2曲がキーワードになっているところはありますよね。《生きているんだと教えくれたのは 傷だらけのギターと 拍手と歓声》という「The Long and King’s Road」の一節からいろいろな物語に派生していきました。もう一回、この生き方をやれるならやるだろうな、みたいなところはあります。面白いから。このぐらいの歳で音楽をやるのは、そこそこ売れたてた人でも厳しくて、僕より全然売れてた知り合いの中にもダメになった人がいっぱいいるんですよね。いるんですけど、いろいろな矢とか弾とか刺さりながらでも、進むか、どこかでビビって辞めるかだけなんですよ。そういうことをすごく思う時期でしたね。本来ならば、ひと握りの天才しか生き残れないぐらい細い道なんですけど、それでも俺は最後まで行くぞ!っていう想いは込めました。

取材:山口智男

アルバム『Despair or Brilliance』2018年6月27日発売 Vanilla Sky Records
    • VSRC-1041
    • ¥2,500(税抜)

『10thオリジナルアルバム発売記念ワンマンGIG 「BLACK KNIGHT」』

6/26(火) 東京・新宿LOFT

ヨシケン プロフィール

ヨシケン:本名の吉井賢太郎としてVAPよりメジャーデビュー! メジャーでの契約終了後、“ヨシケン”を名乗り活動。以後コンスタントに作品を発表する。路上の手売りで渋谷公会堂などのライヴを成功させたことが話題に。2016年、17年と2年連続赤坂BLITZにて単独公演を行なう。03年に自ら新レーベル『Vanilla Sky Records』を設立しており、自身の活動と並行して若手アーティストのプロデュースや育成にも奮闘中! ヨシケン オフィシャルHP

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アルバム『Despair or Brilliance』

アルバム『Despair or Brilliance』
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OKMusic編集部

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