5月26日(土)@昭和女子大学 人見記念講堂

5月26日(土)@昭和女子大学 人見記念講堂

安藤裕子、
記念すべき15周年記念日を
2000人の観客が祝福

安藤裕子が5月26日(土)に15周年イヤー突入を記念したライブを昭和女子大学 人見記念講堂にて開催。『~長くなるでしょうからお夕飯はお早めに~』というサブタイトル通り、約3時間にも及ぶスペシャルな一夜、そして安藤裕子の記念すべき15周年を2000人の観客が祝福した。今回のセットリストは2~3月にかけてツイッター上で実施された初のリクエスト企画の結果を基に組まれており、まさにファンが聴きたかった曲たちがアンコールを含め24曲も並ぶベストなセットリストとなった。

帆船が印象的に配置された幻想的な舞台に登場した安藤裕子。新たな扉を開くような爽快な楽曲「"I"novel.」で幕を開けた第一部から「TEXAS」「ドラマチックレコード」と前述のリクエスト企画上位楽曲などが次々と披露される。山本隆二(Pf)設楽博臣(Gu)沖山優司(Ba)伊藤大地(Dr)酒井由里絵(Cho)、さらに後関好宏(Sax)村上基(Tp)滝本尚史(Tb)というホーンまで加わり、この上ない豪華なメンバーで固められたバンドがグルーヴを生んだ名曲「黒い車」にも、大きな歓声が沸いた。

今から20年程前、初めてデモを録ったという「愛の日」を歌い終えると、安藤裕子はゆっくりと語り始めた。音楽と出会う前は心を閉ざしていたこと、自分を一番に見つめてくれる人がどこにもいないような気がしていたこと。それが“うた”を歌い始めるスタート地点になったこと。音楽を始めたことで、自分自身が一番誰のことも見ていないことに気付いたこと。そして歌を聴いてくれる "あなた達" に出会えたこと。“ありがとうございます”と心のこもった一言を伝えて披露した「海原の月」、そして「隣人に光が差すとき」という流れに会場が感動に包まれたことは、言うまでもなく第一部の大きなハイライトとなった。第一部最後の曲は、ピアノのみのシンプルな伴奏で歌われた「蒔かれた種について」。伸びやかな歌声が会場の中に響きわたり、講堂は充足感に満たされていた。

15分の休憩をはさみ、始まった第二部。ステージ奥の幕が上がると、星空と三日月の舞台セット、そして三日月に腰をかけた安藤裕子が登場し「六月十三日、強い雨。」で、優しく幕を開けた。第一部と第二部で、印象が違う雰囲気の中、音楽を楽しむ事が出来る趣向を凝らした舞台も、今回の特徴と言えるだろう。

「水色の調べ」「パラレル」というテンポ感のある楽曲を挟み、第二部中盤には珍しい曲が飛び出した。初のライブDVDとしてリリースもされた『安藤裕子TOUR 2008 “Encyclopedia.” FINAL』の中で未完成の新曲として演奏されたものの、未だ音源化されていない「太陽の嘘つき」「The moon and the sun」。その2曲を、アコースティックギターを手に弾き語りで披露したのだ。それは往年のファンを大いに悦ばせるサプライズな演出となった。

終盤には、これまであまりライブでやってこなかったにもかかわらずリクエスト企画で1位を獲得した「さよならと君、ハローと僕」、屈指の名バラード「唄い前夜」を披露。そして本編最後を飾ったのは、前に進むきっかけを与えてくれるような包容力のあるバラード「歩く」だった。この日一番の穏やかな空気が会場を包む中、第二部が感動的に幕を閉じた。

アンコールは、デビュー作より「サリー」、そしてリクエスト企画で同票1位を獲得した「聖者の行進」。ライブアレンジでひたすらエモーショナルに歌う圧倒的な姿を最後に、安藤裕子の15周年ライブは完結した。安藤裕子の15年間、その間に彼女の中にあった様々な事柄、喜びも苦しみも、そしてもちろん感謝も全て含んだような、まさしく15周年ライブにふさわしいステージだった。この15周年の向こう側に、安藤裕子はまた新たな舟を漕ぎ出すのだろう。このライブを観た者は誰もがそう予感せずにはいられなかったはずだ。6月27日にリリースされる初の書き下ろし小説集『至らぬ人々』を付属したミニアルバム『ITALAN』は、もしかするとその第一歩なのかもしれない。

なお、この日のライブの模様はBS241 BSスカパー!にて7月14日に放送される。さらに8月末には、Motion Blue YOKOHAMA、NAGOYA Blue Note、Billboard LIVE OSAKAという落ち着いたステージでライブを開催することを発表するなど、安藤裕子の15周年イヤーにさらなる注目が集まりそうだ。

Photo by Aki Ishii
【セットリスト】
1."I"novel.
2.TEXAS
3.ドラマチックレコード
4.SUCRE HACACHA
5.さみしがり屋の言葉達
6.黒い車
7.雨月
8.愛の日
9.海原の月
10.隣人に光が差すとき
11.蒔かれた種について
-休憩-
12.六月十三日、強い雨。
13.あなたと私にできる事
14.水色の調べ
15.パラレル
16.太陽の嘘つき
17.The moon and the sun
18.summer
19.Lost child,
20.さよならと君、ハローと僕
21.唄い前夜
22.歩く
<アンコール>
EC1.サリー
EC2.聖者の行進
ミニアルバム『ITALAN』2018年6月27日(水)発売
    • 【通常盤】(CD)
    • LNCM-1253/¥2,315+税
    • 【限定盤】(CD+短編小説)
    • LNCM-1254/¥3,241+税
    • <収録内容>
    • ■CD
    • 至らぬ人々
    • SVAHA
    • 太古の時計
    • こどものはなし
    • 風雨凄凄
    • 花柄        
    • さよなら
    • ■短編集『至らぬ人々』
    • 風雨凄凄
    • 娑婆訶
    • こどものはなし
5月26日(土)@昭和女子大学 人見記念講堂
5月26日(土)@昭和女子大学 人見記念講堂
5月26日(土)@昭和女子大学 人見記念講堂

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着