【対談】DAISHI(Psycho le Cému)
× ガラ(MERRY)「未来は世代を超
えて1つになれたら」

復活後初の完全オリジナルアルバム『Light and Shadow』をリリースし、先ごろ全国ツアーを大成功の内に終えたサイコ・ル・シェイム。DAISHIをフィーチャーし、先輩、同世代、後輩の3世代のボーカリストとの対談シリーズの最後を飾るのは同じシーンを駆け抜けてきたMERRYのガラだ。サイコ復活後にイベントで共演、DAISHIとMERRYのメンバーは昔からの繋がりもあり、今年の4月にはDAISHIをボーカルに迎えMERRYの楽器隊が演奏するD’ERLANGERのコピーバンド“N’ERLANGER”がライブで誕生したりと両バンドには知る人ぞ知る接点がある。先輩に影響を受け、バンドを結成した同世代の2人が今のシーンに思うこと、自分たちの世代が成すべき役割とは?
  ◆  ◆  ◆
■ 自分は、こういうボーカルになれなかったからサイコ・ル・シェイムを作ったんだなと思いました/DAISHI
──DAISHIさんとガラさんはほぼ同世代で、シーンの中で同じような風景を見ていらっしゃったと思いますが、交流が生まれたキッカケは?
DAISHI:でも、飲みに行ったことはないですもんね?
ガラ:ないですね。スタジオで何回かお会いして挨拶するとか、それぐらいで、DAISHIさんと対談するのも初めてだと思います。ウチのネロ(Dr.)とは対談されていましたよね。
DAISHI:そうですね。あと、僕、昔はテツくん(B.)や結生くん(G.)と一緒によくライブで共演してたんですよ。僕が20才過ぎぐらいのときかな。
▲DAISHI(Psycho le Cému)


──当時、対バンしていたんですか?
DAISHI:サイコ・ル・シェイム、MERRYの前のバンドの時代ですね。
ガラ:そうですよね。お互いのバンドが始動してからのことになると、当時、<SHOCK WAVE>(雑誌『SHOXX』が開催していたヴィジュアル系のイベント)にはサイコ・ル・シェイムやMUCCは出ていたけれど、MERRYはちょっと後の世代なので出ていないんですよ。なので、サイコ・ル・シェイムとガッツリ絡んだことはないんですよね。
DAISHI:むしろ僕らが復活してからのほうがよく一緒にやってますよね。
ガラ:ですね。僕はseek(Ba)くんとはよくゴハン行ったりしたんですけど、ほかのメンバーとはあまり話したことがなくて。
DAISHI:ウチはそのあたりはseekが担当というか。バンドってそういうメンバーが1人はいますよね。
ガラ:はい。ウチでいうとネロなんでしょうね。ほかのバンドのライブをいろいろ観に行ったり、飲み会に顔を出すっていう。
DAISHI:なので、共演することはあっても「ガラくん、私服オシャレやな」と思いながらも、遠い目で見てました(笑)。私服がいつもめっちゃ、かわいいんですよ。
ガラ:(笑)いや、いや。ライブだから、ちゃんとしてたんでしょうね。
──では当時、お互いのバンドにどういう印象を持っていましたか?
ガラ:僕はTV番組『SPARK!!』でサイコ・ル・シェイムを観て「なんかスゴイのが出てきたな。こういうヴィジュアル系のバンドもいるのか」ってまずビックリして、それ以降イベントを何回か観に行ったんですけど、ライブというよりはショーでしたね。僕らがライブハウスではやらないようなことをやっていて、小道具や演出も凝っていたし、映像を取り入れたのもかなり早かったんじゃないかと思います。物語というか、1本のライブに起承転結があってホントに舞台を観ているような感じでしたね。
▲ガラ(MERRY)


DAISHI:僕はガラくんが歌っているのを観たときに、「自分は、こういうボーカルになれなかったからサイコ・ル・シェイムを作ったんだな」と思いました。カリスマ性があって雰囲気もあって、ボーカルが担っていくじゃないですか。僕はそういうことができなかったので、ほかのメンバーのキャラクターや立ち位置をすごく考えたんだと思うし。真逆のタイプかもしれないですね。MERRYはメンバーがボーカルを立てている感じがして。グイグイひっぱっていくボーカルには憧れますけどね。……俺、シャイなのかな(笑)。
──キャラは十分、立ってますけどね(笑)。
ガラ:とは言え、DAISHIさんはフロントマンで歌っていてバンドの中心人物としてひっぱっていっているのは間違いないと思うので、ボーカルという立ち位置的に背負っているものは変わらないと思いますね。
──サイコ・ル・シェイムとMERRYでは表現している音楽のタイプは全然違いますけど、ボーカリストであり、パフォーマーでもあるという点では共通点があるのでは?
DAISHI:トータルで見たら似てる部分はあるかもしれないですね。
──ガラさんも、学習机やスティッキとか、ライブで習字したり、小道具はいろいろ使っていましたよね。
ガラ:小道具、めっちゃ使ってましたね。
DAISHI:その瞬間にしか出せない衝撃って観た人の中に一生、残るもんね。そういうものを大事にしはってるんやなって思います。
ガラ:一瞬の美学というか。そこが伝わったら嬉しいんですけど、なんだかキリがなくなってきちゃって。
DAISHI:若いときは、10個演出考えたら8個ぐらい失敗してましたけどね(笑)。その2個が生き残っていまだにやっているっていう。スベり倒して失敗したから、今があるというか。
ガラ:僕らもそういう話したらキリがないです。出落ちで終わったこともいっぱいありますし。
DAISHI:女のコって、サプライズ好きなのにスベった時にはけっこう冷ややかですからね(笑)。ワンマンならいいですけど、イベントでスベろうものなら。
ガラ:サイコ・ル・シェイムは毎回コンセプトがあるので大変だなと思うんですよね。バンドって湯水のようにアイディアが出てくるわけでもないので「次はどうしよう」とか、毎回毎回考えてたんじゃないかなと思いますし、物語ごとに合った曲を作ってるじゃないですか。そうなるとお客さんも新しいものを期待するだろうし。
DAISHI:そうですね。うまく振り幅を作らないとっていうのはありますね。“もっと新しいものを”ってやっていくと限界が来ちゃうので、たまには「お塩とポン酢でサッパリといかがですか?」っていう日も作らないといけない(笑)。コテコテばっかりだとお客さんも僕らも疲れちゃうので、そこはうまくバランスをとるように最近はしてますね。
◆対談(2)へ
■ みんな変わってきましたよね。「あれ? バンドマンってこうだっけな?」みたいな(笑)/ガラ
──今回のDAISHIさんとガラさんの対談自体、意外だと思う人もいるんじゃないかと思うんですよね。
ガラ:多いと思いますね。
──サイコ・ル・シェイムとMERRYを繋ぐセッションバンドとしてN’ERLANGERなるものが存在するんですよね。
DAISHI:そうですね。
N'ERLANGER
 Vo. DAISHI [Psycho le Cému]
 G. KIPHER (健一 [MERRY])
 B. TEELA (テツ [MERRY])
 Dr. Netsu (ネロ [MERRY])

昨日はこのメンバーでD'ERLANGERさんのコピーバンドやりました!

あんな満席のライブハウスで歌えるなんて…緊張したけど楽しかった!

本物kyoさんに報告しよ(笑) pic.twitter.com/CYUfs0bK7p
— DAISHI (@daishi_kajinaga) 2018年4月2日
ガラ:今年、結生くんの誕生日イベントがあったんですけど、いくつかセッションバンドが出て、ネロが指揮をとってD’ERLANGERのカバーバンドをやったんですけど、そのボーカルがDAISHIさん。DAISHIさんがボーカルなのにN’ERLANGERって、ネロの頭文字から取ってる。“コイツ、どこまで自分自分なんだろうな”って(笑)。
DAISHI:でも、DAISHIの頭文字とると普通にD’ERLANGERになってしまうからね(笑)。楽しかったですよ。そのイベント、最初はガラくんがMERRYの曲をヘヴィメタルにアレンジしたバンドが出たんですけど、リハーサル見たらめちゃくちゃカッコよかったんですよ。ウッドベースでスラップとか早弾きもしているバンドで。“この後にN’ERLANGERかあ”と(笑)。盛り上がりましたけどね。あと、僕がいちばんD’ERLANGERのコスプレしてました(笑)。思ってた以上にみんな通常運転だなって。
ガラ:僕らはメイクするぐらいかなと思ってたんですよ。でも、楽屋に行ったら金髪のヅラとかあって“これ、どうするんだろう?”と思ったらDAISHIさんが被ってて忠実に再現(笑)。
DAISHI:僕はネロくんの指示に従っただけなんですけど、当日になったら僕だけ気合い入りすぎっていう(笑)。
──ははは。kyoさんになりきるっていう?
ガラ:ネロはそういうところがあって、バーッと入りこんじゃうんですよ。N’ERLANGERの話ってネロから持ち上がったんですか?
DAISHI:そうなんですよ。kyoさんと僕が対談した雑誌を読んで、“高校生の頃から長いことD’ERLANGERのコピーバンドをやっていたならぜひ”って。(サイコ・ル・シェイムの)ツアーの真っ最中に連絡が来たのでちょっとビビりましたけどね(笑)。“土日なんて絶対空いてないわ”と思ったら、その日だけ唯一空いてたんですよ。奇跡的にその日だけ、ふわ〜っと輝いているようにオフになってた(笑)。
ガラ:それもスゴイっすね。
DAISHI:で、結生くんが、僕らが昔よく対バンさせていただいていたShiverのカバーをやって。
ガラ:そうですね。当時のバンドの曲を演奏したので、その日は楽屋のムードからして懐かしいっていうか。
DAISHI:俺も足震えるぐらい懐かしくて、すっごくいいバンドやったんですよ。
ガラ:サイコはよく一緒にやってましたね。
DAISHI:そうですね。
──じゃあ、今日はそのイベント以来、話すっていう?
ガラ:そうですね。あと、僕が飲みに行く界隈の店で「バンドやってる」って言うと、「DAISHIさん知ってる?」ってみんなに聞かれました。でも、まだ1回も遭遇してないですね。
DAISHI:昔は命賭けて飲んでましたからね(笑)。
ガラ:いつかバッタリ会いたいですね。
DAISHI:(BARKSの)対談シリーズでIZAMさんに「飲みに行こう」って誘われたんですけど、2人だと緊張するから、この前、Bug-Lugの一聖くん誘ったんで、ガラくんも是非(笑)。
ガラ:それ、新しいですね。
DAISHI:IZAMさんと面識ある?
ガラ:全くないです。SHAZNAは観ていた世代というか、僕、まだローディしてましたから。
DAISHI:いいっすね。この対談の意味がありますね(笑)。
ガラ:そうですね。みなさん復活されたりしてるから、こういう場では聞けないような話も聞けるのかなって。
▲MERRY


DAISHI:あと、この前、大阪でD’ERLANGERのCIPHERさんに挨拶させてもらって大いに盛り上がったので、そっちも付き合って(笑)。
ガラ:(笑)僕は(D’ERLANGER)のトリビュートアルバムに参加させてもらって対談した後に、「今から行くぞ」って飲みに行った。
DAISHI:じゃあ、ちょうどいいよ。2人だと緊張するから(笑)。そういえばkyoさんとゴハン食べに行かせていただいたんだけど、kyoさんがガラくんのことすごく褒めてたよ。後輩の中でいちばん好きな歌声だって。ボーカリストとしての佇まいとか含めてガラが好きなんだよね、って。
ガラ:ホントですか? これ、めちゃくちゃいい対談ですね(笑)。
DAISHI:ホントに。
ガラ:D’ERLANGER世代というか、めちゃくちゃ聴いていたのでネロが繋がったことによってライブに行かせてもらったり、ゴハンは「行きましょう」って言っててまだ実現してないんですけど、困った時には連絡させてもらったり。何かあると「元気でやってるか?」って連絡くれる先輩です。ちなみにサイコってヴィジュアル系の縦社会には揉まれてないんですか?
DAISHI:全然、揉まれてない。
ガラ:ああ、いいっすね。東京に出てきても特にそういうこともなく?
DAISHI:まずバンドマンとそんなに付き合いなかったですね。MUCCと蜉蝣とJURASSICとWaiveとはゴハン食べに行ったりしてたけど。
ガラ:僕らは最後の縦社会の世代だったので、優しくかわいがってもらいましたけどね(笑)。
──(笑)飲みの席でなかなか帰れないっていう。
ガラ:帰れないんですよ。
DAISHI:そんな経験、1回も味わったことないですね。
ガラ:僕らライブと打ち上げがパッケージみたいなギリギリの世代だったので、蜉蝣では大佑くんがよく来てくれていて達瑯は飲めなかったので。
DAISHI:うん、うん。
ガラ:でも、みんな変わってきましたよね。DAISHIさんも身体鍛えてますけど、トレーニングしたり、ライブ前に肺活量鍛える器具を使ってる人がいたり、「あれ?」みたいな。「バンドマンってこうだっけな?」みたいな(笑)。
DAISHI:だって、僕、タバコやめたし、40超えてから筋力トレーニング始めてボイトレも行き始めたからね。“しょーもないボーカルになったな”ってメンバーにも言われる(笑)。
ガラ:それって、喉潰さないためですか?
DAISHI:いや、全然。ボイトレは調子よくなったから、もう少し追求したいなと思って。
ガラ:いいっすね。僕、身体鍛えたりとか、そういうの一切ないですもん。
DAISHI:だってスタイルめちゃめちゃいいじゃない? 俺、太りやすいんだもん。ガラくんみたいに体型変わらないんだったら、トレーニングなんか絶対せえへんで(笑)。
ガラ:や、もうちょっと筋肉欲しいなっていうのはあるんですけど、食っても食っても体重は……。
DAISHI:最高じゃん。バンドするために生まれてきた身体。
──てっきり鍛えてるのかと思いました。
ガラ:全然。朝からカップラーメン食おうが、大丈夫です。
DAISHI:わー、そんな人に生まれたかった!(笑)。
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■ 手始めにこの対談からのイベントをやれたら/DAISHI
──サイコ・ル・シェイムもMERRYも、結成20周年が近いですよね?
ガラ:僕らは17年ですね。
DAISHI:僕らは来年の5月で20周年。休んでる期間はありましたけど。
ガラ:MERRYはずっと同じメンバーでやってきてるのでわからないところでもあるんですけど、バンドって始める時もパワーが必要ですけど、1回やめて、そこから再結成するってどえらいことだなって思ってて、そのパワーが今のMERRYにあるかって言ったらないような気がして。
DAISHI:うん、僕は違う意味でどえらいパワーが必要な時があったけど、復活する時は大変だったかな。休止してからも、年に1回ぐらいメンバーと集まって新年会か忘年会やってたんですけど、酔っ払ってきたら「またやるか」って話も出たけど、それから5年ぐらいかかりました。
ガラ:でも、定期的に会う機会があったっていいですよね。
DAISHI:なかなか俺からは「会おう」って言いづらい時期もあったし、1対4の関係になった時期もあったけど、優しいメンバーなんじゃないかな。
ガラ:「またやろう」ってオリジナルメンバーが集まるってすごいですよね。復活しても誰かがいないとか、そういう場合もあるので。
DAISHI:そうですね。ウチのメンバーは待っててくれたし、もう1度やってくれたのでホントに感謝してます。
▲Psycho le Cému


──シーンの中で自分たちが果たさないと思っている役割については考えたりします?
DAISHI:そうですね。大きな視点だと、このシーンを盛り上げたいなとは思います。年上組、年下組ってあんまりパッキリ分かれずに。VISUAL JAPAN SUMMITの打ち上げの際に、X JAPANYOSHIKIさんが話していたことなんですけど、今、音楽シーンもなかなか大変な中、僕らのジャンルは団結したほうがより広がっていくのかなって。
──世代を超えたイベントやフェスを開催するとか?
DAISHI:そうですね。手始めにこの対談からのイベントをやれたらなと思ってますけどね。サイコ・ル・シェイム主宰のイベントってやったことがないので、前からやってみたいなと思ってましたし。MERRYさんともイベントでは共演したことありますけど、2マンでもやってみたいですし。
ガラ:そうですね。
──ガラさんが今のシーンに果たす役割について思っていることは?
ガラ:そうですね。いろいろなバンドがいる中、自分たちが何ができて、何がしたいのかをちゃんと出せているバンドが残るし、そういうバンドしか残らないと思うんですけどね。思うのは、ちょうど僕ら世代ってサンドイッチに例えたら中の具なんですよ。僕らが憧れていて手が届かなかった先輩たちが今、僕らの世代に寄ってきてくれていて、トリビュートに参加させていただいたりする機会も増えて、僕らより若い世代はその世代で集まってイベントを開催していて、たまに僕ら世代が呼ばれたりするんですね。でも、僕らの世代自体ってあんまり動いてないんですよ。
──同世代が結束してないっていうことですか?
ガラ:うーん、僕らの世代で固まって何かやってるっていう動きがあまりない気がするんですよね。
DAISHI:確かにそうかもしれない。MUCCとMERRYって感じでしょ?
ガラ:で、MUCCも先輩のところに呼ばれたり、後輩と絡んだり。だから、ちょうど挟まれてる世代な気がするんですよね。
──それって何なんでしょうね。
DAISHI:何でしょうね。DIR EN GREYさんの世代とかも、PIERROTさんがいて、みたいな。そういうのがないですもんね。
ガラ:そうですね。La’cryma Christiに対してMALICE MIZERとか。白と黒じゃないけど、そういうムーブメントが毎年あったんですけどね。
DAISHI:僕らの世代に王道っぽいバンドがいなかったからかな。MUCCもMERRYも俺らも、ちょっと癖があると思うんですよ。ど真ん中のバンドがいたら、より僕らが輝いたと思うんですけどね(笑)。
ガラ:そういう意味ではショッキングでもあったんですけど、サイコ・ル・シェイムが『Mステ』に出演した時に「ヴィジュアル系ってここからどういうふうに転がっていくんだろう?」と思いましたね。
DAISHI:あの時は僕ら、ヴィジュアルシーンで動いてたけど、一般のメディアでは“コスプレ系”って言われてて。デビューの時に急にコスプレバンドって看板で取り上げられたんですよね。「えー!?」ってなりましたけど、「まぁ、なんでもいいか」って。
ガラ:『うたばん』に犬神サーカス団が出たりしてましたよね。
DAISHI:僕ら、誰も手をつけてない畑を探してたら、いつのまにか、ああなったんですよね。
ガラ:そうやって開拓していったのがスゴイですよね。僕らはライブやるなら(目黒)鹿鳴館からとか、王道の道筋みたいなのがあって。
DAISHI:でも、僕らも東京は鹿鳴館からワンマンやりました。どこかにロック少年の心があるから。だって聴いていた音楽はBUCK-TICKさんとかXさんとかLUNA SEAさんとかD’ERLANGERさんとか、男のコがカッコいいと思う人たちでしたもん。
ガラ:そういう先輩たちが現役で鬼のように頑張ってるじゃないですか。よくお笑い界でも「さんまさん、早くやめてくれないかな」って冗談半分で言ってますけど、僕もそう思いますもん(笑)。
DAISHI:はははは。そう思う?
ガラ:思いますよ。どこかのインタビューでSUGIZOさんが「俺ら中堅として──」みたいなことをおっしゃってて、「あれ? ってことは俺、まだ若手っていうか、生まれてもないのかな」って(笑)。
DAISHI:内田裕也さんいますから、生まれてないですよ(笑)。
ガラ:X JAPANやLUNA SEAがドーンとフェス主宰したりするじゃないですか。そういう中、俺らの世代は何ができるんだろう?って思いますね。でも、普通のことやっても面白くないのでこの世代だからこそできるイベントもあるんじゃないかなと思いますし。
──エッジの立ったバンドが多い世代なんですかね。
DAISHI:絶対そうだと思います。cali≠gariにせよMUCCにせよ。
ガラ:確かに、ヴィジュアル系らしいヴィジュアル系って俺らの世代いないですね。
──先輩にそういうバンドが多かったからじゃないですか? 影響を受けてもかぶることってやりたくないと思うし。
ガラ:ああ〜。でも僕ら世代は“ほかのバンドと一緒じゃダメ”っていうか、“染まっちゃいかん”みたいな感覚はそれぞれにあった気がします。DAISHIさんが対バンとかしてたwyseとかJURASSICとかも、いわゆるヴィジュアル系じゃないですもんね。
DAISHI:そういうバンドが当時、“ソフトヴィジュアル系”って言われて王道のところにいたかもしれないですけどね。wyseとか“顔かわいいな”と思ってましたけどね(笑)。あとTRANSTIC NERVE、大っ嫌いでした(笑)。
ガラ:(笑)男前で?
DAISHI:男前で同じ姫路で同級生で、「なにhideさんに見出されとんの? 俺らも見出されたいわ」って(笑)。僕らはスターになりたかったですもん。音楽番組に出たかったし、紅白に出たかったし。今は音楽番組も減って、CD売れなくなってどこ目指していくんだろうって。でも、ヴィジュアル系の世界観が好きな人が多いのかもしれないですね。
ガラ:確かに。僕ら世代がギリギリですよね。メジャーデビューしますって渋谷公会堂で発表してラスト・インディーズツアーやってっていう。サイコ・ル・シェイムは『Mステ』に出られていいじゃないですか。僕、『Mステ』に出たら、どうやろうとか、いつも考えてましたもん。タモリさんにどう絡もうとか(笑)。
DAISHI:サイコ・ル・シェイムは恵まれてると思いました。メジャーな音楽番組に全部出れたので。それは見た目で得してる部分もあったのかもしれないですけど。
ガラ:あと、僕らより下の世代って仲間意識が強いですよね。何バンドかでツアーを廻ってとか。僕らの時って雑誌のイベントで一緒になることはあっても「じゃあ、この5バンドで全国ツアー廻りましょう」みたいなこと、なかったですもんね。
DAISHI:うんうん。
ガラ:俺らの世代って、どこに行くんだろう?と思います。もう来年から年号が変わりますからね(笑)。
DAISHI:ここから未知の世界だよね。先輩が頑張ってるので、頑張らなと思いますけどね。
ガラ:僕らがガツンとやってるところを見せて“このフィールドはコイツらだな”って思わせるぐらいの活動をしないとなって思いますね。
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■ ヴィジュアル系って、救いようのない闇を表現していたり

■ カウンターパンチ的なところがあった/ガラ
DAISHI:確かにね。いろんなイベントに出てるんですか?
ガラ:僕らは、ヴィジュアル系以外のイベントにも出ていこうって、メイクを落としてみたりしたんですけど、一周して気がついたのはやっぱり僕ら、根がヴィジュアル系なんですよね。メイクして鹿鳴館から始めたバンドが違う土俵でやっても、元々そこの土俵にいる人たちには勝てないですよね。フル・ヴィジュアル系で戦わないと戦えないなと思いましたし、だったら“MERRYはこういうバンドです”って確立できるよう自分たちをブラッシュアップしていったほうがどこに行ってもやれるなって。
DAISHI:なるほど。サイコは、いじりようないですからね。復活してメイクしないで革ジャンに短パンだったら「誰やねん?」って(笑)。
ガラ:僕は何かに突出した人じゃないと残らないと思ってるので、サイコ・ル・シェイムにはサイコ・ル・シェイムの道を行ってほしいですね。誰にも真似できないですもん。
DAISHI:でも、サイコ・ル・シェイムとMERRYって合うと思うんですよ。意外かもしれないですけど、以前、MUCCとツアー廻ったら、すごく相性が良かったので。面白いもので、個性が全然違うほうが相性良かったりする。
ガラ:この対談を機に。じゃあ、何箇所か廻って、場処によっては若いバンドを入れてみたり、先輩を呼んでみたり。
DAISHI:フェスみたいな形でそれができたらいいですよね。上の世代にも下の世代にも出てもらって。僕ら、主宰経験ないですけど、体力いりますからね。
ガラ:や、1度、そういう経験はしたほうがいいと思うので、ここはサイコ・ル・シェイムさんに(笑)。
DAISHI:そこまで言われて、オファーして断られたらどうしよう(笑)。ま、手始めに2マンやりたいですね。
──さっきガラさんは根がヴィジュアル系っていう話をしてくれましたけど、ヴィジュアルって日本独自のカルチャーだと思うんですよ。ジャンルはバンドによってバラバラだけど、人になかなか言えない闇の部分を代弁してくれて救われる人が多い音楽なんじゃないかなと思っていて、その功績は大きいなと思っているんですけどね。
DAISHI:ヴィジュアル系が好きっていう人は、感性の部分なのか、何らかの共通点はあると思いますよ。様式美なのか、何なのかわからないですけど。
ガラ:うん、うん。
DAISHI:だから、このシーンのファンの人って僕がそうだったように、自分が好きなバンド以外の音楽も聴くんじゃないかな。未来は世代を超えて1つになれたら嬉しいなと思いますけどね。
ガラ:歌詞は俺も大切にしてるんですけど、シーンの流れ的には“一緒に頑張ろうぜ。背中押してやるから”っていうメッセージが中心だと思うんですよね。たぶん時代的にも夢がない人たちが多いので、そういう歌にズドーンとやられていると思うんですけど、ヴィジュアル系っていろんな音楽がある中で救いようのない、どうしようもない闇を表現していたりとか、カウンターパンチ的なところがあったと思うんですよね。そういう意味で、MERRYとしても俺としても、いろんな音楽がある中、“MERRY聴いたら救われるわ”って時代のカウンターでありたいなと思います。
──この対談を読んで、お互いのバンドに関心を持つ人もいるかと思います。今後のことについてメッセージを。
ガラ:6月以降は制作期間に入っていると思うので、今、特に言えることはないんですけどね。
DAISHI:お互い5月12日にライブも一段落するしね。僕らは、アルバム『Light and Shadow』が出たばかりなのでぜひ聴いてくださいっていう。
▲アルバム『Light and Shadow』初回限定盤


ガラ:いろんな曲調が入ってますよね。「妄想グラフィティー」はレトロな感じがするし、最後の「大空を目指すあの花のように」はライブでラストにやるような曲かなって。
DAISHI:そうですね。
ガラ:全体的にライブを意識して作ってるんだろうなと思いましたね。
DAISHI:ありがとうございます。読んでもらった人には、ぜひ2マンしたいと思ってるので楽しみにしていていただければ。
──その前に対談飲み会も控えてますしね。
2人:(笑)そっちのほうが実現は早いかもしれないですね。
取材・文◎山本弘子
  ◆  ◆  ◆
■ Psycho le Cému


【リリース情報】

アルバム『Light and Shadow』

2018年5月9日(水)発売

1. Revenger - 暗闇の復讐者 -

2. 妄想グラフィティー

3. STAR TRAIN

4. JUNGLE×JUNGLE

5. 哀しき獣

6. 絶望のゲルニカ

7. 命のファンファーレ

8. SILENT SHADOW

9. ファイティング!

10. 大空を目指すあの花のように
【豪華盤】(CD+DVD Type A+フォトブック+グッズ(特製三方背BOX仕様)) 15,000円(税込) WPZL-31426/7

【初回限定盤】(CD+DVD Type B) 5,000円(税込) WPZL-31424/5

【通常盤】(CDのみ) 3,000円(税込) WPCL-12849
■豪華盤■

特製三方背BOX仕様

32Pフォトブック

オリジナルロングTシャツ(フリーサイズ:Mサイズ相当)

DVD Type A

- Psycho le Cému 15th Anniversary Live<TOKYO PARALLEL WORLD ~はじまりの奇跡~>完全版

- Psycho le Cému 渋谷公会堂 追加公演 「復活!理想郷旅行」(2002.5.11)秘蔵映像

- 「妄想グラフィティー」Music Video & Making Video
■初回限定盤■

DVD Type B

- Music Video集(2015年の復活後の全作品)

- 「Revenger - 暗闇の復讐者 -」 Music Video & Making Video
■MERRY


【リリース情報】

CORE LIMITED LIVE DVD『47都道府県TOUR システム エムオロギー ~AGITATE FINAL「禁断」 2018.2.3 日本青年館』

2018年5月23日(水)発売

[CORE完全限定盤](DVD2枚組)

DRG-023~024 ¥7,000 (tax out)
結成16年にして2度目となる47都道府県ツアー「システム エムオロギー」のファイナル公演~AGITATE FINAL「禁断」2月3日 日本青年館の模様を完全映像化。MERRYにとって初のホール会場の地でもある日本青年館でのファイナル公演は、最新アルバム『エムオロギー』の楽曲を中心に、好評を博すMERRYの音楽性と過激的なパフォーマンスによって、ソールドアウトした会場の熱気がピークに達した瞬間を収めたライヴ映像をFC限定盤としてパッケージ。
[DISC 1]本編

SE 「M」World Order

1. MASS CONTROL

2. 犬型真性MASOCHIST

3. gaudy

4. 梟

5. Happy life –reprise-

6. 絶望

7. [human farm]

8. 薔薇と片隅のブルース

9. 平日の女 -A面-

10. 傘と雨

11. SIGHT GLASS

12. F.J.P

13. 千代田線デモクラシー

14. Black flag symptom

SE -choral-

15. finale

16. 不均衡キネマ

17. Zombie Paradise ~地獄の舞踏曲~

18. 群青

19. Unreachable Voice

20. 自意識過剰型木偶人間

21. Carnival

22. 消毒

23. エムオロギー
[DISC 2]特典映像

<47都道府県TOUR システム エムオロギー>より各公演の選りすぐりの映像を凝縮したツアーダイジェスト映像の他、ファイナル公演当日のメンバーに密着したバックステージオフショット映像、ソロマルチアングルを収録予定
1. 47都道府県TOUR システム エムオロギー Tour Digest

2. Making of 47都道府県TOUR システム エムオロギー ~AGITATE FINAL「禁断」

3. gaudy [Multi-Angle]

4. SIGHT GLASS [Multi-Angle]
※収録内容、タイトル表記及び仕様等は変更になる可能性がございます。

※MEMBERS’ CLUB CORE会員のみ購入が可能です。
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