11月15日@新宿BLAZE photo by 木村泰之

11月15日@新宿BLAZE photo by 木村泰之

2つの個性がぶつかり合った、『ユナ
イドッグ』東京公演!

11月15日。この日、新宿BLAZEにて、ユナイトDOG inTheパラレルワールドオーケストラによる2マンライヴ『ユナイドッグ〜6大都市 秋の陣〜』が行われた。
【ユナイドッグ】の始まりは、2013年の12月30日のこと。いまや恒例となった、年末のヴィジュアル系の祭典『OVER THE EDGE』の名物ともいえるセッションコーナーに、DOG inTheパラレルワールドオーケストラのボーカルの春、ギターの準々、ドラムの緩菜、そして、ユナイトのギターLiNとベースのハクというメンバーで参加し、その時に付けられたバンド名こそが、この【ユナイドッグ】だったのである。

そんな出逢いから親交を深めた2バンドは、2013年の春に対バンツアー『ユナイドッグ〜関東サーキット 春の陣〜』を企画し、4月29日の柏を皮切りに、関東近郊6ヵ所を共に旅したのであった。そして。今回。彼らは再び、『ユナイドッグ〜6大都市 秋の陣〜』と名付けたツアーを企画したのである。この秋の陣は、11月9日の仙台を皮切りに、東京、名古屋、大阪、岡山、福岡をまわる。大盛況だったという仙台に続き、ツアー2日目となった東京・新宿BLAZEでのライヴも、両者共に対バンならではの勢いを感じられた、いつも以上に熱いライヴとなった。

ユナイトのボーカル結の影アナから幕を開けたライヴは、DOG inTheパラレルワールドオーケストラが先陣を切った。楽器を持たず、メンバー5人で揃っての登場で、彼らならではの個性を放った。それぞれが所定の位置に付きスタンバイすると、12月11日にリリースされる、SIDの結成10周年を記念したカヴァーシングル「妄想日記」を届けたのだった。どこか懐かしい歌謡曲テイストが漂うこの曲を、彼らは実に彼ららしく、華やかに、そして妖しげな雰囲気を含ませながら、叶わぬ恋を切なく料理してオーディエンスに贈ったのだった。「準備はいいかい?」そんな春の一言を合図に始まったのは「ラブぴぽ」。キュートさと激しさが共存した、まさに、DOG (DOG inTheパラレルワールドオーケストラ)らしい世界観で攻め立てたその曲は、オーディエンスに力一杯タオルを振らせた。「地獄のDOGファイヤー!!」では、準々、ミズキ、メイ、緩菜と、メンバー1人1人が各自のパートを歌い、「ココロVIBES」では、準々がギターを後ろに回して弾くパフォーマンスを見せるなど、激しいだけではない、唯一無二なステージングでステージを盛り上げてくれたのだった。

「バンドとファンがいいから、こんなにいいライヴが出来るんだろうね!」(春)春は最高に楽しそうな笑顔を向けた。対バンとなるとどうしても、そこに対抗意識が生まれるモノ。しかし、彼らは、対抗意識というよりも、その空間を楽しみながら、集まってくれたオーディエンスに、より色濃くDOG inTheパラレルワールドオーケストラというバンドを印象づけるライヴを選んでいたように思う。後半に届けられた「boomy♡boomy」では、フロアに、力強い拳とヘドバンと、両手で作られたハートマークが乱れ舞うという、激しさとキャッチーさが同居した絶妙なノリで、次に控えるユナイトへと繋げたのだった。

DOG inTheパラレルワールドオーケストラからバトンを受け取ったユナイトは、上手を護る椎名未緒が奏でるリズミックなギターリフが印象的な「small world order」からライヴをスタートさせた。安定したリズムを生み出す、ゆきみ(Dr)とハク(B)の上で、鮮やかにギターが舞う。結はそこに声を乗せながら、 DOG inTheパラレルワールドオーケストラとは違うユナイトのグルーヴでフロアを引っぱった。激しさとキャッチーさの同居をDOGの個性とするならば、ユナイトは、激しさと叙情さの同居を個性とするバンドと言うべきだろうか。1つの曲の中に、ドラマが存在する彼らの楽曲は、そこに予想の付かない展開を秘めている。この日も、そんな予測不可能なストーリーを、見事に奏で、歌に変えて届けてくれたのだった。

「今日、ヤバイね! 初日の仙台を越える勢い! さっき、DOGが「妄想日記」を初披露してたでしょ、僕たちもみんなに新曲を披露するよ! この曲はレコーディングのときから、早く皆の前でやりたくてしかたなかった、暴れ曲です!」(結)そう言って届けられたのは「粛清とチョコレート」。この楽曲は、2014年の1月22日にリリースされる3rdフルアルバム『Ai』に収録される予定の楽曲であり、12月1日から、ユナイトのオフィシャルサイト内の特設ページで行われる、選曲対象楽曲投票に先駆け、今回のツアーでその対象楽曲を1曲ずつ披露していくという企画だったのである。オーディエンスは、初めて聴くその曲を、しっかりと体に染込ませながら、即座にその曲に似合った振りで楽曲を盛り上げたのだった。彼らはここからラストに向け、煽り曲とも言える「Love_Duck_Core_Nothing」で攻め、オーディエンスもその音に逆ダイで返すという、この日一番の盛り上りを見せつけた後、ラストは、透明なアルペジオが響きわたった柔らかな歌モノで締めくくったのだった。実に、清々しく、初々しい個性のぶつかり合いを見せてくれた両者に、強い期待を抱いた夜だった。

そして。ここから、さらに、彼らは、この『ユナイドッグ』ならではのセッションを届けてくれたのだ!それは、まさに、冒頭に書いた、この【ユナイドッグ】の始まりとなったメンバーでのセッションだったのである。彼らは出逢った時を再現するかのように、SEも、その時と同じく嵐の『A・RA・SHI』。そして、出逢いの曲となったセッションナンバー、「ミラクルGO」(DOG inTheパラレルワールドオーケストラ)と「イオ」(ユナイト)を届け、この日のライヴは幕を閉じたのだった。さらに。最後は、DOG inTheパラレルワールドオーケストラのギターの準々の影アナにてオーディエンスをお見送りという、最後の最後まで足を運んでくれたファンたちを楽しませようという、彼らのこの対バンツアーにかける想いが熱く伝わってきたのだった。

TEXT:武市尚子

「ユナイドッグ ~6大都市 秋の陣~」

11月19日(火) 梅田AKASO
11月21日(木) 岡山IMAGE
11月23日(土) 福岡LIVEHOUSE CB

OKMusic編集部

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