【バンドハラスメント
ライヴレポート】
『鳴けば少女は鯉となるツアー
ファイナル』
2018年4月5日 at TSUTAYA O-Crest
やっぱりライヴを観ないとそのバンドのことは半分も分からないものだなと、つくづく思わされた一夜だった。音源を聴く限り、斉本佳朗(Dr)がその多くを手掛けるバンドハラスメントの楽曲は、聴く人の胸中をキリキリと同調させるような感情の吐露であり、それをシャープかつラウドなバンドサウンドで臨界状態にさせているような、どちらかと言えば内向きな爆発という認識が個人的にはあった。しかし、ライヴではそれがしっかりと開放へと昇華されている印象で、メンバーの表情、一挙手一投足、さらにはオーディエンスのリアクションを間近にするだけで、楽曲のベクトルは真逆にも変化することを改めて教えられた気がする。
MC中のBGMをどうするか、その実演を交えて面白可笑しくトークしたり、メンバー2名が改名したことをPowerPointを使って説明したりと、はっこー(Ba)と斉本とのリズム隊ふたりによる掛け合い漫才のような楽しいMCもライヴ空間を明るくしている要因であることは間違いないのだが、やはり井深康太(Vo)の生声、その迫力が楽曲を前向きに転化しているように思う。押しが強く、高音域で若干ハスキーになる彼の声質は音源でも確認していたのだが、ライヴで聴くとその艶かしさがまさに生々しく感じられ、とてもセクシーなのである。中盤に披露された、渡邉峻冶(Gu)とふたりでの「9月4日」と「Sally」とでは、その井深の存在感がことさらに強調されるようで、このアコースティックコーナーは大正解であろう。普段このスタイルはやったことがないらしいが、これは今後も積極的に取り入れてほしいところだ。
もちろん、本領発揮は4ピースによるバンドサウンド。アッパーにグイグイとドライブし、観ているこちら側の身体を自然と揺らす。オルタナ風のラウドなギターロックもあれば、ミクスチャー的なダイナミズムあふれるナンバーあり、さらには4つ打ちのダンスチューンありと多彩で、一気に5曲を続けた後半も飽きさせることなく、場内を熱々に仕上げた。アンコールは文字通りのパーティーチューン「アリバイパリナイ」。最後の最後まで明るい雰囲気のままに締め括られた1st EP『鯉、鳴く』のレコ発ツアーは大団円だったと言える。
春休みとはいえ、年度初めの平日の公演が早々にソールドアウトしたのも特筆すべきことで、バンドハラスメント初の東京ワンマン公演は、バンドにとってひとつの節目となったと言える。妙な予定調和も既定路線もなく、アーティストもファンもピュアなままに進んでほしい。そんなことを思ったことも付記しておく。
MC中のBGMをどうするか、その実演を交えて面白可笑しくトークしたり、メンバー2名が改名したことをPowerPointを使って説明したりと、はっこー(Ba)と斉本とのリズム隊ふたりによる掛け合い漫才のような楽しいMCもライヴ空間を明るくしている要因であることは間違いないのだが、やはり井深康太(Vo)の生声、その迫力が楽曲を前向きに転化しているように思う。押しが強く、高音域で若干ハスキーになる彼の声質は音源でも確認していたのだが、ライヴで聴くとその艶かしさがまさに生々しく感じられ、とてもセクシーなのである。中盤に披露された、渡邉峻冶(Gu)とふたりでの「9月4日」と「Sally」とでは、その井深の存在感がことさらに強調されるようで、このアコースティックコーナーは大正解であろう。普段このスタイルはやったことがないらしいが、これは今後も積極的に取り入れてほしいところだ。
もちろん、本領発揮は4ピースによるバンドサウンド。アッパーにグイグイとドライブし、観ているこちら側の身体を自然と揺らす。オルタナ風のラウドなギターロックもあれば、ミクスチャー的なダイナミズムあふれるナンバーあり、さらには4つ打ちのダンスチューンありと多彩で、一気に5曲を続けた後半も飽きさせることなく、場内を熱々に仕上げた。アンコールは文字通りのパーティーチューン「アリバイパリナイ」。最後の最後まで明るい雰囲気のままに締め括られた1st EP『鯉、鳴く』のレコ発ツアーは大団円だったと言える。
春休みとはいえ、年度初めの平日の公演が早々にソールドアウトしたのも特筆すべきことで、バンドハラスメント初の東京ワンマン公演は、バンドにとってひとつの節目となったと言える。妙な予定調和も既定路線もなく、アーティストもファンもピュアなままに進んでほしい。そんなことを思ったことも付記しておく。
撮影:ハライタチ、TAJITAJI/取材:帆苅智之