「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
国民的アーティスト、
宇多田ヒカルのヒットを探る
音楽の楽しみ方や
世代によって変わる代表曲
また、CD部門のヒットを考察する際に注意したい点がある。それは、宇多田ヒカルのCDシングルは2008年の「Prisoner Of Love」以来、リリースが止まっているということだ。
彼女は2006年の「This is Love」あたりから配信限定でのシングルや、あるいはCDシングルが発売される前の先行配信を積極的にリリースするなど、早期からCDシングルの購入にこだわった戦略を立ててはいなかった。事実、近年のCDシングル・チャートはご存知のように、音源の入手よりもアーティストとの接触特典が主だったものとなっており、ファンクラブ組織を持たず、音楽を届けることを最優先としてきた彼女(および彼女のスタッフ)らしいこだわりと言えるだろう。
それゆえ、2009年以降の作品は、総合チャートで見ても、多少不利になってしまうことをご了承願いたい。
総合1位となったのは
2007年の「Flavor Of Life」
本CDには前向きなメッセージが映えるアップテンポな通常バージョンと、彼女の切ない歌声が映えるBallad Versionがあり、嵐の松本潤ほかいわゆるイケメンが揃った人気ドラマ『花より男子2(リターンズ)』の挿入歌となったのは後者のBallad Versionだ。CDは65万枚以上(これは)、配信では両バージョンを含め210万件以上のダウンロードと、大ヒットしている。
総合2位は1stアルバムの
タイトル曲でもある「First Love」
本作は同年4月からのTBS系ドラマで女性教師と男子生徒の禁断愛を描いてヒットした『魔女の条件』の主題歌として大いに注目されたが、今でも失恋ソング特集で筆頭格に挙がるほどで、その為、リリース当時始まっていなかった音楽配信部門でも25万件を突破するほどのヒットとなっている。確かに《タバコのflavorがしたキス》が歌詞中に出てきたり、低音から高音まで使い切って感情の振れ幅を表現したり、とおよそミドルティーンの未成年が作ったとは思えないほど洗練されたバラードで、間違いなく今後も残っていく名作であろう。また、本作の日本語と英語の自由な交ざり方も後のJ-POPに大きな影響を与えたようにも思う。
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