L→R NAOKI(Gu)、SHOHEI(Dr)、TAISEI(Vo)、KEN(Ba)

L→R NAOKI(Gu)、SHOHEI(Dr)、TAISEI(Vo)、KEN(Ba)

【SA インタビュー】
心の中心にあるものを
書き綴った感じだよね

待望の新作『GRACE UNDER PRESSURE』が完成! タイトルはヘミングウェイの言葉の引用で“窮地に陥ろうとも気高く決断を下す”という意味だが、そこにはパンクバンドとして前人未到の領域に入ったSAならではの力強いメッセージが込められている。

『GRACE UNDER PRESSURE』は今のSAにしかできないものを記録した作品、まさに“レコード”になりましたね。

TAISEI
前アルバム『WAO!!!!』は非常に実験的だったと自分たちでもとらえていて、あえてそれをやらないともう一歩前に進めないことを感じつつ作った作品だったんですよ。だからなのか、変な話、『WAO!!!!』には賛否両論があって。で、その次の作品を作ることになった時に、SAであるべきというか、SAにしかできないパンクロック、R&Rをもう一度やってもいいんじゃないかなという気持ちになったし、そういう意味では…これは言葉が正しいのか分からないけども、賛否両論に対する怒りみたいなものもちょっとあったよね。
NAOKI
それは正しいよね。「hi-lite BLUE」みたいにド頭から《黙っとけボケ!》とか言ってる曲もあるし(笑)。

前作を経て今回はストレートな作品を作ろうという感じだったのですか?

TAISEI
SAっていろんな要素を入れて曲が長くなっちゃうことが得てしてあるんだけど、そういうのを排除していくことを覚えたね。“ここは要らねぇよ”というね。そういう部分では“シンプルなものを”というところはあったのかもしれないね。

ただ、ストレートとは言ってもそう単純な話ではなくて、随所に小技の効いた楽曲も多くて。

TAISEI
効かせてるね(笑)。

例えば、「MORE MORE MORE」のスリリングなアンサンブルはそう簡単に出せるものではないと思います。

TAISEI
あれは特に“俺らがティーンエイジャーの頃に聴いていたパンクってこうだよな”という感じだよね。あと、「NEVER END」もそうで、俺らが子供の頃に聴いた肌触り、耳障りはすごく意識したね。ちょっと下手に聴こえるようにやるという(笑)。「NEVER END」はあえてドラムスを少なめにしてるんだよ。
NAOKI
“言うは易く行なうは難し”で、実はこれが難しい。キックはずっと♪ダダダダって四分を踏み続けてるんだけど、やっててアホになりそうって言うとったもん(笑)。あれは根性とスキルがないとできない。だけど、俺たちが聴いていた70~80年代にはこういうアレンジしていたバンドがいたんだよね。
TAISEI
当時のバンドは下手だから、自然とああなってたんだよ(笑)。で、俺らはそんな“できなかった”奴らの音源を聴いていたから、隙間があるほうがカッコ良いとか思っちゃうのね。

「NEVER END」は当時のハードコアの匂いがしますよね。

TAISEI
そうそう。THE EXPLOITEDとかG.B.H.とかね。当時のUKパンクは同時期にメタルが出てきた頃でもあったから、メタルは上手くて、パンクやハードコアは下手という感じがあって、メタルにはなれないんだけど、音だけはメタルっぽくしたいからギターを何本も入れたりしてて(笑)。今回はそういう細かいところまでこだわったね。
NAOKI
ギター・ウォール・サウンドね。恥ずかしいくらいギター弾いてる(笑)。同じバッキングを4本、まったく同じことをやってる…そんなこと、久しぶりにやったよ(笑)。

「KEEP THE FLAG FLYING」でもリフは軽快だけど、ギターの音そのものはヘヴィですよね。

NAOKI
あれがファイアーバードの音なんですよ。俺の相棒、ぶっ太い音を出す、いいギターになりましたよ(笑)。でも、あれでギターの音が軽薄だったら嫌ですよね?

そうなんです。ポップだけど、それを存在感のある重い音で鳴らす…そこが歌詞ともリンクしているようであって深みが感じられて、とてもいいんです。

TAISEI
ポップであることは絶対で、それはSAがずっと守ってきた譲れないところなんだけど、ポップというのは明るいとか、キャッチーとか、それだけではないんだと…それは念頭に置いてたよね。
NAOKI
一見、怒ってないのかなって思うけど、よく歌詞を見ると“いろいろと怒ってるなぁ”というところもあるしね(笑)。今回、歌詞にはとんでもない世界が出てこない。TAISEIが自分の心の中心にあるものを書き綴った感じだよね。
TAISEI
何かね、思うことが多いというか、それをシンプルに書きたくなったんだよね。嘘偽りない言葉でね。これは乱暴な言い方になるかもしれないけど、“○○のために書きました”ということではなく、自分自身のために書いたという。

歌詞に関しては、今の年齢で言っておかなければいけないという臨み方で書いたと思われる内容が目立ちますね。

TAISEI
“今、言っておかなきゃいけない”という気持ちはすごくあるね。あと、去年50歳になって“まだまだイケるぜ! 俺たちのロックはイケイケ、ドンドンだぜ!”という嘘は付けねぇぞというところもあってさ。

「赤い光の中へ」に《時間が俺の背後に 追いつこうとしている/肩に手を掛けようとしている》、「フォーエバーキッズ」に《最後かもしれないさ》というフレーズがありますね。

TAISEI
そうだね。「フォーエバーキッズ」は特にそういう要素が強いかもしれないね。
NAOKI
あの《最後かもしれないさ》は緊張感があるよね?
TAISEI
うん。そこが嘘じゃないところだと思うな。レコーディングにしても“もう曲ができねぇかもしれない”って気持ちは常々あるし、ライヴでもへとへとになって“もう歌えねぇ”って思うことがあるかもしれない。でも、ステージの赤い光が見えたら“よっしゃ! 行こう!”って、身体が痛くて喉が痛くてもやる。痩せ我慢だよね。でも、そんな心のグラグラとしている部分も歌詞に書く…それが自分にとってのリアリティーだなと思ってるんだよね。

取材:帆苅智之

アルバム『GRACE UNDER PRESSURE』2018年3月21日発売 テイチクエンタテインメント
    • 【初回限定盤(DVD付)】
    • TECI-1580 ¥4,000(税抜)
    • 【通常盤】
    • TECI-1581 ¥3,000(税抜)

『GRACE UNDER PRESSURE TOUR 2018』

4/12(木) 千葉・LOOK
4/19(木) 福島・郡山#9
4/21(土) 岩手・盛岡the five morioka
4/22(日) 宮城・仙台MACANA
4/28(土) 香川・高松DIME
4/30(月) 広島・BACK BEAT
5/02(水) 岡山・ペパーランド
5/04(金) 三重・松阪M'AXA
5/12(土) 新潟・GOLDEN PIGS BLACK STAGE
5/13(日) 栃木・HEAVEN'S ROCK 宇都宮VJ-2
5/18(金) 北海道・札幌COLONY
5/25(金) 石川・金沢VANVAN V4
5/27(日) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
6/01(金) 大阪・梅田Shangri-La
6/03(日) 福岡・Queblick
6/09(土) 東京・マイナビBLITZ 赤坂

SA プロフィール

エス・エー:1984年、当時高校生のTAISEIを中心に結成。ロックンロールに根付いたキャッチーなメロディーとシンガロングな楽曲スタイルが話題となり、パンクスの間で大きな知名度を得るも、3年足らずで解散。そして、根強いファンの後押しにより、99年にTAISEIソロプロジェクトとして再始動を果たす。それを機に2002年に最強の布陣である現メンバーが揃い、精力的な活動を開始。16年1月にベストアルバム『ハローグッドバイ』でメジャーデビューを果たした。SA オフィシャルHP

L→R NAOKI(Gu)、SHOHEI(Dr)、TAISEI(Vo)、KEN(Ba)
アルバム『GRACE UNDER PRESSURE』

「赤い光の中へ」MV

OKMusic編集部

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