『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の“映画の指輪のつくり方”』

『みねこ美根の
“映画の指輪のつくり方”』
- 第二回 -
「リザとキツネと恋する死者たち」の
指輪

2017年から本格的に活動を開始したシンガーソングライター〈みねこ美根〉が大好きな映画の世界から作り出す紙粘土細工と指輪の制作過程をお見せします。ミニチュア好きな方、アクセサリーづくりに興味のある方は是非見ていってください。指輪はライブ会場にて展示しております。

動画監督・撮影・編集・演奏:みねこ美根

「○○っぽい曲って素敵よ」(「リザとキツネと恋する死者たち」(Liza, The Fox-Fairy))

 「○○っぽい曲」を作れることはすごい。○○っぽくしているものは何か気になって、拍子の取り方に耳を澄ましたり、使っている楽器を想像したりするだけで楽しい。

 例えば、バレエ作品の「くるみ割り人形」。金平糖、チョコレート、コーヒー、お茶、雪…チャイコフスキーの曲はどれもなんだかそれっぽい。同じくバレエ演目の「シンデレラ」では、春、夏、秋、冬、時計の精と、それぞれのイメージにぴったりな曲をプロコフィエフという作曲家が作っている。小さいころバレエを習っていた私は、この「シンデレラ」の演目で、「オレンジという珍しい果物を持ってくる来客」という役を踊ったことがある。…本当にそういう役と曲があるのだ。聞く人が聞けば、これも「オレンジという珍しい果物を持ってくる来客っぽい曲だなア」と思うかもしれない。出番がそこしかなくてものすごくヒマだったことを覚えている。

 このような「○○っぽい曲」というのは、言うまでもなく映画を構成する重要な役割を担っている。2015年公開のウッイ・メーサーロッシュ・カーロイ監督作品「リザとキツネと恋する死者たち」には、この作品オリジナルの「日本の昭和歌謡曲っぽい曲」が目白押しなのだ。なんじゃこりゃ! でもなんだか癖になってしまうこの違和感は、音楽によるところが大きい。
 1970年代のブタペスト。元日本大使の未亡人の世話をする孤独な女性リザの近くには、いつも日本人歌手の幽霊・トミー谷がいる。ある日未亡人が殺されてしまい、その日からリザが出会う男性が皆、次々と死んでいくようになる。リザに幸せは訪れるのか…という何とも興味深いストーリーだ。この作品、どんどん人が死ぬ。しかし「グロテスクでシュール」という言葉だけでは表せない、愛嬌というか、可愛らしさがある映画だ。出てくる日本の地名が、「奈良」と「那須」というところも良さの1つである。

 リザにしか見えない幽霊・トミー谷が歌うなんちゃって歌謡曲、へんてこなのにキャッチーで、ついつい聞き入ってしまう。しかもオリジナル楽曲なのに日本語の歌詞なのだ。「レッツレッツハバグッタイム」と、英語を日本語なまりに歌うところまである。

 昭和歌謡曲を使用した洋画に、「嗤う分身(The Double)」(2014年公開)がある。この作品では、坂本九の「上を向いて歩こう」などが劇中歌として使用されていて、見事な選曲と相乗効果に驚いた。昭和歌謡以外で、この二つの作品に共通していることは、「ディストピア感」だと私は思う。両作品の、色合いの少ない、褪せてひんやりとしたイメージは、孤独な主人公の人生のようだ。昭和歌謡はディストピアっぽい音楽だということなのだろうか…。音楽には、作曲者もおそらく気が付かないような可能性が秘められているようだ。

 私もつい先日、日本の戦後流行歌っぽい曲を作ってみた。すごく楽しい作業だった。いつかライブでできたら、と思う。しかし、だれが聞いてくれよう。その日までに、お客様を増やすのだ。さあ、頑張ろう。
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指輪:モチーフ…トミー谷の青い服、マイク、ラジカセ
   音楽…「doki doki(Thump Thump)」Ambrus Tovishazi (オルゴールver. cover)
みねこ美根 プロフィール

ミネコミネ:6歳の時にピアノで初めて作曲、11歳からはギターでの作曲も開始し、現在はピアノとギターを用いてライヴ活動中。2019年1月リリースの配信EP『心火を従えて愈々』で楽曲のクオリティの高さ、世界観が注目を集め始める。5月にはサウンドプロデューサーの小名川高弘氏と2017年秋から続いている制作作業のなか生まれている楽曲から第二弾「数式」「悲鳴」を発表。みねこ美根 オフィシャルHP

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