「臼井孝のヒット曲探検隊
~アーティスト別 ベストヒット20」
ラブソングとエールソング、
どちらが人気!?
ドリカムのベストヒットを探る!

“悲しい状況を歌い上げる”ラブソング
「やさしいキスをして」が総合3位に

総合3位は、彼らのメジャー復帰第1弾シングルとなった2004年の「やさしいキスをして」。中居正広が天才ピアニストを演じてリメイクしたTBS系ドラマ『砂の器』の主題歌だが、複雑な生い立ちの主人公を反映してか、《報われなくても 結ばれなくても/ただ一人の 運命の人》という立場によっては祝福されないであろうラブソングを、ドリカムがマイナー調のメロディーにて愛を貫くような強いヴォーカルで歌いきることで見事に体現している。この“悲しい状況を歌い上げる”というのもドリカムの得意とするスタイルだろう。(他に、91年の「忘れないで」や96年の「そうだよ」など)。
本作のCDは約32万枚に対し、配信は当時着うたフルが解禁されていなかったにもかかわらず、その後セールスを伸ばし50万ダウンロードを突破している。

ドリカムの場合、CDセールスでは90年代の楽曲が上位を占めるのに対し、配信セールスでは50万件以上を突破した4曲のうち「何度でも」「ア・イ・シ・テ・ルのサイン~わたしたちの未来予想図~」「やさしいキスをして」の3曲が00年代以降の楽曲となっている。また、最新アルバム『THE DREAM QUEST』に収録されている「あなたのように」まで、2017年末現在、16曲もの楽曲が配信で10万件以上のヒットとなっており、この配信ヒット曲数は80年代までにデビューしたアーティストとしては最高レベル。それだけ、彼らが若い世代にも支持されてきたということだろう。

総合4位を獲得したは
なんとアルバムの収録曲!?

そして、総合4位には、なんと1989年のアルバム『LOVE GOES ON…』の収録曲「未来予想図II」がランクイン。カラオケではダントツの1位で、実際、1990年代から現在に至るまで歌が上手いと言われる幅広い層の女性がこぞって熱唱するバラードの定番であり、後半のフェイクやハイトーンが難しいからこそ、ハイレベルな歌唱力が必要とされる名曲だ。

また、配信も4位と大健闘している。当然ながら1989年当時は配信サービス自体がなかったのだが、2007年にシングル「ア・イ・シ・テ・ルのサイン」のカップリングとして「未来予想図II ~VERSION’07~」が配信され、オリジナルバージョンも09年に配信開始し、ともにロングヒットを重ねて50万件を突破した。ちなみに、これまで本作がレコチョクの年間ランキングTOP100に入ったことは一度もない。それでも、純粋に買って聴いてみたいという人がじわじわ生じたことによる50万件突破しているので、まさに本当の名曲なのだろう。
確かに、《ブレーキランプ 5回点滅 ア・イ・シ・テ・ルのサイン》といったアルバム収録曲のワンフレーズが、国民的に知られているというアーティストは、ほんの一握りだろう。これは、CDシングルの売上では見えない真のヒット曲だ。

総合5位はコミカルかつラブリーな
全編大阪弁のラブソング!

総合5位は、全編大阪弁のラブソング「大阪LOVER」がランクイン。大阪を舞台にしたリアルな描写(0時ちょい前の新大阪駅に着くとか、御堂筋が一車線しか動かないとか)も上手いし、ちょっとトボけた彼氏に常に心の中でツッコミを入れている彼女の心の動きもコミカルかつラブリーで楽しい。また、4つ打ちのリズムにブレスのタイミングもなく歌詞が詰め込まれており、これまたヒットすべきポップな内容なのにカラオケ超上級者向けで、これもカラオケが3位と好調な要因かもしれない。ちなみに、2017年にはこの続編となる「あなたと同じ空の下」も発表されており、ともにユニバーサル・スタジオ・ジャパンのタイアップソングとなっている。
その他にも、総合6位に、陣内孝則と共に司会も務めた深夜番組『うれしたのし大好き』のテーマソングとなった1992年の「決戦は金曜日」、7位に当初ノンタイアップ扱いで、さほどインパクト重視ではないバラードだが、フラれた女友達と彼女を慰める女性との温かい友情ソングとしてCDがロングヒットした1995年の「サンキュ.」がランクイン。いずれも、CDは約107万枚とミリオンヒットを記録している。また、9位の「WINTER SONG」も1994年版(約99万枚)と1998年版(約8万枚)の両シングルを合計すると、こちらもミリオンセラーだ。ちなみに、本作は日本人の歌う英語曲としてはオリコン史上最高のセールスとなっている。彼女の明瞭な発音と、英語の苦手な日本人でも理解できるような比較的やさしい英語、そして泣けるバラードというヒット要素が詰まっていることが、言葉の障壁を超えた大ヒットとなったのだろう。

OKMusic編集部

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