東方神起(写真中央)左からチャンミン、ユンホ

東方神起(写真中央)左からチャンミン、ユンホ

【東方神起】「約束を守ってくれてあ
りがとう」 “約束の地”東京ドーム
公演をレポート 

東方神起が1月21日、再始動後初となる全国5大ドームツアー「東方神起 LIVE TOUR 2017~Begin Again~」のファイナルを京セラドーム大阪で迎えた。11月の札幌ドームを皮切りに、全国5か所17公演行われた同ツアーの中から、ウレぴあ総研では、12月20日の東京ドーム公演の模様をレポートでお届け!

2015年4月2日東京ドーム――。
「必ずここでまた会おう」「必ずまた戻ってきます」
「僕が『ただいま!』って言ったら、みんなが『おかえり』って必ず言ってください!」
5万5000人が生み出すパールレッドの煌めきに抱かれながら、ファンと涙で約束を交わしたユンホとチャンミン。
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そして、2017年冬――。
ふたりは約束の地に帰ってきた。
東方神起(写真中央)左からチャンミン、ユンホ8月からアーティスト活動を再始動した韓国出身の人気デュオ、東方神起が12月20日と21日、東京ドームにて全国5大ドームツアー「東方神起 LIVE TOUR 2017~Begin Again~」の2度目の東京公演を行なった。ライブ中盤、ふたりは「約束した言葉があります」(チャンミン)、「この挨拶で全国を回りたい」(ユンホ)と切り出した。あの日と同じ一面のパールレッドの煌めきに向かって、笑顔で「東京の皆さん、ただいまー!」と叫ぶと、「おかえりー!!」という歓喜の声が返る。「ちゃんと約束を守ってくれてありがとうございます」(ユンホ)、「皆さんのおかげでまたドームライブツアーができるし、ここ東京ドームの舞台に立つことができていると思います。本当にありがとうございます」(チャンミン)。2年半ぶりの“ホーム”で目にする、変わらぬ光景のありがたみを噛み締めるふたりをぬくもりが包む。東方神起が、本当に帰って来た。
約2年10ヵ月ぶりにリリースした、ベスト盤ともいえる復帰記念アルバム『FINE COLLECTION~Begin Again~』(10月25日発売)を引っ提げ、11月の札幌ドームを皮切りに、全国5か所のドームで17公演も行うという驚異的なツアー。タイトルにある「Begin Again」には、「東方神起の歴史が再び始まる(再始動)という意味が込められている。が、チャンミン曰く、「略して、ビギアゲツアー。Bigeast(ビギスト=東方神起の日本ファンクラブ)の皆さんやBigeast以外の方も“アゲて”しまおうという意味」もあるんだとか。その言葉通り、アルバム収録楽曲を中心に、新曲やライブ鉄板曲メドレーを織り交ぜたセットリストにド派手な演出、そして何と言っても「これが東方神起だ」と言わんばかりのパフォーマンスで魅せた3時間半、盛り上がらないわけはなかった。
「赤」と「青」。ユンホとチャンミンの、美しい対(つい)をオープニング映像で再確認すると、情熱たぎるレッドオーシャンの波はいよいよ高くなる。鐘の音とともに、左右に分かれていた「赤」と「青」の鳳が重なり、メインステージには、ツアーのロゴでもある「双頭の不死鳥」が姿を表した。その身を自ら燃やして蘇り輝き続ける火の鳥――それは、決して絶えることのない東方神起そのものだ。メインステージ左右に分かれ、囚われて(閉じ込められて)いたキューブ型のボックスを内側から叩き壊すユンホとチャンミン。ユンホが一番気に入っているというこの演出は、これまで凍結していた時を壊し、『Reboot』の歌詞「動き出す時間とStory」を象徴しているようにも感じられる。
どこで見てもきっと楽しい
大歓声に包まれる中、ふたりが一発目に放つのは、その、最新曲『Reboot』。再起動を意味し、再び歩みを始めるふたりにふさわしい一曲をノッケから、まさかのムービングステージでパフォーマンス。おなじみのクルー、TOHOダンサーズを従え、決意表明であるかように歌い踊る姿は、スタイルの良さはもちろん、威風堂々、気品あふれるオーラを放つ。そんなふたりに5万5000人は目を奪われるばかり。そこから一気に、後方サブステージへ移動しての『ANDROID』、中央サブステージとTIMEツアーで出現したプロペラ型の回転ステージでの『Humanoids』と、大移動しながらダンス曲をたたみかけ、興奮を加速させていった。
ユンホとチャンミン「皆さん、こんばんは、東方神起です」。最初のMCでは、変わらない挨拶に笑みがこぼれる。2年半ぶりのツアーで「残念ならが、2歳年を取ったけど、熱気やパワーは衰えてないですよね?」と問いかけるチャンミン。ユンホは「ここにるみんなと一緒にすてきな思い出を作りたいと思うので、ちゃんと付いて来て! 今日、ヤバイかも!」と予告する。
どこで見てもきっと楽しい
変わらないことの安心と喜び
頭の3曲で、その豪華さに驚かされたが、これまで以上に「客席のどこにいても楽しめるように」という意図を感じるさまざまな趣向を凝らした演出が光った本公演。それは、「上の方、後ろの方、奥の方に近づくため、スタッフと悩み相談して作ったステージ」(ユンホ)と考え抜かれた末の賜物だ。
前半は、先のムービングステージやプロペラ型の巨大回転ステージを用いて目まぐるしく移動しながら、『One More Thing』『Chandelier』『Spinning』『Survivor』など、ミディアム、バラード、ソウルディスコ、ダンスチューンほかバラエティに富んだ楽曲を次々と展開。『B.U.T(BU-AU-TY)』ではワイヤーアクションもあり、5万5000人の驚きの声に包まれながら、ふたりは絶景の赤い大海原を15メートル眼下に華麗にフライング。しかし、実はこれ、「怖いんじゃなくて男の痛みに耐えて」(ユンホ)、「慣れたくないですね」(チャンミン)なのだそう。。。
後半でも、大人気曲『Duet(winter ver.)』『White』の冬メドレーを歌いながら、チェアーとスタンディングに分かれてのフライングが飛び出した。2階席からでもよく見えそうな「すんげー上まで」(チャンミン)浮遊し、ゆっくり移動しながら会場を温かい歌声で包み込む。
また、「2年間皆さんに会いたかった僕たちの気持ちを“赤裸々に”歌った曲」(チャンミン)という『逢いたくて逢いたくてたまらない』でのミニ・フロートや、『Easy Mind』『I just can’t quit myself』『OCEAN』といったメドレーでの大型フロートでよりファンに接近、愛嬌を振りまきながらドームに満開の笑顔を咲かせた。
それは魂の歌。そして、東方神起の真骨頂
そして、何と言っても、2年という時間の流れを感じさせない、むしろ厚みの増したパフォーマンスは、安心と驚きを覚えるものだった。
『Chandelier』『STILL』などのバラードは、どこまでもエモーショナルで、歌詞の内容も相まってぐっと胸を締め付ける。
特に、このツアーで初めてふたりで披露した『Bolero』は絶品。目を合わせ、互いの存在を確かめながら声を絡め、言葉を紡ぐユンホとチャンミン。「赤」と「青」の光の中、ふたりはこの壮大なドラマを、ユンホは顔を歪め、チャンミンは肩を震わせながらロングトーンと3段ブースターで、文字通り全身で歌い上げていく。それは魂の歌といってもいいかもしれない。渾身の熱唱は、聴く者の心を揺さぶり、ペンライトを振る手を忘れさせてしまった。歌い終えた後に、再び姿を見せた双頭の不死鳥が真っ赤に煌めいていたのも印象的だった。さらに、『Begin~Again Version~』もあるが、これは後述したいと思う。
「双頭の不死鳥」は東方神起そのものそして、東方神起の真骨頂を発揮するのは、やはりダンスパフォーマンス。頭の3曲は言わずもがな、ブラスサウンド高らかに、艶めかしく誘う『Spinning』、パワフルかつキレのある『Survivor』、“ハルクダンス”“龍ダンス”“鏡ダンス”など斬新な『Catch Me -If you wanna-』、フロートの上で飛んでは跳ねてコミカルに楽しませる『Easy Mind』や『I just can’t quit myself』に、燃える太陽を配したステージで挑発的な笑みを浮かべ、体が千切れんばかりに踊る『Rising Sun』など、多彩なパフォーマンスはどれもブランクを感じさせるものは一切無く、ただただ惹かれるばかり。(『Easy Mind』最後のユンホの口笛が安定のカスカスなのもファンにはうれしいところだろう)
でも、何と言っても代表曲『Why? [Keep Your Head Down]』だ。2011年の再始動の際、「王の帰還」を告げたこの曲で本編を締めくくったというのも意味がある。5万5000人がその気迫とエナジーあふれる重厚なパフォーマンスに圧倒され、ふたりにひれ伏すのだった。
また、アンコール一発目の『MAXIMUM』、この、再始動の際のもう一つの楽曲も然り。表情から指先の振り一つまで気合いがみなぎり、見ているこちらも血がたぎる。この曲では、回転ステージやムービングステージを用いて移動しながら会場を煽っただけでなく、ファンとの目線が同じとなるようステージ下を歩いて後方のサブステージに移動する場面もあった。
磨きがかかったMC
パフォーマスと同じく
進化した光るトークセンス
変わらない安心と喜び、そして進化さえ感じたのはパフォーマンスだけではなくMCにも至り、ユーモアとブラック(毒舌!?)に磨きがかかっていた。
再始動してから、テレビや雑誌など数々のプロモーションを行ってきた東方神起。その効果をはかるべく、「今日、初めて東方神起のライブに来たお客さんもいますかね?」(ユンホ)と会場に問いかけると、「は~~い!」とパラパラと手が挙がる。「予想より少ないですね」と苦笑いのユンホに、「新しいファンが増えてないみたいですね」とぼやくチャンミン。スタッフから事前に「再始動してから増えている」と聞いていたようで、「増えてますか?」(ユンホ)ともう一度問えば、「ハーーーイ!」と元気な声が上がる……も、「信用できない~」(チャンミン)とピシャリ。しかし、多くの男性ファンの姿を会場に見つけ、男性だけに「ォウェ~」と叫ばせると、大きな歓声が上がる。これにはふたりともご満悦で、「再始動して頑張って来た“甲斐”がある」と、新たに覚えたという単語を披露し得意満面のユンホだが……。
写真を拡大 東方神起 左からチャンミン、ユンホ実は、この日、風邪を引いていたユンホは終始、鼻をズルズルズルズル……。声も少々鼻声で、「東方神起のライブを見に来た方、僕、これが真の声ではないからね!」と悔しがるが、チャンミンは「大丈夫です、新しいファンが増えてないから(元の声を知っている人ばかりだから)」と自虐的に突っ込み、これには会場も大爆笑。余程悔しかったのか、再々度会場に問うと、「さっきより若干増えた気がするんですけど、半分くらいは嘘だと思うので……本当に、少ないですね」と肩を落とすチャンミン。
だが、ユンホは「ちなみに、この人はチャンミンていいます。僕はユンホ、ふたりで合わせて東方神起。よろしくお願いします」とまさかの自己紹介をはじめ、「それを知らずにこの会場に来るのはマズイですね」(チャンミン)と絶妙な掛け合いで笑いを誘って行く。「次の曲へ」とアナウスに、恒例の「え~~~」という“おねだり”の声にも、「新しいファンがもし増えてれば、もっとしゃべりたかったんですけど、ショックです」とやさぐれジョーク(本気だった!?)でうまくかわすチャンミンだった。
漫才なの?
終盤のMCでは、さらに面白さが加速。
2018年に向け「目標を決めて新たな挑戦をして再起動する」ことをファンに促すチャンミンは、「ジムに行かれてダイエットとか」と、ドSっぷりを発揮。このジョークに笑う客席を見渡し、「……敏感な話ですね。皆さんには要らないですね、はっはっは」と乾いた笑いでさらに笑いを誘う。そして、「読書するとか勉強するとかありますが、三日坊主になりがちで、怠け者になるじゃないですか。とにかくやろうと思うのが重要。来年も引き続き、東方神起を応援してください」とうまくまとめると、ユンホも「このふたりで“切磋琢磨”して頑張っていきたいと思います」。うまい四字熟語を選んだはずだが、さらりと聞き流した会場に我慢ならず、「“切磋琢磨”て言ったんだけど、無反応で寂しいな。合ってる? 合っているなら反応してくれよ!」とこぼすユンホに、チャンミンは「ユンホはすごく日本語がうまいからこの時点ではそういう言葉では驚きもしないんですよ」と絶妙なフォローを入れる。会場も関心するばかりだ。
ふたりの絶妙な掛け合いや突っ込みは続き、「皆さんが“棒”を持って振っていてきれいで」(ユンホ)、「ペンライトですね」(チャンミン)、「WITHツアーの時のお土産」(ユンホ)、「お土産いいっすねー」(チャンミン)、「飲みあげ」(ユンホ)、「打ち上げ!」(チャンミン)などまるで漫才のようなやりとりに爆笑の連続。
さらに、「あと数曲しか残ってないですね」というアナウンスに会場から上がった恒例の「え~~~~~」と惜しむ声には、「知ってるくせにぃ(笑)」(ユンホ)、「初めてライブを見に来てくれた方は少ないから、ファンの皆さん同士でセットリストの情報はご存知だと思うんです。なのに、『えー』て!」(チャンミン)とブツブツブツブツ……とまったく納得いかない様子。それでもまだ“欲しがる”ファンの声に、ユンホが放った一言は「実は、これから本編ですよ」。すると、チャンミンはこれを全力否定。「いやいやいやいや、そんなことはない! そんなことはない! 2時間以上結構歌って踊って十分なのに、これから本編て!!」と猛然と突っ込み、会場を笑いの渦に巻む。ふたりの軽妙トークに笑いが止まらなかった。
ふたりが伝えたこと
We are T
ふたりが伝えたいこと
爆笑MCの余熱をさらに高めんと、『ウィーアー!』『Summer Dream』『Somebody To Love』といったおなじみのメドレーではフロートでアリーナをぐるりと巡りドームを真夏へと変えながら、サインボールを客席にプレゼント。「We are T」という合言葉も、ユンホの回し蹴りや片手倒立、全力疾走も変わらない。
そして、興奮した雰囲気から一変、最後は珠玉のバラード『Begin~Again Version~』を。『Bolero』同様、互いの存在をしっかりと確かめ合いながら、一言ずつ噛み締めるように歌詞を紡いで行く。「今 ものがたりは...Begin」「今ふたりだけでBegin」。それは、楽曲を通した、ふたりの静かな宣言のようだった。
全力でやりきった東方神起3時間半、全力でやりきったユンホとチャンミン。最後にはこんな温かい言葉をくれた。
ユンホ(コメント抜粋)
皆さんにやっと会えましたけど、皆さんと東方神起が離れていた時間は、人によって違うと思いますけど、僕には結構長かった時間です。
その間に、僕(個人)チョン・ユンホとして、東方神起のユンホとして、はっきり何を目指しているのかをいつも悩んで、自分に聞いて(問いかけて)みました。
正解は、ここにいる皆さんのため、皆さんのことが好きで、歌ったりダンスをしたり、ここまで頑張って来たと思います。
でも、最近気付いたのは、ただ好きということだけではなく、皆さんのことをさらに大切に想って、一緒にお互い東方神起のことを見守っていきたいなって思います。これからもこのふたりの力になってください。
チャンミン(コメント抜粋)
人には出会いと再会、お別れがあって、超自然的なものだと思いますが、そういう自然的なものに感謝するんですが、たまに超自然的なものを止められなくて残酷だと思う時もあります。
だからこそ、もっと、ファンの皆さんからもらっている愛を大切に思っちゃうんですね。愛っていうのは……照れ臭い表現ですが、海より広いし深いし、宇宙よりすごく奇跡のようなものだと思うんです。皆さんが送ってくれる、ものすごい奇跡が、今回のライブツアーを作ってくださったと思うし、ふたりの居場所を作ってくださっていると思います。これからも一生懸命頑張っていきたいと思います。
皆さんの周りでいつもいてくれる家族や友達や恋人、知人がいると思います。冬です。ものすごく寒いじゃないですか。一人だけでいる時間も大切だと思うんですけど、寒いからこそ、もっと周りの人たちのそばに行って、手を繋いで抱き合って慰め合う、そういうあったかい時間をぜひ(過ごしてください)。人って、気づかないうちに一人だけで傷を持っている人が多いかもしれないから、そういう温かい時間を皆さんぜひ、過ごして欲しいです。
ふたりのメッセージが胸に沁みる。静まる会場。この時間もまた温かいのだ。
再び「We are T」という合言葉で会場を一体にしたユンホとチャンミンは、「本当にありがとう」という言葉を残し、振り返ることなくステージを後にした。
この日、いつものように終始全力でやりきったふたりと、彼らを支る周りのクルーたちに心から拍手を贈るとともに、漫画『ONE PIECE』になぞらえた、ファンまでをも含めた「東方神起」号のクルーたちの新たな船出にますます期待したいと思った。
「東方神起 LIVE TOUR 2017~Begin Again~」セットリスト
12月20日@東京ドーム
01. Reboot
02. ANDROID
03. Humanoids
MC
04. One More Thing
05. Superstar
06. Chandelier
07. B.U.T(BU-AU-TY)
08. Spinning
09. Survivor
10. One and Only One
11. シアワセ色の花
12. STILL
MC
13. 逢いたくて逢いたくてたまらない
14. Duet(winter ver.)~White
15. Catch Me -If you wanna-
16. Easy Mind~I just can’t quit myself~OCEAN
17. Bolero
18. Why? [Keep Your Head Down]
<アンコール>
19. MAXIMUM
20. Rising Sun
MC
21. ウィーアー!~Summer Dream~Somebody To Love
22. Begin~Again Version~

ウレぴあ総研

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