【レポート】加藤登紀子<ほろ酔いコ
ンサート>45年目の開催に乾杯

2017年12月27日・28日・29日に、東京都千代田区のよみうりホールで、加藤登紀子の<ほろ酔いコンサート>が開催された。

<ほろ酔いコンサート>は、1971年に日劇ミュージックホールで始まり、2017年に東京での開催は45周年を迎えた。会場で酒が振舞われ、加藤自身もほろ酔いで歌うこのコンサートは、多くのファンから愛され続けている。11月には45周年を記念し、70年代の貴重な音源も収録した5枚組のライブアルバム『超録 加藤登紀子ほろ酔いコンサート 20世紀編』も発売された。2017年は、11月18日の沖縄公演から、佐賀、横浜、宮城、京都、名古屋、大阪を廻り、12月27日・28日・29日の東京公演まで、全国8ヶ所にて11公演を開催。

今回は、12月28日の模様をレポートする。会場のよみうりホールのロビーでは、はっぴ姿のスタッフが、樽酒(大関)を来場者達に振る舞い、早くもお祭りムード。和やかな雰囲気の中、コンサートはスタートした。バンドメンバー5名、鬼武みゆき(ピアノ)、告井延隆(ギター)、渡辺剛(バイオリン)、早川哲也(ベース)、はたけやま裕(パーカッション)の登場の後に、真赤なドレスにエレキギターを抱えた加藤登紀子がステージに現れ、大きな拍手で迎えられた。オープニング曲は「Freedom」「向こう岸へ」。そして、パーカッションの演奏と手拍子に乗せて加藤が「ようこそほろ酔いコンサートへ。昨日誕生日が終わって、晴れやかな気持ちです。また一つ、若くなっちゃった」と挨拶すると、客席から笑いが起こった。「お酒をしっかりいただいてからスタートしたいと思います」と、ステージ上のお酒を手に取って「人生に乾杯! 出会いに乾杯! 別れにも乾杯! そして今日の日に乾杯!」という声に客席からも「乾杯!」と声が上がり、そのまま「百歌百会」へ。軽快なメロディーに人生をかみしめるような歌詞が、このコンサートにぴったりの選曲である。
続いて2017年に誕生から100年も迎えた「琵琶湖周航の歌」を観客達と合唱、「時代おくれの酒場」と続く。客席に降りて観客と会話をする場面もあり、アットホームな雰囲気の中、コンサートは進む。アコースティックギターの弾き語りでは、「生きてりゃいいさ」「ひとり寝の子守唄」「1968」「花はどこへいった」を披露した。

ここでゲストの胡弓奏者・楊興新が登場。楊は加藤と同じ中国東北部の生まれで、二人は永六輔のラジオ番組で初めて会ったという。永六輔が楊に送った詩から誕生した曲「二本の糸」を、胡弓演奏に乗せて加藤が熱唱。美しい胡弓の音色に観客達が聴き惚れていた。その後は、加藤が作曲した、石原裕次郎の最後のシングル「わが人生に悔いなし」を予定外に歌うというコーナーもファンを喜ばせた。2017年に作った曲の中からは、山田かまちの詩に加藤が曲をつけた「生きる」を歌い、一部を締めた。
2部では黒い衣装に着替えて登場。「My Song My Love」、中森明菜に提供した「難破船」、「雨のシャンソン」とラブソングでスタート。そして、1993年発売のアルバム『モンスーン』の話に及ぶ。当時、プロデュースを手掛けたギターの告井延隆が「貴重なんですが、売っていないんですよね。残念ですね」と語り、加藤が「あまりポピュラーになっていないんですよね。そういうものです」と話す、貴重なアルバム。その中から「約束」「イラヨイ月夜浜」を披露。続いて「Revolution」、ラストの2曲として、エディット・ピアフの「愛の賛歌」、美空ひばり「終りなき旅」を、「二人の人生を感じることは私にとって大きな力です」と語り、魂を込めて歌い上げた。
大きな拍手が鳴りやまず、アンコール曲として「Running On」「Never give up tomorrow」とアップテンポのナンバーが続き、スタンディングオベーションが起こる中、「百万本のバラ」のイントロが始まり、ファンから加藤に花束が届けられた。最後は観客達との大合唱となり、「来年が良い年で皆さんが颯爽と生きていけるように、エールを送ります!」と「Begin Again」を熱唱。興奮は冷めやらず、「やっぱり大関は最高!」と、アカペラで大関のテーマ「酒は大関」を観客達と歌った流れから「知床旅情」の大合唱となり、熱気溢れるラストとなった。

2018年は1月13日の長崎・松浦市文化会館を皮切りに、各地でコンサートを開催する。
撮影◎ヒダキトモコ
取材・文◎仲村 瞳

加藤登紀子<ほろ酔いコンサート>

2017年12月28日(木) @東京・よみうりホール
[ セットリスト ]
01. Freedom
02. 向こう岸へ
03. 百歌百会
04. 琵琶湖周航の歌
05. 時代おくれの酒場
06. 生きてりゃいいさ
07. ひとり寝の子守唄
08. 1968
09. 花はどこへ行った
10. 二本の糸
11. わが人生に悔いなし
12. 生きる
13. My Song My Love
14. 難破船
15. 雨のシャンソン
16. 約束
17. イラヨイ月夜浜
18. Revolution
19. 愛の讃歌
20. 終りなき旅
21. Running On
22. Never give up tomorrow
23. 百万本のバラ
24. Begin Again

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