オーケストラ日誌!Day 3〜ジルベス
ター&ニューイヤーコンサート〜

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。今年もCOSMUSICAとオーケストラ日誌をどうぞよろしくお願いします!

さて、日本では「三が日」が正月休みですが、ドイツでは元日のみが祝日で、翌日から通常通り学校も仕事も始まります。それに対し、クリスマスは24~26日の3日間が祝日で、その時期はスーパーもレストランもほとんどが閉まっており、多くの人が家族でゆっくりと過ごします。
もっとも、音楽家という平日も週末もないような職業をやっていると、クリスマスも大晦日もあったものではありません。ベルリン・ドイツ・オペラでアカデミー生をやっていた2年間は、どちらも12月23日と25日は仕事、31日も2回公演をやって22時半〜23時ごろにようやく終演、その後慌ただしくお祝いをするような感じでした。今働いているシュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団は、比較的祝日をきちんとお休みにするオーケストラなので、今年は久しぶりにきちんとクリスマスと大晦日をお祝いでき、むしろちょっと変な感じがしたのでした。
3プロジェクト・3週間。
1月5・6日に演奏したニュルンベルク郊外の街フュルトの劇場。新バロック様式のかわいらしい劇場でした
12月30日にジルベスターコンサート、元日にニューイヤーコンサートがあった我がオーケストラですが、22日〜26日のクリスマス休暇があったことと、2つのコンサートが全く違うプログラムだったことから、リハーサルはクリスマス前から始まりました。
休暇の3日前から日替わりで2つのプログラムをリハーサルし、5日間の休暇を挟んでその後は毎日リハーサル。30日にジルベスターコンサートをやり大晦日はオフ、元日はニューイヤーコンサート、さらに1月6日と7日に別の都市で再度ニューイヤーコンサート…という3週間にわたるプロジェクトでした。途中空き日が多かったので、リハーサルしたことが抜けないようにするのが少し大変でした。
ジルベスターコンサートはお馴染みの…!
ジルベスターコンサートに演奏したのは、日本でも超有名なベートーヴェン作曲交響曲第9番「合唱付」、通称 “第九” でした。以前、こちらのクリスマスに演奏される機会の多い曲について記事を書きましたが(▷ベルリン便り Vol.9 〜クリスマスの音楽たち〜)、クリスマスまではバッハのクリスマス・オラトリオが演奏されることが多く、「第九」が演奏されるのはクリスマス以降、つまり本当に大晦日にかけて演奏されます。ドイツのみなさんにももちろんお馴染みの曲ですが、日本ほど頻繁に演奏されることはまずありません(笑)。
日本の「第九」の公演回数の多さについてはこちらでもよく知られているようで、「もう十分弾いたことがあるでしょう?」なんて言われもしたのですが、実は私、今回が人生3回目の「第九」でした。しかも1回はジュニアオーケストラのコンサートミストレスとして弾いたので、ヴィオラではようやく2回目。学部時代に年に1回は演奏の機会があるだろうと踏んでいたのですが、実際に演奏したのは学部1年のときの1回のみでした(笑)。
そんなわけで、どちらかといえばヴィオラよりも1st ヴァイオリンの方をよく知っていた私。ときどきうっかりヴァイオリンのタイミングで弾き始めそうになることもありましたが、ようやくヴィオラパートをきちんと学ぶことができて(なぜか最初に弾いたときの記憶が薄い)おもしろかったです。ドイツ滞在3年目で改めて聴いてみると、前よりも歌詞が理解できたり、自分の言葉で解釈できるようになっていたりして、なおさら弾きがいがありましたし、何度聴いても、何度弾いてもいい曲だなと思いました。
ニューイヤーは華やかな雰囲気で!
シュトゥットガルトにある小さなお山、Birkenstock(ビルケンシュトック)からの眺め
ジルベスターはお馴染みのプログラムでしたが、新年は少し趣向を変えてアメリカンなプログラムでした♪
1曲目は、ドヴォルザーク作曲交響曲第9番「新世界より」。どちらかといえば、プログラム後半のメイン曲として演奏されることが多いですが、今回は前半に演奏しました。昨年の10月にも音楽監督の指揮で演奏しましたが、指揮者が違うといろいろなことが違って、また新しい発見ができました。
後半はクラシックの世界を離れてジャズの方向に。ジョージ・ガーシュウィン作曲「パリのアメリカ人」に始まり、クラリネット奏者のアンディ・マイルズ氏を迎えてアーティ・ショウ作曲クラリネット協奏曲、そしてガーシュウィンのメドレー「Faschinating Rhythm」を演奏しました。
ショウのクラリネット協奏曲はこのオーケストラに来て初めて知りましたが(演奏は今回で2回目)、協奏曲というよりはジャズやバンドセッションのような感じで、非常におもしろい曲です。演奏会では実際に、マイルズ氏の希望で彼とベース・ピアノ・ドラム・コントラバスによる、譜面には書いていないセッションが追加され、普段とは少し違った雰囲気を味わえたのでした。
アンコールの1曲目もジャズバンドメンバーとマイルズ氏によるセッションでした。事前に少し打ち合わせていただけでしたが、カリスマ性のあるマイルズ氏をバンドリーダーにとても息のあった、それでいてお互いに刺激しあっているセッションでした。また毎回違ったヴァリエーションがあって、お客さんのみならず私たちも思わずほほ笑んでしまうような、素敵なものになっていました。
さすがにセッションだけで終わるわけにもいかないので、アンコールの2曲目にはもちろんオーケストラとの曲、「Tico Tico no Fuba(オーケストラ版)」が用意されていました。リズミカルでとっても楽しいこの曲を演奏した際には、座りながら少し踊っている団員さんもいて(ブラジル出身の方は特に血が騒いでいるようでした)、「新世界より」でクラシカルに始まったとは思えないほど、そして新年の始まりにふさわしいような形で、とても華々しく終わったのでした。

おまけ〜ドイツの年越しの様子♪
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ドイツでは大晦日の夜にだけ打ち上げ花火や爆竹が許されており(!)、年が明けると一斉に花火があがります。普通に家の前や道路で打ち上げているのでだいぶ危険ですし、相当うるさいです(笑)。

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