【レポート】デューク・エイセス さ
よならコンサート「いつまでも想い出
に残ってほしい」

12月21日、東京都港区のメルパルクホール東京で、日本を代表する男性4人組グループ、デューク・エイセスが<さよならコンサート ~ありがとう、62年に感謝~>を開催した。デューク・エイセスは、1955年に結成。現在のメンバーは、槇野義孝(バス)、谷道夫(バリトン、リーダー)、岩田元(セカンドテナー)、大須賀ひでき(トップテナー)の4人。レパートリーは、ジャズ、映画音楽、歌謡曲、TV主題歌、CMソングなど、1700曲以上で、その約半数を、谷がメンバーの声に合わせて編曲している。今年の5月に、12月31日での活動終了を発表していた。
会場は,人のファンで満席となっていた。オープニングに、過去のVTRと、“デュークのメインテーマ”ともいわれる「めぐりあったあなた」のBGMが流れる中、メンバーが登場。客席から大きな拍手で迎えられた。第1部は、デューク・エイセス結成と同年に公開された映画のテーマ音楽「慕情」からスタート。バンドは、岩崎健一郎(ピアノ)、長倉徹(ドラムス)、飼沼丞二(ベース)、黒葛野敦司(サックス)の4人。結成時からの唯一のメンバーである谷が、「皆様に心から御礼を申し上げます。ありがとうございます」と挨拶。「元々はジャズ、黒人霊歌をベースにスタートしました」と語り、“デュークのレパートリー第1号”である、黒人霊歌「ドライ・ボーンズ」を、「最後の『ドライ・ボーンズ』です」と紹介。難易度の高い同曲を、息の合ったハーモニーで歌い上げた。そして、「ジェリコの戦い」「キャラバン」「In The Evening By Moonlight」に、アメリカン・ポップスメドレー(「Little Darin‘」~「16Tons」~「Love Me Tender」~「Only You」~「Mr.Lonely」~「Mr.Baseeman」~「Tennessee waltz」~「Let’s Sing a Melody」)、「My Way」と、デュークの原点ともいえる、アメリカン・ポップスで魅了した。特に、「Mr.Baseeman」での槇野のバス、「My Way」での谷の人生が滲み出るかのようなソロは圧巻だった。
第2部では、デューク・エイセスの初コンサートのゲストだった作曲家・神津善行と、女優・中村メイコ夫妻が登場。谷と同じ年だという中村メイコは、解散について「まあ、気が早いこと」と惜しんだ。神津は「始め『ドライ・ボーンズ』を聴いたとき、すごいコーラス団が日本にもできたもんだと思った」と振り返った。神津は永六輔をメンバーに紹介した縁もあるという。昭和38年に、谷が神津の自宅へ曲作りの依頼に行った時の話や、神津が手掛けたコマーシャルソングの制作秘話などが、当時の写真や音源とともに紹介された。想い出話の流れで、「鉄人28号」や、デューク・エイセスが歌ったコマーシャルソング(「かに道楽」「白鶴」「新三共胃腸薬」「パンシロン」「ニッセイ」)を歌唱する場面もあり、会場を大いに沸かせた。デューク・エイセスは実に多くのコマーシャルソングを歌っている。多い時では1本のドラマの間に流れるコマーシャルソングすべてがデューク・エイセスだったこともあるという。中村メイコは「もうずっと歌っていないし、歌えない」と言いつつも、代表曲「田舎のバス」をデューク・エイセスと客席の手拍子とともに歌唱。今夜が最後の貴重なコラボレーションとなった。
第2部の後半は、テレビ番組『夢であいましょう』から生まれた、「遠くへ行きたい」「おさななじみ」(「その後」付きのスペシャルバージョン)と、永六輔といずみたくのコンビによる、歌謡界の偉業「にほんのうた」シリーズから「女ひとり」「いい湯だな」「フェニックス・ハネムーン」「筑波山麓合唱団」とヒットナンバーで大盛りあがりとなった。続いて、民謡曲をアレンジした「おてもやん」「貝殻節」、永六輔に感謝の意を込めて今回の曲目に選ばれた、永六輔作品「生きるものの歌」、谷が「いずみたくさんに捧げる歌でございます」と語って、いずみたく作曲の「聴こえ来るメロディー」を、熟練した唯一無二のコーラスワークで歌いきった。1500人のファンから拍手が鳴り止まず、アンコールとして、「White Christmas」を、そして谷が、「いつまでもいつまでも、想い出に残ってほしいと思います」と客席に語りかけ、最後はミュージカル『Cats』の代表曲「Memory」で締めくくった。
終演後は、客席からメンバーへ花束を渡すためファンの行列ができ、ステージにはたくさんの花束が並んだ。ボニージャックスから会場に届けられた花には「もったいない!!」とメッセージが添えられていたが、誰もがそう思ったことだろう。メンバーの2018年以降の予定は未定とのこと。オフィシャルサイトが2018年1月末に閉鎖されるというのも寂しい限りだ。サイト内の掲示板(今年末に閉鎖)には多くのファンからの熱いメッセージが続々と寄せられている。このコンサートは、2018年2月11日(日)に、CSテレ朝チャンネル2にて放送される。
撮影◎釘野孝宏
取材・文◎仲村 瞳

CSテレ朝チャンネル2「デューク・エイ
セス解散スペシャル」

放送日時:2018年2月11日(日)
午後5時30分~「徹子の部屋」出演の軌跡
午後7時~ さよならコンサート~ありがとう、62 年に感謝~

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