バンドじゃないもん! 初のホール公
演もグッとこらえて涙なしの大阪公演
をレポート

パーフェクトピースコンサート2017~大阪にSEY YES!を~

2017.12.17(SUN)大阪・森ノ宮ピロティホール
神聖かまってちゃんのドラマーでもある、鈴姫みさこが率いるアイドルグループ、バンドじゃないもん!。2011年に結成され、メンバーの脱退などで一時はインディーズで活動。2016年1月の再メジャーデビュー以降は順調にシングルリリースとライブを積み重ね、2017年3月発表のアルバム『完ペキ主義なセカイにふかんぜんな音楽を』が同年アイドルシーンを代表する1枚として高評価を浴びるなど、苦節を乗り越えて大躍進を遂げた彼女たちが、ついにワンマンのホール公演までたどり着いた。
12月17日、大阪・森ノ宮ピロティホール『パーフェクトピースコンサート2017〜大阪にSEY YES!を〜』。“もんスター”と呼称されるファンはこれまで以上に女性やカップルらしき人たちが目立ち、バンもん!のキャパシティの拡充を改めて印象付けさせられた。
開演前の場内に流れるBGMには、ビートルズが1967年、架空のブラスバンドのショウを見立てて制作したコンセプトアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の楽曲群をセレクト。これはまさに、バンドじゃないもん!というグループのネーミングに引っ掛けた助演。さらにステージには大きなスクリーンが張られており、そのバックに透けて見えるのはバンドセット。そう、この日は生演奏なのだ。後の本編で判明するが、今回特別に配されたバンドは「名前がない」らしく(恋汐りんごが「ふにゃこらピーマン」と仮称したそうだが)、その辺りも“サージェント・ペパーズ”の架空バンド設定を想起させる。
何より視線が引き寄せられたのが、一番後ろの高座にある2台のドラム。バンもん!の2011年結成当初のコンセプト、“ツインドラムあいどる”がここにきて再現されるのだ。
バンドじゃないもん! 撮影=日吉“JP”純平
ライブ本編が始まると、すぐにホール公演のメリットを実感。集結したバンドメンバーたちが叩き出す轟音は猥雑に聴こえず、のびのびとしていて、クリアかつヘヴィな重低音が常設の座席から自然と身体を持ち上げる。そして大スクリーンに映しだされるのは、メンバーのイラストと名前を紹介するアニメーション。さながらIMAXシアターのようなド迫力な音&映像演出のなか、6人がそれぞれ元気いっぱいに飛び出し、ライブは開演した。
オープニング曲は「君の笑顔で世界がやばい」。<どこまでも行こう 掴むぞ栄冠>と想いが爆発するこの曲は、2015年“再出発”と位置づけた初フルアルバム『Re:start』の人気曲だ。先ほど「ついにホール公演にたどり着いた」と記したが、6人にとってこれは決して一つの到達点ではなく、どんなときでも常にスタート地点を意識しているのかもしれない。

バンドじゃないもん! 撮影=日吉“JP”純平

「FAN+TIC」では、今回のバンドでドラムを務める元Hysteric Blueの楠瀬タクヤと鈴姫みさこのドラムソロ対決が実現。曲中には七星ぐみが自撮り棒を引っぱり出し、その場で写真撮影する場面も。「RAVE RAVE RAVE」は、90’ s彷彿の羽扇子を舞わすジュリアナダンス。「歌うMUSIC」は、甘夏ゆずがヒップホップのような“YO YO”的ノリで、ベース、ドラムに絡んでいくも、当然手が離せるワケもなく……と、細かいところまでまったく目が離せない。最初のMCで「ホール公演だからって、(ゆったり座って見られると思って)油断していたらダメ」と宣戦布告したが、まさにその通り。
この公演での見せ場となったのが、各メンバーのソロ曲のコーナー。再びスクリーンが下りてきて、デジタル音源配信サービスの試聴画面風の映像が映しだされ、それぞれの曲を紹介。
バンドじゃないもん! 撮影=日吉“JP”純平
このソロコーナーは、お揃いの衣装ではなく、持ち歌にあわせた各自のファッションが眼福となった。「ピーターパンコンプレックス」の甘夏ゆずは、ロシアン帽子やハイウエストの太めなパンツでモダンに。「想い出サンセッタ」の鈴姫みさこは、ティアラがきらめくプリンセス感。「恋はMelty time」の望月みゆは、赤い水玉スカートと白の手袋が80年代アイドルっぽい。「クッキンアイドルりん♡りん♡汐りんのテーマ」の恋汐りんごは、宙に浮かぶキャラクター・しゅがりんとの異色デュエット(もはやファッションではない)。「150930」の七星ぐみは、背面に“VIOLENCE”とデカデカとプリントされたDQNなボクサーガウンが強烈。「青空に吹かす夜、晴れ渡る日」の大桃子サンライズは、リボン付きの白のガーターベルト、はだけさせたシルクのパジャマにドキドキさせられた。
バンドじゃないもん! 撮影=日吉“JP”純平
勢いに乗る現在のバンもん!のスケールをかたどった遊び心満載の演出、そして各々特有のカリスマ性を堪能できるパフォーマンスを経て、終盤はグループとしてのステージングを飾ることなくどんどん見せつけていく。印象的だったのは「ピンヒール」。好きな相手を想い、追いかける女性の歌詞とあって、届かない気持ちを胸にそっとしまいこむ仕草、手を伸ばして駆ける振付けが切ない。ホールのステージということもあってか、舞台を観劇しているように見入った。

バンドじゃないもん! 撮影=日吉“JP”純平
アンコールのMCで、鈴姫みさこは「とてもとても幸せな光景です。今までいろいろとありました。やっとやっと、ホールができるようになりました。これからも一緒に手を繋いで、上まで駆けのぼってください」と、ちょっと突つけば弾けて泣き出しそうな雰囲気だったが、グッとこらえていた。直後の演奏曲「NaMiDa」の<泣くには早い! いつかめっちゃ嬉しい結果 掴み取るんだ>の歌詞そのものだ。

ダブルアンコールでは、<メガネ萌え>のフレーズで沸き上がる「ショコラ・ラブ」。作詞は、鈴姫みさことともにバンもん!を立ち上げ、2013年に卒業したかっちゃんと、みさこの共作。バンもん!が味わってきた、喜び、涙、すべてのヒストリーを詰めこんだようなセットリストはファンにとってかなりエモーショナルで、中には涙ながらに<メガネ萌え>と歌う男女もいた。
バンドじゃないもん! 撮影=日吉“JP”純平
全24曲を終えた後、2018年5月4日にNHK大阪ホールでワンマンライブを開催すると発表。ライブ中に鈴姫みさこ、七星ぐみが「(大阪では)たこ焼きみたいな熱いライブをしましょう」と言ったが、この日はさらに熱々のパフォーマンスが期待できそうだ。
ライブ情報

バンドじゃないもん!2018冬のライブハウスツアー決定!
2018年2月12日(月・祝) 札幌PENNY LANE24
2018年2月16日(金) 広島CLUB QUATTRO
2018年2月17日(土) 福岡DRUM Logos
2018年2月25日(日) 名古屋E.L.L
東京 , 大阪 comming soon!
詳細は後日発表!

ホールツアー開催決定!
2018年4月15日(日)中野サンプラザ
2018年5月4日(祝・金)NHK大阪ホール

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