【ライブレポート】ロットン主催「ポ
ルノ超特急2017」1日目!

12月23日(土・祝)、24日(日)の2日間にわたり開催されたROTTENGRAFFTYが主催する冬フェス「ポルノ超特急2017」。両日ともにチケットは即完売。1万5000人の超満員車の中発車された、初日12月23日のライブレポートをお届けします。

12月23日(土・祝) ライブレポート
昨年に続き今年も2daysでの開催となったROTTENGRAFFTY主催“ポルノ超特急2017”の1日目。寒さが厳しくなってきた年末、京都パルスプラザには朝早くから長蛇の列ができていた。このイベントに参加しないと1年は終われない、という気持ちはみんな同じなのだろう。年の瀬の響都にて、今年はいったいどのような響宴が繰り広げられるのだろうか。胸の高鳴りはどんどん大きくなっていく。
MCのやべきょうすけとROTTENGRAFFTYのメンバーによる出発進行挨拶の後、金閣のステージに登場したのはヤバイTシャツ屋さん。Vo./G.こやまが「ポルノ超特急2017、はーじまるよー! メリークリスマース!!」と叫び、オーディエンスが大きな声で応えてライブスタート。ステージ上もフロアのオーディエンスも朝からめちゃくちゃテンションが高く、会場の温度が一気に上がる。クラップ、ジャンプ、モッシュ、シンガロング、タオル回し、コール&レスポンス…ライブのあらゆる要素をギュッと詰め込んだヤバTのステージはキレキレだ。ROTTENGRAFFTYのNOBUYAに「俺、ヤバTの肩幅の曲めっちゃ好きやねん」「なあ、今日肩幅の曲やらへんの?」と言われたということで急遽セットリストを変更して「肩 have a good day」を披露し、最後は「あつまれ!パーティーピーポー」で限界を超えた次元の強烈な一体感で終了。彼らは見事に“ポルノ超特急2017” トップバッターの役割を果たした。
ヤバイTシャツ屋さん
金閣のヤバイTシャツ屋さんがオーディエンスを暴れさせまくっていた頃、銀閣のステージにMCやべきょうすけとROTTENGRAFFTYのメンバーが登場して発車の合図を告げる。そしてヘヴィなメタルサウンドと寒空を切り裂くハイトーンボイスが鳴り響く。大きな歓声に迎えられて登場したTHE冠は、金閣の盛り上がりに負けじと前から後ろまでぎっしりと詰めかけたオーディエンスを一気に加熱し、銀閣の空間を灼熱のライブハウスへと塗り替えた。
THE冠
「アフターアワー」でライブを始め、すぐにG./Vo.椎木が「最高です!!」と興奮を露わにしたMy Hair is Bad。ギュッと音が詰まった3ピースから放たれる全球全力の直球勝負、エモーションが溢れまくる彼らのステージにぐっと惹き込まれる。椎木が眼光鋭くフロアを見つめ、鬼気迫る形相で「復讐」へ。同曲が終わった後も眼の光を弱めることなく、いや、ますます強くして、「誰よりもかっこいい悪役やって帰ってやる」「俺はやりたいことをやっている、あんたはどうだい?」「俺は俺のキャンバスに、あんたはあんたのキャンバスに。何を描く?」、「これが俺の本気だ」と、ギターをかき鳴らしながらその場で生まれたリアルな言葉を投げ積み重ね、「フロムナウオン」へ。その場で命を燃やすような、現実をまっすぐに見つめた絶望の先にある光を掴むような、My Hair is Badの全身全霊は、痛いほど胸の奥深くまで突き刺さってきた。
My Hair is Bad
銀閣に登場したのはPOT。フロントマンが代わる代わるオーディエンスを煽り、ガンガンと会場の温度を上げていく。振り上げられた拳は数え切れず、ダイバーの数も数え切れない。彼らのダイナミックなアンサンブルは身を任せるには最適で、オーディエンスは身体を揺らして4人が鳴らす最高のサウンドにのめり込んでいく。会場の熱気はどんどん上昇し、外気との温度差で結露ができてきたのだろうか、壁や床が湿り気で濡れ始めている。Vo./Ba.よっぴーがライブ開始直後に「金閣よりも銀閣を熱くしようぜ!」と言ったように、彼らはオーディエンスと一緒に最高のテンションと全力のライブで走りきった。
POT
誰にも汚すことが出来ない聖域を持ちつつ、触れるだけでヒリヒリとするような緊張感を帯びつつ、その場に居る全員を包み込むような懐の深いステージで魅了したSUPER BEAVER。Vo.渋谷が「めちゃくちゃ幸せです」と言いながら広いステージを駆け回り、G.柳沢、Ba.上杉、Dr.藤原が想いを込めた音を放つ。渋谷が「ROTTENGRAFFTYに聴かせてください」と言った「正攻法」の大きな大きなコール&レスポンスは、フェスは全員で作り上げるものだということを痛感させてくれる。「ライブハウスやこの“ポルノ超特急”にはルールとか無い代わりに、あなたのモラルが問われてるよ。かっこよく遊んでってください」「ヘイトで繋がるくらいならライブで繋がりたいと思います」と、渋谷のひと言ひと言が突き刺さる。そして最後は「ありがとう」。全身で浴びたSUPER BEAVERの全力の音、最高だった。
SUPER BEAVER
Crystal Lakeのライブを心待ちにした観客がステージ方向へとギュッと詰めかけ、フロアの密度がハンパない。その密集したオーディエンスの頭上に、5人がこの日いちばん重いサウンドを降り注がせる。プライドをビシビシと感じさせるヘヴィネス、Vo.RYOの唯一無二のヴォーカリゼーション。客席がヘドバンで揺れ、Crystal Lakeの音で更に揺れる。同じ時間、金閣のステージでは矢野・兵動が観客を大爆笑させているし、銀閣では凄まじい光景が繰り広げられている。他のどこにも存在しない尖った個性を持つ出演者たちの響宴は、見所が多すぎて一瞬たりとも気を抜くことができない。再び銀閣に戻ると、誇りを身にまとったCrystal Lakeが会場を熱気と興奮を充満させながら、汗を輝かせながら、更に激しいステージで客の気持ちを沸騰させる。“ポルノ超特急”、今年も楽しすぎる。
Crystal Lake
音楽が持つ力を最大限引き出し、“音”で同じ場所同じ時間を共有している人たち全員を幸せにする東京スカパラダイスオーケストラ。彼らのライブはいつどこで味わっても極上だ。「Samurai Dreamers」「閃光」の2曲で10-FEETのTAKUMAがゲスト参加して会場は沸きに沸き、金閣の興奮は限界を超える。大きな金閣の客席エリア、前から後ろまでびっしり隙間なくオーディエンスがライブを楽しむ絶景を見て、ステージ上のメンバーが笑顔で気持ちを爆発させる。肩車されたキッズも小さな手を振り上げて音に乗る。全員参加型の最高に楽しい彼らのステージに脱帽だ。「DOWN BEAT STOMP」「ペドラーズ」などのキラーアンセムでハッピーな空間を作り出し、最後は「All Good Ska is One」で大団円。音楽で全員を笑顔にする…そんな東京スカパラダイスオーケストラの魔法は今日も効き目抜群だった。
東京スカパラダイスオーケストラ
奥深いサウンド、艶っぽさと容赦のない攻撃性を併せ持つVo.京のヴォーカル。1曲目の「leather field」でその場から1ミリも動けないほどにオーディエンスを痺れさせたsukekiyo。ループマシンや電子パッドなどの電子楽器も使いつつ、どこか“和”っぽいテイストも孕んでいる独特の世界観は、音楽の枠を超えて芸術の域にまで達している。まるで舞うようにステージをひらひらと移動し、様々な表情で歌う京から目が離せない。個性的なメンツが並ぶ“ポルノ超特急2017”、まだイベント半ばだが、最も強烈な存在感を放ったのはおそらく彼らだろう。銀閣に君臨したその時間すべて、刹那的な哀愁と張り詰めた緊張感、妖艶な旋律でオーディエンスを魅了した。
sukekiyo
大歓声に包まれて金閣のステージに登場したFear, and Loathing in Las Vegas。昨年の“ポルノ超特急”でVo.Soがステージから落ちて骨折したらしいが、ROTTENGRAFFTYのNOBUYAから「リベンジしないか?」という連絡を受けて今年も出演を果たした彼ら。1曲目の「Rave-up Tonight」からそんな想いを爆発させるメンバーと、応えるように爆発的な盛り上がりをみせる客席。イントロが鳴るだけで大歓声が起こり、拳が振り上げられ、曲が始まる頃にはフロアはカオス状態。その勢いは曲を重ねる度にグングンと跳ね上がっていく。ポップネスとヘヴィネス、ダンスとロックを見事に融合させた「Party Boys」。多幸感を帯びた歌のSoと、叩きつけるようなスクリーモのMinami、そのコントラストで気持ちをガンガンに揺さぶられるのがとてつもなく心地よい。MCで更にオーディエンスを煽り、「Virtue and Vice」「Love at First Sight」でとことん踊らせて終演。踊りまくった客席には汗だくの笑顔が溢れていた。
Fear, and Loathing in Las Vegas
銀閣に登場したのは漢 a.k.a. GAMI&DJ BAKU。BAKUが鳴らすサウンドに、漢が登場して淡々とリリックを乗せていく。その言葉1つ1つの表情は一見クールだが、確実に聴く者の心を掴んでいく。リリックを放ち続ける漢は、言葉に込めた熱量と強さを徐々に高めていく。観ている我々は自分でも気づかぬうちに、いつのまにか彼らが作り出したフリースタイルの世界に引きずり込まれていった。まさに彼は言葉のマジシャンだった。それはROTTENGRAFFTYのN∀OKIも同じだったのだろう、マイクを持ってステージに登場したN∀OKIに大きな歓声が向けられる。銀閣のステージで繰り広げられた2人の共演、言葉と言葉、気持ちと気持ちのセッションは、お互いへのリスペクトが溢れる素晴らしいもの。ジャンルの垣根を超えた繋がり、音楽が生み出した素晴らしい瞬間に、胸が熱くなった。
9sari group
1曲目「2nd Youth」からダイバーがまったく途切れない。6年前、KBSホールで開催されていた時期に初めて“ポルノ超特急”に出演したというHEY-SMITH。「俺らが初めて“ポルノ超特急”に出させてもらって以来、ROTTENGRAFFTYは一瞬も色褪せることなく最前線で俺たちを導いてくれている。俺らはそんなROTTENGRAFFTYの気持ちに応えたい!!」と叫んで「Don’t Worry My Friend」へ。“俺らは全力で楽しむからお前らも全力で楽しめ”というHEY-SMITHの精神性はこの日のオーディエンスの気持ちとぴったりシンクロしているのだろう、客席の興奮は尋常ではない。前から後ろまで振り上げられる無数の腕、全員がまるで自分の歌のように歌い、自分の曲のように踊り、自分のステージのように暴れまくる。ROTTENGRAFFTYと音楽に最大限のリスペクトを込めたHEY-SMITHのライブは、熱くて激しく、想いが溢れ、京都パルスプラザに巨大な一体感を作り出した。
HEY-SMITH
客席からステージへと登場した四星球。シンガー康雄が「攻めに攻めるライブをやります!」と言ったその言葉通り、ここでは詳しくは書けないほど攻めすぎた出で立ちでDr.モリスが登場。四星球は初っ端から飛び道具連発でオーディエンスの度肝を抜いた。 そして曲を始める前に康雄が言葉を重ね、「今日のシナリオを書いてきました。今から我々コミックバンドが、どのバンドよりもいちばんロックなライブをします。そしてトリのロックなROTTENGRAFFTYがかたきを討つ、というのはどうでしょうか?」と言ってライブスタート。屈強なセキュリティをステージに上げる、G.まさやんが高所に登る、ROTTENGRAFFTYのメンバー(を模した人形)を客席に投げ入れる、etc…。型破りなライブで散々笑わせた後、最後はなぜかめちゃくちゃ感動するという四星球の真骨頂が存分に味わえた。
四星球
いよいよ金閣トリ前。ステージに登場したのはROTTENGRAFFTYの盟友、10-FEET。Vo./G.TAKUMAが「今年の“京都大作戦”、雨で中断になったときにROTTENGRAFFTYが曲を削って俺らの時間を作ってくれました。今日はそのときにもらったバトンを渡しに来ました!」と叫ぶ。ROTTENGRAFFTYと10-FEETがどのような関係か、なかなか言葉で説明するのは難しいが、この日の10-FEETのライブを観ればすぐに理解できるだろう。爆発的な盛り上がり、桁外れのダイバー、全身汗だくで暴れながらステージの3人と一緒に歌うオーディエンス。“ポルノ超特急2017”1日目の終わりが近いことを惜しむように、会場がひとつになっていく。ライブはいよいよ佳境に入り、TAKUMAが「とにかくいつでも本気なお前が好きや!」と叫び、「その向こうへ」で終演(最後に「時間がないときのRIVER」も演奏したが)。全身全霊、全力で駆け抜けた10-FEETの気迫が溢れるステージ。“京都大作戦2017”で彼らが受け取った想いは、ROTTENGRAFFTYに渡された。
10-FEET
銀閣トリ、金閣の大トリ・ROTTENGRAFFTYに繋ぐ重要な役割を務めるのはDizzy Sunfist。元気よくステージに飛び出してきたVo./G.あやぺた、Vo./Ba.いやま、Dr./Cho.もあいの3人。いつだって全力で、どんなステージでも最高の笑顔を作り出してきた彼女たちは、銀閣に集まったオーディエンスが持てる体力のすべてを使い切るほどにテンション高く、溢れんばかりの想いを音に乗せて疾走した。「Dizzy Beat」で作り出した一体感と高い熱量のまま、「SUPER HERO」「Joking」とキラーチューンを連発。曲の合間でもMCでも全力で想いを叫び、客を煽り、感謝を叫ぶ。来年1/24にリリースするアルバムに収録予定の新曲で沸かせ、無数のダイバーを誘発させる「SHOOTING STAR」で沸かせ、呼吸するのがキツいくらいの熱気の中、全力で駆け抜けたライブは「Someday」で締め。見事に銀閣トリをやり切った3人。次はいよいよROTTENGRAFFTY。Dizzy Sunfistからの熱い気持ちは、金閣の5人へと繋げられた。
Dizzy Sunfist
メンバーが1人ずつステージに登場しながら「PORNO ULTARA EXPRESS」で始まったROTTENGRAFFTY。10年以上前に作った同曲(2004年リリースの『CL∀SSIC』に収録/2017年10月リリースのシングル「『70cm四方の窓辺』」に再録)がこのイベント “ポルノ超特急”を象徴し、そしてバンドを象徴しているということが感慨深い。NOBUYAが「“ポルノ超特急2017” 最終列車、ROTTENGRAFFTYだ! 頭がおかしくなるくらい踊り狂え」と宣言した「D.A.N.C.E.」の狂宴。広いステージで所狭しと位置を変えつつ、屈強なアンサンブルを組み上げるG./Prog. KAZUOMI、Ba.侑威地、Dr.HIROSHI、そしてそれぞれの個性で魅せる2人のVo.NOBUYAとN∀OKI。最強のバンドが牙をむく。 「当たり前に今日が来たと思ってないからそのつもりで。今を生きろ!」と叫んだ「世界の終わり」、「最高のもっともっと上を俺らとお前らで作ろうぜ」と煽った「THIS WORLD」。最初から振り切れていた5人のテンションは曲を重ねるごとに凄みを増し、NOBUYA、N∀OKI、KAZUOMIが客席エリアに身を投げる。そんな彼らの凄まじい姿を見たオーディエンスも興奮の熱を上げ、会場は手がつけられないほどカオスな盛り上がり。 
ROTTENGRAFFTY
エモーションが爆発した「『70cm四方の窓辺』」、彼ら自身が何度もこの曲に救われてきたという「マンダーラ」、全員で歌った「金色グラフティー」。いつも渾身の力を振り絞り、ステージの上で命を燃やす5人を観ていると、そして今まで何度もライブで聴いてきた大好きな曲たちを聴いていると、胸が締め付けられ、全身に鳥肌が立つ。ROTTENGRAFFTYは、いつだって“今”がいちばん輝いているロックバンドだ。アンコールでは2/28にリリースするというニューアルバムから新曲を披露。凶暴なサウンド、畳み掛けるように展開するツインヴォーカル、壮大に広がっていくサビのコントラスト。新たなアンセムの予感に打ち震える中、最後は“ポルノ超特急”に来てこの曲を聴かずには帰れない、彼らが生まれ育った街を歌った「響く都」。
ROTTENGRAFFTY
強烈な一体感を作り出し、何度も何度もメンバーが「ありがとう」と感謝の気持ちを告げる。“ポルノ超特急2017”1日目は無事、終着駅に到着。金閣も銀閣も、ミュージシャンもお笑いも観客も、全員が本気で全力で音楽を楽しみ、各々がその存在を輝かせまくった“ポルノ超特急2017”。明日も楽しみでならない。
Photo:HayachiN / Yukihide”JON…”Takimoto / OOMO / かわどう Text:山中 毅 

ポルノ超特急
2017年12月23日(土・祝)・24日(日)
会場:京都 京都パルスプラザ
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