【4連続対談】9nine 吉井香奈恵×HA
RUNA(SCANDAL)、ヴォーカリストの鍛
え方

▲写真左から:吉井香奈恵(9nine)、HARUNA(SCANDAL
現在4人のメンバーから成るパフォーマンスガールズユニットの9nineが、2017年の締めくくりとなる12月26日にワンマンライブ<Quattro Formaggi>(読み:クワトロフォルマッジ)をZepp Tokyoにて開催する。ライブタイトルが4種類のチーズを用いたピザの名前になぞらえられているように、ライブ内容もまたメンバー4人それぞれの個性が絶妙に溶け合ったものになるよう作り込まれているとのことだ。
今回お届けする特集では<Quattro Formaggi>公演を前に、9nine各メンバーごとに異なる領域のスペシャリスト達を対談ゲストに迎えた。“かんちゃん”こと吉井香奈恵のゲストは、ガールズバンドSCANDALのボーカル・ギター担当であるHARUNA。ライブに欠かせないボーカルへの2人の思いはもちろん、かんちゃんから飛び出した突然のリクエストもあわせて楽しんでほしい。
◆吉井香奈恵(9nine)、HARUNA(SCANDAL)写真
■私たちはライブがコンスタントにあるんですよね。だから、日々のライブがトレーニングみたいになっているところがあって。(HARUNA)
──お2人はどうやって知り合ったんですか?
吉井香奈恵(以下、吉井):だいぶ前に洋服の展示会で私がトモちゃん(TOMOMI)と会って、次の展示会にHARUNAちゃんも一緒に来たのかな?
HARUNA:それだ! そのときは「初めまして」ぐらいで、しばらく経ってから、私が7~8年通っているボイストレーナーの先生のところに、9nineのみんなも来るようになったんだよね? 先生から「9nineの子は普段こんな感じ」みたいな話を聞いていて、「また今度、話してみたいな」と言ってたら、先生を交えて一緒にご飯をすることになりました。
吉井:この前も大阪でSCANDALさんのライブを観させていただいたのですが、3年前の横浜アリーナにも行って、一緒に写真を撮ってもらいました(笑)
HARUNA:そうだ。思い出した。
吉井:もともと私はデビュー前に大阪の高校に通っていたとき、軽音楽部に入っていて、SCANDALさんの「DOLL」をカバーして文化祭で歌ったんです。
HARUNA:そんな過去があったの? 全然知らなかった。
吉井:普通にファンでした(笑)HARUNAちゃんは会う前はツンとした感じの人かと思っていたら、お話するとすごく優しいし、お姉さんだし、いつも甘えています。話を「うん、うん」って聞いてくれて、私が「ごはんに行きたい」と言ったら「いいよ、行こう」と言ってくれます。
HARUNA:かんちゃんは会うとキャピキャピいろいろなことを話してくれるので、楽しいです。
吉井:HARUNAちゃんには何でも話しちゃいます。でも、この前のライブを観て思ったのが、やっぱりステージだとめっちゃイケメン(笑)!
HARUNA:ハハハハ(笑)
吉井:男前で、本当にカッコ良かったです。
HARUNA:ありがとう。9nineはテレビの収録でも一緒になったことがあったし、MVも観ていて。自分も元はダンススクールに通っていて、9nineのみんなみたいに歌って踊れるアーティストを目指していたので、注目していました。かんちゃんはパフォーマンスを観ていると「すごく歌が好きなんだな」と伝わってきます。
──吉井さんの歌にはどんな印象がありますか?
HARUNA:キュートさとクールさ、カッコ良さを持ち合わせたヴォーカリストだと思います。アイドルの部分とアーティストの部分を両方表現できる人はそんなにいないので、そこはすごく良いところですよね。
吉井:私自身、枠に捉われず、幅は常に広がるように意識しているので、そう言ってもらえるのはうれしいです。私たちは楽器を持たないので、体だけで表現しないといけないので、曲によって「クールにキメよう」とか「かわいく行こう」とかみんなで話し合って、色を付けるように考えています。
HARUNA:それと、ダンスがめちゃくちゃ上手。かんちゃんがインスタグラムに上げるダンス動画をよく観てますけど、すごくカッコイイ。私もこういうことを幼少期からやりたかったので、羨ましさもあります(笑)ライブにはまだ行ったことがないから、ぜひ今度観に行きたい。
吉井:ぜひ! HARUNAちゃんはライブ前って、どんなことをしています? 私たちのライブは2時間歌って踊るので、1ヵ月前から体を整えておかないと、重くて動かなくなるんですよね。
HARUNA:私たちはライブがコンスタントにあるんですよね。ツアーだけでなく、その間にフェスが入ったり。だから、日々のライブがトレーニングみたいになっているところがあって。「このライブに向けて体作りをしよう」みたいなことは全然していません。むしろ気にしないことで、モチベーションを保っています。
吉井:私は何かと食べすぎちゃうので……。フィッティングした衣裳に合わせて体を作っていかないと、ステージでずっと動いているから、しんどくなるんです(笑)
HARUNA:でも、普段ダンスをやっていたら、そんなに体重は気にならないんじゃない?
吉井:いや、結構食べるんですよ。9nineの食事はヤバいです(笑)
HARUNA:マネージャーさんが無言でうなずいてます(笑)
吉井:だって、1回でお弁当2コとか食べますから。焼肉なら1人3人前は食べるんじゃないかな(笑)
HARUNA:怖いな(笑)それは食べるほうだね。
吉井:そうなんです。そこからデザートも行けちゃう(笑)だからこそ、ライブの1ヵ月前から節制しないと。でも、お肉はタンパク質だから食べています。
HARUNA:筋肉は必要だからね。
吉井:甘いものは極力避けます。リハーサルで動くから、糖分も摂らないと頭が回らないので、果物を食べたり。気持ちの問題かもしれないけど、「ライブに向けて頑張っている自分が好き」みたいなところもちょっとありますね(笑)
HARUNA:ストイックだね。
吉井:そう! ストイックなんですよ、私(笑)
HARUNA:そういうところを人に見せないと、やっていけないタイプ?
吉井:そうかも。でも、そこを見せないほうがカッコイイですよね(笑)
HARUNA:人それぞれだと思うけど、かんちゃんは人に見せて自分を追い込むタイプだよね。
吉井:「やってんで!」って自己満で(笑)
HARUNA:私はあまり見せないタイプ。
吉井:そのほうがカッコイイと思う。そういえば気になっていたのが、この前、大阪マラソンで42.195キロを走り切ったんですよね? 「ウソやろ!」と思いました(笑)
HARUNA:走り切ったんですよ(笑)
吉井:マラソンは前からやっていたんですか?
HARUNA:全く。でも、今年に入ってから走るようにはしていた。週1回、5キロくらい。それも誰にも一切言わなかったけど(笑)走るのは好きになっていて、春くらいに大阪のラジオ局から「大阪マラソンを走りませんか?」とお誘いをいただいたとき、「人生で1回はやってみようか」と思って挑戦しました。
吉井:すごい! 実は私も最近少しずつ走るようにしているんですけど、急にそんな距離、考えただけでもムリだから!
HARUNA:私は普段5キロから10キロを1キロ6分半から7分半で走れば、息が切れないことがわかってきて。大阪マラソンもそのペースで走ろうと思っていたら、やっぱり息はそんなに切れなかったんですよ。でも、ずーっと走っていると、だんだん脚が痛くなってきて。上半身は辛くないのに、下半身はどんどん辛くなる。それがマラソンの厳しさだと知りました。
吉井:私もいつか、マラソンをやってみたい!
HARUNA:達成感はあるし、「これをやり遂げられたんだから、何でもできるかも」って、自信になりました。
──ヴォーカリストとしてプラスになった部分も?
HARUNA:気持ちの面はもちろん、やっぱり普段から走ることはヴォーカリストとして大事だと思います。走り始めてから肺活量が上がって、自分のなかでライブでの安心感が全然違います。ムチャができるので。
◆インタビュー(2)へ
■最近やっと歌いながら他のことも考える余裕ができて、体がひとつの楽器みたいな感じ。(吉井香奈恵)
──ライブの前日や直前に何かすることはあります?
吉井:私はとにかく早く寝ます。睡眠時間でだいぶ声が変わるので。
HARUNA:寝れば寝るほどいいの?
吉井:そうですね。日付が変わる12時より前に寝ます。
HARUNA:早っ(笑)
吉井:それで8時間以上寝ると、いいコンディションでライブができます。もともとノドがそんなに強いほうでないので、無理するとすぐ痛めちゃう。保湿やマスクは3日前からするかも。
HARUNA:えらい。
吉井:1週間ぐらいずっとリハーサルで歌っていて、朝起きたら声が出なくなるのが怖いんです。実際、ツアーで土・日に2公演ずつやっていたとき、最後の公演はもうカスカスだったことがあるので。そうならないために「寝て保湿や!」と思っています。
HARUNA:私はライブ前もあえて自然体。前日にお酒を飲まないとか、しゃべりすぎないとか、やっていた時期もありましたけど、本当に調子悪いときは、そういうことをしてもダメだったので。意外と普通に過ごすことが、自分にとって一番楽だという。気負いすぎると、余計にコンディションが悪くなる。自分を追い込みすぎるところもあるし、普段どおりにしています。そうするようになったのは、この1~2年ですけど。
吉井:ライブの直前は、食べないようにします。食べすぎると体幹が消化に集中されるから……と言われません?
HARUNA:「食べすぎは良くない」とは言われる。だから、私もあまり食べないかな。でも、ラーメンを食べるといいんですよ。脂でノドの通りが良くなって。
吉井:あーっ!
HARUNA:……というのはありますけど、毎回は食べないですね。私はライブのことを考えると、あまりお腹がすかないことが多くて。でも、全然食べないと力が出ないので、少しお腹に入れる感じ。
吉井:私は会場入りしたら、すぐにごはんをしっかり食べて、消化して本番、みたいな。
──ボイストレーニングは、すでにキャリアがあるアーティストさんにとっては、どんな意味があるんですか?
HARUNA:私たちが通っているボイストレーナーは、皆さんが想像する発声練習みたいなことはあまりしなくて。どっちかというと、筋トレに近いよね?
吉井:そうですね。
HARUNA:筋肉を動かしているなかで声を出す。息を吐いて肺活量を鍛える。そういうことをしています。ノドだけでなく体のケアですね。
吉井:毎回体をリセットしに行く。メンテナンスみたいな感じです。ノドはむしろ使わなくなる……と言ったら伝わりにくいかもしれませんけど、体を整えれば、声を意識的に出すつもりはなくても、体から自然に出ます。
HARUNA:すごく楽に出るよね。「声はノドで出すものじゃない」とわかりました。私は歌うことにすごく悩んだ時期に、そのボイストレーニングの先生と出会って通い始めました。デビューして3年くらいの頃、たぶん当時の発声法があまり良くなくて、全然満足できるように歌えなかったんです。その先生のところに通って、筋トレしながらの発声を始めてから、また自分らしい歌い方を見つけることができました。
吉井:私も同じで、歌い方に悩んでいた時期に今の先生と出会って、歌の技術より体の整え方次第で声は楽に出ることを教わりました。最近やっと歌いながら他のことも考える余裕ができて、体がひとつの楽器みたいな感じになっています。
HARUNA:私が最近心掛けているのは、自分のなかに何人もの人がいるようなヴォーカリストになりたいなと。いろいろなタイプの曲を歌いこなせるようになりたいです。ジャンルというより、1曲のなかでもクールな部分、キュートな部分……とか使い分けたり、声で遊べるようなところを目指しています。
吉井:私は声が高いほうで、どっちかというとキンキンした感じだと思うんですね。だから、もっと厚みが出ればいいなと。年齢を重ねるごとに声も少しずつ変わって、幅も広がっていくはずだから、いろんな自分を発見していければ。そのために特別な練習をするというより、ライブを重ねるごとに自分の成長を見つけたいです。いろいろな武器を自分のなかに増やす感じで。今度の9nineの久しぶりのワンマンも、この何ヵ月かで自分がどう成長したか、答え合わせになると思います。
HARUNA:声は年齢を重ねると低くなる人もいますけど、私は年々高くなっているんですよね。ボイストレーニングの成果もあると思うし、声の出る幅は広がっています。
吉井:私、HARUNAちゃんの声が好き。楽器のなかに埋もれないし、バンドをリードして引っ張って、声がスッと入ってきて聴ける。太くて真っすぐでカッコイイ声で、クセになるというか、自分が苦手な声の出し方なので憧れます。
HARUNA:うれしいです。
吉井:最近は洋楽も結構聴いていて。自分がヒップホップ系とかアイドルと離れたジャンルをやってみたらどうなるのかな? と想像しています。
HARUNA:9nineは洋楽っぽい曲も全然できると思う。「Why don't you RELAX?」も面白かったし。かんちゃんだったらリアーナとか、ああいう感じが似合いそう。
吉井:私も好きです。
HARUNA:あまりロックのイメージがないので、逆に一度チャレンジしてみると面白いかもしれないね。
吉井:結構、興味あります! ファッションとかも含めて。
HARUNA:ファッションもそうだし、R&Bとか似合うイメージがあります。ロック寄りの音楽をバンドサウンドでやってみたら、全然違う自分に出会えるんじゃない?
吉井:やってみたいですね。あと私、いつかHARUNAちゃんとダンスをしたい(笑)
HARUNA:エーーーッ!! そっち(笑)!? ダンスは今、全然やってないけど。SCANDALで毎年クリスマスにワンマンをやるとき、余興で1曲、遊びで踊るくらい。
吉井:でも、音楽を通じて出会って尊敬しているHARUNAちゃんと、何か音楽で一緒にやりたくて、ブッ込んでおきました(笑)お互いダンススクール出身だから、安室奈美恵さんみたいな感じもいいし、歌って踊ってみたいです。
HARUNA:安室さんはずーっと尊敬していますけど、そう来るとは全然想像してなかった。でも、かんちゃんが言うなら。(笑)
吉井:やったー!
──ともあれ、お2人ともやっぱり、ヴォーカリストとして生きてきて良かったですか?
HARUNA:そう思います。小さい頃からヴォーカリストである自分しか想像してなかったので、それが形になって、大人になってもちゃんと続けていられることはすごくうれしく思います。
吉井:私も同じ。子どもの頃からずっと歌って踊ることしか想像できなかったので、それを今できていて、こういうふうに音楽で繋がりができたのもうれしいし、もっと広げていきたいです。
──差し当たっては、12月26日のZepp Tokyoでの9nineワンマンですね。
吉井:今回は音のアレンジや照明以外の演出はあまり加えず、私たち4 人の歌とダンスを軸に魅せるライブにしたいと思います。HARUNAさんもお時間あったら、いらしてください!
HARUNA:行きたいです。Zeppは私もすごく好きなライブハウスで、凝った演出がなくてもめっちゃカッコイイライブができる場所なので、ぜひ観てみたいですね。
取材・文◎斉藤貴志
   ◆   ◆   ◆
■吉井香奈恵をピザの具にたとえると?

トマトですね。赤くて彩りに存在感があるし、料理にトマトが入るだけで華やかになると思うんです。そして華やかなだけでなく、ちゃんと旨みがある。華と実力を兼ね備えたかんちゃんに似ていますね。(HARUNA)
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■SCANDAL プロフィール


2006年大阪・京橋で結成。

2008年「DOLL」でメジャーデビュー。翌年には「少女S」でレコード大賞新人賞受賞。

近年ではSCANDALの影響で楽器を始める女子も増え、10代女子を中心に絶大な人気を誇っている。

2015年SCANDAL史上最大世界9カ国41公演の初の単独ワールドツアーを行い、2016年8月に結成10周年を迎え、結成地大阪にて1万人を動員し野外コンサートを開催するなど、名実ともに日本を代表するガールズバンド。
2018.2.14(水)SCANDAL New Album「HONEY」Release!!

そしてアルバムを引っ提げて、2018年3月より3年ぶりの全国ホールツアー「SCANDAL TOUR 2018 " HONEY "」開催決定!!

<9nine ワンマンライブ 2017 -Quattr
o Formaggi->

2017年12月26日(火) Zepp Tokyo

18:00 OPEN / 19:00 START

https://ticket.rakuten.co.jp/features/9nine/

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