(C) 2017 TOHO CO.,LTD.

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【芸能コラム】サバイバルの時代が生
んだ究極のゴジラ 『GODZILLA 怪獣
惑星』

 1954年、水爆実験の恐怖の象徴として生まれたゴジラは、その後も時代を反映してさまざまな脅威のメタファーとしてスクリーンに登場してきた。1984年の『ゴジラ』では、東西冷戦を背景にした核戦争の危機、昨年公開の『シン・ゴジラ』では、現代日本を襲うさまざまな災厄の象徴として。では、現在公開中の『GODZILLA 怪獣惑星』に登場するゴジラは、どんな存在なのか。
 20世紀末に出現した多数の怪獣と、その怪獣たちをもしのぐ究極の存在“ゴジラ”との戦いに敗れ、わずかに生き残った人類は、宇宙船で地球を脱出する。それから20年。新天地となる惑星の発見に失敗した人類は、地球への帰還を決断する。だが、帰り着いた地球では、亜空間航行の影響で2万年もの時間が経過し、地上はゴジラを頂点とした未知の生態系へと変貌を遂げていた…。
 本作におけるゴジラの脅威の度合いは、これまでの比ではない。何しろ、あらゆるものを駆逐する力で人類を地球外に追いやり、文字通り“地球の支配者”となっているのだ。過去のゴジラ映画で、これほど人類が追い込まれたことはなかった。他に行き場を失った人類は文字通り、生き残りを懸けてゴジラに挑むことになる。つまり、“サバイバルのための乗り越えるべき究極の壁”がゴジラなのだ。
 2017年の映画界を振り返ると、広い意味で“サバイバル”をモチーフにした作品が多数公開されたことに気付く。『沈黙 ―サイレンス―』、『わたしは、ダニエル・ブレイク』、『キングコング:髑髏島の巨神』、『LOGAN/ローガン』、『新感染 ファイナル・エクスプレス』、『ダンケルク』…。ジャンルや内容は多岐にわたるが、いずれも“生き抜くことの難しさ”を描いている点で共通している。生きることが困難な時代を反映した映画が、世界的に生まれているのだ。
 そう考えると、『GODZILLA 怪獣惑星』が、今年生まれたのは、時代の必然だったようにも思えてくる。さらに言えば、異星人、パワードスーツ、2万年後の地球といったSF的設定を取り入れながらも、人類側から見た時代設定は今から数十年後の21世紀後半。超未来ではないことも注目すべき点だろう。これは、現在とこの先を生きるわれわれに向けたサバイバルの物語なのだ。
 ゴジラ映画初のアニメーションとなる本作は、3部作の第1章に当たり、18年5月に第2章『GODZILLA 決戦機動増殖都市』が公開予定となっている。ストーリー原案・脚本を担当した虚淵玄は、劇場用パンフレットのインタビューで「第1章はある意味、序章のようなもので、第2章、第3章がアニメの『GODZILLA』ってこうなんだ!って感じていただけるものになっていくと思います」と語っている。
 第2章、第3章がこの先、どのように人類とゴジラの戦いを描いていくのか。サバイバルの時代が生んだ『GODZILLA 怪獣惑星』は、3部作の序章として今後の展開に十分な期待を抱かせてくれる。(井上健一)

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