(C)2017「DESTINY 鎌倉ものがたり」製作委員会

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【映画コラム】夫婦の愛情劇+奇想天
外な冒険ファンタジー『DESTINY 鎌倉
ものがたり』

 監督、脚本の山崎貴をはじめ、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズのチームが、再び西岸良平の漫画を映画化した『DESTINY 鎌倉ものがたり』が公開された。
 魔物や幽霊、死神、貧乏神など、人ならざる者と人間が仲良く暮らす街・鎌倉を舞台に、前半は、ミステリー作家・一色正和(堺雅人)と年若い妻・亜紀子(高畑充希)の、騒がしいけれど幸せな新婚生活の日常を、一転、後半は、愛する妻の命を取り戻すため、正和がただ一人で黄泉の国へと向かう様子を描く。
 夫婦の愛情劇と奇想天外な冒険ファンタジー、そのギャップを楽しめるか否かが、本作に対する評価の分かれ目となるだろう。
 山崎監督は『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ、『STAND BY ME ドラえもん』(14)で、複数の短編からなる原作漫画を、一つの話として再構築したが、今回も同様のアプローチをしている。
 また、懐かしさと妖しい雰囲気を併せ持つ古都・鎌倉、主人公の作家夫婦の時を超えた愛、魔物や黄泉の国も現れる摩訶不思議な世界といった、何でもありの現実と非現実のはざまを、特撮を駆使して描くところは、かつての大林宣彦監督の諸作をほうふつとさせるところがある。
 本作も含めて、彼らが描く独特の世界に心底浸れるか否かで、好き嫌いが大きく分かれるところもよく似ているのではないだろうか。
 その大林監督が病と闘いながら撮り上げた『花筐/HANAGATAMI』も16日から公開される。世代は異なるものの、似たもの同士の2人の映画が、並んで公開されるのも何かの縁かと思えば、感慨深いものがある。(田中雄二)

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