週刊夢アド番外編:真夏の夜のYUME
LAND追加公演
Text_Sotaro Yamada
真夏の夜のYUME LAND 追加公演:渋谷W
WW Xがパンパンに
そんな渋谷WWW Xもこの日、夢アドを迎えると、押しかけた人々でフロアはパンパンに。11月の寒い日にもかかわらず、ユメトモ(※夢アドのファンのこと)の熱気で場内はまさに“真夏の夢”のよう。11月15日にリリースされた『20xx/Exceeeed!!』がオリコンウィークリーランキング8位(デイリー6位)を獲得するなど、かなり勢いを感じさせる夢アドだが、その勢いは渋谷WWW Xのキャパが追いつかないレベルまでふくれあがっているようだ。
客電が落ち、オープニングに『OVERTURE』が流れると、フロアを埋め尽くすユメトモが一気にブチあがる。荻野可鈴、志田友美、小林れい、京佳の4人が登場して『20xx』からライブはスタート。1週間前にリリースしたばかりの曲にもかかわらず、多くのユメトモがフリを完コピしていて、いきなり異様な一体感を生み出す。3曲目にドレスコーズの志磨遼平が作詞作曲を担当した『おしえてシュレディンガー』のイントロが流れると、フロアからはやくも「優勝!」との声が。
夢アド結成から5年の集大成となるライブだが、MCでは荻野可鈴が「この5年間で一番成長したのは京佳の胸」と述べて笑いを取るなど、ライブは笑顔で進んでいった。
「4人で最後のパレードだぞ! 声出せ
!」
その後、『Viva! シャングリラ』や『ステルス部会 25:00』といった人気曲や、『恋のエフェクトMAGIC』(作詞作曲はMrs. GREEN APPLEの大森元貴)、『アイドルレース』(作詞作曲はヤバいTシャツ屋さんのこやまたくや)、『ファンタスティックパレード』(作詞作曲はKEYTALKの首藤義勝)など、音楽感度の高いロックファンが泣いて喜ぶような名曲を連発。
改めて、夢アドの魅力は「かわいいだけ」ではなく、その楽曲の強さにもあるのだと感じさせられた。「4人のラスト、しっかりその目に焼き付けろ!」「4人最後のパレードだぞ! 声出せ!」そう叫ぶ京佳の姿はまるでロックスターだ。
「声の出る限り、夢アドで歌い続ける」
京佳は「夢アドが結成されたときは同い年もいなかったし、メンバーは憧れのモデルばかり。ずっと“夢アドの末っ仔”としてやってきたけど、この1年間は特に色々なことがあって、いつまでも“末っ仔”のままメンバーに甘えてはいられないと思った。逃げ出したくなるときもあったけど、ユメトモやメンバーが支えてくれて、この5年間、めっちゃ充実してました。学生時代を夢アドに捧げてよかった。メンバーには甘えず、でもユメトモのみなさんには甘えさせてください。これからも頑張ります。よろしくお願いします」と涙ながらに述べた。
志田友美は「はじめは『アイドルって何? なんでこんなことやらされてるんだろう? 早く辞めたい』と思っていた。あれから5年。どうして続けられたのか考えたら、やっぱりステージに立って歌うことがすごく好きだからだと思います。ファンとの一体感が私にとってのモチベーションで、夢アドは私の天職だと思う。これから新メンバーが入るけど、夢アドは変わりません。私は、声の出る限り、夢アドで歌い続けます。これからもユメトモのみなさんの力が必要です。よろしくお願いします」と、本音を吐露しつつも心強いコメント。
「夢アドは、来年絶対、売れます!!」
夢アド新体制で
2/12(祝・月)
豊洲PIT決定!!!!#東京都から怒られたら消す pic.twitter.com/ibDBJ5yLaw— カレー食べたい/夢アドP (@curry_tokyo) 2017年11月22日
そんななか、笑顔のまま4人が再々登場。映像をいじりつつWアンコールに応え、この日2回目の『Exceeeed!!』でライブは幕を閉じた。荻野可鈴の最後の一言は「夢アドは、来年絶対、売れます!!」だった。大きな拍手に包まれつつ、エンディングSEの『アイドルレース』を背中に受けてステージを去る4人の後ろ姿は力強かった。
4人体制の終わりと、追加公演の意味
今回の追加公演は、メンバーからの強い要望で実現したそうだ。荻野可鈴によると、「新メンバーを迎えるにあたって、このまま4人体制がなんとなく終わってしまうのは嫌だった」という。
思い返せば、2016年から2017年にかけて、夢アドは激動のなかにいた。グループの解散さえ噂され、3人でツアーを回った時期もあった。「罵声を浴びるんじゃないかと思っていた(志田友美)」というくらい不安にさいなまれた時期を越え、傷つきながらもなんとか体勢を整えてきた。彼女たちが這い上がれたのは、荻野可鈴のMCにもあったように、多くのユメトモの支えがあったからだ。そうしたなか、自分たちを支えてくれたユメトモに対して、改めて感謝の気持ちを伝えたかったのだろう。
どのような出来事も、そのほとんどはいずれ過去となり、少しずつ忘れ去られる。だから、「なんとなく」終わらせて次のステージに向かい、何事もなかったかのように振る舞うことだってできたはずだ。しかし彼女たちは「なんとなく」終わらせることを選ばなかった。今回の追加公演は、彼女たちにとってのけじめだった。
「夢みるアドレセンスは永久に不滅です!絶対に終わらせないから!」
「『夢アドは終わった』とか言う人がいたら言ってあげてください。『まだ始まってもいねーよ!』」
この2つの発言は、リーダーの荻野可鈴が今年のライブで宣言した言葉である(前者は2017年最初のツアーで、後者は6月に行われた小林れい復活記念ライブにて)。この言葉からもうすぐ1年(半年)が経とうとしているが、あのときの彼女の言葉が苦し紛れの一言ではなかったと、いまならすべてのユメトモが確信できるのではないか。
荻野可鈴、志田友美、小林れい、京佳。この4人がいる限り、夢アドが終わることはないだろう。この先に何があろうと、彼女たちが夢みるアドレセンスを守りぬいていくだろう。だから、4人体制が終わることによって失われるものなど、本当はひとつもありはしない。この日のライブにしめっぽさがなかったのは、彼女たちが見ようとしている景色がもっともっと先にあるからだ。
何かが終わったのではなかった。ようやく始まったのだった。
セットリスト
1. 20xx
2. リーダーシップ
3. おしえてシュレディンガー
4. 泣き虫スナイパ→
5. マワルセカイ
6. ひまわりハート
7. フォトシンテシス
8. Rainbow Rain
9. 秘密
10. 大人やらせてよ
11. Viva! シャングリラ
12. 恋のエフェクトMAGIC
13. ステルス部会
14. アイドルレース
15. ファンタスティックパレード
16. Exceeeed!!
En1. Bye Bye My Days
En2. ララララ・ライフ
En3. 舞いジェネ!
WEn. Exceeeed!!
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