鹿賀丈史&市村正親コンビの強味は「
45年間という歳月」ミュージカル『ラ
・カージュ・オ・フォール』盟友対談

2018年3月9日(金)から、東京・日生劇場をはじめ、福岡、静岡、大阪にてミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち』が上演される。ジョルジュ役とアルバン(ザザ)役を鹿賀丈史と市村正親のコンビで演じるようになってから来年で10周年となるアニバーサリーイヤーの公演について、二人は今何を思っているのか。過去と現在を行き来しながら話を伺った。

――この10年でお互いに変わったな、と感じる点と、ずっと変わらないなって思う点を挙げていただけますか?
鹿賀 いっちゃん(市村)はね、変わったっていうよりもますますパワーアップしていますね。まあ、たまに「あちこちが痛い」とか言っているんですけど(笑)。
市村 (笑)
鹿賀 でもそういうことを感じさせないエネルギーがすごいと思いますね。
――市村さんはいかがですか?
市村 心の奥底の「想い」が深くなったんじゃないかなって気がします。表面的なものよりも、やっぱりこの10年でいろんな想いというか…心の中のひだが増えるような感覚があります。表には出さないけれど、それって演技の一瞬一瞬に出てくるものだと思う。そりゃ肉体的には、お互いに年齢をとった分だけあそこが悪いだここが悪いだってのはあるけれど(笑)、それにも勝るぐらいのものが自分の中で増してきたように思いますね。
僕の場合は、この10年で2児の父親になったっていうことが、丈史もびっくりしている変化だと思いますよ。まさか僕が父親になるって皆思っていなかったでしょうし。親孝行ができたかな(笑)。子どもができたことによって、ジャン・ミッシェル(ジョルジュの息子。20数年前の一夜の過ちで生まれた)の気持ちもわかったり、『屋根の上のヴァイオリン弾き』の娘たちの気持ちも理解できるようになった。今までは感じられなかったような「親心」で、芝居を観たり演じたりすることが出来るようになったかな。感謝ですね。
――鹿賀さんご自身については、この10年の変化を感じることはありますか?
鹿賀 基本的にはそんなに変わってないと思うんですけれど、これまではウォーキングをやっていたんですが、ちょっとこれじゃ間に合わないと思ってジムへ通い出したり、先日は人間ドックに入ったり。舞台に備えてやれることはやっておこうと思うようになりました。やっぱり舞台は1か月で、30公演くらいやると相当なエネルギーを使いますので。基本的な体力をつけておかないとね。
鹿賀丈史
――10年間の公演を振り返って特に印象に残った出来事を上げるとしたら?
市村 いつも楽しいことばっかりだったね。
鹿賀 そうだね。
市村 僕が「ちょっとそのまつげの付け方、下手よ」とか、そういうアドバイスは何回かしたけどね(笑)
鹿賀 まつげね(笑)。
市村 この下まつげの付け方をどうの、とか、ちょっとチークを塗ったりとかね。他愛もないことが多いよね。
鹿賀 心のどこかにザザ役をやりたいっていうのとも少し違うんですが、男性でありながら女性の心も持っているという、そういうニュアンスを少しでも出せればなあという思いが公演をやるごとに少しずつ増えていったような気がするんですよね。だから今回はまた改めていろいろ練り直したいなと思っています。
市村 ダンドン一家が来る時に、ジョルジュもゲイだから、男っぽくしなくちゃいけないし、僕は僕で完全にアルおじさんにならなくちゃいけないし。ジャン・ミッシェルの婚約者アンヌの父・ダンドン議員たちが来るまでの芝居と来てからの芝居が変わるところなどをね。丈史がジョルジュをやるようになってからそれまでとは違う演出になったかなって感じがしますね。
市村正親
――この二人のコンビだからこその強みは?と聞かれたら、改めてなんて答えますか?
市村 やっぱりもう、45年間という歳月は拭うことはできないですよね。それがしっかり土台としてあるっていうことだと思います。若い頃から知っている関係ってすごいじゃないですか。
鹿賀 うん、そうだね。
市村 お互いまだ20代の前半ですよ。僕が24歳で、丈史が23歳。そのくらいですよ。その頃からお互いを知っているってことは、劇団四季を辞めた頃も知っているし、それぞれに起きた様々なことも知ってます。そういったものが僕と丈史の中にはたくさんあるんだろうなって思いますよ。
鹿賀 そうだねえ。例えば芝居をしていてもその微妙な間とかは初めて芝居をする相手とは明らかに違う、阿吽の呼吸ができていますね。今回の舞台でもその関係性が劇場全体に広がっていくんじゃないかな。
――いよいよ2018年の『ラ・カージュ・オ・フォール』の船出です。本番に向けてどう取り組んでいかれますか?
鹿賀 この10年で世の中も随分変わりましたし、情報量も大きく変わってきました。その日の公演の感想がなども、すぐ他の人に伝わるような時代ですから、今まで以上に毎回が真剣勝負になりますね。おもしろおかしく、真剣にやるという……いいことだと思いますよ。
市村 僕はザザ(アルバン)を演じていく上で、この10年……それより前も含めると最初の旦那が細川俊之さん、次は岡田真澄さん。3人目の旦那が丈史。この旦那が10年間と一番長く持っているんです(笑)。作品自体はずっと変わらないんだけど、おもしろさおかしさだけじゃなく、その「ドラマ」の部分を今回はもっとしっかり探って表現することが出来たらいいかなと思ってます。それが見つかった時には2018年版の『ラ・カージュ・オ・フォール』ができあがるんじゃないかな。
鹿賀 うん、うん(深くうなづく)。
鹿賀丈史、市村正親
取材・文・撮影=こむらさき
公演情報
ミュージカル『ラ・カージュ オ・フォール 籠の中の道化たち』
■日程:2018年3月9日(金)~31日(土)
■会場:日生劇場 (日比谷)
■作詞・作曲:ジェリー・ハーマン 
■脚本:ハーベイ・ファイアスティン 
■演出:山田和也
■出演:鹿賀丈史、 市村正親、 木村達成、 愛原実花、 真島茂樹、 新納慎也、 香寿たつき、今井清隆森公美子 ほか
■料金(全席指定・税込):S席13,000円、 A席8,000円、 B席4,000円
■一般発売日:11月4日(土)10:00~
■公式サイト:http://www.tohostage.com/lacage/

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